青春18きっぷを片手に北海道をめざしている人へ。かつては快速「海峡」で楽々渡れた津軽海峡が壁として立ちはだかります。青森→函館を1日で移動できる行程は3本のみ。早朝1本を除き、奥津軽いまべつ駅か木古内駅で長時間の待ち合わせとなります。対応策として(1)青森に前泊して早朝に移動する、(2)北海道&東日本パスを活用する、(3)新幹線を利用する、(4)フェリーを利用する、などが挙げられますのでご参考ください。
本記事中の時刻は2022年8月現在のダイヤで示しています。
津軽海峡のいま
「18キッパー」最大級の壁
青森と函館の間に立ちはだかる津軽海峡は、古くから移動の壁として知られていて、古くはフェリーのみが移動手段でした。
青函トンネルが開通すると、快速「海峡」で結ばれて便利になりました。快速ですので青春18きっぷでも利用可能。多くの旅行者が利用していました。
しかし、快速「海峡」の廃止を経て北海道新幹線が通る頃になると状況が一変。一般利用者には便利になったわけですが、青春18きっぷ利用者にとっては地獄と化します。
青春18きっぷは「普通列車専用の乗車券」であり、普通列車が不在となった津軽海峡が壁となって立ちふさがってしまいます。さらに、無事に渡れた先でも第三セクター線が行く手を阻みます。
青春18きっぷだけで渡るのは不可能になったのです。
救済処置
しかし、津軽海峡を越えるための救済処置が用意されました。
別途2,490円を支払って「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」を併用すれば壁を越えることはできます。
併用により乗車できるようになるのは
- 奥津軽いまべつ駅ー木古内間の北海道新幹線
- 木古内ー五稜郭間の第三セクター線(道南いさりび鉄道)
です。無事に函館まで到達できるようになるのです。
ただし…喜ぶのはまだ早いです。
救済処置の現状
北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」は津軽線「津軽二股駅」とつながっており、一部列車では「想定されるニーズに合わせた」ある程度の接続が取れています。
ここで気をつけたいのは「想定されるニーズに合わせた接続」という点。
JRが設計しているのは「東京方面から新幹線でやってきて津軽線に乗り継ぐ人に合わせた接続」であって、下りの新幹線が到着する数分後に津軽線の三厩方面行き列車が到着するダイヤになっています。
逆にそれは、「青春18きっぷで北海道に渡ろうとする想定する必要のないニーズ」に対しては地獄のダイヤであることを表しています。津軽線が到着する数分前に新幹線が行ってしまう。そして奥津軽いまべつ駅に停車する新幹線は1日7本で、多くは朝夕に集中しているため、場合によっては数時間の待ち時間が発生します。
そしてやっときた新幹線に乗れたとしても、木古内で降りて、在来線に乗り換えなければなりません。
かつては快速「海峡」ですぐに渡れた津軽海峡は、救済処置があったとしても半日~一日がかりの険しい峠と化したのです。
もはや青春18きっぷで渡るのはナンセンス。時刻表とにらめっこしながら、発想を変えてみましょう。
青春18きっぷを使った津軽海峡の時刻表
青森駅から函館駅まで、青春18きっぷ+オプション券で利用できるダイヤを記載してみました。なお、青森駅を基準として記載しておりますが、夜間の津軽線、北海道新幹線、道南いさりび鉄道の一部列車は省略しています。
こちらを見れば、渡るダイヤは3本しかなく、No.2は奥津軽いまべつ駅で、No.3は木古内駅で長時間の待ち時間が生じることが分かると思います。
駅 | No.1 | No.2 | No.3 | ||||
青森駅発 | 0616 | 0814 | 1101 | 1323 | 1531 | 1642 | 1813 |
蟹田駅着 | 0658 | 0850 | 1138 | 1404 | 1608 | 1719 | 1852 |
蟹田駅発 | 0707 | ・・ | 1144 | 1405 | 1612 | ・・ | 1912 |
津軽二股駅着 | 0729 | ・・ | 1206 | 1427 | 1634 | ・・ | 1934 |
奥津軽いまべつ駅発 | 0812 | ・・ | 1415 | ・・ | 1701 | ・・ | 2058 |
木古内着 | 0846 | ・・ | 1449 | ・・ | 1735 | ・・ | 2132 |
木古内発 | 0913 | ・・ | 1519 | ・・ | 1915 | ・・ | ・・ |
函館着 | 1013 | ・・ | 1622 | ・・ | 2016 | ・・ | ・・ |
まず、どうしても青春18きっぷを使って越えたいというのであれば、青森に前泊して早朝出発(No.1)が唯一の正解ルートかもしれません。それでも奥津軽いまべつ駅で40分以上、木古内駅でも30分近くの待ち時間が生じますが、他と比べたら序の口です。
そのうえで別案を考えていきます。
別案のご提案
今こそ、発想を変えて渡りましょう。
北海道&東日本パスを使おう
青春18きっぷは全国のJR線で利用できる素晴らしいきっぷです。確かに守備範囲の広さは素晴らしいのですが、東日本にはもう一つ強力なきっぷがあります。
それが「北海道&東日本パス」です。
普通列車のみの利用となる点は青春18きっぷと同じですが、JR東日本とJR北海道と一部他社線しか利用できず、かつ連続7日間の利用となりますが、1日当たりの金額は1619円で利用できる安価なきっぷです。
このきっぷは、「IGRいわて銀河鉄道」「青い森鉄道」の全線が利用できるうえ、「新青森ー新函館北斗間の特定特急券を別途購入すれば普通車の空席を利用できる」という優れもの。
特定特急券は4000円ほどかかりますが、難所をすんなり越えることができるのでおすすめできます。
北海道新幹線を利用しよう
コロナ禍で苦しむ新幹線は、「えきねっとトクだ値スペシャル(乗車券付き)」というきっぷを発売することがあります。いわゆる「半額新幹線」またはそれに準じる格安のきっぷです。
この「半額新幹線など」は区間が限られていますが、新青森ー新函館北斗間も設定されていることが多いです。
どうせオプション券を買わなければならないのなら、そして、どうせ一日がかりになってしまうのなら、その日は青春18きっぷを消化せずに「半額新幹線など」でさくっと函館入りしませんか?
仮に「半額新幹線」であれば、青森ー函館間でコストのみを単純に比較すると、なんと、素直に新幹線を使ったほうが安くなってしまいます。
青春18きっぷを消費して津軽海峡を渡る場合
用意するもの | 金額 |
---|---|
青春18きっぷ1回分 | 2,410円 |
青春18きっぷオプション券 | 2,490円 |
合計 | 4,900円 |
えきねっとトクだ値スペシャルで津軽海峡を渡る場合
用意するもの | 金額 |
---|---|
青森ー新青森間運賃 | 190円 |
新青森ー新函館北斗間 「えきねっとトクだ値スペシャル」 | 3,750円 |
新函館北斗ー函館間運賃 | 440円 |
合計 | 4,380円 |
ここでは「青春18きっぷ+オプション券」と「青春18きっぷを完全に利用しない新幹線移動」と比較していますが、見方を変えれば、青春18きっぷオプション券に1,260円追加すれば全区間で新幹線を利用できる、とも捉えることが出来ます。
よって、「半額新幹線」が設定されている期間であれば青春18きっぷを使用してはいけない、ということになりますね。
なお、新幹線に半額で乗るための「えきねっとトクだ値スペシャル」は、乗車日の20日前の午前1時40分が予約期限です。早めに計画した人のみが、この恩恵を受けることができます。また、きっぷを受け取ったあとのキャンセルには50%の取消料がかかりますので、乗車直前まで受け取りしないことをおすすめします。なお、受け取り前であれば出発時刻4分前まで何度でも変更可能で(変更先がトクだ値でなくても大丈夫)、万が一取り消す場合でも安価な取消料で済みます。
フェリーを使おう
前日の青春18きっぷによる移動を青森までにしておいて、青森ー函館間をフェリーにすると、安く快適に移動できます。
フェリーでの移動に関しては3本立てでご紹介していますので、下記ページをご参考ください。
青森駅から津軽海峡フェリーまで
津軽海峡フェリーの様子
津軽海峡フェリーから函館駅まで
なお、青森ー函館間は津軽海峡フェリーだけではなく、青函フェリーも利用できます。津軽海峡フェリーは少々お高めですが観光客にはおススメです。安さでいえば青函フェリーの方がベターです。
まとめ
青春18きっぷを用いた津軽海峡越えに関して考察し、下記の知見を得ました。
- 青春18きっぷ+オプション券で津軽海峡を越えることもできるが、時間がかかる
- 時期によっては「えきねっとトクだ値」を使えば、上記よりも安価に移動できる
- (東北本線ルートも利用できる)北海道&東日本パスを使うと吉
- 津軽海峡フェリーもいいよ
ではまた。
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