2021年6月にリニューアルされたえきねっと。従来は受け取り時決済だった乗車券や自由席特急券も予約時決済に。受け取り前でも払い戻し手数料が発生し、受け取らない場合は自動取消にはならず、全額請求になります。その他、旧えきねっとに馴れた人が陥りやすい注意点がありますので共有します。
新えきねっとの特徴
2021年6月に刷新されたJR東日本の「えきねっと」。デビュー以来の大幅なリニューアルとなり、旧えきねっととは全く別物のサービスであると考えた方がよさそうです。
できるようになったこと
新えきねっとでは、JRE POINTとの連携が強化され、サイトから直接JRE POINTを利用した特急券類の予約が出来るようになりました。
また、えきねっとアプリで出来ることも増えて、予約の変更や払い戻しを含む、かつてのえきねっとアプリでは複雑とされていた操作もアプリ上で出来るようになりました。
また、予約済みの乗車券類を指定席券売機で受け取る場合、QRコードをかざすだけで手続きが出来るようになりました。このQRコードは、遠く離れた人にも送信することができ、別々に発券して乗車したい際にも活用できます。
少し前からQRコードを読み取ることができる指定席券売機が増えてきているなと思っていたのですが、これから大活躍なんですね。
予約時決済とは
新えきねっとの最大の特徴は「予約時決済」であるということ。
これまでのえきねっとでは、サイト上で予約のみを取り扱い、受け取り時に指定席券売機などでクレジットカード決済するのが一般的でした。チケットレスサービスなどの一部商品を除き、予約時に決済されることはありませんでした。
しかし、新しいえきねっとでは予約時に決済されます。これにより、受け取り時の手続きが簡素化された他、QRコードで離れた仲間にきっぷを遠隔でばらまくというダイナミックなこともできるようになったんですね。
乗車券申込について
ここから本題の乗車券にまつわる話です。
乗車券申し込みの必要性
えきねっとには「乗車券申し込み」という機能があります。その名の通り、乗車券のみをえきねっとに登録しておき、駅の指定席券売機で受け取って乗車する、というものです。
Suicaでいいんじゃない?とか、駅に行ったときに買えばいいんじゃない?という意見が聞こえてきます。
大正解です。
でもね、ここでは詳しく話しませんが、JRのきっぷって複雑な事情があり、概ね590円を超える区間を乗車する場合は通しで買うよりも2枚以上に分けて買ったほうが安いケースが多いのです。
区間によっては5枚とかに分割されることもあって、こういうときに指定席券売機で1区間ずつ入力して発券するのは面倒くさいので、えきねっとで登録しておいて指定席券売機でまとめて出すという手法をやると便利なんですね。
予約方法
えきねっとからの乗車券申し込みはPCサイトからのみ対応しています。
検索オプションから「乗車券のみ」を選択すれば、特急を利用しない時間で検索が当たるようになり、適当な時間(後述、重要)を選択して決済すれば、乗車券の申込みが完了します。
受取方法
受け取りの際は、えきねっとのマイページで表示されるQRコードを指定席券売機にかざせば、申し込んだ乗車券が出てきます。
予約時に決済が済んでいるので、指定席券売機で決済手続きをする必要がなく、受け取りは簡便になっています。
乗車券申込に潜む落とし穴
さて、ここからがタイトルに関連した話になるのですが…
新えきねっとのシステムは、旧えきねっとを長年使い込んできた人が陥りやすいワナが潜んでいますので、解説していきますね。
申込件数に上限がある
落とし穴の1つめは、申込件数に上限があること。
新えきねっとでは、同一日の予約件数が一定件数を超えると新規の予約ができなくなります。そのため、乗車券を分割しすぎた結果、特急券の申込みができなくなる、ということも発生します。
この場合は乗車券の予約をえきねっとから登録せずに、指定席券売機から手動で申し込むしかありません。
自動取消にならない
落とし穴の2つめは「自動取消にならない」という点。
旧えきねっとでは、予定が変わって乗車券が不要になった場合、受け取らずにほっとけば自動で取り消しになりました。
しかし、新えきねっとでは申込時に決済が済んでいる関係上、自動で取消にはなりません。
使わなくなった場合は、変更などの操作が必ず必要になります。
払い戻し手数料がかかる
落とし穴の3つめは「払い戻し手数料がかかる」という点。
旧えきねっとではほっとけば取り消しになりましたし、仮に手動で取り消したとしても取消手数料はかかりませんでした。
しかし、新えきねっとでは予約時に決済し、支払いが済んでしまっている関係上、取消操作をすると払い戻し手数料として220円が差し引かれます。
※厳密には全額払い戻されたあとに、220円の払い戻し手数料相当額が決済されます。
予定時間以降は変更できない
最後の落とし穴…先に言っておきますが、これは新えきねっとの欠陥です。
大前提として「乗車券」は乗る列車に関わらず、当日中は有効であり、未使用であれば変更できます。これがJRのきっぷの大原則です。
しかし、新えきねっとでは、システム上の問題で、当日中であってもある時間を過ぎると変更できなくなります。
ある時間とは「当日の仮乗車時間」です。
前でも記したように、新えきねっとでは乗車券のみ申込の場合であっても普通列車の時刻を選んでから予約します。
この普通列車が発車する時刻を「当日の仮乗車時間」としますが、この時間を過ぎるとシステムの仕様上、WEB操作での変更ができなくなります。
しかし、当日であれば有効なのに変更ができないというのはシステムの欠陥です。
これを補うため、当日中にえきねっとサポートセンターに連絡すれば、別の乗車券に変更する手続きを取ってくれるようですが、これがなかなか繋がらないことも。
不便ですね。でも仕方がないです。これは仕様です。
自衛策として、申し込むときの仮列車の時刻をかなり遅く(例えば23時発など)にしておけば安心です。
自由席特急券も注意
ちなみに乗車券同様、自由席特急券も注意が必要です。
これまでの仕様では、受け取らなければ自動取消となっていたものですが、新えきねっとでは何らかのアクションが必要になります。
ほうっておくと全額請求となりますので、注意してください。
乗車券の変更は無制限
ここまで悪いことばかりを書いてきましたが、乗車券の変更は無制限とのこと。JR東日本管内で完結しない乗車券であっても、何度も変更でき、変更をする限りは手数料を取られることはありません。
指定席特急券に設定される「最終変更期限」の概念もないので、半永久的に先延ばしすることができます。
一旦申し込んでしまった乗車券を使わなくなったら、そのタイミングで別の乗車券に変更しましょう。どこかで忘れない限り、半永久的に有効です。
何にも予定がなく、変更先に困っているなら、東京→有楽町(140円)などの安価な乗車券に変更しておきましょう。万が一忘れても被害は140円で済みますので。
乗車券の券面
旧えきねっとの場合
これは旧えきねっと時代に水戸から高輪ゲートウェイに向かう際、分割購入した乗車券のうちの1枚です。
旧えきねっとで予約した乗車券は左下に「えきねっと発券」と表示されますが、あくまで決済を担当するのは「日立駅」。これが、新えきねっとだとちょっと変わります。
新えきねっとの場合
新えきねっとで予約した乗車券は、下記の券面になります。
2枚並べて置いてありますが、上のきっぷが新えきねっと発券で、下のきっぷが指定席券売機での手打ち発券です。
新えきねっとでは予約時に決済まで完了するため、発行場所が「えきねっと10」になります。下に「土浦駅FC1」と表示されますが、これはあくまで発行済みのきっぷを受け取った場所にすぎません。
手打ちで発券すると、発行場所が「土浦駅FC1」になります。
見た目はほとんど変わりませんが、お金の流れが全く異なる2枚です。
まとめ
新えきねっとの乗車券申込みに関しては、以下の点に気をつけてください。
- 新えきねっとでも乗車券のみの予約は可能
- 変更は自由で手数料もかからない
- 予約時決済のため払い戻しに手数料がかかる
- 受け取りを忘れると払い戻されない
- 仮の乗車時間を過ぎるとWEBからの変更ができない
いろいろと難しい新えきねっとですが、便利になった部分もありますので、早く慣れて活用しましょう。
ではまた。