首都圏と成田空港を結ぶアクセス列車の一つである成田エクスプレスは、A特急料金を適用されるため特急料金が高額になります。しかし、チケットレス特急券を購入することで割安にできます。また、JRE POINTを利用したチケットレス特急券であれば最もオトクになるので、積極的に活用しましょう。ただし、期間限定の割引きっぷ「えきねっとチケットレス特急券のトクだ値」が設定される場合は順位が逆転する区間があります。また、子どもを含む場合は慎重に判断を。東京ー成田空港を中心例に解説しました。
成田エクスプレスとは
成田エクスプレスは、東京近郊ー成田空港間を結ぶJR東日本の特急列車です。
首都圏最大規模の国際線需要を抱え、近年ではLCCの活躍も見られる成田空港へのアクセス列車として重宝されています。

基本的には東京駅から空港第2ビル駅までノンストップで結びますが、朝夕の一部便では途中駅にも停車し、千葉方面の着席通勤需要にも答えています。
ライバルは上野・日暮里ー成田空港間を結ぶ京成スカイライナー。
後述しますが成田エクスプレスは高額な特急の部類に入りますので、料金面では京成スカイライナーには太刀打ちできません(のちに否定します)。
また、時間も厳しい。成田エクスプレスは総武線経由で若干遠回りしながら運行されているのに対し、京成スカイライナーはほぼ一直線で、一部区間では在来線最速の160km/h運転されています。
では成田エクスプエレスの強みは?となるわけですが、ずばり
「きめ細かな輸送」
に尽きます。

京成スカイライナーの玄関口は基本的に上野・日暮里だけですが、成田エクスプレスは張り巡らされたJR線の路線網を活かし、東京はもちろん、品川・新宿・池袋・大宮・立川・八王子・武蔵小杉・横浜・大船など、挙げ始めるときりがないほど多くの駅で乗客を拾います。

使い方によっては成田エクスプレスが便利なんですね。
成田エクスプレスは高額です
この記事を書いておきながら、私も成田エクスプレスには片手で数えられるほどしか乗っていません。
とにかく特急料金が高すぎるんですね。
たかが成田空港に行くだけですよ?
便利とはいえ、なんで特急料金に1,730円も払わないといけないの?
同じ金額で東京駅から茨城県の日立市まで行ってもお釣りが来るんですよ?などと思ったりもしますが、なぜ高いのかというのは明確。
成田エクスプレスの特急料金計算には、最高級ランクであるA特急料金が適用されることになっているからなんですね。
成田エクスプレスに最も安く乗る方法
普通に乗ったら高すぎる成田エクスプレスですが、別の手段を投じれば割安に乗ることができます。
その方法をご紹介しますので、ご参考ください。
JRE POINTをお持ちの場合
成田エクスプレスに手っ取り早く安く乗る方法、結論を言ってしまうと、
えきねっとから「JRE POINTを使ったチケットレス特急券」を発券する。
これが縛りの少ない一番オトクな乗り方です。
このポイント交換によるチケットレス特急券は、常磐線・中央線・東海道線などに展開されている全車指定席の特急列車に適用されている割安な料金体系から、さらに値引きして設定されています。

営業キロ | 通常の チケットレス特急券 | JRE POINTの チケットレス特急券 |
0-50キロ | 760円 | 460ポイント |
51-100キロ | 920円 | 720ポイント |
101-150キロ | 1480円 | 1280ポイント |
通常のチケットレス特急券の金額は「成田エクスプレス」とは異なります
ポイントとなるのは、通常の特急料金が割高な成田エクスプレスにもそのまま適用されるということ。
A特急料金である背景なんか「すべて無視」。
元の特急料金体系とは関係なく、あくまで乗車距離に応じたポイントを使うだけ。非常にオトクなJRE POINTの使い方となります。
例えば東京ー成田空港ですと、JRE POINTを利用したチケットレス特急券は720ポイントで発券可能です。
通常は運賃に加えて1730円の特急料金が必要になりますので、どれだけオトクかお分かりいただけると思います。
えきねっとチケットレス特急券を利用する場合
もしJRE POINTをお持ちでない場合は、
えきねっとから「チケットレス特急券」を発券する。
というのがいいかもしれませんが、通常は特急料金から200円引きになるだけなので、JRE POINTを利用する場合とは比べ物にならないほど、オトク度は下がりますが、紙の特急券よりはオトク。東京駅からの例ですと、運賃に加えて1530円が必要です。
ただし、期間限定で「えきねっとトクだ値」が成田エクスプレスに対して適用されることがあります。
この場合は最大で50%引き、通常でも35%引きとなりますので、かなりオトクな水準となります。
通常料金との比較
大人だけで利用する場合
上記の方法で発券する成田エクスプレスの特急料金を、主要駅ごとにまとめてみましたのでご参照ください。
どの駅から乗る場合であっても、通常であれば例外なく「JRE POINTのチケットレス特急券」が最もオトクです。次いで通常のトクだ値(35%引き)が安くなりますが、50%引きのキャンペーンが行われると逆転することがあります(今は設定されていません)。
乗車駅 | 営業キロ | 通常の 特急料金 | 通常の チケットレス | JRE POINTの チケットレス | えきねっと トクだ値(50%) 【現在設定なし】 | えきねっと トクだ値(35%) 【現在設定あり】 |
東京 | 79.2 | 1,730 | 1,530 | 720 | 860 | 1,120 |
横浜 | 108.0 | 2,390 | 2,190 | 1,280 | 1,190 | 1,550 |
武蔵小杉 | 96.0 | 1,730 | 1,530 | 720 | 860 | 1,120 |
新宿 | 86.3 | 1,730 | 1,530 | 720 | 860 | 1,120 |
立川 | 112.6 | 2,390 | 2,190 | 1,280 | 1,190 | 1,550 |
なお、JRE POINTは1ポイント1円以上の価値を生むのが当たり前になっていますので、ここは多少高くても「えきねっとトクだ値」を購入してポイントを温存するのも1つの賢い選択かもしれませんね。
子どもが利用する場合
ここで注意なのは、グループに子どもを含む場合です。子どもの場合、通常料金やえきねっとトクだ値は大人の半額になりますが、JRE POINT利用の特急券にはこどもの設定がありませんので、おとなと同額が必要になります。つまり、子どもに対してJRE POINTを利用するのは確実に損なのです。
下記の表は子どもの場合です。
乗車駅 | 営業キロ | 通常の 特急料金 | 通常の チケットレス | JRE POINTの チケットレス | えきねっと トクだ値(35%) 【現在設定あり】 |
東京 | 79.2 | 860 | 760 | 720 | 550 |
横浜 | 108.0 | 1,240 | 1,140 | 1,280 | 770 |
武蔵小杉 | 96.0 | 860 | 760 | 720 | 550 |
新宿 | 86.3 | 860 | 760 | 720 | 550 |
立川 | 112.6 | 1,240 | 1,140 | 1,280 | 770 |
えきねっとトクだ値(50%)は追記時に設定がなかったため省略しております
子どもがいらっしゃる場合は、えきねっとトクだ値を有効活用していきましょう。
成田エクスプレスの通常の特急料金は繁忙期は高く、閑散期は安くなりますが、えきねっとトクだ値やJRE POINTの必要ポイント数は通年で同額です。
京成スカイライナーよりコスト面で有利に
ここで注目すべきは、JRE POINT用チケットレス特急券やえきねっとトクだ値の躍進で東京ー成田空港間の料金が大幅に下がっているということ。
運賃1,340円と料金720ポイントで乗れるため、実質負担は2,060円相当です。
京成スカイライナーに上野ー成田空港で乗車すると2,520円なので…あっさり勝ってしまった。
これにはびっくり。これまでは考えられない現象が起きています。
そんな状況にスカイライナーも黙ってはいられません。片道2,300円で利用できるバリューチケットプレミアムや、遠く離れた関西の南海電鉄と手を組んだ特得チケットなどのオトクなきっぷで抗戦しています。
バチバチのライバル関係は続いているようで、利用者としてはうれしいですね。
N’EX往復きっぷは廃止
どうしてもえきねっとを使いたくない、という人には「N’EX往復きっぷ」というのがありました。
こちらは「首都圏から」の「乗車券込み」の「往復きっぷ」なので、
- JR線の利用開始駅に成田エクスプレスが停車する
- 帰りも絶対に成田エクスプレスを利用する
- 帰りも絶対に寄り道しない
- 帰りも絶対に京成スカイライナーに浮気しない
こんな方であれば使い勝手が良かったきっぷ。
ただし、購入は前日までで、駅の窓口では発売していませんでした。指定席券売機で購入する必要がありました。かなり縛りのきついきっぷなので私は使いませんでしたが、それでも通常運賃+通常特急料金を支払って往復するよりは安いという点から、根強く愛されていました。
ご参考までに東京駅からの往復で比較した結果を下記します。
項目 | 金額(1往復当たり) |
通常のきっぷで往復 | 6,140円 |
N’EX往復きっぷ | 5,030円 |
乗車券+JRE POINTで往復 | 2,680円+1,440pt (4,120円相当) |
やはりJRE POINT利用には全く太刀打ちできていないことが分かりますが、えきねっとを通さずに買えるのはメリットでした。
ちなみに東京発の発売額が5,030円、というのは、京成スカイライナー(往復5,040円)を思いっきり意識した結果だったんでしょうね。
そんなN’EX往復きっぷも発売を終了しています。チケットレス化が止まりませんね。
まとめ
コロナ後を見据え、成田エクスプレスに最も安く乗車する方法を検証し、以下の知見を得ました。
- 成田エクスプレスはA特急料金が適用されるため高額
- JRE POINTを利用したチケットレス特急券は常磐線・中央線・東海道線を基準に設定
- 上記チケットレス特急券が、成田エクスプレスにも適用
- N’EX往復きっぷよりも低いコストで乗車できる
JR東日本沿線に住んでいる方は、この機会に貯めこんだJRE POINTを使ってみましょう。JRE POINTを使っていない方も、N’EX往復きっぷの情報などをご活用いただければ嬉しいです。
えきねっと
>> こちら
JRE POINT
>> こちら
京成スカイライナー
>> こちら
※JR東日本の回し者ではありませんので、成田エクスプレスの敵にも構わず塩を送ります。日暮里から最速36分の京成スカイライナーも快適性高し。リンクを載せますので、複数の選択肢から賢く選んでくださいね。
ではまた。