伊東と伊豆急下田を結ぶ伊豆急行線にJR東日本から編入された新型車両3000系が走り始めました。伊豆急行線には従来から8000系電車が走っており、両者が並ぶことを「桜木町の再共演」なんて言われたりします。若い人には何のことだかさっぱりわからないと思いますので、この機会に解説しておきます。
かつての桜木町駅
神奈川県横浜市にある桜木町駅は、ランドマークタワーをはじめとする横浜みなとみらい地区の玄関口。今ではロープウェイも開業していますね。
桜木町駅の地上路線は「JR根岸線」のみですが、かつては「東急東横線」も乗り入れていた過去があります。
東急線とJR線のホームは真横に並行に並び、横浜ー桜木町間はまるで「複々線」かのように並んで走っていたのです。
2004年にみなとみらい線(横浜ー元町中華街)が開業すると、東急東横線の横浜駅ホームは地下化され、東急東横線の横浜ー桜木町間は廃止となりました。
今でも、JR線に乗車して同区間の車窓を眺めると、東急東横線高島町駅などの遺構を見ることができます。
…という前置きまでお伝えしました。唐突ですがここから先は伊豆急行の話に入りますね。
8000系の生い立ち
伊豆急行線で走っている8000系電車は、かつては東急東横線で活躍した通勤車両です。

写真の8001編成もかつては東急線で活躍。渋谷駅ー桜木町駅を走り回っていた車両です。
東急線時代も8000系だったのですが、当時は8012Fという番号が振られていたようで、必ずしも今の番号が一致しないのが難しいところ。深読みせずに、とりあえず東横線を走っていたということだけは頭に入れておきましょう。
東急8000系の一部は、みなとみらい線開業後に元町中華街駅まで取り入れる都会っ子でしたが、今は熱海ー伊豆急下田間のローカル需要に応えています。
3000系の生い立ち
一方、新しく伊豆急行に編入された3000系電車は元JR東日本の車両です。209系という車両。

千葉県の房総方面でよく見る車両だと思いますが、実はこれ、さらに時代をさかのぼるとJR京浜東北・根岸線で活躍していた車両なんです。
大宮駅ー大船駅を走り回っていた車両です。

価格半分・重量半分・寿命半分をコンセプトにした209系電車は、使い捨て電車「走るんです」という異名を持ちますが、なんだかんだで長生きしています。これからは熱海ー伊豆急下田間で活躍を続けてくれることでしょう。
伊豆急行での外見はこんな感じだそうです。こちらの写真は伊豆急行の公式HPから拝借しています。

ハワイをイメージした車両には、伊豆にまつわるキャラクターが配置されているそうです。乗ってみたいですね。
伊豆急行の舞台で再会
前述のように、東急東横線とJR根岸線は、2004年までは横浜-桜木町間で並走していました。
2004年当時は、東急東横線では8000系電車が、JR根岸線では209系電車が活躍していたので、頻繁に顔合わせをしていたのです。
みなとみらい線の開業に伴う東急東横線の当該区間廃止により、8000系電車と209系電車が並走することはなくなってしまいましたが、両者ともに紆余曲折ありながら、伊豆急行で再会することになりました。
これが「桜木町の再共演」と言われている所以です。

横浜みなとみらいでの遠い記憶が、伊豆の海で蘇ります。
ただ…なぜ209系電車が伊豆急行に向かったのかを考え始めると少し悲しい気持ちになるかもしれません。
伊豆急行では、老朽化した8000系電車の廃車を計画していて、置き換えのために209系電車を調達しているのです。皮肉なことではありますが、再共演はわずかな期間になると思われます。
伊豆急行に関する補足事項
伊豆急行は伊東ー伊豆急下田間を結ぶ路線です。JR線とは異なりますので、JR線で有効な乗車券とは別に伊豆急行線の運賃が必要となります。
上記の記載の中で、運行区間を「熱海ー伊豆急下田」と書いているのは、同車両がJR伊東線(熱海ー伊東)に直通運転しているためです。
普通列車については伊豆急行側からの片乗り入れになっていますが、JR側からは特急「踊り子」の全列車が乗り入れています。

全席グリーン車で話題を呼んだ「サフィール踊り子」も伊豆急行線に乗り入れる車両です。
特急列車が魅力的なだけに影が薄くなりがちな普通列車ですが、たまには昔に思いを馳せながら普通列車の旅に出るのも楽しいかもしれません。
まとめ
「桜木町の再共演」の意味について、以下の知見を得ました。
- かつて東急東横線とJR根岸線は並走していた
- 東急東横線には8000系電車が走っていた
- JR根岸線には209系電車が走っていた
- 2004年のみなとみらい線開業に伴い両者は離れ離れになった
- 2022年に伊豆急行で再会を果たした
伊豆急行
>> こちら
3000系電車の運行計画も公開されているようです。
ではまた。