私の撮る交通機関の多くの写真には、車両前面が映り込んでおりません。撮ろうと思えば撮れますが、多くの場合、あえて撮らないようにしています。写真を撮られる乗務員の気持ちを考えると撮らないほうがよい場面が多いためです。
※撮り鉄の在り方を否定するつもりはなく、あくまで私見です。
ニュースがありました
2021年1月23日、JR八高線の某列車において、ホームから車両の撮影をしていた人に対して、車掌さんが中指を立ててしまうというトラブルがありました。
この件では、撮影者は他の方の迷惑となったり、列車の運行を妨害するなどの危険な行為はなかったといいます。
車掌の方も、ついカッとなってしまったとのことですが、本件はこれ以上取り上げることなく、とりあえず一件落着ということでいいかと私は思います。
ただ、この件、どっちの気持ちもわかるんですよね。
共感していただけるかどうかは別として、題目に書いた私の考えを記してみたいと思います。
論点は肖像権だけ?
肖像権。実際にネットのコメントなどを見るとこの点にフォーカスした意見が多く存在します。
ざっくり人の写真を勝手に撮ってはいけないというものですが、この権利は非常に難しく、社会通念上許される程度の映り込みなら許容されます。
では、肖像権をクリアしているならどんな写真も撮っていいのか。
私はそこが引っ掛かるんですよね。
職場での写真撮影
職場で写真撮影されることもあると思います。
例えば企業見学のときや発表会など。理系であれば、日々の安全活動などでも作業中の風景を写真や動画に撮ることがあります。
でも、そういう時は被撮影者が撮られることをわかっています。だから、例え事前の承諾がなかったとしても、動揺したり、カッとなったりすることは滅多にない。
一方、通常勤務時に突然写真を撮られたらどうでしょうか。例えそれが映り込みであったとしても嫌な気分になりますよね。
少なくとも私は嫌になります。
撮る写真と撮らない写真
交通機関を動かしているのも人間です。だからこそ、人間として当たり前のように持っている感情に向き合う必要があると考えています。
その結果、おそらく一般的な撮り鉄さんに比べて、私はやや厳しい基準(といっても厳密ではないですが)を設けています。
撮る写真
鉄道車両
走行するのが珍しい臨時列車は、乗務員の方も写真撮影されることを見込んでいると想定されるため、前面を含めて撮影しています。
また、新幹線や特急列車などの場合は、可能な限り乗務員の方が映り込まないように配慮した上で撮影しています。
なお、いずれの場合であっても、映り込んだ全ての人の顔が分からないよう、ぼかしの加工をいれています。車両とぼかしが被ることもありますが、個人の保護を優先します。
バス車両
観光バスや、観光路線の場合は撮影します。
一般路線バスの場合、休憩中の車両で、運転席に運転士の方がいない場合は撮影しています。
運転士の方がいる場合や走行中の車両の場合は、かなり遠い位置から、あくまでも風景がメインになるように撮影することがあります。
私は、バスの運転の特性上、鉄道以上に配慮した撮影を心がけています。
飛行機
他の乗り物に比べて日常的に写真撮影される方が極めて多いことから、乗務員の方も撮影されることを見込んでいるものと考え、基本的には撮影させていただいております。
なお、搭乗口などでの撮影はなるべくグランドスタッフの方が気にならないように配慮しながら撮影しております。
当然、個人の顔が判別できないように加工しております。
撮らない写真
定期運行している鉄道車両、バス車両などのうち、撮影されることを見込んでいないと思われる大部分の場面では、運転士さんが映り込む前面からの撮影は控えています。
そのため、私の撮影する乗り物の写真は、前面からのアングルがかなり少なくなっております。
具体例
バスの写真を遠目から風景のように撮っています。なお、観光路線の場合は正面から撮らせてもらうこともあります。
臨時列車の場合は正面から撮らせてもらっています。個人の顔が判別できない状態であれば、そのまま掲載いたします。
定期の普通列車の場合は、前面から撮らず、側面写真で我慢することも。
八高線の件では
2021年冬、八高線直通のE233系の代走として209系が走行したとのこと。
この内容であれば
- 珍しい運用であること
- 車両の引退が近いこと
などを理由に、臨時列車的な対応をしたと思います。つまり、私なら撮ったと言うことです。しかも、後方からの撮影であればなおさら撮っていたかと。
もしかしたら私も中指立てられたかもしれません。
ただ、それをいちいちネットに上げる行為はしませんでしたね。むしろ、なぜ中指を立てられてしまったのか、自身の行動を見直すきっかけにすべきでしょう。もちろん、見直した結果、自分は悪くなかったということもあるかと思いますが。
気にしすぎでは?
これらの内容について、気にしすぎとか、自意識過剰と仰られるご意見もあります。一方、そもそも写真を撮るなという意見もあると思います。
そのようなご意見に対して反論するつもりは全くありません。あくまで私はこのような考えのもとで写真撮影をしている、というだけです。
実際に乗務される方においても、気にしない人も多いと思いますが、気にされる人もいる。
カッとなって中指をたててしまった今回の車掌さん。行為は反省すべきですが、写真や動画を撮る側としても、相手の気持ちに寄り添うことは必要です。