新潟県内を中心に日本酒を楽しめる観光列車「越乃Shu*Kura」が走っています。快速列車なので指定席券をプラスすれば3号車には誰でも乗れますが、お酒が飲めない人やお子さまは楽しめるのか?単なる移動手段としては優秀なのか?ノンアル家族が乗車してみましたので、車内の様子やおすすめ座席とともにレポートします。結論、鉄道が好きなら楽しめますが、移動手段としては△。子どもは暇かもしれません。
Shu*Kuraとは
観光列車の一つです
Shu*Kuraは、新潟県内を中心に運行されている観光列車の一つです。
酒処の新潟県が誇る日本酒を楽しむコンセプトの列車です。

新潟県の西部「上越妙高」を起点とし、十日町や越後湯沢、新潟までを運行しています。
十日町発着は「越乃Shu*Kura」、越後湯沢発着は「ゆざわShu*Kura」、新潟発着は「柳都Shu*Kura」と、それぞれ別の列車名が付けられています。
運行日は週末を中心に設定されています。
3両とも別々の内装です
3両編成ですが、すべての車両が異なる役目を果たしています。
- 1号車:旅行商品専用座席(食事を楽しめます)
- 2号車:フリースペース(売店があります)
- 3号車:普通車指定席(乗車券+指定席券で利用できます)
私が利用したのは3号車ですので、同車両の紹介が中心になります。
3号車(普通車指定席)のようす
JRのきっぷを購入して乗る場合は3号車の利用となります。
3号車の車内はこんな感じ。

幅が広めのリクライニングシートが並んでいます。

お酒を楽しむ列車だけあって、和テイストな座席に仕上がっていますね。
シートピッチが広すぎるため、一般的な新幹線や特急列車のような座席背面のテーブルに加え、ひじ掛け収納型のテーブルもあり、全席ダブルテーブル席となっております。

海側はD席
Shu*Kuraは横4列で、A-B-(通路)-C-Dとなっています。
日本海を望む席に座りたいと思う人が多いと思います。そういう人はD席を選ぶといいでしょう。
Shu*Kuraの行先によらず、必ずD席が日本海側となりますので、どうしても海側がいいという人は狙ってみましょう。
全席指定なので決められた席を利用するのが原則となりますが、車両端部に設置されたソファ(8人分)は、自由に利用してOKです。

お目当ての景色が座席と反対側の場合は、こちらを一時的に利用するのもアリですね。
前面展望は間接的に楽しめます
展望席はありませんが、のぞき込むことは可能です。
ソファ席の間から運転席越しに見ることができます。
古い車両を改造して観光列車に
少しマニアックな話になりますが、優しく書くのでついてきてください。
Shu*Kuraは、国鉄時代から走る古い気動車(キハ40やキハ48)を改造して作られています。
キハ40というと、こんな感じの車両です。

Shu*Kuraの3両のうち、例えば3号車はキハ40-552という車番がついていて、調べてみると1987年に作られた車両であることが分かります。
かなり古くて乗り心地の悪い車両なのかと思いきや…古いのは足回りだけで、車内は全面的にリニューアルされていますので、車両が古いことに気づかない人もいます。

キハ40がどれだけボロい車両(失礼)なのかというのを知っている人であれば、上の写真におけるLED案内表示とキハ40-552の共演が違和感でしかないのです。
フリースペースのようす
Shu*Kuraの車内では、2号車で催される盛りだくさんのイベントが最大の楽しみ…なのですが、コロナ禍ですべて中止になっています。

本来であれば、木樽を囲んで仲間と談笑できる楽しい空間なのですが、そんなの3密どころの騒ぎではなく「ここでは飲むな」と張り紙がされていました。
カウンター側では飲食ができますが、場所が限られますよね。
そんな中ではありますが、併設されている売店はフル稼働です。

お弁当が買えたり買えなかったりします。
後述しますが、ドリンクやデザートもありますよ。
アルコールが飲めない人の楽しみ方
2号車でいただく(メニューあり)
日本酒を嗜む列車ではあるのですが、アルコールが飲めない人でもそこそこ楽しめます。
ノンアルコールなメニューを買って、カウンターや自席で楽しみましょう。

アルコールが飲めない人が楽しめるドリンク
・雪室珈琲:320円
・雪国緑茶:180円
・雪国紅茶:190円
・雪下人参ジュース:240円
・レルヒさんサイダー:330円
・雪男サイダー:290円
・魚沼の水:130円
お食事・デザート
・鯛茶漬け:550円
・雪国ドーナツセット(コーヒー付き):480円
・雪室ジェラート:330円
私のおすすめは、コーヒーとドーナツのセット(480円)。ドーナツはコーヒー味です。

同じくお酒が飲めない子どもを連れて買いに行きました。すると案の定…

手が伸びてきました。ドーナツの感想を言いたかったのですが、味は分からず。

2号車は広々としています。特に終点が近くなってくると誰もいなくなりますので、子連れでも多少は賑やかに過ごせそうです。
スタンプを押す機械も置いてありますので、人がいなければ飽きるまで押しましょう。あっ、備え付けの用紙は常識的に考えて1枚/人までですけどね。

3号車でくつろぐ
客席が並ぶ3号車では…

見逃せないのがソファ席ですね。

ぜひ座ってみてください。ロングシートってこんなに景色よかったっけ!?という感覚になりますよ。
途中駅で楽しむ
この列車は、直江津ー長岡間で信越本線を走行します。
その途中にある海に近い駅「青海川」に長時間停車してくれます。

景色を存分に楽しみましょう。

…と、見どころを絞り出してみましたが…
…楽しめそうでしょうか?
快速(通勤列車)より遅い快速Shu*Kura
単なる移動手段としてはどうなのか!?という視点でも考えておきましょう。
JRには快速という種別がありますが、みなさんはどういう印象を持ちますか?
「普通列車よりも速い」と思っている人は、ちょっと改めた方がいいです。
実は、快速というのは「停車駅を絞っています」という意味合いが強く、特に観光列車においては、普通列車よりも遅い「快速」が山ほどあります。
Shu*Kuraの場合、普通列車に抜かれることこそありませんが、普通乗車券のみで乗れる快速(通勤列車)には抜かれるダイヤになっています。
- 快速(通勤列車) 長岡1629→直江津1732
- 快速Shu*Kura 長岡1613→直江津1802
途中の柏崎で抜かれていきます。
もちろんこのダイヤには意味があって、この先の観光地「青海川駅」での長時間停車を実現するために必要なものです。青海川駅には待避線がなく、本線をふさぐことになりますので、速い列車にはここで抜いてもらう必要があるのですね。

速さを求めて快速Shu*Kuraを選ぶのは賢くありません。
楽しむつもりで選択しましょう。
子どもにとっては退屈な時間!?
さて、楽しまなければ意味がない列車という結論ですが…
お子さまは楽しめるのかという視点でお伝えしますと…
ポケモントレインや風っこ、リゾートビューふるさとなどとは異なり、この列車には子どもが楽しめそうな特徴的な設備はありません。
子どもにとっては単調で、お世辞にもあまり楽しくない時間が続くことになると思われます。
もちろん海が見えたり、山が見えたり、川が見えたり…景色の変化を楽しめるお年頃であればいいのですが、小さいお子さまだと、それよりも遊べるもの、おいしいもの、騒げる空間…
こうなってしまうと、Shu*Kuraは楽しくないと思われても仕方がないでしょう。
事実、新潟と長野を巡る旅行の帰りに楽しかったことを会話してみた際、「土合駅」や「リゾートビューふるさと」「上諏訪の足湯」「特急あずさ」「越後湯沢の巨大おにぎり」などが一斉に上がる中で、Shu*Kuraは一切登場しませんでした。残念ですが、これが子どもにとっての正直な感想なのだと思います。
我が子よ、お父さんが間違えた。
ごめんね。
上越妙高到着後は無理をしない
楽しめそうなお子さまをお連れで乗車される場合でも、下車後はゆっくりしたほうがいいでしょう。
Shu*Kuraにとっての復路(上越妙高行き)の終着時刻は18時40分前後になることが多いです。
この時間に上越妙高駅について、さらに先に進もうとすると、えちごトキめき鉄道との接続もあまりいいとは言えず、意外と苦戦することになります。新幹線で上京しちゃうのももったいないですよね。
ここは上越妙高駅周辺に宿泊してしまうのが吉。
上越妙高駅周辺は北陸新幹線が開業して以来、開発が進んでいて、アパホテルや東横イン、スーパーホテルが立ち並んでいます。
お酒を飲んだ人はもちろん、飲んでいないお子様連れの方も、その日は上越妙高で休むのがいいでしょう。
詳しくは下記の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
まとめ
お酒の飲めない家族が「Shu*Kura」に乗車し、以下の知見を得ました。
- お酒が飲めるのが最大の特徴
- 広い座席でゆっくり過ごせる
- 海側はD席
- 青海川駅で景観を楽しむ停車時間がある
- 上越妙高行きの場合は終着後に宿泊が吉
- アルコールが飲めない人向けのメニューもある
- 子どもはとてつもなく暇になる
ではまた。