川崎駅が横浜市内の駅として扱われる理由

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鉄道
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距離の長いJR線のきっぷを購入すると「東京都区内」「大阪市内」などのエリア発着の乗車券が発売されることがあり、同エリア内のどの駅を利用しても運賃は同一です。「横浜市内」発着の乗車券では川崎駅もエリアに含まれます。横浜市内の駅として川崎市内の一部駅が含まれている事情を解説するとともに、川崎(横浜市内)と蒲田(東京都区内)にまつわるオトクな乗車券の買い方をご紹介します。

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特定の都区市内駅を発着する場合の特例

鉄道を利用する際に必ずお支払いするのが運賃で、運賃を支払った証明になるのが乗車券です。

原則として発駅から着駅までの距離などに応じて乗車券の金額が決まりますが、JR線の乗車券にはちょっと特殊なルールがあります。

それが「特定の都区市内駅を発着する場合の特例」で、ざっくりいうと「大都市圏発着の長い乗車券を使うときは、複数駅をひとまとめにして運賃計算します」というもの。

例えば東京から大阪までの乗車券を購入すると、「東京都区内→大阪市内」の乗車券が発券され、運賃は中心駅である東京と大阪を基準に計算されます。

この乗車券を利用開始する駅は、東京のほか神田でも秋葉原でも飯田橋でも錦糸町でも赤羽でも蒲田でも葛西臨海公園でもいいんです。降りる駅も、大阪のほか新大阪でも天王寺でもユニバーサルシティでもいいんですね。

この「特定の都区市内駅を発着する場合の特例」は、営業キロが201キロ以上の乗車券で適用されます。なお「東京山手線内」に限り101キロ以上の乗車券で適用されます。

横浜市内の駅

このような大都市圏エリアには複数あり、今回は横浜市内の駅に焦点を当てます。

横浜市内の駅として定義されるエリアは下記のとおりです。JR東日本のサイトを参考に記載しています。

出典:JR東日本

横浜市内のエリアもなかなか広いですね。長津田や羽沢横浜国大もエリアに含まれています。川崎からも乗れるんですね。

…!?

なぜ川崎駅が?川崎市じゃないの?

はぁ!?横浜調子乗ってんの?

って怒っている川崎市民の皆さん、落ち着いて聞いてください。

ぜんぶ、この子のせいなんです▼

川崎駅は横浜市内の駅です

横浜市内の駅に川崎市の一部駅が含まれる理由

なぜ川崎市内の一部の駅が横浜市内の駅として扱われているか、その理由は「矢向駅が横浜市に属するから」「矢向駅に到達するには川崎駅を経由する必要があるから」が正解とされています。

矢向駅はJR南武線の途中駅ですが、同駅の住所は横浜市になります。駅前には横浜市営バスの停留所も設置されていますよ。ちなみに横浜市営バスは越境して川崎駅にも乗り入れています。

この辺りは市境が入り組んでいて、市境と生活圏が一致しないんですね。

下の写真は矢向駅の留置線を撮影したものですが、このE233系も横浜市と川崎市にまたがって停車しています。ホームも立川寄りは川崎市、川崎寄りは横浜市になっています…ってう~ん、何が何だか説明してて混乱する。

矢向駅の留置線ではE233系が市境をまたがって停車

巻き込まれた「川崎駅と尻手駅」

横浜駅から矢向駅にたどり着く最短ルートは、横浜→川崎→矢向となります。同じ横浜市内であっても、一回川崎市内にはみ出さないとたどり着くことができません。

そのため、途中の経由駅となる「川崎」と「尻手」も横浜市内の駅のエリアに組み込まれたと言われています。

勢いでひとまとめに!?「鶴見線と南武支線」

横浜と川崎の両市にまたがる工業地帯を走る鶴見線と南武支線の各駅も全駅が横浜市内の駅として組み込まれています。

これは南武支線の発着駅である尻手が横浜市内の駅として扱われている上、鶴見線は無人駅が多く、鶴見駅での中間改札で事実上一括管理している点1)なども加味されていると考えられます。

1)鶴見駅の中間改札は廃止になっています。かつては鶴見線ホームと京浜東北線のコンコースの間に中間改札があり、鶴見駅時点で有効な乗車券を所持しているのかチェックがありました。

浜川崎駅も簡易改札機のみ設置の無人駅です

複数の事情から川崎市内の一部駅も横浜市内のエリアに組み込まれているんですね。

横浜市内の乗車券で川崎利用可能

前述のように、横浜市内発着の乗車券として発券されるためには営業キロが201キロ以上である必要があります。その前提で下記の話を進めます。

オトクになる例

川崎駅が横浜市内の駅として取り扱われることで、西に向かう場合は川崎→横浜間が運賃計算に含まれないためオトクになることが多いです。

例えば川崎駅から大阪駅までの乗車券を買うと「横浜市内→大阪市内」で発券されます。川崎駅から乗車する場合であっても、運賃は横浜駅を基準として計算されます。

ちょっとした裏技ですが、蒲田などの東京都区内の西の駅から乗車する場合は川崎で区切るといいことがあります。これは蒲田が東京駅を基準に計算されるのに対して、川崎が横浜駅を起点に計算されるため、1区間の違いで東京ー横浜間に相当する営業キロ【28.8km】分の違いが出るのです。

例えば蒲田から大阪に向かう場合、蒲田(東京都区内)→大阪市内と買うよりも、蒲田→川崎+川崎(横浜市内)→大阪市内と買った方がオトクになります。

乗車券運賃
蒲田(東京都区内)→大阪市内8,910円
蒲田→川崎 +
川崎(横浜市内)→大阪市内
160円
8,580円
(合計8,740円)

損する例

逆に、川崎駅からに向かう場合は、横浜ー川崎間に乗車していないにもかかわらず、問答無用で横浜からの運賃で計算されるため損となります。

この場合も、川崎→蒲田+蒲田(東京都区内)→目的地と分けて購入することで安くなるケースが多いので確認してみてください。

川崎→仙台の例では、390円も変わりますよ。差額で新幹線に乗る前にペットボトルとお菓子を買えますね。

乗車券運賃
川崎(横浜市内)→仙台市内6,600円
川崎→蒲田 +
蒲田(東京都区内)→仙台市内
160円
6,050円
(合計6,210円)

新川崎は横浜市内の駅ではない

難しいです。
鉄道に詳しくない方はこの項目を読み飛ばしてください。

面白いのは、横須賀線の武蔵小杉駅や新川崎駅は横浜市内の駅には指定されていないという点ですね。

横浜市内の駅として指定されている羽沢横浜国大に向かうには武蔵小杉駅を使わなければならないのに、なぜなんでしょうか?

この理由を厳密に説明すると非常に複雑になりますが、ざっくりいうと

  • 羽沢横浜国大の隣駅は鶴見(横浜市内)
  • 鶴見・新川崎は全列車通過
  • 羽沢横浜国大から鶴見に向かう場合は区間外乗車の特例あり

そのため、横浜発着の乗車券で羽沢横浜国大駅を利用する場合に、エリア外である武蔵小杉や新川崎方面に一度はみ出すことは問題なく、両駅を横浜市内の駅に組み入れる必要はない、という結論に至ります。

ちなみに、規則を読む限り、羽沢横浜国大駅から横浜市内(から西方面行き)の乗車券を利用する場合は、武蔵小杉駅到着後に改札を出ることなく横須賀線で横浜駅に向かわないといけません。南武線で川崎方面に向かってしまうと不正乗車になるようです。

まぁ、悪用しない限りは誤乗扱いで許されると思いますが…

一応規則ではそういうことになっているそうです。

まとめ

201キロ以上の乗車券を発券するにあたり、川崎駅は横浜市内の駅として取り扱われます。

  • 矢向駅が横浜市であるため、通り道の川崎駅も横浜市内の駅に
  • 鶴見線と南武支線も全駅横浜市内の駅
  • 西に向かう場合は横浜基準の運賃計算となりオトク
  • 東に向かう場合は横浜基準の運賃計算となり損
  • 羽沢横浜国大から使用する場合の厳密なルールは素人には理解できない

詳細を知りたい人は下記にJR東日本のリンクを貼っておきますのでご参考です。

特定の都区市内駅を発着する場合の特例について
>> こちら

羽沢横浜国大駅にまつわる複雑なルールについて
>> こちら (初心者には難しいルールです)

ではまた。

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