普通乗車券で東海道本線を乗り継ぐ際に、普通列車だけでは飽きてしまうあなたへ。せっかく普通乗車券を使っているのなら「新幹線」や「在来線の特急列車」もうまく使って駆け抜けましょう。新幹線なら「三島ー静岡」「静岡ー浜松」「豊橋ー名古屋」がオトク。在来線なら「富士ー静岡」の在来線特急券と「静岡ー浜松」の新幹線特急券を同時に購入して乗継割引を適用しよう。「東京ー熱海・三島」も見逃せませんよ。区間ごとに詳しく説明しますので、その時の気分で選択肢を広げられるよう、旅のヒントにご活用ください。
東海道本線の乗り継ぎ
東海道本線は東京ー神戸間の590kmを結ぶ、JR東日本~JR東海~JR西日本に及ぶ長大な路線です。
東京・横浜・静岡・名古屋・京都・大阪・神戸を抱える大動脈。
1964年に東海道新幹線が開業すると、都市間を移動する人の流れは新幹線に譲りましたが、しばらくの間は数多くの寝台特急や夜行快速列車が運行。今でも貨物は東海道本線を利用しています。
新幹線では実現できない、在来線ならではの輸送を担う重要路線です。
そんな東海道本線は、都市間を移動する格安旅行にも活躍。
特に青春18きっぷを利用できる期間は、東海道本線を走る普通列車が大混雑します。
静岡区間はつらい!?
東京ー大阪間を在来線のみで移動しようとする旅行者にとって鬼門となるのが「東海道線の静岡区間」です。静岡区間の明確な定義はありませんが、概ね熱海ー沼津ー富士ー静岡ー浜松ー豊橋あたりを指すことが多いです。
つらいと言われるのには理由があります。いくつか列挙すると
- 快速がない
- グリーン車もない
- ロングシートが多い
- 景色が単調
- 車両も単調
- どこを走っているのかわからない
- どこまで行っても静岡県
などが挙げられます。一言でいうと「退屈」なのです。
ヨーロッパ方面への旅行で味わう「ロシアのでかさ」に通じるものがあります。
そんな退屈な東海道線静岡区間の移動に少しの出費でスパイスを加えよう、というのがこの記事の趣旨になります。
なお、この記事では静岡区間のほかに東京ー熱海間のJR東日本管内の話題にも触れておりますので、静岡区間に備えたい下り方面の人(または静岡区間で朽ち果てた上り方面の人)はご参考ください。
【新幹線】おトクな特急券があります
つらい…なんて言いながら旅行するのはもったいない。
普通乗車券を使って東海道線を移動している人へ、おトクな新幹線特急券のご案内をいたします。
ご予算や気分に合わせてご活用ください。
三島ー静岡間
まずは三島と静岡の間。
ここは東海道新幹線の2区間分をおトクに乗車できる区間として知られています。
三島ー静岡間の新幹線自由席特急券は特定料金の990円。わずか1000円弱の課金でワープできます。
通常1時間かかるところですが、三島・静岡の両駅に停車する「ひかり」を拾えば15分で到達できますよ。
なお、指定席の場合は特定料金が適用されず金額が跳ね上がります。自由席をご利用ください。
- 在来線:約65分
- 新幹線:約16分
富士山がきれいに見える区間としても有名です。在来線からも、新幹線からも楽しめます。
静岡ー浜松間
続いて静岡と浜松の間。
ここも東海道新幹線の自由席がオトクな区間です。
静岡ー浜松間の新幹線自由席特急券も特定料金の990円で、ここでも「ひかり」が利用できますよ。
こちらも指定席の場合は特定料金が適用されず金額が跳ね上がります。自由席をご利用ください。
- 在来線:約70分
- 新幹線:約20分
豊橋ー名古屋間
豊橋と名古屋の間も見逃せません。
ここも東海道線の自由席がオトクな区間です。
豊橋ー名古屋間の新幹線自由席特急券も特定料金の990円で、ここでも「ひかり」が利用できますよ。
こちらも指定席の場合は特定料金が適用されず金額が跳ね上がります。
ただし、この区間は東海道本線にも「新快速」という速達列車が走っていますので、時短効果は小さいです。
- 在来線:約55分
- 新幹線:約20分
【在来線】オトクな特急券あります
東京ー熱海・三島間
在来線の特急列車でおすすめなのは「東京ー熱海・三島間」です。
この区間には特急「踊り子」が走っています。この列車は伊豆急下田方面行きと修善寺方面行きが存在します。伊豆急下田行きであれば熱海まで、修善寺行きに乗車すれば三島まで行くことができます。
この区間の最大の特徴は「首都圏の安価な特急料金が適用される」点にあります。
距離 | 特急券 | チケットレス特急券 | JRE POINT特急券 |
50kmまで | 760円 | 660円 | 460 point |
100kmまで | 1020円 | 920円 | 720 point |
150kmまで | 1580円 | 1480円 | 1280 point |
ここでポイントとなるのは、東京から熱海までだいたい100kmということ。100kmを超えるのと超えないのとでは560円も差が出ます。
- 東京ー熱海:1580円
- 品川ー熱海:1020円
- 品川ー三島:1580円
- 横浜ー三島:1020円
例えば熱海まで特急列車を利用する場合、東京ではなく品川から乗車するだけで560円も浮きます。
東京ー品川間は東海道線で2駅。ここは踏ん張りたいところです。※個人の感想です
なお、お金に余裕がある人or好奇心がある人には、サフィール踊り子もおすすめ。全車グリーン車なので値が張りますが、こちらも100kmを超えないように乗車すると割安です。
富士ー静岡間
新幹線特急券と同時購入を条件にオトクになる区間として「富士ー静岡間」があります。
この区間には、身延線経由で静岡と甲府を結ぶ特急「ふじかわ」が乗り入れています。
自由席特急料金は760円です。
かつては乗継割引が存在し、特急料金が380円となる制度がありましたが、残念ながら廃止となっています。
乗継割引がある頃はオトクでしたが、今では微妙…
特急ふじかわの車両に乗りたいというのであれば十分利用価値のある選択肢と思います。
なお、身延線から東海道線に入る際に列車の進行方向が変わります。富士ー静岡間では座席は回転せずに逆走する文化1)のようですので、その点はご了承ください。
1) 静岡→甲府間の特急ふじかわ号が静岡駅を発車する際に、あらかじめ逆走するように座席がセットされていることから。
まとめ
東海道本線を普通乗車券で旅行した際、少しでも楽をしようと特急課金をし、以下の知見を得ました。
- 品川ー熱海間は特急踊り子がオトク
- 三島ー静岡間は新幹線自由席がオトク
- 静岡ー浜松間は新幹線自由席がオトク
静岡ー浜松間を新幹線利用の場合、富士ー静岡間は特急ふじかわ利用がオトク- 豊橋ー名古屋間も新幹線自由席がオトクだが、在来線でも十分速い
途中下車を楽しみつつ、時には瞬間移動をしながら東西を快適に移動しましょう。
ではまた。
青春18きっぷなど、普通列車専用の乗車券を利用している方は、特急券をプラスしても新幹線や特急列車を利用することはできませんので、新幹線などという邪念を捨て、ひたすら普通列車で精進くださいませ。
なお、ホームライナーや普通列車グリーン車自由席は利用できますのでご活用ください。