五能線「リゾートしらかみ」の解説。車内の様子とおすすめ座席(海側A席/山側D席どちらもいい)

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鉄道
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快速「リゾートしらかみ」は、秋田ー弘前・青森を五能線経由で結ぶ観光列車です。橅(ブナ)編成に乗車した様子をご紹介しますが、全編成共通事項として(1)一段高い座席と大きな窓を備え、(2)広すぎるシートピッチでゆったり過ごせます。(3)快速列車なので、乗車券+530円(通常期)の指定席券のみで利用できます。(4)海側はA席ですが、乗り慣れてくると山側のD席の魅力にも気づきます。(5)特に景色のきれいな区間では徐行運転のサービスも。(6)千畳敷海岸での散策時間も与えられ、(7)時間を合わせれば夕日も楽しめます。なお、(8)途中で列車の進行方向が変わりますが、座席の回転は1回でOK。見どころたっぷりなリゾートしらかみでの旅に便利でオトクなきっぷの情報も共有します。

リゾートしらかみの指定席料金は2023年10月01日に840円へ値上げとなります。リアルタイムでの記事の更新が間に合わない可能性がございますので、改訂前後にお読みのかたは、料金部分は読み替えていただくようお願い致します。

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リゾートしらかみとは

まずはざっくりと概要を説明します。

五能線を走る観光列車です

「リゾートしらかみ」とは、秋田県の秋田駅と青森県の弘前駅及び青森駅を結ぶ快速列車であり、その名前は沿線の美しい白神山地に由来しています。

自然の息吹を感じながら、乗りながらにして雄大な景色を望むことができる”リゾート体験”を提供しています。

そもそも五能線とは、秋田県北部と青森県東部の海岸沿いを走る路線で、かねてから日本海の美しい景色が眺められることで有名でした。

これに着目して誕生したのが「リゾートしらかみ」で、1997年に運行が開始されて以来、五能線の稼ぎ頭として活躍を続けています。

出典:国土地理院Vector(筆者にてコメント追記)

時間をかけて走ります

秋田駅と弘前駅・青森駅の間には奥羽本線が通っていますが、「リゾートしらかみ」は”遠回り”の五能線経由で運行されるため、時間もかかります。

秋田から青森まで乗り通すと、約5時間かかります。

奥羽本線経由であれば、普通列車であってもとっくに到着している時間です。

リゾートしらかみは、単なる移動手段ではなく、景色や、それを通じた体験を楽しんでいただくための観光列車であることを覚えておきましょう。

景色を存分に楽しめます

「リゾートしらかみ」は、沿線の景色をたっぷりと楽しんでいただくことに最大限の注力をしています。

そして天井付近まで高く設置された窓も、リゾートしらかみならではの造りです。皮肉にも、窓の高さはカーテンを下すときに気付かされますが…笑

1日3往復運行されます

「リゾートしらかみ」は基本的に1日に3往復の運行が設定されています。

スケジュールに合わせて、寄り道をしながらの乗車など、柔軟に選択することができます。

なお、運行時刻は日により変動することがあるうえ、車両検査や需給調整の関係で一部の列車が運行されないこともありますので、都度ご確認いただくことをオススメします。

3種類の編成があります

リゾートしらかみには、3種類の編成があります

元祖・リゾートしらかみともいえるのは「青池編成」です。現在走るのは、青池編成としては2代目となります。2010年デビュー当時は「ハイブリッド型気動車」であることが注目されました。名前の由来となった青池には、十二湖駅からアクセスできます。神秘的な色を放つひっそりとした湖ですので、ぜひ一度ご覧ください。

ブナ編成は「橅」と表記するのが正式だそう。五能線沿線の山々をイメージしています。もっとも新しい編成です。

くまげら編成は、東北地方以北に生息する鳥類をイメージしています。ハイブリッド型気動車を採用している他の編成とは異なり、古い気動車を改造して作られていますので、鉄道ファンからは根強い人気を集めています。

オトクに乗車できます

どうせお高いんでしょ?というあなた。いえいえ、オトクな列車の一つです。

車両は特急顔負けの快適性を兼ね備えた造りになっていますが、あくまでこの列車は「快速列車」であり、乗車券と指定席券のみで乗車ができます。

しかも、青春18きっぷや北海道&東日本パスなどの普通列車専用乗車券も使えるので、シーズンであればさらにオトクです。

リゾートしらかみに乗るためのチケット
(1)乗車券:運賃(オトクなきっぷで代用可能)
(2)指定席券:330~530円(1乗車につき)
※指定席料金は840円に改訂される予定です(2023年10月01日から)

幅広い客層に愛されています

それにもかかわらず、車内は長時間の乗車でも疲れない快適性に重きを置いていて、座席はゆったりと配置されてくつろぎの空間が広がっています。

もちろん、車内には多目的トイレや車椅子対応のスペースなど、バリアフリーに配慮した設備も完備されていますから、赤ちゃんからお年寄りまで安心して乗車が可能。ドリンクや軽食を楽しむことができる無人/有人の販売コーナーもあり、旅の途中でのちょっとしたひとときを楽しむこともできます。

景色が落ち着いてくるころには、車内でのイベントも用意されていて、多くの人に様々な角度から楽しんでいただけるよう工夫がなされています。

私事ではありますが、まだ私が子どもだったころに祖母を連れてリゾートしらかみ(青池編成)に乗車したことがあります。その後、「これは冥途の土産になる」と言い残して天国へ旅立っています。

今回は、このように多くの人から愛される魅力たっぷりの「リゾートしらかみ」に着目し、みなさまが少しでも快適にお過ごしいただけるよう、情報を発信してみようと思います。興味を持って下さった方は、ぜひ気になるところだけでもご覧ください。

リゾートしらかみのA席/D席と見える景色

海側A席「日本海」

リゾートしらかみの海側座席はA席です。これは、秋田方面でも、青森方面でも同じ。

リゾートしらかみは、海に面した五能線を走行するため、海側の座席に座れば、美しい海の景色を存分に楽しむことができます。

青く輝く海と広がる空、車内にまで聞こえてきそうな白波の様子は、まさに絶景と呼ぶにふさわしい。A席に乗車すれば、座席に座りながらにして楽しむことができますよ。

海沿いを走るのは「あきた白神」と「鯵ヶ沢」の間の80kmほどの区間。この間はず~っと楽しめます。

五能線の中でも特にきれいな区間を走行するときは、車掌さんから案内放送が流れます。ダイヤの許す限り徐行運転をしてくれますから、ウトウトしている場合ではありません。

初めてリゾートしらかみに乗車される際は、ぜひ海側A席を取ってみてください。

山側D席「岩木山など」

リゾートしらかみの山側座席はD席です。これも、秋田方面でも青森方面でも同じ。

列車名を見てください。リゾートしらかみ、と命名されています。

この列車は白神山地の近くを通りますから、山側座席に座れば青々とした山々を堪能することができます。

山は季節によって景色が変わりますから、飽きることはありません。

さらにいち推しなのは、青森県内で見えてくる岩木山

岩木山は見る方向によって全く異なる山の形を見せてくれます。五能線は岩木山をぐるりと回るように走っていきますから、山側に座れば刻一刻と変わりゆく岩木山の姿を常に楽しむことができるでしょう。

白神山地や豊かな自然景観も一望することができ、緑豊かな山々や四季折々の風景が、窓の外に広がる。季節に合わせた山の圧倒的な美しさに心を奪われます。

ぜひ、2回目以降のリゾートしらかみの旅では山側D席にも座ってみましょう。

列車の進行方向について

奥羽本線と五能線を直通運転するリゾートしらかみは、途中で3回の方向転換をします。

東能代では方向転換をしないと五能線に入ることができません。

また、五能線の終点・川部駅では、線路を直進すれば青森に行けますが、弘前での乗降客の便宜を図るため、一旦Uターンして弘前に向かいます。弘前で改めて青森方面に向かうために再度方向転換します。

詳しくは下記の図を参照してほしいのですが、

分からなくなってしまったら、五能線の線路は常に青森方面に向かおうとしている、と覚えておくと逆算しやすいです。

そこまで分からなくても「セットされている座席の方向転換が必要なのは東能代のみ」と覚えておけば気楽ですね。

なお、五能線内では下記の通りとなっています。

東能代←(4号車)ー(1号車)→川部

乗る時間帯によって景色が変わる

リゾートしらかみは、3往復/日運行されているのは先に述べたとおりです。

しかし、これらの違いは「時間帯」だけではありません。

時間帯によって日の当たり方が変わりますから、車窓に移す景色が変わります

山側に日が昇っている午前の時間帯の列車であれば、日本海に浮かぶ岩々がきれいに映ります。

一方、海側に日が昇っている午後の時間帯の場合は、日本海が逆光になります。もちろん、これはこれで味があります。

最もきれいだと言われているのは、リゾートしらかみ6号(弘前→秋田の最終便)です。日本海に沈む夕日をお楽しみいただけます。

このように、乗る時間帯によって景色が変わりますので、1回乗って気に入ったら、次回は別の時間帯に乗車してみるといいでしょう。

リゾートしらかみの車内の特徴

以下のご紹介は「ブナ編成」についてとなります。基本的な内容は他の編成と共通ですが、一部異なる可能性があります。

2人席が並びます

リゾートしらかみの車内には横2列の座席が並んでいます。

前の座席の背もたれにテーブルがついていますが、シートピッチが広すぎるため、補助的にひじ掛けの中にもテーブルが入っています。両方出せばダブルテーブル席となります。

残念ながら各座席へのコンセントはありませんでしたが、後述の展望ラウンジに2基設置されていますので、緊急時には利用できます。

各車両先頭座席

各座席の先頭車両はこんな感じ。

前の壁に固定された小さいテーブルと、ひじ掛け内のテーブルを使うことになります。

また、通常座席では一生懸命足を伸ばしても前の座席に届くことはありませんでしたが、先頭座席では普通に座っていても壁に足が届きます。

十分なスペースはありますが、他のエリアに慣れてしまうと狭いと感じるかもしれません。

展望ラウンジ

展望ラウンジは、当該列車の利用客であれば誰でも利用することができます。

ただし、フラッシュ撮影等安全を阻害する行為は絶対にダメ。占拠するような使い方もやめて、譲り合って利用しましょう。

なお、進行方向先頭車両の展望ラウンジは、車内イベントに使われることもありますので、タイミングによっては立ち入りができなくなります。

売店ラウンジ

ブナ編成には、3号車に売店があります。

ここでは、海側に座席を配し、山側に売店が設けられています。

売店は営業されていないことも多く、その場合は座席は自由に利用できます。

ちなみに、売店と面した座席(3号車1番)は、AB席に座ると売店ラウンジ利用者と目が合います。CD席に座ると、工芸品をずっと見つめることになります。

ボックス席

2号車はボックス席になっています。

ここは1ボックス4人掛けですので、相席になる可能性があります。

グループで利用されるのであれば重宝しますね。

ただし、ボックス席の性質上、宴会が始まりやすく、他の車両と比較して少々においがきついと感じることもあります。(※個人の感想です)

1人席

隣席のない1人席もあります。

もし、混雑時に乗車する場合で、隣に人が来るのを避けたいのであればアリですね。

ただし、(おそらく)車いす利用者優先となるため、予約が入っていなくてもブロックされることがありますから、使えたらラッキー程度に考えておくといいでしょう。

なお、リゾートしらかみには通路と客席の間に段差があります。車いすにてご利用予定の方は、念のため駅でご確認いただくことをオススメします。

リゾートしらかみのイベント

千畳敷駅での散策

リゾートしらかみは、途中「千畳敷駅」に15分程度の長時間停車をします。

千畳敷駅から千畳敷までは徒歩1分(目の前)で、列車の外に出て千畳敷を見学することができます。

ごつごつとした岩肌の上を歩いて海辺を散策できるのはとても気持ちのいいものですが、乗り遅れには気を付けてくださいね。

※100kmに満たない下車前途無効の乗車券であったとしても、ここでは途中出場のような扱いとして特例で散策が認められているようです。

展望ラウンジでの車内イベント

リゾートしらかみでは、先頭車両の展望ラウンジにて車内イベントも行われています。

主に青森県内の海の見えない区間において、人形劇や語りべ、津軽三味線の生演奏などが実施されています。

このようなイベントは、車載カメラによって全車両に生放送されますが、会場の雰囲気を味わいたいのであれば先頭車両を指定することをオススメします。逆に、先頭車両に乗車した際には居眠り厳禁。しっかり楽しんで、感謝の拍手も忘れずに。

リゾートしらかみのオトクなきっぷ

3回目くらいの記載ですが、リゾートしらかみには乗車券と指定席券のみで乗車ができます。

乗車券について

五能線フリーパス

乗車券として五能線フリーパスが使えます。

五能線フリーパスでは、五能線全線と奥羽本線の秋田ー東能代間及び弘前ー青森間(=リゾートしらかみの運行範囲と完全一致)が2日間乗り降り自由となります。

  • おとな:3,880円
  • こども:1,940円

全区間乗車すると、片道でも4,510円ですから、簡単に元が取れてしまいます。

通年発売されておりますので、他に乗車券をお持ちでなければこれで決定でしょう。

青春18きっぷ/北海道&東日本パス

リゾートしらかみは快速列車ですので、青春18きっぷ北海道&東日本パスが乗車券として使えます。

ただし、これらの乗車券は発売期間が概ね学生の長期休暇のみに限定されておりますので、通年使えるわけではないことに注意しましょう。

逆に言えば、これらのオトクすぎる企画乗車券が使える期間はリゾートしらかみも大混雑を迎えます。時期が自由に選べる方であれば、この期間を外すと自由自在な旅行ができそうです。

普通乗車券の延長

普通乗車券は、距離を伸ばせば伸ばすほど、1kmあたりの単価が安くなっていきます。

例えば東京から秋田に向かう旅行者であれば、東京ー秋田(秋田新幹線)+秋田ー青森(リゾートしらかみ)と別々に買うのではなく、東京→秋田→東能代→(五能線経由)→青森と買うことで、キロ単価の安い乗車券を購入することができます。

なお、釈迦に説法かもしれませんが、あなたが鉄道マニアであれば、東京→新潟→秋田→(五能線まわり)→新青森→大宮と買うと、さらに単価を安くできることに気づくでしょう。

指定席券

残念ながら、指定席券(530円→840円)は安くする方法がありません。

通常通り、駅の窓口か指定席券売機、えきねっと予約などで入手しましょう。

ちなみに、少しでも安くしたいのであれば、「閑散期」に利用すると、指定席料金が330円になるという裏技もありましたが、指定席料金改訂後は通年840円です。

なお、ボックスシートを利用する場合は、駅の窓口で発券いただかなければなりませんので、頭に入れておきましょう。

まとめ

快速リゾートしらかみに乗車し、以下の知見を得ました。

  • リゾートしらかみは秋田駅と弘前駅・青森駅を五能線経由で結ぶ観光列車。
  • 一段高い座席と大きな窓を備え、広すぎるシートピッチでゆったり過ごせる。
  • 快速列車なので、乗車券+530円(通常期)の指定席券のみで利用できる。
  • 海側はA席で、心行くまで日本海の景色を堪能できる。
  • 乗り慣れてくると山側のD席の魅力にも気づく。
  • 千畳敷海岸での散策時間も与えられる
  • 時間帯によって景色の見え方が変わる
  • 途中で列車の進行方向が変わるが、座席の回転は東能代のみでOK。
  • 便利でオトクなきっぷ「五能線フリーパス」もある

リゾートしらかみ
>> こちら
最新のダイヤや運行日の確認は上記で。

最後に問題です。
青森発秋田行きのリゾートしらかみは、何回奥羽本線を通りますか?即答できなかった方は、ぜひ下記の記事もご覧ください。奥羽本線内ではリゾートしらかみが区間を分けて2回も通るほか、「秋田新幹線も山形新幹線も走る」不思議な路線です。

ではまた。

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