途中下車の基本と、遠距離の普通乗車券を使うメリットを解説

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鉄道
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JR線の乗車券は途中下車できるものとできないものがあります。単純に遠くへ行くきっぷが途中下車できるとは限らないのが難しいところ。せっかく旅行に行くのであれば、その途中で寄り道できれば旅の楽しみ方も一味変わってきますよね。途中下車にこだわりたい方は先をお読みください。

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はじめに

「ぶらり途中下車の旅」は厳密には間違い

日本テレビ系列で大人気の「ぶらり途中下車の旅」という番組があります。この番組では、芸能人の方が電車に乗って気になる駅で降り、周辺を散歩するというものですが…

実は、この番組でやっていることは「途中下車」には該当せず、単なる単発完結の旅行を何回も行っているにすぎません。

じゃあ途中下車って何なの?という話に移ります。

途中下車の基本

途中下車とは

きっぷの出発地から目的地までのあいだの駅で一旦降りることを途中下車といいます。途中下車してもきっぷは回収されず、追加のお金を払うことなく、その駅から旅行を再開することができます。

通常、きっぷを細切れに何度も買っていると高くなってしまいますが、途中下車ができるのであれば、後戻りしない限りは通しの運賃で何度も寄り道ができるので、オトクですよね。

下車前途無効とは

一方、目的地までのきっぷを買って電車に乗り、その途中の駅で自動改札機を通るときっぷが回収されて、残りの区間が使えなくなることが多いですよね。

これは途中下車ができないきっぷで途中の駅で降りようとしたためで、残りの区間は権利を放棄したことになってしまいます。

このように途中で降りたら残りの区間は無効になることを「下車前途無効」と言ったりします。

途中で降りた(=下車)した場合の残り(=前途)は使えない(=無効)ということが、きっぷをよく見ると小さく書いてありますよ。

では、両者の違いはなぜ生まれるのでしょうか?

途中下車できるきっぷ

基本的にJR線のきっぷは途中下車ができます。ただし、以下の乗車券は対象外です。

  • 100kmに満たない乗車券
  • 大都市近郊区間内の乗車券

お気づきの方も多いと思いますが、ほとんどの方は普通の生活を送る上で100キロも乗らないし、乗ったとしても大都市近郊区間内で完結することがほとんどなので、「普通は対象外」なんですね。

大都市近郊区間とは、東京や仙台、新潟、大阪、福岡などに定められた特定の区間で、SuicaやICOCAなどのIC乗車券を使える区間と概ね一致します。

実際は「近郊区間」という名称が間違いなんじゃないかと思うくらいに広く、例えば東京近郊区間には松本や浪江、伊東などを含む区間となります。

普通は途中下車できないんだ、と思い込むのにも無理はないと思いますし、途中下車できない前提で、上記に該当しないきっぷは途中下車ができるようになると考えたほうがスムーズです。

出典:JR東日本

とはいえ、ある裏技を使うと大都市近郊区間内の移動であっても途中下車できるようになります。気になる方はこちらの記事をご覧ください。

乗車券の有効日数

乗車券は日をまたいで使えます

長い距離の乗車券であれば途中下車ができて、寄り道しながら旅を楽しめることが分かっていただけたと思いますが…

「でも1日で行かないとだめだよね?」
「そんな悠長に楽しんでいる時間はない」

って心配になりますよね?

でも大丈夫。

乗車券の有効日数

乗車券の有効期間は1日ではありません。

大都市近郊区間で完結しない100km以上の乗車券に限り、距離が長くなればなるほど、有効期間も長くなります。

計算式は下記。

有効日数=INT(営業キロ/200)+2

優しく解説すると、100km以上200km以下では2日間で、以降は200km毎に1日伸びます

なお、当然ですが、もともと途中下車ができないきっぷは、どんなに距離が長くても有効期間は1日です。

有効期限最終日に日付が変わったら?

最終日に日付が変わってしまった場合は、途中下車しない限りは目的地まで有効となります。

また、電車特定区間という限られた区間内では、途中下車した場合でも終電車まで有効です。

レアケースですが、移動中に最終列車となり、最終目的地にたどり着けない場合は、駅員さんにその旨を伝えれば翌日の始発列車を利用する場合に限り旅行を継続することが出来ます。その後も途中下車はできません。

遠距離の乗車券にこだわるメリット

途中下車ができる遠距離の乗車券にこだわるメリットをご説明します。

キロ単価が安くなります

これが最も大きいメリットです。

もうね、大切なので強調します。

遠距離の乗車券はキロ単価が安くなる

覚えてほしいのでもう一回。

遠距離の乗車券はキロ単価が安くなる

これだけ覚えてもらえれば、今日はもう寝ていいです。

乗車券は、その距離が長くなればなるほどキロ単価が安くなります。これを「遠距離逓減制」といいますが、実際どれくらい安くなるかというと、

営業キロ1キロあたり
300キロまで16.20円
301キロ以上
600キロまで
12.85円
601キロ以上7.05円
※本州内の幹線の場合

300キロまでに比べて、601キロ以上の場合は半額以下のキロ単価になります。

よって、長くなればなるほど、おトクなのです。

例えば東京から北陸(金沢・小松・福井)方面に周遊旅行に行く場合、行きも帰りも北陸新幹線はナンセンス。

行きは北陸新幹線で行き、そのまま北陸本線で小松・福井・敦賀などを順にめぐり、米原・名古屋に抜けて東海道新幹線で帰ってくる遠距離の片道乗車券にした方がキロ単価は安くなるんです。

上記の表は目安としてご参考ください。厳密に計算する場合は〇キロ刻みなどの複雑な計算が入ります。また、地方交通線を使う場合や、JR北海道やJR九州などと乗り継ぎをする場合にも金額は変わります。

特急利用時の汎用性が高いです

利用する乗車券がどんなに長くて複雑な経路であっても、正真正銘の「普通乗車券」です。

普通乗車券は他のどんな料金券とも組み合わせることが出来る、いわばワイルドカードのような存在。

ご予定に合わせて特急券を足せば、いつでも特急列車に乗ることが出来ます。

並行する新幹線も使えます

一部の区間を除いて、互いに並行する在来線と新幹線は同じ経路として考えられます。

よって、新幹線特急券を追加すれば、同区間において新幹線に乗車することも可能です。

学割が使えます

101キロ以上となる乗車券の場合は、学生割引が使えます。

学生割引は運賃が2割引きになるというもの。どんな経路であっても適用されるのでおトクです。

株主優待も使えます(条件あり)

自社線内であれば株主優待割引も利用できます。

株主優待の内容により異なりますが、JR東日本の場合は運賃が4割引きになるのでかなりオトクです。

同区間内の特急列車(1列車に限り)も、同時購入することで割引対象になります。

注意点

特急券は途中下車不可

乗車券は途中下車できたとしても、特急券は途中下車の概念がありません

ごく一部の例外を除き、特急を下車したり、新幹線の改札口を出た際に使っていない区間(=前途)があった場合は無効となり、特急券は回収されます。

必ず乗車ごとに買うようにしましょう。

後戻りはできない

当然ではございますが、普通乗車券はフリーパスではありませんので、後戻りはできません

必ず出発駅から目的地に向かって進まなければなりません。

乗車経路が縛られる

一部の乗車券を除き、経由路線が定められています。

輸送障害が発生した場合には迂回乗車が認められることになりますが、通常は経路通りに乗車する必要があります

なお、少し難しい規則なので理解しなくてもいいですが「東京付近を通過する場合」には経路を自由に選ぶことが出来る区間があります。また、並行在来線ー新幹線間のチェンジは自由に行うことが出来ます。

新下関〜博多について

在来線と新幹線は自由に選択できるのが原則です。

しかし、新下関~博多間だけは例外となっております。

これは、下関~博多間の在来線はJR九州であるのに対し、新下関~博多間の新幹線はJR西日本の管轄であることが原因です。

通常は在来線と新幹線の会社が異なっても気にする必要はないのですが、同区間はJR西日本とJR九州の運賃体系が異なる(JR九州が高額)ため、例外となっています。

博多方面に向かわれる際は、乗車券の経路にご注意ください。

なお、使用開始後に乗車券を変更する場合、変更後の運賃が高い場合は差額を徴収されるのに、変更後に安くなる場合は返金されません。よって、出発時点で迷っているのであれば、同区間はJR西日本の運賃(=新幹線経由)で発券されることをお勧めいたします。

途中下車の実施方法

定期券サイズの場合

定期券サイズの乗車券を使っている際に途中下車する場合は、きっぷを自動改札機に投入してください。

途中下車駅の情報を磁気情報として記録したうえで返却されます。

再乗車する際もきっぷを自動改札機に通すだけ。

繰り返しとなりますが、下車駅の情報は記録されているので、後戻りして下車しようとするとエラーが出ます。

なお、途中下車の記録は有人改札にある端末でも確認できるようですので、悪いことは考えないように(これ以上は明言できません)。

横長サイズの場合

横長サイズ(青春18きっぷやクレジットカードの売上票と同サイズ)の乗車券を使用している場合は、自動改札機を使用できません。

いかなる場合でも有人改札を通ってください。

降りる際は「下車印」と呼ばれる小さいハンコが押されます。これが途中下車の記録となります。

あまりに複雑な経路だと駅員さんが固まってしまうので、2秒くらい間をおいてから経路の説明をしてあげると親切です。

大きな声では言えませんが、下車印で埋め尽くされてくるころには、こちらを信用してくださっているのか、あまり見られないケースもあります。

一方で「下車印が薄くて見えない!」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

まとめ

途中下車について以下の知見を得ました。

  • 100km以上かつ大都市近郊区間を外れる乗車券は途中下車ができる
  • 乗車券は遠距離になればなるほど、キロ単価が安くなる
  • 途中下車を活用してぐるりと回る旅行はおトク
  • 定期券サイズのきっぷなら自動改札機を通れる

ではまた。

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