京葉線に1日1本だけ【勝浦行きの外房線】と【成東行きの東金線】が連結して走る運用があり、途中で分割します。外房線と東金線が分かれるのは大網駅ですが、分割は大網駅ではなく誉田駅で実施します。なぜ大網駅で分割しないのか、大網駅の構造に着目して解説します。
京葉線と外房線を走る快速列車
京葉線の予備知識
東京駅と蘇我駅を結ぶJR京葉線。
成田新幹線計画地を転用して作られた東京駅こそ不便な場所にありますが、隣の八丁堀駅では日比谷線に、途中の新木場駅では有楽町線とりんかい線に接続。千葉方面からの通勤路線として大盛況です。沿線には東京ディズニーリゾートを抱え、大規模商業施設が何個も点在。上下線ともに常に忙しいのが京葉線です。
京葉線にはE233系という通勤電車が使われています。京葉線内では10両編成での運転なのですが、10両固定の編成と、4両編成と6両編成をくっつけて10両編成として走らせている編成が存在します(後ほど重要な情報となります)。
外房線の予備知識
一方、外房線は千葉-蘇我ー上総一ノ宮-勝浦ー安房鴨川間を結ぶ房総方面の路線です。
ぱっと見では京葉線とは何の関係もなさそうな田舎の路線ですが…実はこの2路線、大が付くほどの仲良しなんです。
京葉線とは蘇我駅で繋がり、特急わかしお号が乗り入れていて、安房鴨川まで運転されているほか、京葉線の一部列車も外房線に乗り入れています。
快速の直通運転
京葉線を走る快速列車のうち、1時間に1本は外房線の上総一ノ宮駅まで乗り入れていて、東京への通勤圏内として多くの利用があり、外房線沿線の利用者にとって価値のある快速列車として親しまれています。
ところが、通勤時間帯になると、もっと変わった列車が登場します。
それが「通勤快速 勝浦・成東行き」です。
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一般人にすれば、何が何だかわからない列車ですよね。
超簡単な路線図を持ってくるとこんな感じです。東京からしばらくの間はくっついて走り、途中の大網っていう駅で行き先が分かれます。
大網は「おおあみ」って読みます。私は20歳くらいまで間違えて読んでいましたが「おおなわ」でも「おおつな」でもありません。「おおあみ」です。
勝浦行きと成東行きは誉田で分割
東京駅を出発した後、京葉線内は10両編成で運転します。蘇我駅到着後、そのまま外房線に入ります。ここでも10両編成。
しかし、行き先が違うので、分割しなければなりません。
そこで、途中の誉田駅に停車中に、成東行きと勝浦行きを分割し、それぞれの目的地に向かうのですが…
外房線と東金線が分かれるのは大網駅のはず。
…なぜ誉田駅で分割??という疑問が生まれますよね。
すみませんねぇ分からないことだらけで。少なくとも、20歳の時点で「おおつな」って読んでいた頃の私には疑問でしたので、その答えを知るために大網駅へ向かいました。
おおあみ駅ですよ、おおあみ。
大網駅で分割できない理由
大網駅の構造
大網駅の構造をご紹介します。
まずはこちらをよくご覧ください。外房線のホームで電車を待っていると…
え~どこ行っちゃうの?
実はこの電車、千葉方面からやってきた東金線直通の成東行きです。
千葉→(外房線)→大網→(東金線)→成東
大網駅の東金線ホームに入るためにポイントを渡っていたのですね。
大網駅では分割できない
実は大網駅には4つののりばがあります。
1・2番線が外房線のホーム、3・4番線が東金線のホームなのですが、これらのホームは離れています。
上の写真で、窓から見えるのが東金線のホーム、こちら側が外房線のホーム。
互いに別方向にカーブを切る途中にホームが設置されているため、千葉方面から大網駅に入ったら、東金線と外房線を行き来できない構造になっているんですね。
よって、前述の「勝浦・成東行き」が外房線の大網駅で分割した場合、成東行きが東金線に入ることができなくなりますので、大網駅到着前までに分割しておく必要があるのです。
土気駅でも分割できない
大網駅到着前までに分割する必要がある「勝浦・成東」行き。次の分割候補地となるのは「土気駅」ですが、実際には土気でも分割はしていません。
なぜ土気駅でも分割できないのか?という疑問の答えは土気駅の構造にあります。
土気駅は1面2線の構造であり、同駅には退避設備がありません。そのため、列車を長時間停車させるには不都合が生じるのです。
一方、さらに隣の「誉田駅」には上下線共用ながら、待避線が備えられています。
この待避線を活用して長時間停車すれば、万が一分割(併合)作業時に問題が生じたとしても本線は開通しているため、路線全体に影響が及ぶことはないのです。
大網駅の構造上の問題点、土気駅の構造上の貧弱点が重なって、誉田駅での分割併合が行われているんですね。
分割後の車両運用
勝浦行き
勝浦行きの6両編成は、その日に勝浦駅まで行った後はおやすみなさい。
勝浦で1泊したあと、翌朝の東京行き通勤快速列車として来た道を戻ります。
成東行き
成東行きの4両編成は、その日に成東駅まで行った後、成東ー大網間の東金線内を往復運転する、いわゆる「バイト運用」に就きます。
大網駅で1泊したあと、翌朝も東金線内を往復し、勝浦始発の通勤快速がやってくるタイミングで東京行き通勤快速列車として来た道を戻ります。
翌朝の連結作業も誉田駅で行われますので、再び京葉線運用に戻れるんですね。
注意点
今回の記事では「通勤快速勝浦・成東行き」として紹介しましたが、土休日は快速として運転されます。
京葉線内の停車駅が増えるほか、東京駅の発車時刻も10分ほど前倒しになりますので、ご利用予定の方はお乗り遅れのないように。
なお、夢がかなう場所への玄関口「舞浜駅」においでの方は、間違えて通勤快速に乗らないよう、くれぐれもご注意を。夢が高速で過ぎ去っていきます。
まとめ
通勤快速「勝浦・成東行き」の分割駅について、以下の知見を得ました。
- 勝浦行きと成東行きの分割は誉田駅
- 大網駅は外房線と東金線が別ホーム
- そのため大網駅では分割できない
- 土休日は快速として運転
お腹の中から謎だった誉田駅分割の理由が、やっと分かりました。
ではまた。