JR京葉線舞浜駅は、ホーム上の混雑緩和を目的に拡張工事を実施しました。上下線それぞれを延伸し、列車の停車位置をずらすことでホームにゆとりを持たせ、多客時の安全性を向上しています。各案内は蘇我方面を青で、東京方面を赤で統一し、自然な分散乗車を視覚で訴えています。コロナ後の大混雑を見据えた準備は整いました。あとはコロナが収まるのを待つのみです。
舞浜駅の基礎知識
まずはこの機会に舞浜駅についてちょっと触れておきます。
舞浜駅の周辺
舞浜駅はJR京葉線の途中駅です。東京から6駅目。
とりあえずすべての予備知識を捨てて「舞浜」と聞くと、何の変哲もない駅名に見えますが、

ご存じの通り、同駅は日本を代表し世界とも戦えるテーマパーク「東京ディズニーリゾート(R)」の玄関口としての重要な役目を持ちます。同系列の商業施設「イクスピアリ」も舞浜駅利用。浦安市の運動公園や斎場へも舞浜駅が最寄りとなっているようです。

いまでこそ入園者数を絞っているために閑散とするタイミングもありますが、通常であればいつ行っても人がごった返している、そんな駅です。
テーマパークがあるのは南口ですが、北口には国道357号線と首都高速湾岸線が通っていて、その先には宅地が広がっています。
ちなみにディズニーリゾートラインとの乗換駅とされていますが、ディズニーリゾートラインは舞浜駅には乗り入れておらず「リゾートゲートウェイ・ステーション」に停車。ここがディズニー的舞浜駅。

「東京都区内」ではない
東京ディズニーリゾート(R)の所在地は東京都ではなく千葉県です。この事実はある種のマウントを取りたいわけではなく、運賃計算上切実なのです。
遠方から来られるお客さんの乗車券の行先は「東京都区内」になっていることが多いのですが、舞浜駅は千葉県なので、そのまま降りることはできません。
この場合は葛西臨海公園ー舞浜間の精算となります。
同様に、東京都区内発の乗車券を舞浜駅から利用することはできず、舞浜ー葛西臨海公園間の乗車券が別に必要です。
快速停車駅(通勤快速は通過)
舞浜駅には快速が停まりますので、土休日であれば来た電車に乗れば舞浜には必ずたどり着けます(特急列車を除く)。
ただし、平日に設定されている通勤快速は通過となります。特に下り方面の通勤快速は新木場ー蘇我間無停車となっているので要注意。
意図せずに蘇我に連れていかれることをDオタさんの間では「蘇我る」ということもありますね。
…ありますね。って張り切ってブログを書いたらGoogleで検索1位(=他に誰も言っていない)になりましたので、言っているのは自分だけ説浮上中ですが…
混雑する舞浜駅
溢れかえるホーム
コロナのない世界線であれば常に人がごった返す舞浜駅。
特に利用が集中する時間になるとホーム上には人があふれ、比較的空いている先頭や最後尾に向かおうとするものなら黄色い線の外側を歩かざるを得ない危険な状態でした。
パークの閉園時間にダイヤの乱れが直撃した場合にはホームが完全にあふれてしまい、一時的に改札を中断する「入場制限」が行われることもありました。
多くの乗客は「パークのゲスト気分」が抜けずに舞浜駅を利用しますが、彼ら彼女らを事故に遭わせるわけにはいきませんので、舞浜駅の駅員さんは特に厳しく接しているような印象を持っています。マイクを通じた怒鳴り声は日常茶飯事、車両のドア横を強く叩いて奥に詰めさせるなんて恐ろしい光景を見たことも。
それでも「風船を飛ばしてしまった」「物が線路に落ちた」等で電車の運行が停止する場面にも遭遇。
そして入場制限…その繰り返し。
暫定的な対応策
手狭なホームを何とかする暫定策として、夜間の東京方面の一部列車を舞浜駅で時間調整させるダイヤが設定されています。
舞浜駅は1面2線の構造で、特急の退避などは一切できないため、通常であれば同駅で時間調整する理由はないのですが、特に利用が集中する時間帯(21時-22時頃)には、舞浜駅で2-4分ほど停車するダイヤが組まれています。
駅に車両を停めておくことにより、構内に到着した乗客がすぐに車内に入ることができるため、ホーム上の混雑緩和につながるのです。
発着の一例 | 東京方面 |
各駅停車 (京葉線) | 21:33着 21:35発 |
各駅停車 (武蔵野線) | 21:39着 21:42発 |
各駅停車 (京葉線) | 21:46着 21:50発 |
各駅停車 (京葉線) | 21:53着 21:56発 |
また、週末を中心に「舞浜臨」と呼ばれる東京ー西船橋間の臨時列車が設定されることもあり、ホーム上の混雑緩和のほか、数が限られる武蔵野線方面へのアクセス確保の役割も担います。
このように暫定的に何とかしよう、としてきてはいるものの、新エリアの拡大を続けるパークの玄関口としての機能には限界が見えてきました。
舞浜駅のホーム改良
ホーム上の混雑だけでも打開しよう、ということで、2022年1月に舞浜駅のホーム改良工事が完了したそうなので、新しいホームの様子を見に行ってきました。
この改良工事は、ホームの長さを長くして上下線でずらして停車させるというもの。ホームを増やしたり、幅を広げるためには大掛かりな工事が必要になりますので、前後延伸は合理的と考えたのでしょう。
ちなみに、この工事費の半分はオリエンタルランドが負担しているそうです。

ホーム上のようす
蘇我側

蘇我方の最後部から東京方面を見ます。東京方面の電車が停車中です。
車両後方をホームの先端に合わせて停車する仕組みとなっています。詳しいことは知りませんが、こうすることでホーム進入時の速度を低くすることができるため合理的、なのでしょうかね。
蘇我方面の電車はこの付近には停車しません。柵を設けてくれていますので、お子様連れにも安心ですね。

ホームから見える景色はこんな感じ。ちょうどディズニーリゾートラインのリゾートゲートウェイ・ステーション駅の真横くらいまで伸びていますが、東京ディズニーシーの園内は見渡せませんでした。
東京側

東京側の先端には蘇我方面行き電車の最後部が停車します。葛西臨海公園の観覧車も見えます。

ホームがボンボヤージュのあたりまで伸びているのが分かります。
東京に向けて発車する京葉線の奥にディズニーリゾートラインの車両が見えます。さらにその奥に見える突起物はビッグサンダーマウンテンの岩肌です。
延伸工事の跡

あっ、ここからホーム伸ばしたんだな…
というのが一目でわかるようになっています。
コンコースのようす
乗客がホーム上がってから移動するのでは遅い。その前にしっかり動線を作って誘導することが大切で、その役割を担うコンコースでの訴求は非常に重要です。

改札を入ってすぐに、東京方面の乗客は右に向かうよう、強く示されています。赤色で案内を統一しています。

一方、蘇我方面の乗客は左に向かうように案内。青色で統一されています。
電車の進行方向は東京が左、蘇我が右なので、慣れている人の直感では逆に動いてしまいそう。その感覚を打ちのめさないといけないので、色という視覚に訴えて案内されているのが印象的でした。

これならわかりやすいですね。
まとめ
新しくなった舞浜駅について、以下の知見を得ました。
- ホームが上下線方向に約50mずつ延伸
- 車両後方をホーム先端に合わせて停車
- 使われないホームは柵で安全対策済
- 案内色を、東京方面は赤、蘇我方面は青で統一
混雑緩和のためにホームの延伸工事が行われましたが、今は別の要因で混雑が緩和されてしまっている状況。
再びにぎわう日が訪れますように。
ではまた。