鉄道150年記念で発売されたJR東日本パスについて、その仕様について判明したことを書いていきます。この記事は順次更新となります。最終的には同様のきっぷが発売された際の参考情報となるように残します。なお、JR東日本パスの使い勝手が悪いとマイナスの感情を抱えながら情報を求めてたどり着いた方は「鉄道150年をお祝いするお祭り」であることを思い出して、みんなで楽しみましょう。
JR東日本パスとは
JR東日本パスは、JR東日本全線が乗り放題となる期間限定の企画乗車券です。
新幹線を含む特急自由席まで乗り放題で、指定席も4回まで指定可能というものです。
近年のJR東日本管内における誰でも使えるフリーパスには、特急料金相当額が含まれていないものが大半でしたので、このニュースに鉄道ファンは沸き立ちました。
もちろん私もその一人です。
しかし、気を付けなければならないことが山ほどありましたので、ここに書いていきます。
発売が3日前までの大きすぎる落とし穴
JR東日本パスは使用開始3日前までにえきねっと上で買わなければならないものでした。
これは大きすぎる落とし穴ですよね。
企画乗車券を使い慣れている人であれば、何の説明書きを読まなくとも、
「なんとなく…3日前までのような気がする」
「少なくとも当日は絶対に買えない気がする」
というのは直感で感じ取ったのです。これは私だけではないでしょう。
週末パスも前日まで、かつて発売された3連休パスは3日前までだったので、今回もそんな感じかなと思ったものです。
しかし、その感覚は一般的とは言えないもの。案の定、一般の方を中心に落とし穴に落ちる人が相次ぎ、ホテルだけを取ってしまった人から「きっぷを譲ってほしい」と懇願し始める人も現れました。
えきねっと限定発売
これは予想の斜め上をくるものでした。
言い回しが繰り返しになりますが、企画乗車券を使い慣れている人であれば、何の説明書きを読まなくとも、
「なんとなく…指定席券売機限定発売のような気がする」
「少なくともみどりの窓口では絶対に買えない気がする」
というのは直感で感じ取ったのです。これは私だけではないでしょう。
しかし、JR東日本はその上を行きました。えきねっと限定きっぷとすることで、特急列車の予約に関するネットシフトを試みたのです。
これは、指定席券売機の混雑緩和注)を推進する素晴らしい取り組みだと思います。
注)結局きっぷの受け取りに指定席券売機を利用しなければならないのですが、単なる受け取り操作と、列車の指定を含む操作とでは、使用時間に天と地の差があるのです。
指定列車4回までのハードル
指定席も4回まで利用可能
基本的に自由席利用が原則となるきっぷですが、あらかじめ座席指定を受けることで指定席を4回まで利用することができます。
指定席を利用する際は、JR東日本パス(本券)と指定券を組み合わせて乗車します。
普通車である限り、指定列車の種類には制限はありません。
はやぶさ・こまち・かがやきなどのいわゆる「ハイスピード料金」がかかる全車指定新幹線はもちろん、特急ひたち、あずさなどの全車指定在来特急、ポケモントレインや海里などの観光快速列車でも指定できます。
他社線に乗り入れる特急列車もOK(東武線直通列車を除く)。
これはありがたいですね。
立席特急券なら回数消費なし
盛岡~新青森間、盛岡~秋田間、福島~新庄間を相互利用する場合、座席に指定を受けずに乗車することが可能です。
仙台~盛岡間の各駅停車タイプのはやぶさも対象。
これらの区間は立席特急券のシステムが導入されているところで、回数制限を消費することなく、空席を利用できます。
指定券不要で、JR東日本パス(本券)のみで乗れるのはありがたいですね。
首都圏の全車指定特急列車は回数消費必須
一方、常磐線「ひたち・ときわ」、中央線「あずさ・かいじ」、東海道線「踊り子」などは全車指定席で、自由席はありません。
これらの列車には立席特急券の概念がなく、飛び乗る場合は座席未指定特急券の使用となります。
JR東日本パスは立席特急券として使えますが、座席未指定特急券としての機能はありません。
そのため、これらの特急列車を利用する場合は必ず座席指定を受けなければなりません。
これらの列車にパスだけで乗れるのは最大4回まで、ということになります。
沿線住民にとっては使いにくいシステムですね。マイナスです。
ただし、これらの列車の特急料金は安価に設定されていますので、回数消費をせずに別途購入という手もありました。
新幹線の乗り継ぎは1回にカウント
裏技的な使い方ですが、新幹線を使って同一方向に移動する際に途中駅で新幹線改札を出ることなく別列車に乗り継ぐ場合は、2列車以上利用する場合でも1列車として取り扱う特例があります。
この特例はJR東日本パスにも適用されます。
公式には「みどりの窓口で発券して」と書かれていましたが、実際にはえきねっとをうまく操作すれば予約は可能。
いろいろ試した結果、小山→盛岡以遠の指定をすると、宇都宮・仙台での乗り継ぎ例が表示され、1回分の消費で3席分の指定券を発券することができるようになります。
なお、これらの指定券は複数枚でセットとなります。以降の変更はセットで行いましょう。実際には端末操作上、単独で変更することができてしまいますが、セットの通し番号は連続しているうえ、その番号はえきねっとと紐づいています。あくまで一乗車毎に取り扱うのが原則です。
変更も取り消しも自由
えきねっと上での操作において、変更も取り消しも自由となっています。100回でも1000回でも、納得のいく旅程を組めるまで変更をかけることができます。
取り消しをすれば指定1回分が回復し、再び他の列車の予約に利用することができるようになります。
指定券を受け取ったあとの変更はみどりの窓口のみの対応となりますが、それでも変更後のきっぷに乗車変更のはんこが押されることはありません。
重複予約はダメ
何度も旅程を変更していると、一時的に「時間が重なった予約」を取らざるを得ない瞬間が出てきます。
しかし、そのような予約は許されておらず、エラーを返されます。
もしそうなったら、先に不要となった予約の取り消しを行いましょう。これにより、以降の予約操作を滞りなく進めることができるようになります。
なお、指定券の予約情報は受け取り済みとなっても残りますが、指定券を受け取った後に重複するのは問題ないようです。
最大の難題は「指定回数をどこで使うか」
自由席は大混雑
指定回数を抑えたいからなるべく自由席で移動しようかな…と、みんな考えるのは同じ。
特に鉄道ファンの方は何度も乗り降りするので、そう簡単に指定回数を消費したくないと考えますよね。
その結果、自由席が連結されている一部の列車はデッキや通路が大混雑となったようです。
特に各新幹線、特急つがる、特急いなほ(秋田行き)などは悲惨1)だったとか。
自由席を連結している列車の利用であっても、敢えて指定席を利用するというのも賢い選択です。
1)悲惨とはいえ、実際に乗車した感覚として述べると、列車を選べば空いています。
B席でもよければ、かつ「ここいいですか?」と荷物をどけさせる勇気があれば、座れるケースが多いです。東京発車時点で満席でも、途中駅で乗り降りがありますので、ずっと立ちっぱなしとなる可能性は低いでしょう。
当たり前ですが、通勤ラッシュと同じで人が向かう方向の逆を行くと空いています。何度も乗降する人は、ラッシュ方面は短時間乗車、ラッシュと逆方面には長時間乗車とするなど、工夫してみましょう。
全車指定特急は指定しないと乗れない
もし常磐線や中央線の利用を考えているのであれば、指定回数は特急ひたちや特急あずさに回しましょう。
これらの特急列車は、必ず指定回数を消費することになります。
どうしても指定回数を消費したくないのであれば、JRE POINTを利用したチケットレス特急券がオトクです。短距離であれば460ポイントで乗れます。
浮いた分を新幹線等に回すのも手ですね。
全車指定快速も賢い
例えば快速海里や快速HIGHRAIL星空などの列車に利用するのは賢い選択です。
もしかすると、最も賢い選択かもしれません。
なぜなら、例えばやまびこの自由席と指定席の差額は530円であるのに対し、通常の指定席料金が840円の観光列車は差額の観点で見ればコスパがいいからです。
もちろん、価値観は人それぞれですが。
余らせるのはもったいない
ここまで「4回しか指定できないから気を付けてね」とお伝えしてきたなかで、意外に感じられるかもしれませんが、この手のきっぷの指定回数は余りがちです。
指定回数にビビりながら使ってみれば、最終日にわかることになります。
実際に私も、最終日に余ってしまい、立席特急券で乗車できるような区間で「せっかくだから」と指定回数を消費してしまいました。
計画的に、大胆に使っていきましょう。
注意点
本券受け取り時に予約済み指定券も同時発券される
JR東日本パスの本券を指定席券売機から発券する際に、その時点で予約している指定券もすべて同時発券されます。
もし最終日の指定席を確保済みの場合、初日に最終日の指定券も発券されることになります。
発券された場合でも変更は可能ですが、その操作はみどりの窓口のみで対応となりますので、利便性が低下します。
手間がかかりますが、最終日の予定が仮予約の場合は、JR東日本パス本券を受け取る直前に一旦「指定席の取り消し」をし、本券受け取り直後に予約を入れなおすことで、指定券として受け取ることなくえきねっと上で管理を続けることができるようになります。
きっぷ(本券)受取後のえきねっと予約発券操作
指定回数を残した状態できっぷ(本券)を受け取った場合は、引き続きえきねっと上での予約が可能です。
しかし、その予約を受け取るときには、きっぷ(本券)だけではなく、えきねっとでの予約情報を指定席券売機に入力する必要があります。この操作は、きっぷ(本券)を受け取るときとほぼ同じです。
一番手っ取り早いのは、きっぷを購入した際のクレジットカードを挿入すること。予約一覧の中にJR東日本パスの内容が表示されますので、ここから画面に従って進めばOKです。
受け取る直前になって初めて、きっぷ(本券)を挿入することになります。
指定券受け取り後はえきねっとから変更不可
指定券を受け取る前までであれば、えきねっとの予約履歴から指定列車を何度でも変更できます。
しかし、受け取った後はえきねっとからの予約変更ができなくなります。
指定券を指定席券売機に入れてもエラーを返されてしまい、一切変更できません。
指定券の受け取り後に変更する場合はみどりの窓口で座席指定を受けることになりますので、キャンセル拾いを狙っている人にとっては利便性が大きく低下します。
なお、えきねっと上での回数を残している場合は、えきねっと上で予約を管理している状況が続いている限り、当該予約は何度でも変更可能です。変更できなくなるのは、あくまで指定券を受け取った回数分について、となります。
座席変更でエラーが出ることがある
予約済みの指定席で、列車変更を伴わない座席変更を行おうとしたとき、
入力方法等に誤りがあります。お手数ですが、最初から操作をやり直してください。(JS0102-00(2112-xxxx-xxxx-xxx))
(xは固有の番号の可能性があるので伏せます)
と表示されて、変更できないことがあります。
このエラーの原因はわかりませんが、回避法はあります。
[座席位置の変更]ではなく[日時の変更]を選択し、既予約の時刻と全く同じもの(座席確保済み)を選択してください。ここから進めば、「同一列車への列車変更」という扱いで座席変更ができるようになります。
これはえきねっと側の欠陥ですので、上手く回避しましょう。
マニア向けの細かな情報
新幹線の赤文字印字は3行まで
新幹線改札機にきっぷを通すと赤文字で乗降記録が印字されます。これはJR東日本パスでも同じです。
しかし、印字回数は3行までに制限されていますので、全ての乗り降りを記録として残すのは難しいでしょう。
印字にこだわりたい人は、パスの使い初めにマニアックな駅に行っておくといいです。
JR東日本パスの発券日は購入操作日
JR東日本パスを受け取ると、左下に購入日が表示されます。
この購入日は受け取り日ではなく、えきねっと上での発券操作日になります。
一方、えきねっと上で領収書を発行すると、書類上の購入日はえきねっと上の発券操作日ではなく、最後にえきねっと上で座席指定操作をした日になるようです。
おもしろいですよね。
…ね?
まとめ
JR東日本パスについて、以下の知見を得ています。この記事は今後も更新を続け、最終的に同様のきっぷが出た際の参考資料として使えるようにまとめ上げます。
- JR東日本パスは新幹線自由席まで乗り降り自由
- 指定席は4回まで(使いどころが難しい)
- 在来線の全車指定特急は立ち乗りできない
JR東日本パス
>> こちら
ではまた。
鉄道マニア向けアナウンス
上記指定券は、いわゆる「指のみ券」のことです。