子どもが小学校に上がったり、未就学児でも指定席を確保する場合には、小児運賃が必要になります。その際にICカードがあると便利です。首都圏では「こども用Suica」と「こども用PASMO」がありますが、子ども1人に対して1枚しか発行できません。「どうせ同じ」と言われるSuicaとPASMO。確かに電車に乗るだけならどちらでもいいのですが、Suicaしか貯められないポイントや、PASMOしか買えないおトクなきっぷがあるので、慎重に選ぶべきです。茨城県在住の我が家はSuicaにしましたが、次々と登場するPASMO限定のオトクなきっぷを横目に、PASMOにしておけばよかったと思い始めています。みなさんはどうしますか?一緒に考えましょう。
SuicaとPASMOについて
SuicaとPASMOの一般的な考え方
鉄道を利用するときに、タッチするだけで運賃の支払いができるICカードは大変便利なツール。2001年に首都圏でSuicaが導入されて以来、順調に適用範囲を広げてきました。
現在、首都圏の交通系ICカードはSuicaとPASMOの2強です。
かつてはSuicaがJR線やごく一部の他社線だけで利用できる状況でしたが、かつてのパスネット(磁気カード)を置き換える形でPASMOが登場すると、JRと私鉄で相互利用が可能に。今ではJRなのか私鉄なのかを気にせずにタッチすれば残高から正しい運賃を引いてくれますので、日常的に鉄道を利用するだけの範囲内であれば、SuicaであろうとPASMOであろうと、気にする必要はありません。
Suica発行のJR東日本「えきねっと」で買える新幹線eチケットは、紐づけ先をPASMOにすることができますし、PASMO発行のバス事業者が発売するIC定期券だってSuicaにも搭載可能です。
買い物だって、Suicaが使えてPASMOが使えないところはほとんどありません(私は知りません)。
つまり、SuicaとPASMOは”ほぼ”同じ。
とりあえず今の段階では、上記の考え方で問題ありません。
こども用Suicaやこども用PASMO
SuicaやPASMOには「こども用」があります。小学生以下のこども運賃が適用される人が持てるICカードです。
こども用Suicaなどを使うと、自動改札機にタッチした際に小児運賃が自動で引かれます。いちいち小児きっぷを買う必要がないため、大人と一緒にスムーズな移動ができるので大変便利です。
最近は新幹線にもICカードで乗車できる時代です。子どもだけ別行動(=磁気券を発行する)となると予約も煩雑になりますので、もはや鉄道移動する家族にとっては必携アイテムとなりつつあります。
しかし、ここで壁にぶち当たります。
その壁というのがこれ。
子どもにはどちらか1枚しか発行できない!
こども用のICカードに関する注意点
発行には係員による身分証明が必要
大人用のICカードは駅の券売機で簡単に購入することができますが、こども用はそう簡単にはいきません。
こども用のICカードを使えば小児運賃で電車に乗れてしまいます。不正乗車を防止するため、中学生以上に発行するわけにはいきません。そのため、発行の際には身分証明を求められます。マイナンバーカードや保険証などを駅に持参することで、初めて発行できます。
その手続きのときに、誰が何を発行したのか記録をされていて、SuicaとPASMOの事業者間で共有されているのです。
その結果、以下のようになります。
1枚しか発行できない
最大の注意点はこれ。
こども1人に対して1枚しか発行できません。
大切なのでもう一度言います。
こども1人に対して1枚しか発行できません。
二重に発行することが許されないシステムが構築されています。
その結果、それぞれ1枚ずつというわけにもいかず、SuicaかPASMOか、どちらか1枚しか発行できないのです。
でも「SuicaでもPASMOでもほとんど同じなんでしょ?」ということで、適当に選んじゃう人も多いですが、何も考えずに軽い気持ちで選んじゃうと、あとで後悔することがあるかもしれません。
それぞれのカードを選ぶメリットを比べて正しく乗り切りましょう。
定期券を購入するなら選択肢なし
まずは大前提として、定期券を買うのであれば選択肢はありません。
もし、JR線のみの定期券を購入する予定があるのであれば、Suicaにしなければなりません。
また、私鉄線のみの定期券を購入する予定があるのであれば、PASMOにしなければなりません。
JR線+私鉄線にまたがる場合であればSucaでもPASMOでも発行できます。ただし、購入する駅がJR線の場合はSuica、私鉄線の場合はPASMOとなりますので、ご自宅の最寄り駅の会社に合わせて選択するのが無難です。
こども用Suicaを選ぶメリット
Suicaを選んだほうがいい子どもの特徴
家族ぐるみでJRE POINTを貯めている!
SuicaはJR東日本が発行する交通系ICカード。老舗中の老舗。
SuicaはJR東日本が展開する「JRE POINT」との相性がよく、日々の鉄道利用や買い物でポイントが貯まっていきます。
JRE POINTの利用価値が上がっていて、1ポイント1円以上の価値を発揮することが多いです。
貯まったポイントはSuicaにチャージできるほか、各種アイテムに交換することが可能です。最近ではえきねっととの連携も強化されていて、割安なポイント数で新幹線eチケットや特急列車のチケットレス特急券にも交換できます。
また、チャージの際に大人が持っているVIEWカードでクレジットチャージすることが可能です。そうすることで、VIEWカードでの決済額に応じて1.5%相当(→0.5%に改悪)のJRE POINTが貯まります。
ごく一部ではありますがSuicaにのみ発券できる「のんびりホリデーSuicaパス」というきっぷもあります。エリア外に乗り越した場合も自動で精算してくれる優れものです。今後もこのような施策が増えていくものと考えられますが、基本的にはSuicaに発券できるきっぷは磁気券でもほぼ同額で発券できますから、気にする必要はないでしょう。
こども用PASMOを選ぶメリット
PASMOを選んだほうがいい子どもの特徴
おトクなきっぷを頻繁に使う!
PASMOは株式会社パスモが発行する交通系ICカード。
Suicaの陰に隠れているようなイメージを持っている人も多いですが、鉄道27事業者とバス78事業者が発行する、JR以外の「その他大勢」からなる巨大勢力です。
PASMOは私鉄各社が発行するクレジットカードとの相性が良く、一体型カードとしてオートチャージすることで各社のポイントが貯まりますが、子ども用PASMOに紐付けるのには制限があることが多いほか、好きなときにチャージすることはできません。
しかし、私鉄各社では、PASMOにのみ発売するおトクなきっぷを出していて、それがどれも魅力的なんです。
例えば東急線では、東急線と東京メトロと都営地下鉄が全て乗り放題になるチケットを発売しています。東急線とみなとみらい線が乗り放題になるチケットもあります。しかし、これらには磁気券はなく、PASMO限定発売になっています。東急線キッズパス(100円)も原則としてPASMO限定発売です。
京急でも、京急線と京急バスが24時間乗り放題で3000円というチケットを発売していますが、これもPASMO限定販売。
上記のようなきっぷはみるみるうちに増えてきていて、PASMOを持つ人だけが享受できるメリットになります。
大人であればSuicaもPASMOも好きなだけ発行できますが、こどもは1枚だけ。
もしSuicaを発行してしまうと、PASMO限定のおトクなきっぷは利用できないことになります。
子どもが同行できないせいで、家族全員の旅程を見直さなければならない事態にも陥ります。
判断の基準
あとの判断はみなさまにお任せしますが…
どうしていいかわからないという人に向けて、とりあえず私なりの判断基準を以下に示します。
各質問に答えてください。
質問 | 判定 | 根拠 |
JR東日本線のみの定期券を買う予定 | ⇒ Suicaにすべき | その定期はSuicaにしか発売できません |
私鉄線のみの定期券を買う予定 | ⇒ PASMOにすべき | その定期はPASMOにしか発売できません |
JR+私鉄にまたがる定期券を買う予定 | ⇒ 自宅最寄り駅の会社が発行するICカードが好ましい | 定期券は自宅近くで買える方が便利です |
JR東日本の在来線を繰り返し使う | ⇒ Suicaが好ましい | JRE POINTがオトクに貯まります |
親がVIEWカードでポイントを貯めている | ⇒ Suicaが好ましい | VIEW ALTTEでチャージができます |
東急線または京急線の沿線である | ⇒ PASMOが好ましい | PASMOのみで買えるオトクなきっぷが充実 |
まとめ
こども用Suicaとこども用PASMOを比較し、以下の知見を得ました。1枚しか発行できませんので、最適なカードを選択しましょう。
- SuicaもPASMOもほぼ同じ
- JR線のみまたはJR線を含まない定期券を発行予定の場合は選択肢がなくなります
- こども用SuicaでもJRE POINTは貯まります
- こども用PASMOでのみ買えるオトクなきっぷがあります
- 最適な1枚を選びましょう
JR東日本(Suicaの発行事業者)
>> こちら
PASMO
>> こちら
東急のおトクなきっぷ
>> こちら
PASMOでしか買えないきっぷがあります
小児用ICカードは主に小学生に対して発行されますが、未就学児に対しても発行することは可能です。大人に同伴される未就学児は原則無料ですが、座席指定を受ける場合は小児運賃が必要になるため、未就学児でも持っておくと便利です。
JR東日本では、えきねっと限定の割引きっぷ「えきねっとトクだ値」を発売しています。新幹線の場合は「新幹線eチケット」を利用することになり、子どもが大人と一緒に快適な移動をするにはICカードが必要になります。
お気に入りのICカードと一緒に子育てを楽しみましょう。
ではまた。