新宿と河口湖を結ぶ特急富士回遊は外国人観光客から人気が高く、満席を越えてデッキ通路まで人が溢れることもあります。一時的に空いている時期もありましたが、今は逆戻り。指定席を取れなかったら、富士急行線内を普通列車で移動することも考えましょう。もし指定席を取れたのであれば「富士急行線内をゆっくり走るE353系の旅」を存分に楽しみましょう。
富士回遊とは
車両と運行区間
富士回遊はJR東日本と富士急行が運行する特急列車です。
使われるのは中央線特急のE353系という車両です。
富士回遊は新宿ー河口湖間を基本とする運行体系になっています。
JR中央線から富士急行線に直通し、新宿から乗り換えなしで河口湖まで行ける貴重な列車です。
列車名 | 新宿発 | 河口湖着 | 備考 |
富士回遊3号 | 0730 | 0928 | 千葉0638発 |
富士回遊7号 | 0830 | 1027 | |
富士回遊11号 | 0930 | 1130 | |
富士回遊15号 | 1030 | 1222 |
土休日は数分の変更があります
列車名 | 河口湖発 | 新宿着 | 備考 |
富士回遊32号 | 1410 | 1607 | |
富士回遊36号 | 1455 | 1657 | |
富士回遊44号 | 1642 | 1845 | |
富士回遊48号 | 1733 | 1931 |
土休日は数分の変更があります
一部の列車は千葉始発となっています。臨時の富士回遊号が運転されることもあります。
これは便利ですよね。
特急料金の計算方法
富士回遊の特急料金はJR東日本線と富士急行線で別々に計算されて合算します。
JR東日本線は、新宿・立川ー大月間が1020円、八王子ー大月間が760円。
富士急行線は600円です。(※短い区間を利用する場合は400円)
よって、新宿ー河口湖間を乗り通すと1620円となります。
指定席を確保できなかった場合は、座席未指定券で立席利用することができます。この場合でも座席を指定した場合と料金は同じです。
一方、えきねっとチケットレス割引を利用すれば100円引きとなります。満席で立っていくよりもチケットレスで座席指定した方が安いという逆転現象も起きます。
※JRE POINTを用いたチケットレス特急券はJR線区間のみが対象(富士急行区間を含む場合は利用不可)
富士急行線内はゆっくり走る
富士急行線内は速度を出せず、前を走る列車を追い抜くこともありません。
普通列車も特急列車も、大月(河口湖)を出発した順番に河口湖(大月)に到着します。
それなのに600円を支払うのか?と思われるかもしれませんが、速度を出せずに時間がかかる区間に着席する権利を600円で買えると考えればどうでしょう?
やっぱりオトクですよね。
座れるからこそ意味があるのです(のちに重要)。
さぁ、今週末は富士回遊でお出かけだ!と思ったあなた。
ちょっと待った。
富士回遊は大混雑
「富士回遊だけ満席」もザラにある
富士回遊には弱点があります。
まずは、ある週末の大月→新宿間の空席状況をご覧ください。
見事に富士回遊だけが満席御礼となっております。
こうなってしまう背景にはE353系の車両事情があります。
E353系には9両の基本編成と3両の付属編成があるのですが、富士急行線に入ることができるのは3両の付属編成のみ。
見どころがありすぎる富士・河口湖エリアへのアクセス列車が3両編成。
そりゃあ、パンクしますよね。
そして、富士回遊は直前のキャンセルが出にくい列車の一つでもあります。
これは、富士急ハイランドなどへのツアーに組み込まれているケースが多く、直前の旅程変更が少ないためです。
もちろん諦めるのはもったいないですが、買おうと思った時に満席だった場合は当日まで指定席を確保できない前提で計画したほうがいいでしょう。
満席の富士回遊は「乗る意味なし」
前述のとおり、デッキや通路に立ったとしても特急料金は同額必要です。
一方、富士急行線内では速達性も乏しく、前の列車を抜かすということもありません。
富士回遊は「座れるからこそ意味がある」わけです。(※個人の感想ですが同意してくれる人が多いはずです)
通路に立ちっぱなしで行く富士急行線の旅に旅情の欠片もありません。
せっかくの快適な旅が台無しです。
富士回遊満席時の代替案
日程に余裕がある場合
新宿ー大月間を「あずさ」「かいじ」で移動する
じゃあどうすればいいの?という話ですが…
もう一度ご覧ください。
確かに富士回遊は満席ですが、あずさやかいじには空席が残っています。
これを使わない手はありませんよね。
指定席が取れないのであれば新宿ー大月間は特急あずさ/かいじを利用し、大月ー河口湖間を普通列車で移動するのがおすすめです。
普通列車は205系をベースに改良された通勤仕様ですが、座席の指定はありませんので(どこかで)座れる可能性が高いです。
また、富士急行では普通列車にもこだわりを持っていて、トーマスランド号などで運転されることもあります。
新宿ー大月間を「普通列車」で移動する
以前から新宿ー大月間を直通で走る普通列車は運転されていたのですが、2024年3月のダイヤ改正で本数増となっています。
日中時間帯を中心に毎時1本程度運行されています。
いざとなったら特急列車を使わなくても大月までたどり着くことができることは覚えておきましょう。
日程に余裕がない場合
とはいえ、上記の方法は時間的な損失が生じます。
確かに特急列車は普通列車に対して所要時間の点では優位性がほとんどありませんが、普通列車が発車するタイミングまで駅で待たなければならないのはロス以外の何物でもありません。
どうしても早く行かなければならない場合は、新宿⇔河口湖の座席未指定券を買って、立っていく覚悟をしなければなりません。
富士回遊が満席だから指定席を買えないのです。運よく新宿発車時点で座れても、その先で絶対に立つタイミングが訪れます。
少しの区間でも座りたいのであれば、新宿⇔大月間を「あずさ/かいじ編成」に乗っておくといいでしょう。
もし「あずさ/かいじ」に空席が残っていれば、大月まで(から)は座れるかもしれません。ただし、大月で乗り換えるのを忘れないように。
大月から(まで)は立ちの時間となりますが、急いでいるのだから我慢です。
富士回遊の指定席を取れたら
そんな大混雑の富士回遊ですが、指定席が取れたら快適な列車旅が待っています。
富士回遊の座席
繰り返しになりますが、富士回遊はE353系で運転されますので、中央線の特急と同じ設備になります。
青を基調とした座席。
白を基調とした車内。
もちろんコンセント付きで、スマホのバッテリーも大喜び。
最前列なら大きなテーブルがあります
最前列のシートに腰掛けます。
最前列だと窓枠がついてきてしまいますので、好みが分かれます。
一方、他の座席と比較して奥に深いテーブルが設けられていて、大きめの荷物も目の前に置き放題です。
また、通常は足元に備えられているコンセントも、最前列では座面横に配置されているので、スマホ充電中にコードが邪魔になりません。
大きなトイレもあります
狭い車内ではありますが、しっかり車椅子対応のトイレが設置されています。
お体の不自由な方はもちろん、お子様連れの場合にも重宝しますよね。
この巨大トイレは2号車と3号車の間にありますので、使用予定のある場合には3号車の2号車寄りを確保するとよいかと思います。
デッキから客室に繋がる通路もかっこいいですね。
富士山駅でスイッチバック
かつて「富士吉田」という名前だった富士急行の拠点駅。
今では「富士山」という駅名に変わっています。
ここは行き止まりの駅になっていて、各列車が折り返し運転をしています。
ちょっと短い間ですが、富士山駅の駅名標をバックに写真を撮ることも可能ですよ。
富士急行線内をゆっくり走る
繰り返しになりますが、富士急行線の旅は急ぎません。
JR東日本の看板特急E353系はスピード重視の車両ですが、富士急行線内ではのんびり走ります。
線路を刻む「ガタンゴトン」という音色(ジョイント音といいます)も富士急行線なら楽しめます。
シートに身を任せて外をぼーっと眺める贅沢な時間を過ごすのが正解でしょう。
大月で連結する
前述のように、富士回遊は中央線方面の特急列車と大月で切り離し・連結します。
特に上り列車においては、富士回遊側が時間に余裕を持って大月駅に到着するので、一回ホームに出て連結シーンを楽しむのもありでしょう。
特に小さいお子さんがいらっしゃる場合、狭い車内で長時間我慢するのも大変ですよね。
大月での作業時間は貴重な「解放時間」となりますので、ホームに出て外の空気を思いっきり吸わせてあげましょう。
中央線での本気走り
中央線での本気走りは、特に上りの富士回遊で感じやすいです。
富士急行線を抜けて、あずさ・かいじと連結したあとは高速で新宿をめざします。
新宿⇔大月間はE353系本来の性能を十分に発揮した本気走りになります。
両極端なE353系の様子を楽しめるのも富士回遊の醍醐味だったりします。
ちなみに、高尾⇔大月間は高速走行のまま連続的にトンネルに入ります。耳がキーンとなりますので、小さいお子さまをお連れの場合は飲み物の準備を。
「富士急ハイランド」は入園無料
余談ですがお付き合いください。
実は沿線の「富士急ハイランド」には無料で入園できるんです。
しかも、パークの中にスタバが入店していて、富士急行の旅の貴重な補給スポットになります。
私もここでカフェミストを購入しました。
指定席を取れたら列車内に持ち込んでゆったり帰りましょう。
まとめ
混雑必至の「富士回遊」ですが、上手く活用して快適な旅行を楽しみましょう。
- 富士回遊なら新宿から河口湖まで乗り換えなしでアクセス可能
- 富士急行線内をのんびり移動
- 大月での連結作業時間は貴重なリフレッシュタイム
- 富士回遊は満席になることが多い
- 立席で移動するくらいなら普通列車の利用もご検討を
- 富士急ハイランドは無料で入れる
ではまた。