「サフィール踊り子」は子どもに優しい。子連れでプレミアムグリーンに乗車した感想。

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鉄道
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2021年9月最後の週末。5歳のこどもを連れて、伊豆急下田から横浜までサフィール踊り子のプレミアムグリーンに乗車した際の感想です。全席グリーン車の環境に恐縮し、乗車をためらっている家族に宛てています。なお、小学生の特急料金(グリーン)は大人の半額にはならず、大人とほぼ同額がかかりますので、お財布の面では覚悟が必要。

この記事では
・サフィール踊り子には普通席はないの?
・グリーン車って子どもが乗ってもいいの?
・子どもが乗った場合の料金は大人の半額?
こんなご家族連れの疑問に答えるとともに、
・うるさくしたら迷惑な雰囲気?
・子どもが乗ってきたら邪魔なんだけど
と思っている大人の皆様にも読んでほしいと思っています。

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サフィール踊り子とは

誕生は2020年3月14日

2020年3月14日。コロナの脅威が日本列島に迫る時、3つの嬉しい出来事を含むダイヤ改正が行われました。

1つ目は「高輪ゲートウェイの開業」。山手線では初めてとなるキラキラネームは賛否を呼びましたが、久しぶりの新駅開業に活気付いたことは確かでしょう。

2つ目は「特急ひたちが仙台へ」。9年ぶりに常磐線が全線再開した際、震災前に決定した「特急いわき分断」を覆し、復興最優先でE657系を品川ー仙台直通で送り込み話題となりました。

そして3つ目は「サフィール踊り子の運転開始」です。

オールグリーン車の観光特急

サフィール踊り子は、かつて走っていた「スーパービュー踊り子」を置き換える形で登場した観光特急です。

サフィールの語源は宝石の「サファイア」にあるとか。

東京・新宿ー伊豆急下田間を東海道線・伊東線・伊豆急行線を経由して結びます。

編成の全てがグリーン車以上で、普通席はありません。

座席タイプを4両、グリーン個室を2両、最高級のプレミアムグリーン車を1両繋いでいます。

後ほど詳しく説明しますが、通常版の「特急踊り子」とは、そもそもの料金体系が異なります。同じグリーン車でも、サフィール踊り子の方が高いです。

少子高齢化(人口減少)の中で収支を改善するには客単価を上げるのが有効。そのような事情もあったのでしょう。

そんな高級な列車、誰が乗るの??

いやいや、伊豆方面へのちょっと贅沢な旅行のツールとして選ばれているようです。

空席状況を見ると、コロナ禍で苦戦する列車が多い中でもサフィール踊り子の利用率は好調に推移しているように見られます。

ただ、サフィールに乗りたい家族にはハードルが。

子どもが使っていいのか問題

真正面からぶつかるのは「全席グリーン」の壁ですね。

料金面と環境面でハードルを感じることでしょう。

料金の壁

最新の運賃・料金は予約時にご確認ください。

まずは料金面での注意点。

通常、乗車券や特急料金は大人の半額になりますが、グリーン料金はおとな・こども同額です。

通常の「踊り子」と比べて料金が跳ね上がります。

大人=乗車券+特急料金+グリーン料金
小人=乗車券(半額)+特急料金(半額)+グリーン料金(同額)

踊り子を利用せずにサフィール踊り子を選択することによる料金変動は、大人と子どもでほぼ同じ。

乗車券

乗車券は、鉄道で移動する場合に絶対に必要になる「運賃」で、どの列車を選択しても変わりません。

東京ー伊豆急下田おとなこども
運賃(必ず必要)3,9601,980

乗車券は基本のコストのようなもの。

これに下記の特急券がプラスで必要になり、その合計が必要な費用となります。

特急券

特急券は、特急列車に乗車する場合に、乗車券とは別に必要になる料金券です。

普通列車で移動する場合は不要ですが、特急踊り子で移動する場合は【通常の踊り子号】、サフィール踊り子で移動する場合は【サフィール踊り子号】の該当設備に応じた特急料金が必要です。

なお、下表の料金内に「グリーン料金」も含まれます。

【通常の踊り子号】おとなこども
普通席2,1001,050
グリーン席4,7804,050
【サフィール踊り子号】おとなこども
グリーン席5,8504,720
プレミアムグリーン席8,1707,040

特急券について、本来はこどもは大人の半額となります。しかし、グリーン料金は大人と同額です。サフィール踊り子号の場合は、料金のほとんどをグリーン料金が占めますので、こどもも大人とほぼ同額がかかると考えなければなりません。

サフィール踊り子号は「首都圏の全車指定席の特急に適用される特定特急料金」の対象外のため、割高なA特急料金が適用されています。そのため、ベースの特急料金が通常の踊り子と比較して高めに設定されています。

なお、未就学児は座席を占有しない限り無料ですが、座席を使用するのであれば小児運賃・料金が必要になります。詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

車内環境の壁

主にネット上で繰り広げられる「こどもグリーン車問題」。

お金で静寂を買っているんだから子連れはあっちいけと排除する風潮が一部でいまだに残っているようです。

とにかく賛否両論渦巻く世界ですが、事実として他のお客さんもグリーン車の旅を楽しみにしています。

子どもを連れて乗ると決めたからには、うるさくしそうな場面ではデッキで過ごすなど、それなりの覚悟は必要です。

本当にサフィール踊り子での旅を楽しめるのだろうかと、一度考えた方がいいかもしれません。

ちなみに当サイトでは何を言われても子どもを連れた旅行を全面的にサポートする立場を貫いていますので、もし不快に思われるのであれば、今すぐ帰っていただいた方がいいですよ。

なんてね。

プレミアムグリーン車に乗車

で、前述の事情をいろいろ考えた結果の判断。

今回はハードルを思いきり飛び越えてプレミアムグリーンを選択。

もちろん楽しみより恐怖が勝るわけですが、プレミアムグリーンの利用者とならなければ、見学すらさせてもらえません

しかも伊豆に来る機会なんて滅多にない。

ここで子どもを理由に退いてはプレミアムグリーンを楽しむことは10年以上お預けになる…

果たしてその時、自分は生きているのだろうか。

えきねっとで予約した指定席券。受け取らない限りは変更できる…

受け取るか受け取らないか。

当然、その決断は往路の伊東駅の指定席券売機の前までもつれ込み、QRコードをかざしては取消を2回は繰り返しましたが…

最終的には覚悟を決めて発券です。

出てきました。

伊豆急下田から横浜まで、特急料金が1,610円+Pグが4,150円。合計5,760円なり。

乗車時間は2時間22分なので、割り算すると1秒あたり0.676円支払っていることになります。

なんて贅沢な…

伊豆急下田駅の様子

今回利用するのは土曜日の夕方の東京行き「サフィール踊り子4号」です。

伊豆急下田発の上り特急としてはこの日の最終列車となります。

伊豆急下田はターミナル駅となっていて、サフィール踊り子は改札口近くに停車します。

上り列車の場合、プレミアムグリーンは最後尾車両になるので、改札入って30秒で車内に至ります。

入口には見たこともない宝石のマークが付記されています。

3人とも人生初のサフィール。しかもいきなりのプレミアムグリーン。

「静かにするんだよ、静かにね。」

なぜこんなに言いつけなければならないのか。そりゃあ、子どもははしゃぎたいよね。

小さい子どもに我慢ばかり強いて…自分たちがやっていることは正しかったのか。

自責の念を抱えながら、恐る恐る立ち入ると…

第一印象「グランクラスを越えてきてるな」と思うと同時に「この座席で大丈夫かな」。

そして、背後から迫るアテンダントさん。

怒られてしまうのか?

…と思いきや、「プレミアムグリーン以外の乗客がプレミアムグリーンに立ち入らないための検札」を兼ねた巡回だったようです。

終始ニコニコでちょっと安心。

なお、車掌の端末に座席の発売状況が反映されるため、特急券の提示を求められることはありませんでした。

発車時点では貸し切り

サフィール踊り子号の伊豆急下田発車時点では我々家族以外皆無の状態。

遊ぶなら今だ。

斜めに回すことのできる椅子をぐるぐるしてみたり、カシャカシャ写真撮ったりして、ひとしきりの記録を終えていきます。

伊豆急行線内での利用は限定的で、あと1人乗車されただけでした。

アイスがこの世のものではないほど美味しい

「車内販売でございます」

子どもを連れている我々を狙い撃ちするようなタイミングで「アイスクリーム~」って言ってくれてしまいます。

そのキーワードを娘は逃しません。

カチカチに凍った状態で届いたマンゴーアイス

当然、子どもは溶けるのを待てるわけがないので、無謀にも木のスプーンでカチカチアイスに挑むのですが、お約束のようにスプーンはすぐ折れます。

あぁあと思ったら、袋の中にもう1本、予備を入れてくれていました。

そこまで予想していてくれたんですね。

一口もらいましたが、その味は想像を越えてきます。値段もプレミアム(600円)ですが、余裕があればぜひ。

テーブルが楽しいらしい

プレミアムグリーン車の広すぎる席。

肘掛けからテーブルを出すと、子どもと対面で向かい合うことができます。

伊豆急下田駅で手に入れた詰め放題の恐竜と海の仲間たちを並べて遊んでいました。

なかなか楽しそうですが、後ろの列にお客さんがいらっしゃると目障りになる可能性がありますので、やる場合は後方確認を…

騒音対策でデッキに”避難”する

列車は伊豆急行線を走破し伊東に至ります。ここからJR東日本管内。

プレミアムグリーンでは、伊東・熱海での乗車が著しく、ガラガラだったはずの予約も結局70%程度まで上がったようでした。

人が増えてくるとどうしても我が子の発する声が迷惑になっていないか気がかりで、デッキで過ごすことも多くなってきました。

そんなとき、デッキでアテンダントさんが手渡ししてくれたのがこれ。

へぇ、こういうコースターみたいなのがあるんだね!?と思ったら、

手書きのメッセージカードでした。

オリジナルのキャラクターも書いてあります。

ありがたいと思うと同時に、スーパービュー時代から変わらずに、サフィールでも子どもを歓迎してくれるんだと分かり、嬉しくなりました。

落ち着いたところで席に戻り、しばしの休憩。

列車は東海道線を疾走。

落ち着いて車内を見てみると…

  • 周りの環境に左右されず自分達の時間を楽しむ人
  • 席を少し動かすときに後ろの人に丁寧に話しかける人
  • アテンダントさんとフランクに話す人…

どこかプレミアム感が出ています。やはり我々は入ってはいけない環境だったのか。

自分たちが言うのも変ですが、グリーン車に乗り込んでくる子連れごときに舌打ちするような人は全く見かけず、杞憂に終わりました。

もうちょっとゆっくり走ってくれても良いのですが、残念ながらまもなく横浜に到着です。

楽しい旅になりました。

まとめ

子どもを連れてサフィール踊り子に乗車し、以下の知見を得ました。

  • サフィール踊り子の指定席は取りにくい
  • 子どもでも大人の半額にはならない
  • 子どもを歓迎してくれるムードはある

アテンダントのみなさま、同席された乗客のみなさま、ありがとうございました。

わが子よ、親のわがままに付き合ってくれてありがとう。

サフィール踊り子
>> こちら

お子様連れでサフィールに乗りたいと思っている読者のみなさまも、良い旅を。

ではまた。

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