【幼児】新幹線指定席や普通列車グリーン車。未就学児でも有料となるケースを座席種別ごとに解説。

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鉄道
この記事は約10分で読めます。

大人は大人運賃、小学生は小児運賃。では、未就学児は!?という問いに対し、無料であると答える人が多いです。実際には無料であるケースが多いですが、では座席を利用する場合はどうでしょうか?自由席と指定席で全く異なる対応になります。未就学児でも座席を確保する場合には、小児料金が必要です。また、小児料金を支払う場合、座席指定料金だけでなく、運賃も必要になります。旅客営業規則第73条をもとに解説をしていきます。

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はじめに

この記事では、未就学児(6歳未満及び小学校入学前の6歳児)を連れて電車に乗る時の話題に触れます。

子連れでの旅行に対して感情的な話題が多い昨今ですが、あくまで本記事では規則に基づいて、未就学児を連れて新幹線や特急列車、首都圏の普通列車グリーン車に乗車した時に、子どもに対する料金が必要かどうかをお伝えしています。

子連れでの旅行や、小さいお子様の単独座席利用、グリーン車の利用に関して是非を問うものではありませんので、そのような話題をお探しの方は別のサイトにご移動ください。

お子様連れの読者の方は、どうぞ安心してこの先にお進みください。

原則「未就学児は無料」です

小学校入学前の未就学のお子様は、大人または小児1人に対して2人まで、無料で乗車することができます。

3人目からは小児運賃・料金がかかりますし、極めて稀なケースですが、未就学児が単独で乗車する場合にも小児運賃・料金がかかります。

このページでは、同伴する幼児が2人以内である場合において、例えば「未就学児無料」などと記載しています。3人目以降は当てはまりませんのでご注意ください。

小児の基準は「小学生」です。
※6歳以上12歳未満ならびに12歳の小学生が該当、ただし未就学の6歳は含まれない…などと説明されますが、それはつまり「小学生」です。

幼児の基準は「1歳以上の未就学児」です。
※1歳以上6歳未満ならびに6歳の未就学児が該当…などと説明されますが、それはつまり「未就学児」です。
※ただし0歳は乳児という、さらに緩い基準となり、人数に関わらず無料となります。

…ここまではある意味常識ですよね。わかっている人が多いと思います。

問題はこの先ですよね。

未就学児でお金がかかる/かからないケース

結論はこちら

大人1名に同伴する未就学児1名にかかる運賃・料金を下記の表にまとめました。

ここに書いてある内容が規則をもとにした結論で、後ほど解説を挟んでいきます。

項目未就学児が
1席使う場合
未就学児が
お膝の上の場合
未就学児が
デッキ等に立つ場合
普通列車普通車自由席
(いわゆる一般的な電車)
無料無料無料
新幹線特急列車指定席
(全車指定席の列車を含む)
小児運賃料金無料立席無料
新幹線特急列車自由席無料無料無料
普通列車普通車指定席
(ポケモントレインなど)
小児運賃料金無料(原則乗車不可)
普通列車グリーン車自由席
(首都圏の2階建てグリーン車)
無料1)無料無料
1)普通列車グリーン車自由席の扱いには諸説あります

規則に基づいた解説

JR線のルールは旅客営業規則にまとまっていて、誰でも閲覧することができます。

未就学児の利用に関しても旅客営業規則第73条に示されています。

文字がぎっしり並ぶ約款が嫌いな人も、ちょっと覗いてみましょう。

旅客営業規則第73条

第2項
前項の規定による幼児又は乳児であっても、次の各号の1に該当する場合は、これを小児とみなし、旅客運賃・料金を収受する。

  1. 幼児が幼児だけで旅行するとき。
  2. 幼児が、乗車券を所持する6才以上の旅客(団体旅客を除く。)に2人を超えて随伴されて旅行するとき。ただし、2人を超えた者だけ小児とみなす。
  3. 幼児が、団体旅客として旅行するとき又は団体旅客に随伴されて旅行するとき。
  4. 幼児又は乳児が、指定を行う座席又は寝台を幼児又は乳児だけで使用して旅行するとき。
  5. 幼児又は乳児が、第140条の2の規定により当社が確保した座席を使用して旅行するとき。

第4項
第2項の場合の外、幼児又は乳児に対しては、旅客運賃・料金を収受しない。

第5項
特別車両料金、寝台料金及びコンパートメント料金は、旅客の年齢によって区別しない。

引用:旅客営業規則

ここでポイントとなるのは第73条第4項です。

この規則によると、未就学児は運賃・料金ともに無料であると明記されています。

ただし、第73条第2項(4)には、指定席を利用する場合には未就学児でも小児として取り扱う(=小児運賃・小児料金が必要)ということも明記されています。

以下では、実態も含めて詳しく解説していきます。

以下の項目では、大人1人に対して同伴する未就学児が2人以下である前提で話を進めます。3人以上の場合は超えた人数に対して小児運賃・料金が必要です。

普通列車利用の場合

いわゆる一般的な鉄道利用に関してなので、常識かもしれませんが…

普通列車を使う場合は、未就学児は無料です。

お子さまが立っていても、膝の上に座っていても、座席を1席使用しても、運賃はかかりません

もちろん、車内が混雑している場合で、かつお子様がお膝の上に乗りそうな年齢であれば、無理のない範囲で席を空ける配慮は必要ですが、第三者が「タダで乗っているんだから席を空けろ」と言うのは、倫理的にも規則的にも違うということを申し添えておきます。

新幹線・特急列車利用の場合

ここから先がちょっと複雑です。

新幹線や特急列車の話題では、指定席と自由席に分けて考えていきましょう。

指定席の場合

新幹線や特急列車には指定席と自由席があります。一部の列車には自由席がないものもありますよね。

繰り返しになりますが、旅客営業規則第73条第2項(4)では、指定を行う座席を幼児だけで使用する場合は小児として取り扱う旨が示されています。

よって、指定席の車内において座席を使用する場合には、たとえ未就学児であっても小児運賃と小児特急料金が必要です。

このことは(特に混雑した車内において)アナウンスにより改めて周知されることがあります。

大人の半額とはいえ、ちょっと痛い出費になりますが、座席を使うのであればそうなりますので、ちゃんとお支払いしましょう。

ちなみに…ガラガラの車内である場合。

実態としてはお膝の上のお子様を一時的に隣の座席に座らせる行為は即座に問題になることはあまりありません。

しかし、これはかなり黒寄りのグレー。あくまで規則では「指定を行う座席又は寝台を幼児又は乳児だけで使用」した場合は、その子を小児として取り扱う取り決めがされています。

「座席を確保する場合」という規則であれば空席である限り座らせるのは合法なのですが、あくまで「座席を使用する場合」と規定されている以上、空席であっても座らせるのは本来はダメ。

実態では目をつぶってくれる路線があることも知っていますが…あくまでダメであることを頭に入れておきましょう。そうすれば、自然と状況をわきまえた行動が伴うはずですね。

自由席の場合

一方、自由席の場合は話が変わります。

旅客営業規則第73条第2項(4)で規定されているのは、指定を行う座席に対してのみです。

自由席の場合は、指定を行っていないわけですから、未就学児を座席に座らせても小児扱いにはなりません。つまり、無料でそのまま使えます。

自由席の座席であれば、無料で堂々と1席使ってOKです。

ただし、自由席車両が混雑していて立ち客が出ているときは、無理のない範囲内で譲り合いのお心がけを。

普通列車普通車指定席

ここでの普通列車には快速列車を含みます

主に臨時列車や観光列車として運転されている普通列車普通車指定席。

お子様連れの場合では、例えば「ポケモントレイン」などが利用機会が多い例として挙げられると思います。

未就学ですが、小児運賃・料金を払っています

このような列車は全車指定席であることが多く、乗車には指定席券が必要になります。

もし、未就学児であっても、座席を必要とする場合は小児と同じ扱いになりますので、小児運賃と小児料金がかかります。

特にボックスシート型の観光列車の場合、乳児でない限り膝の上は厳しいと思います。また、人気列車であるため、隣接の空席は埋まることが多いです。

よって、未就学児でも座席を確保されることを強くお勧めします。

風っこの車内

普通列車グリーン車自由席

最後に、首都圏を中心に走る二階建ての車両「普通列車グリーン車自由席」について触れたいと思いますが…

これはちょっと難しいですよ。

結論は「未就学児無料」

結論から言うと、首都圏の普通列車グリーン車は自由席であり、座席の指定を行っていないので、未就学児が1席使っても料金はかかりません

このことは、遠回しながらJR東日本の公式サイトで説明書きがあります。

◆「幼児」、「乳児」の運賃・料金
「幼児」、「乳児」は無料ですが、次の場合は「こども」のきっぷが必要です。
1.「おとな」または「こども」1人に随伴される「幼児」の人数が2人を超える場合(3人目から「こども」のきっぷが必要です)
2.「幼児」「乳児」が1人で指定席、グリーン席(自由席グリーン車を除く)、寝台等を利用する場合
3.「幼児」が単独で旅行する場合

引用:子どもが列車に乗る時にはどのようなきっぷが必要ですか?(JR東日本)

「こどものきっぷが必要」とされる場合から、わざわざ「自由席グリーン車」を除いています。

つまり、首都圏の普通列車グリーン車を未就学児が使っても無料というのが公式見解ということになります。

第4項では

第4項
第2項の場合の外、幼児又は乳児に対しては、旅客運賃・料金を収受しない。

と書いてくれているわけですから、第2項に該当しない普通列車グリーン車自由席の利用においては料金を収受しない。と結論付けているのでしょう。

実際に未就学児分のグリーン券を持たずに乗車すると、アテンダントの方が小学生未満であることを確認の上、当該の座席のランプを緑色に変えてくれることもあります。

一方、乗車率が高くなってくると、膝の上に座ってもらうようにお願いすることがあるそうです。これは「満席の場合は新しく乗車される方のグリーン券を払戻しなければならない」というJR側の事情があるためと思われます。

規則を読み解くと複雑です

結論や実際の運用は前項での結論のとおりです。
ここから先は混乱をきたす可能性がありますので、規則を読み解きたい人だけお読みください。

…と、ここまで書いてきましたが。

公式見解が無料とはいえ、座席を使用する未就学児に対して料金が必要と言われたときに、旅客営業規則を武器にして言い返す自信は、私にはありません。

というのも…

第5項
特別車両料金、寝台料金及びコンパートメント料金は、旅客の年齢によって区別しない。

という項目に引っ掛かりを覚えるんです。

この規則は、グリーン料金は大人とこどもで同額だということを言いたいだけだとは思うのですが、拡大解釈していくと…

特別車両料金(グリーン料金)は旅客の年齢を区別しないんだから、未就学児であっても大人のグリーン料金が必要だという主張が通ってしまう可能性があるのです。

「大人とこどもの区別」ではなく「年齢の区別」と書かれていますよね。未就学児というのも幼児という年齢の区別です。

もしそうだとすると、グリーン料金に関しては未就学児でも大人と同額を払う必要が出てきます。

しかし、あくまで特別車両料金(グリーン料金)に対して年齢を区別しないだけなのだから、未就学児は未就学児のまま。その未就学児が、指定を行う座席を使っているわけではないので、小児という扱いは受けないはずです。つまり、グリーン料金は必要だけど、小児運賃はいらない…という捻じれた解釈が生まれてきます。

もちろん、第5項の上位に第4項があるのであれば、グリーン料金も無料という解釈で押し通せますが…

深読みを始めると難しいので、このあたりでやめましょう。

まとめ

未就学児の鉄道利用時に必要な料金について、以下の知見を得ました。

  • 基本的に有償旅客に同伴の未就学児は2人まで無料です
  • 新幹線や特急利用の場合でも、自由席であれば無料です
  • 指定席を利用の場合は、座席を使用するのであれば小児と同額が必要です
  • 首都圏の普通列車グリーン車は、公式見解として未就学児無料です。

ではまた。

編集後記
我が家にも未就学の子どもがいますが、もう膝の上には座れません。そのため、指定席の列車を利用するときは小児として運賃と料金を支払っています。そんな時に助かるのが週末パスという「小児運賃が割安」のきっぷ。本来であれば、指定席を利用する区間のきっぷだけを買えばいいのですが、その計算も必要がないくらい安いので買っちゃうことが多いですね。ちなみに下の写真の週末パス、よく見ると子どもの分だけ新幹線の改札を通していないことが分かると思います。これは、特急料金が割高となる新幹線区間を自由席で移動したからです。自由席なので、大人の同伴幼児として無料で乗車できます。ただ、中央線や常磐線には特急列車に自由席はありませんので、週末パスが威力を発揮するんですね。こどもが安いきっぷ、助かります。

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