この記事は一般利用者向け(前半)と鉄道ファン向け(後半)の2部構成です。
(一般利用者向け):指定席券の変更は指定席券売機でも行うことができます。その際に、赤文字で「指定席取消済」や「指定券発行済み」などと赤文字で印字された「元のきっぷ」と、新たに指定した列車の座席が示された「新しいきっぷ」が2枚出てきます。それぞれのきっぷに役割があるので、元のきっぷも捨ててはいけません。一部の新幹線指定席券は、乗車変更しても「新しいきっぷ」のみの発行となる場合があります。
(鉄道ファン向け):原券の指定席券売機への挿入方向を間違えると「赤文字」が逆さに印刷されてしまいます。正しい挿入方向を解説します。原券+指のみ券の組み合わせとなった場合は、たとえ同一列車内の座席位置変更のみで乗変扱いではないきっぷでも、以降の変更は指定席券売機では対応不可となります。
指定席の乗車変更
JR線の新幹線・特急・快速などの指定席券は、未変更かつ発車時刻前に限り、1回のみ無手数料で別の列車に変更することができます。
通常は「みどりの窓口」で変更作業を行っていただくことになりますが、指定席券売機で操作できたらうれしいですよね。
実は、以下の条件に当てはまる場合は指定席券売機でも取り扱いすることができます。
指定席券売機で乗車変更できるケース
- 同じ日の変更であること
- 同じ区間の変更であること
- 原券に金額が印字されていること
- 変更前後で金額の変更がないこと
- 原券が未変更であること
- オトクなきっぷを用いた指定席券ではないこと
※なお、一部の新幹線特急券は、日付や設備の変更(金額の増減が伴う変更)にも対応しています。
難しいことを書いてきましたが、最も多いケースである「当日に前後の列車へ変更する」という乗車変更であれば、指定席券売機で簡単にできます。
(JR東日本の場合)
指定席→指定券の変更→原券の挿入→新しい列車の選択→原券+新しいきっぷの受け取り
>> 公式サイト
指定席券売機で変更すると2枚に増える
指定席が取り消された原券(元のきっぷ)が返されます
さて、指定席券売機で変更したことがある人であれば分かるかもしれませんが…
実は、指定席券売機で変更すると、多くの場合で「きっぷが2枚に増える」現象が見られます。
原券(元のきっぷ)に「指定席取消済み」と印字され、新しく指定した列車・座席番号が印字された新しいきっぷとともに返されます。
「元のきっぷは取り消されたんだから要らなくない!?」
などと言って捨ててしまうと…後で問題になります。
実はこれ、指定席が取り消された原券は取り消されているのは指定席だけの効力を持つきっぷなのです。
原券は「代金相当の効力を持つ」席なし券
指定席を取り消されてしまった原券。その役目を終えているかと思われますが、実は「席なし券」と呼ばれる大変重要なきっぷです。
特急券の場合「席なし特急券」としての効力を持ちますし、指定席券の場合は「席なし指定席券」…!?ちょっと説明が難しいですが、伝わりますでしょうか。
席はもぬけの殻だけど代金相当の効力を有しているきっぷと言えば伝わるでしょうか。
「席なし券」は、そのきっぷのみでは席を押さえることはできませんが、新幹線や特急列車に乗車したり、別の手続きを経て席を押さえるだけの効力は持っているのです。
新券は「ただ席を押さえている」指のみ券
一方、新しく発券される、実際に乗車・着席できる席番号が記載された新券。こちらももちろん重要ですが、これだけでは効力は発揮しません。
「指定券」または「新幹線指定券」と明記される新券は、別名「指のみ券」とも呼ばれています。
指のみ券は、その名の通り席を指定しているだけの券です。
「事情は知らないけど、とりあえず席はブロックしておいたよ~」
っていうのが指のみ券。
通常、指のみ券だけで乗車することはできず、必ず「特急券相当」「指定席券相当」の効力を持った別のきっぷと組み合わせて使わなければなりません。
原券+新券の同時使用で効力を発揮
代金相当の効力を持つ席なし券と席を押さえる指のみ券。
これらを組み合わせて、初めて新しい乗車変更されたきっぷとしての効力を発揮します。
意味もなく2枚に増えているように見えますが、必ず2枚セットで持ち歩くようにしましょう。
原券+新券に分けられる事情
利用者の立場でいえば、原券と新券を両方持たなければならないのは面倒ですよね。
この背景にどんな事情があるのか、正確には分かりませんが、おそらく指定席券売機ならではの事情があるものと察します。
あくまでイメージとしてとらえてほしいのですが…
指定席券売機の場合、既に発券しているきっぷに対して、お金のやり取りが生じる作業が非常に苦手です。
払い戻しはできませんし、変更の際に金額の収受や返金を行う作業は(次項の一部を除き)できないようになっています。
みどりの窓口でクレジットカードを用いたきっぷの(金額変更を伴う)乗車変更を行ったことがある人であれば分かると思いますが、原券を取り消して新券に発行替えを行う際には、原券分を払戻して新券に移し替えるという計算が行われています。窓口であれば簡単なことですが、人を介さない指定席券売機上では、このようなお金の流れを避けようと考え、その結果の動きではないかと推測します。
原券を席なし券に変える作業も、新券として指のみ券を発行する作業も、お金の動きはありませんからね。
一部の新幹線は乗車変更後も1枚です
ここまでの説明では、指定席券売機で乗車変更すると2枚に増えるとお伝えしてきました。
一方、指定席券売機での乗車変更でも、2枚にならず新券のみの発券となるケースもあります。
その代表例が「新幹線特急券」の一部です。
新幹線特急券を同一日・同一区間・同一設備に変更すると、原券が回収され「”差無”」「原券の情報」を赤文字で印刷した新券のみが発行されます。
この場合は、新券のみで特急券の効力と席押さえの効力を両方発揮していますので、1枚だけ持ち歩けばOKです。
ちなみに、同一会社線内の新幹線であれば、別日に変更することや、設備のグレードアップにも対応しているようです(筆者未経験)。
ただし、指定席券売機側では複雑な処理をしているのでしょう。”差無”などの印字は、それを物語っているようにも見えます。
赤文字が逆さに印字されない方法
指定席券売機で乗車変更すると、赤文字で「指定席取消済」などと印刷されることは周知のとおりです。
しかし、気にせずに取り扱っていると、赤文字が逆さに印刷されてしまうことがあります。
もちろん逆さに印刷されても効力は全く変わりませんが、なんか気持ち悪い…その気持ち、よくわかります。
この原因は、指定席券売機への原券挿入方向に原因があります。
指定席券売機に原券を入れるときは、必ず右辺を先にして入れるようにして下さい。
これにより、赤文字が順方向に印刷されるようになります。
逆に入れてしまうと、ちょっと残念な原券が返ってきますよ。
使い捨てのきっぷであれば逆さでも問題になりませんが、例えば「JR東日本パス」など、将来にわたって記念に残しておきたいきっぷであればきれいに印字したいですよね。
右辺が先と、頭に叩き込んでおきましょう。
指のみ券の変更は券売機不可
下記の指のみ券をよく見ると、「乗車変更」扱いになっていないことが分かると思います。
実はこれ、同一列車内で座席位置を変えただけなのです。
座席位置の変更であれば、乗車変更として扱わないルールがありますので、まだ変更0回のきっぷとして取り扱うことができます。
しかし、指のみ券を指定席券売機で変更することはできません。
更なる変更を希望する場合は、みどりの窓口で手続きしてもらうことになります。
まとめ
指定席券売機を使って乗車変更する際のきっぷが増える現象について、以下の知見を得ました。
- 前後の列車への変更は指定席券売機でもできます(1回のみ)
- 原券と新券が発行された場合は、2枚セットで使う必要があります
- 一部新幹線の場合は、新券のみの発行になります
- 赤文字を正しく印刷するために、指定席券売機には右辺を先に入れましょう
ではまた。