東海道新幹線には16両編成のうち3両がグリーン車として連結されています。期間限定の取り組みとして「のぞみ号」のグリーン車を2席利用できる「EXグリーンプラスワン」が設定されました。通常料金にわずかな加算(といっても数千円レベル)でグリーン席を2席独占できます。これに対して「グリーン車を2席も確保して何をする!?」と一部で否定的な評判も聞かれましたが、シチュエーションによっては(1)あらゆる設備を独り占めできる、(2)周りの目を気にせずに過ごせる、(3)トイレに行きやすい、(4)荷物を隣に置けるなどのメリットが想像以上に活きることもあります。東海道新幹線のグリーン車で2席利用するとどうなるのか、EXグリーンプラスワンの注意点(絶対にきっぷを受け取るな)とともに記載します。
東海道新幹線の車両について
普通車とグリーン車があります
新幹線を利用した移動は、日本の交通手段の中でも便利で快適な方法の一つですね。
最も歴史が長く利用者も多い「東海道新幹線」で使われている車両は、形式こそ細かい違いはありますが、座席配置や車両配置は統一されています。
これは、過密なダイヤの中で円滑に車両繰りすることが主な狙いです。
16両繋いだ長い編成の中央付近(8号車~10号車)にはグリーン車が設定されています。3両も設定されているのは贅沢な造りですが、多彩な乗客を運ぶ東海道新幹線ならではのサービスともいえるでしょう。
鉄道会社「細かい増減車はできない」
上記の「車両繰り」と相反する内容になりますが、車両が共通化されているからこそ、列車によっては「グリーン車が余ってしまう」こともよくあります。
特に「こだま号」の場合は、普通車自由席の利用は見込めるものの、グリーン車は厳しい戦いが強いられます。そのため、こだま号グリーン車限定の格安きっぷを発売したりしています。
しかし、のぞみは稼ぎの柱ですから、そう簡単に安売りはできません。
予約がほとんど入らなかった場合でも、そのまま割引きっぷを設定せずに走らせるしかないのです。
乗客「隣に誰が来るかは運次第」
さてさて、場合によっては”ブーメラン”になるので、ちょっと気を付けながら進めないといけない話があります。
それは乗客にとって「車内の環境は運次第」ということ。
一人一席利用が原則ですから、隣席に予約が入っていない状態であれば、その後に誰が予約して乗り込んでくるのか分かりませんよね。
せっかく高いお金を払ってグリーン車に乗ったのに「周りが騒がしい」とか「においが気になる」とか「子連れが…」とか、ネット上には不平不満があふれています。
(※お断り:当ブログは本人が「価値がある」と判断した上での子連れグリーン車利用は全面的に後押しするスタンスです)
たとえ利用設備が普通車だろうと、グリーン車だろうと、グランクラスやプレミアムグリーンだろうと、周りの環境を金で買うことはできません。隣人にどんな人が来ようとも、自分の時間として快適に過ごす”術”が必要ですし、令和も5年になっているというのに”それを理解できない人”がまだいらっしゃるようですね。
過度に期待するな。
…ということですね。
EXグリーンプラスワンが登場
グリーン車2席利用のサービス
そんなとき、東海道新幹線にとんでもないサービスが期間限定で登場しました。
「のぞみ号」で、一段と上質なサービスを提供するグリーン車の2席利用が可能とのこと。
サービスの名称が「EXグリーンプラスワン」というもの。
これであれば、多少は「周りの環境を金で買う」ことができます。
約5000円の追加料金
グリーン車の2席利用には追加の料金がかかります。
通常のグリーン料金に数千円がプラスされるのですが、具体的には下記の通り。
区間 | 通常のグリーン車 | EXグリーンプラスワン |
東京⇔名古屋 | 13,970 | 18,140 |
東京⇔京都 | 17,930 | 23,320 |
東京⇔新大阪 | 18,480 | 23,860 |
このサービスが登場した時には、
「2席確保してどうするのか?」
「なんか嫌なやつ笑」
という評判もありましたが、はたしてどうなのか。
グリーン車の設備のおさらい
まず、2席利用のことは一旦置いておいて、グリーン車の基本的な設備をおさらいしておきましょう。
どっしりとした座席構えで、足を伸ばし切っても前の席に届きません。
表裏構造のフットレストもついていますので、靴を脱いで寛ぐことも可能です。
座席の背もたれは思いっきり倒れます。概ね25~30度くらいとの記載も見つけました。
ひじ掛け部分にコンセントが1つ/席ついているほか、テーブルも2つずつ備えられています。
至れり尽くせり。
どんなに乗車時間が長くてもゆったり過ごせそうですよね。
グリーン車2席利用すると起こること
あらゆる設備を独り占めできる
さて、2席利用の話に戻りましょう。
グリーン車を2席利用できると、普通車の2席利用以上にメリットが大きくなります。
それは、グリーン車とはいえ、隣席と共用となっている設備があるためです。
例えば「ひじ掛け」が挙げられます。隣の人が我が物顔でひじ掛けに手をかけてふんぞり返っていたら嫌ですよね。
【フラグ回収】
隣人にどんな人が来ようとも、自分の時間として快適に過ごす”術”が必要ですし、令和も5年になっているというのに”それを理解できない人”がまだいらっしゃるようですね。
おっと、特大ブーメラン。失礼しました。
でも、もし2席並びで座席確保できるのであれば、これを独り占めできます。
このひじ掛けにはコンセントも備えられていますから、ダブルコンセントになります。
これによって捗るのが…お仕事でございます。
自分好みにデバイスを配置し、まるで自宅のような環境を作り出してみましょう。
でも、あくまでここは新幹線グリーン車の車内なので、キーボードの操作音などは気を付けてくださいね。
…じゃないとブーメランが飛んできます。
周りの目を気にせず過ごせる
仕事をする場合はもちろん、食事をする場合であっても、知らない人が隣にいる状況では少々気が引けてしまうもの。
もし隣に人が来ないということが確約されているのであれば、隣の人に気を遣うことなく自分のペースで作業・食事することができますよね。
ご自身の目線でもメリットがあります。
特にPC作業の場合、画面を覗きこまれることを気にされるケースが多いでしょう。隣に人がいなければ、少なくとも強い意志がない限りは画面を見られることがないので安心です。
※ここでの仕事とは、(例えば私の場合はブログの執筆などの)機密情報を扱わない作業を言っています。覗こうと思えば見えてしまいますから、機密性の高い会社の業務をサラリーマンが車内でこなすのは危険です。
トイレに行きやすい
たとえ広いグリーン車の車内であっても、隣に人がいる状況であれば、トイレに行くのも気が引けますよね。
私のようなコーヒーガブ飲み派の人や、車内で一杯始めちゃう人はトイレ必須となります。
隣の方がお休みになられている場合、やろうと思えば”跨ぐことも可能”ですが、ちょっと失礼かもしれません。お召し物を汚してしまう可能性だってありますから、お声がけは必要と考えた方が良いでしょう。
もし隣に人がいないことが確約されているのであれば、そのような心配もいりませんよね。
隣に荷物を置ける
隣席は空席です。
誰か来るかもしれない空席ではなく、自分のための空席ですから、心置きなく荷物をすべて置くことができます。
特にスーツケースなどの大きな荷物を持っている場合、網棚に乗せるのも一苦労です。
隣席の足元も自分のスペースですから、身近に置くことができます。
何か必要なものが出たときに網棚から降ろす必要がないのもメリットですね。
また、降車時に忘れ物をしにくいというメリットもあります。
メリットを見出せるかは価値観次第
…と、こんな感じですが、どうでしょうか?
このように、シチュエーションによってはグリーン車を隣2席を独占すると出来る幅や心の余裕が広がります。
あとは、価格差分の価値を見出せるかどうかです。
例えば私のようなクリエイターであれば、価格差分のコストを回収できるか。
旅行者であれば、グリーン2席の”ゆとり”を買うことで得られる価値が価格差分を超えるのか。
…大丈夫です、「誰が使うの!?」という感覚は普通です。
しかし、人によってはその価値を見出せるはずです。
あなたはどうでしょうか。
EXグリーンプラスワンの注意点
席数が限られている
EXグリーンプラスワンは、席数限定の商品です。
空席があったら必ず買えるというものではありませんから、利用前提で計画するのは失敗のもと。
直前まで発売されない
EXグリーンプラスワンは、のぞみ号の余ったグリーン席を捌く目的があります。
そのため、空席状況が分かってくる「乗車2日前の05:30以降」でないと申し込みができません。
1か月前から発売される通常の指定席とは異なりますので気を付けましょう。
変更は一切できない
EXグリーンプラスワンは少し特殊な商品です。
通常であれば変更自由なEX関連商品ですが、この商品に限っては「変更不可」となっています。
もし予定が変わった場合は払戻しをして、新たに予約を取る必要があります。
しかも払戻し手数料は2席分(640円)かかります。
縛りがきつい商品なので、申し込みは慎重に。
きっぷを発券したら差額請求
EXグリーンプラスワンは、EX限定商品です。
きっぷを発券して乗車することはできません。
これは、個室や寝台を除き「特急券は1人で2席利用する前提で設計されていない」ためと思われます。
万が一にでもきっぷを発券した場合、2人で利用したとみなされて差額を請求されるそうです。
指定席券売機には近寄らないようにしましょう。
東海道新幹線版グランクラスへの布石!?
一部では、EXグリーンプラスワンは、東海道新幹線版グランクラスへの布石ともいわれています。
東北新幹線で2011年に導入されたグランクラスは、グリーン車のさらに上を行くグレードとして、12年たった今でも運用が続いています。
東海道新幹線にも上級グリーン車を導入しようという話は出ているようですから、まずは様子見としてグリーン車2席利用を売り出してみた、という見方もできますね。
EXグリーンプラスワンは、2023年6月までの発売になっています。
とりあえず夏休み期間は”休止”するでしょう。
その後、2023年秋に刷新が計画されているEX商品。その時に再登場するかどうかも注目されますね。
まとめ
東海道新幹線のグリーン車を2席利用できる「EXグリーンプラスワン」について、以下の知見を得ました。
- わずかな加算(数千円)でのぞみ号のグリーン車を2席利用できる
- 隣席の設備も堂々と利用できる
- シチュエーションによっては価値を見出せる
- 申込期間が限られるうえ、席数限定
- 変更はできず、払戻し手数料も2倍かかる
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※2023年7月以降はリンク切れが予想されます
ではまた。