SLぐんまみなかみは、高崎ー水上間を運行する臨時の快速列車です。SLに牽引されて進む、ゆったりとした時間を楽しめます。長い停車時間のある駅では、おもてなしのイベントも用意されています。乗車券の他、指定席券(840円)が必要です。車内はボックスシートで、相席になることもあります。高崎ー水上間の所要時間は普通列車の2倍ですが、速度が遅いことを逆手にとって、特急「草津・四万」を活用した効率的な「ちょい乗り」をすることも可能です。
SLぐんまみなかみとは
高崎ー水上間で走行
群馬県の中心地・高崎は、SL運行の起点になっています。
高崎から水上、横川方面へとSLが運行されていて、これを目当てに多くの鉄道ファンがやってきます。
中でも運行回数が多いのが「SLぐんまみなかみ」です。
この列車は、観光利用が活発となる週末を中心に、高崎ー水上間を往復運行します。
指定席料金が必要
SLぐんまみなかみは全車指定席の快速列車です。
乗車には「乗車券」の他に「指定席券」が必要です。
なお、SLぐんまみなかみはJR東日本が定める「乗って楽しい列車」に該当しますので、指定席券は840円(子ども半額)となります。
また、全車指定席のため、満席のために指定がとれなかった場合は乗車できません。飛び乗った場合は指定席料金840円を車掌に支払った上で、空席がある区間に限って着席することができます。
車内はボックスシート
もちろん、乗客は「SLに乗ること」はできず、「SLに牽引される客車」に乗車することになります。
客車にはいくつかタイプがあるものの、共通することは「ボックスシート」が並ぶ点でしょう。
リクライニングシートが並ぶ列車に乗り慣れてしまっている現代の人は、新幹線のような座席で食事をとりながら移動できると考えていると失敗しますので、車内の過ごし方を念のために考えておきましょう。
窓を開けることができる
窓を開けて乗ってもいい
客車の窓は昔ながらの「上下に動くタイプ」です。
走行中に開けることができます。
ゆっくりと走る諏訪峡の景色を、風を感じながら楽しむことができるでしょう。
トンネルでは窓を閉めて
しかし、この列車を動かしているのはSLですから、トンネル内では煙が充満することになります。
車掌からもトンネルを通る度に案内がありますので、これに従って窓を閉めるようにしましょう。
なお、昔はトンネルを通る度に窓を閉め、抜けたら開ける、というのを乗客自身が繰り返していたそうです。
そのことに触れながら「窓を開け閉めしながら進む、昔ながらのSLの旅をお楽しみください」と車内放送が流れました。
窓を閉めるというネガティブな体験をポジティブに伝える、素晴らしい案内ですね。
停車中も退屈しない
SLぐんまみなかみは、その遅さが故に、一部の駅で停車時間が長めに設定されています。
これは、遅れの際の尤度を確保しているほか、後続の普通列車を先に通すなどのダイヤ上の都合があります。
乗客にとって退屈とも思える時間を活かしてくれるのが各駅でのおもてなしです。
ボードを持っての記念撮影のほか、駅長さんやキャラクターのお出迎えがあることもあります。それ以外にも、お手製の旗をいただいたりと、至れり尽くせりです。
鉄道ファンにとっても、機関車を撮影できる貴重な時間です。
SL車内で巡回している車内販売の方も、駅停車中はデッキで多くのお客さんに「捕まって」いて、商売も繁盛の様子です。
水上の転車台も楽しめる
水上駅で折り返しをする際、水上駅構内に設置された転車台で方向転換します。
また、折り返し時間までの間は、SL広場内(水上駅徒歩5分程度)に留置されます。
広々とした芝生の広場で、ゆったりとSLの姿を楽しむことができます。
SLぐんまみなかみの運行ダイヤ
SLぐんまみなかみの運行ダイヤは下記の通りです。
通常であれば普通列車でも1時間程度で着く距離を、2時間かけて移動するのんびりとした旅になります。
この行程のうち、途中、新前橋、渋川、沼田、後閑に停車し、上下列車に共通することとして、特に渋川での停車時間が長めに設定されています。
高崎09:56→10:35渋川10:55→12:03水上
水上15:15→16:21渋川16:35→17:14高崎
このことは、以下のモデルコースのうち、「ちょい乗り」を計画される場合は重要な情報となります。
首都圏発のモデルルート
全区間乗りきる場合
全区間乗りきる場合は、東京ー高崎間に時間をかけているわけにはいきませんので、新幹線でサクッと移動してしまいましょう。
下り方面
もし、SLぐんまみなかみに全区間乗車する計画を立てるのであれば、下りの場合は「はくたか555号」の利用が便利です。高崎で26分の接続時間があります。
また、東京から乗車するのであれば、東京駅に早めに着いていれば自由席でも座れると思います。
はくたか555号
東京08:44→09:30高崎
上り方面
上りの場合は「とき344号」の利用が無難でしょう。ただし、この時間は利用が集中していますので、自由席では着席は厳しいでしょう。
指定席もとれないことが出てきますが、その場合は臨時の「あさま674号(上野行き)」(高崎17:36発)が走っていれば狙い目。直前に埋まり始まる新幹線なので、事前予約が取りやすいことを覚えておきましょう。
とき344号
高崎17:44→18:40東京
(臨)あさま674号
高崎17:36→18:20上野
ちょい乗りの場合
もし、SLぐんまみなかみでの旅がメインではなく、水上方面への移動に組み込みたいというのであれば、特急「草津・四万」を活用した「渋川ー水上」でのちょい乗りをおすすめしています。
下り方面
下りの場合は、特急「草津・四万31号」に乗ると、高崎で先に発車しているSLぐんまみなかみに、渋川で追い付くことができます。
この乗り継ぎの場合、水上駅で13:32発の長岡行きに間に合いますから、その後の新潟方面への移動もスムーズに進むでしょう。
上り方面
上りの場合は、SLぐんまみなかみを渋川で降りることによって、特急「草津・四万4号」に乗り継ぐことができます。
ただし、接続時間が5分ですので、SLに遅れが発生している場合は車掌に相談する必要があります。チケットレス乗車(現時点ではトクだ値に限ります)を活用し、万が一のときにオンラインで変更をかけられるような準備をしておくと心強いでしょう。
別の計画として、越後湯沢方面から普通列車を乗り継いで上る場合、越後湯沢15:08の水上行きに乗れば、水上15:53発の普通列車に乗り継ぐことができ、さらに渋川でSLぐんまみなかみに追い付くことができます。この場合は、渋川ー高崎間のみの乗車になるので物足りないかもしれませんが、効率的な「ちょい乗り」の選択肢として覚えておくといいでしょう。
SLぐんまみなかみの注意点
相席になる
SLぐんまみなかみはボックスシートで、1ボックスあたり4人がけとなっています。
満席近くになってくると、他のグループの乗客と相席になる可能性があります。
発売済みのボックスをブロックするようなサービスはありませんので、ご留意しましょう。
未就学児でも座席使用時は料金が必要
未就学のお子さまと一緒に乗車する場合は、有償客1人につき2人まで無償となります。
これはSLぐんまみなかみを利用する場合でも同じですが、座席を利用する場合は話が変わります。
具体的には、未就学児が1席利用する場合、こどもの指定席券のほか、こどもの運賃も必要になります。
これは、「指定席の座席を利用する場合は小児として扱う」という規則で規定されているものです。
ボックスシートは狭いので、未就学児でも座席を準備することをおすすめします。
機関車が変更になることがある
SLぐんまみなかみに使用される機関車は、D51-498かC61-20のどちらかで運行されますが、相互間において機関車が変更となる場合があります。
あらかじめ予定していた機関車から変更となる場合は、可能な限り事前に発表されますが、これによる指定席券類の無手数料払戻しには応じていないようです。
機関車にこだわりのある方はご注意ください。
おすすめのきっぷ
週末パス
SLぐんまみなかみの運行区間は全てフリーエリアに含まれますので、利用価値が高いでしょう。
週末パスは、大人8,880円に対し、こども2,600円ですから、特に家族で鉄道を利用する場合は特にオトクになっています。
注意点として当日に買えないこと。
「えきねっと」で予約をしておけば、受け取りは当日でも大丈夫です。
青春18きっぷ
SLぐんまみなかみは快速列車ですので、青春18きっぷを乗車券として利用することができます。
青春18きっぷの発売期間とご予定があれば、活用しましょう。
なお、SLぐんまみなかみが快速列車だからこそ許される方法であり、特急列車に乗車する場合は青春18きっぷは使えず、(特急利用区間の)乗車券が必要となりますのでご注意ください。
まとめ
SLぐんまみなかみに乗車し、以下の知見を得ました。
- 高崎ー水上間を運行するSL列車
- 運行日限定です
- 指定席券(840円)が必要
- 中はボックス席
- 特急「草津・四万」との組み合わせでちょい乗り効率up
ではまた。