普通列車グリーン車の解説。通しで買える範囲、乗換や席移動の方法、途中下車の裏技。

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鉄道
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首都圏の中距離列車に連結されている普通列車グリーン車は、乗車券類にグリーン券をプラスすれば誰でも使えます。同一方向に向かう場合には、乗り換えしても通しの料金でOKです。乗換の駅は基本的に自由で、逆戻りや途中下車をしない限りは何度でも乗り換えできます。自由席なので車内の混雑状況に応じた席移動も可能。グリーン券には(A)磁気券と(B)ICカードと(C)車内購入がありますが、(1)安価な事前料金が適用、(2)検札を省略、(3)乗り換えがスムーズ、(4)席移動も自由、という観点から圧倒的に(B)ICカードがオススメです。ポイントの観点では(4)モバイルSuicaが特にオススメです。詳しく解説します。

タイトルで「途中下車の裏技」と書いておりますが、ここでの途中下車とは”途中の駅でグリーン車から降りること”を指します。本来の意味での途中下車(=駅の改札から出ること)を許可なく行うとグリーン券が前途無効となりますのでご注意ください。

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はじめに

首都圏の普通列車グリーン車が導入されたのはかなり昔。少なくとも私には遡るのが難しいほど古くから運営されています。

一方、現在の「カジュアルで誰でも気軽に利用できる」グリーン車になったのは2004年とされています。

現在のシステムが運用開始になってから20年近くがたちますが、使い方を知らない人が多いようですので、この記事にまとめることにしました。

この記事では基本中の基本から解説していきます。これから普通列車グリーン車を使いたいけど、公式サイトではよく分からないとか、公式サイトを受け付けないとか…そういう人向けに書いています。

既に乗り慣れている首都圏の鉄道マニアの方には物足りない内容かもしれませんが、お子様連れで利用することになったなど、ライフステージの変化が起きた際にはぜひご参照ください。

以上、ご了承の上でお進みください。

首都圏普通列車グリーン車の基本

こんな車両です

首都圏のJR線のうち、中距離列車が走る路線を中心に普通列車グリーン車が連結されています。

こんな車両です。関東の人であれば見たことある人が多いと思います。

この記事では、普通列車グリーン車の(1)きっぷの買い方から、(2)乗り方(3)乗換や席移動方法に関してまで、詳しく説明します。また、(A)オトクなきっぷの買い方(B)お子様連れで利用する場合の料金(C)利用上の注意(落とし穴)などについては、別記事でも紹介しております。折に触れてリンクをご紹介しますので、併せてご覧ください。

グリーン車について詳しく知りたい場合は下記の記事が参考になるかもしれません。

普通列車グリーン車の運用範囲

普通列車グリーン車は、首都圏のJR線のうち、中距離を走る普通列車に連結されています。

運用範囲は徐々に縮小されているものの、西は沼津、北は前橋や宇都宮まで広くカバーされています。

普通列車グリーン車の運用範囲は沼津や前橋を含む広い範囲に及びます
出典:JR東日本(こちら)のHPから拝借しております(年々見やすいイラストに進化しています)

上記の路線で、全ての列車に連結されているわけではありません。

ほぼすべての列車に連結されている線区

  • 湘南新宿ライン
  • 上野東京ライン
  • 東海道線(熱海まで)
  • 横須賀線(逗子まで)
  • 宇都宮線
  • 高崎線
  • 総武快速線(千葉まで)

特に注意が必要な線区

  • 常磐線
    取手以北に乗り入れる列車のみ連結
    土浦以北はデータイムの乗り入れなし
    勝田以北はほとんど乗り入れなし
  • 内房線・外房線
    総武快速線から乗り入れる列車のみ連結
  • 総武本線(成東方面)
    1日1本のみ

普通列車グリーン車に乗るために必要なきっぷ

乗車に必要なきっぷ

普通列車グリーン車に乗車するには、乗車券のほかにグリーン券が必ず必要です。

例外はありません。

座ろうが立とうが、トイレだけの拝借だろうが、普通車が混んでいて乗り切れなかろうが、グリーン車の車両に立ち入るのであれば必ず絶対に必要です。

ただし、2名以下の未就学児が同伴として乗車される場合には、未就学児分の乗車券とグリーン券は原則として不要です。座席を使用する場合でも不要です(ただし満席時は諸説あります)。

また、制約の厳しい「青春18きっぷ」などの企画乗車券を利用している場合でも、グリーン券を追加すれば利用できます。(企画乗車券を乗車券として利用できるので普通乗車券の追加購入は不要です)

事前料金と車内料金

普通列車グリーン車のグリーン料金には、事前料金車内料金があります。

事前料金は、グリーン車を乗る前にきっぷを買った場合に適用されます。

一方、車内料金は、グリーン券を購入せずに乗車し、車内でアテンダントから購入した場合に適用されます。

車内料金=事前料金+260円

例外なく車内料金が割高になりますので、グリーン車を利用するのであれば乗車前に購入するようにしましょう。

平日料金とホリデー料金

普通列車グリーン車のグリーン料金は、曜日により違いがあります。

営業キロ平日休日
50kmまで780円580円
51km以上1,000円800円
※事前料金です

通勤ラッシュの需要が落ち着く休日が割安になっています。

ホリデー料金=平日料金ー200円

休日のお出かけに気軽に利用できます。

大人料金とこども料金

グリーン券には大人とこどもの区別がありません。

そのため、こどもにも大人と同額の料金がかかりますのでご注意ください。

未就学児の場合は座席の利用有無にかかわらず無料です。普通列車グリーン車は自由席ですので、空席に未就学児を座らせることは問題にはなりません。ただし、満席時は膝の上に座らせるなどの配慮は必要です(お願いされることもあります)。

この記事とは無関係ですが、たとえ空席であっても”指定席に未就学児を座らせる”ことは問題になることがあります。

気になる方は下記の記事をご参考ください。

ポイントを活用することができる

普通列車グリーン車は、JR東日本が展開する「JRE POINT」との相性がとても良いことで知られています。

JRE POINTからの交換先はSuicaグリーン券に限定されますが、距離や曜日に関係なく1枚=600ポイントで引き換えることができます。

1ポイント=1円という価値観をお持ちであれば、休日50km以内の利用を除き、ポイントで引き換えたほうがオトクということになります。

なお、不定期なキャンペーンで1枚=400ポイントとなることもありますので見逃さないようにしましょう。

普通列車グリーン車の「1枚で買える範囲」

原則として1乗車1枚必要

普通列車グリーン車を利用する場合、1乗車につき1枚必要です。

ただ、この「1乗車」というのが一般的な感覚とは少し違います

同一方向に進んでいて、途中下車や後戻りをしない限りは、乗り換えたとしても1乗車としてカウントされます。

例えば、小田原から成田空港に向かう際に、途中の東京駅で乗り換えても、全区間を通して1乗車としてみなすので、グリーン券は1枚でOKということ。

同一方向とは

じゃあ「同じ方向」とは?という議論に入りますが…

イメージとしては下図で大きく間違えることはございません。

各路線は直通運転が実施されていますよね。

直通運転がなされている方向が同一方向と考えれば間違うことは無いでしょう。

特例あり
横須賀線北鎌倉方面から東海道線藤沢方面(またはその逆)へ乗り継ぐ場合は方向が変わりますが、例外的に1乗車として取り扱われます。東海道線や横須賀線へのグリーン車導入時期はかなり古く、直通運転が活発に行われる遙か前から行われています。この例外は、古くからの名残が今に続いているものと思われます。

途中に使用しない区間があっても通しで購入可能

稀な例ですが、途中でグリーン車が利用できない区間を挟んでも、グリーン券は通しで購入することができます。

高萩09:02発の常磐線上り列車は、かつて品川行きのグリーン車付き列車として運転されていましたが、昨今の脱普通列車グリーン車の流れを受けて水戸止まりとなり、水戸ー土浦間はグリーン車が連結されなくなりました。

このようなケースでも、グリーン券は通しで購入が可能です。

ただし、使用しない区間の払戻しはありません。権利放棄となりますので、料金が変わる場合は注意しましょう。

グリーン車が途中で切り離しとなる運用もありますので、罠にはまらないように気を付けましょう。

選択乗車も可能

普通列車グリーン車で長距離を移動する際に、複数の経路をたどる列車がでてきて

「どっちに乗ればいいの?」

と疑問を持つことも出てきます。

基本的には(よほど変な乗り方をしていない限り)どちらに乗っても大丈夫です。

例えば、

区間乗車経路A乗車経路B
品川ー横浜東海道線(川崎経由)横須賀線(武蔵小杉経由)
赤羽ー横浜上野東京ライン(東京経由)湘南新宿ライン(新宿経由)

これらは状況に合わせて選択的に乗車することができます。

普通列車グリーン券の買い方

Suica/PASMO(おすすめ)

普通列車グリーン券に対応しているICカードには限りがあります。この記事ではSuicaやPASMOを中心に記載していますが、その他のICカードも一部対応しています。2023年2月時点ではTOICAとKitacaも対応しているようです。

普通列車グリーン券はSuicaやPASMOに搭載することができます。

搭載の仕方は簡単で、駅のホームに設置されているグリーン券売機で手続きをしましょう。

多くの場合は、グリーン車停車位置の近くに設置されています。

買うときに、券売機の「青く光っているところ」にお手元のSuica/PASMOを置き、

※最新の画面とは若干異なります(購入操作上は問題ございません)

目的地の線区から駅を選択すればOKです。

この際、グリーン券を現金で購入することはできません。ICカード内の残高から発券することになりますので、残高は気を付けましょう。

万が一残高が足りない場合は、1000円のみチャージすることができます。

グリーン券は紙では発券されません。ICカード内に記録されることになります。

なお、モバイルSuicaを持っている場合には、アプリ上で購入することができます。こちらも大変便利です。

なお、東海道線で熱海以西(沼津方面)を利用する場合は、Suicaグリーン券を利用できません。これは、JR東海区間に入るためです。この場合は磁気券をご利用ください。

ポイントを利用したSuicaグリーン券の受け取りも券売機で行います(モバイルSuicaを除く)。その際に注意点がありますので、気になる方は下記もチェックしてください。

磁気券(おすすめしません)

どうしてもICカードを利用したくない場合や、ご旅行などでSuica/PASMOをお持ちでない場合は、磁気券を購入することができます。

磁気タイプのグリーン券は改札内では発売していません。

改札外の券売機(下の写真では”普通の券売機”)で購入しましょう。

なお、磁気タイプのグリーン券はみどりの窓口でも購入することができます。

JR東海管轄の沼津・三島・函南の各駅から乗車する場合は、みどりの窓口でグリーン券を購入することになりますので、頭の片隅に入れておきましょう。(※券売機が対応しているという情報もありますが未確認です)

普通列車グリーン車の乗車方法

Suica/PASMOの場合

普通列車グリーン車に乗車したら、とりあえず空席に着席しましょう。

各座席上部のランプが赤い座席が空席です。

後述しますが、ICカードを利用している場合は席の移動が自由自在ですので、深く考えなくてもOKです。

席に着いたら、座席上部のランプ横にICカードをタッチしましょう。

ランプが緑色に変わったら手続き終了です。

磁気券の場合

普通列車グリーン車に乗車したら、とりあえず空席に着席しましょう。

磁気券の場合でも席の移動はできますが、アテンダントさんに申し出る必要があるので、ある程度慎重に吟味しましょう。

しばらくするとアテンダントさんが巡回してきますので、グリーン券を提示します。

アテンダントさんが手元の端末で登録してくれますので、しばらくすると頭上のランプが緑に変わります。

なお、当該列車が目的地まで行かない(乗り換えが必要となる)場合には、乗換駅を宣言します。これにより、頭上ランプの点灯区間を設定してもらいます。

※2010年の写真です(最近は磁気券を使っていないため掘り出しました)

普通列車グリーン車の乗り換え方法

Suica/PASMOの場合

乗り換えの際は、降りる前に頭上のランプにICカードをタッチしましょう。

これにより、緑ランプから赤ランプに変わります。

再タッチすることでグリーン券をICカードに回収するイメージをしてもらえれば大丈夫です(※実際の情報の動きは違いますが、イメージとしては間違えておりません)。

乗り換えた先で再度タッチすれば、そのまま乗車できます。

磁気券の場合

乗り換えの際は、特に申し出することなく降りて大丈夫です。

既に乗り換える駅を申し出ていますので、頭上のランプは勝手に赤に変わります。

乗り換えた先で空席に座り、アテンダントさんに乗り換えてきた旨を申し出れば、頭上のランプを緑色に変えてくれます。

普通列車グリーン車内の席移動方法

Suica/PASMO

空席状況が変わってきて、席を移動したくなった場合。

同一列車内で席を移動する場合は、そのまま移動先の席に着席してください。

ICカードを赤ランプにタッチすると、緑ランプに切り替わります。

これと同時に、(これまで使っていた席の)緑ランプは赤ランプに変わります。

乗り換えの作業とは異なり、移動前に緑ランプをタッチして赤ランプにする作業は不要です。

磁気券の場合

磁気券を利用している場合でも席の移動は可能です。

ただし、自力で手続きすることはできませんので、席移動後にアテンダントさんに申し出る必要があります。

これにより、移動前の席を赤ランプに、移動後の席を緑ランプに変えてくれます。

普通列車グリーン券の裏技

※最初に断っておきますが、鉄道マニアの方にとっては表技です。

ここまでの知識で普通列車グリーン車を快適に利用することができます。

行ってらっしゃいませ。

この先はちょっとした裏技をご紹介。

乗り換えは何回でもできる

同一方向に進んでいる限り、乗り換えをしても1乗車としてカウントされるグリーン券。

JR側の想定を超えているかもしれませんが…実はこれ、何度乗り換えてもOKなんです。

種別や路線の変更が伴わない、後続列車への乗り換えもOKです。

極端な例ですが、宇都宮→熱海のグリーン券で、小山・大宮・赤羽・上野・東京・品川・横浜・平塚…と乗り換えて行ってもOKです。

乗り換えと称して、大宮などのエキナカが発達した駅でランチをいただきながら移動することも可能。

たとえ”乗り換え”に何時間かかってもグリーン券は引き続き有効です。

これはすごいですよね。

た・だ・し!

改札を出たらアウトです。

グリーン券の残り区間は無効になりますので、改札を通らずにエキナカで過ごしましょう。

「別に出てもバレないでしょ?」という突っ込みには「まぁ…ね。」としか返せませんが、バレるバレないにかかわらず、再入場後に再度グリーン券を継続利用した場合は、グリーン車の不正利用ということになります。このことは立場上強く申し添えておきます。

許された範囲内で最大限楽しみましょう。

車内で乗り越しできる

万が一、乗車中に予定が変わって乗り越しをすることになった場合。

この場合は、グリーン券面の区間満了前にアテンダントに申し出てください。

乗り越しにより差額が発生する場合でも、事前に原券を駅などで購入しているのであれば事前料金が適用されます。

また、万が一グリーン券を間違えて購入されてしまい、かつ駅の窓口に向かう余裕がない場合は、新たに買わずにそのまま乗車してください。頭上のランプにはタッチせずにアテンダントの方に相談しましょう。非公式ではありますが、車内でできる限りのことはしてくださると思います。繰り返しですが、頭上のランプにはタッチしないでくださいね。これによりグリーン券を未使用として取り扱うことができるからです。

満席時は払い戻されます

万が一、グリーン券を購入して乗車した際に満席で利用できなくなった場合。

アテンダントに申し出れば払い戻しの手続きをしてくれます。

その場では払い戻しできませんが、駅で申し出れば無手数料で返金を受けることができます。

大きな声では言えませんが、

「満席で払い戻さなければならない!アテンダントさん!!」と待っている間に限りデッキに立っていてもグリーン料金がかからないことになりま…

…いや。これ以上は何も言いませんが。

まとめ

普通列車グリーン車の使い方の基本を書いていきました。

  • 2階建ての車両です
  • 運用範囲は広いです(概ね東京まで直通で行ける範囲)
  • グリーン券が必ず必要です
  • グリーン券はICカードがオススメです
  • 乗り換えは何回でもできます
  • 席の移動も何回でもできます
  • 裏技もありますが、不正利用にならないように注意

普通列車グリーン車
>> こちら

それでは快適なグリーン車の旅をお楽しみください。

ではまた。

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