常磐線「終点まであと1つなのに」長時間停車するのは特急誘導目的なのか!?

スポンサーリンク
本サイト内にはGoogleAdSense等のアフィリエイトリンクを含みます
鉄道
この記事は約6分で読めます。

運行分断が進む常磐線の上り普通列車において、終点の1つ手前の駅(例えば勝田駅や神立駅など)で緩急退避を目的とした長時間停車が発生することがよくあります。普通に考えれば終点まで逃げ切れるはずなのに、なぜそれをせずに中途半端な駅で長時間停車するのか。単純に考えると「特急誘導のための嫌がらせ」なのかと思ってしまいますが、実はそれだけではない切実な事情があるのです。神立駅や勝田駅での長時間停車を例に挙げ、仕方のない事情をご説明します。

スポンサーリンク

常磐線の特急列車と普通列車について

常磐線特急の基礎知識

JR常磐線には普通列車と特急列車が走っています。

普通列車は乗車券のみで乗れますが、特急列車は乗車券のほかに特急券が必要となります。

常磐線を走る特急には2種類あり、速達型の「ひたち」と、多停車型の「ときわ」が30分おきに走っています。

新幹線がないと馬鹿にされがちな常磐線沿線ですが、「ひたち」はほとんどの列車が上野ー水戸間でどの駅にも止まらずに走り続け、わずか65分程度で到着。

一方、地域輸送については「ときわ」が新幹線には絶対にまねできない小まめな運転を担っています。

常磐線沿線ってそこそこ便利なのです。

特急に乗ってもらいたい

とはいえ…大きな声では言えませんが、特急が1時間に2本も走るというのはちょっと贅沢。中央線の「あずさ」が軒並み満席で走ることがあるのに対し、車内に空席が目立つ常磐線。逆に言えばもっとお客さんを運べるキャパがあるということです。

JRとしては、なんとしてでも特急に乗ってもらいたいわけです。

「需要減少」を理由に日中の普通列車のダイヤを見直し、土浦駅で運行を分けることになりました。これが2022年3月の土浦分断ショックというやつです。

需要と供給を合わせる目的の他に、コロナ禍で利用が低迷している特急列車への誘導ではないかともささやかれています。

事実、水戸以北から東京方面に向かうには乗り換えなしで行ける特急列車が有利になりましたが…

絶妙な駅での長時間停車に「特急誘導疑惑」

そんな特急誘導疑惑に拍車をかけたのが、終点が目と鼻の先に迫っているのに長時間停車するというダイヤの存在。

特に遅い上記の例では、土浦駅を目前とした神立駅で13分も停車します。

いやいや、そんなに止まるなら土浦駅まで逃げ切れよ…

そんなに特急に乗ってほしいのかよ…

水戸→土浦間を65分かけて走る558M列車。65分あれば、特急「ひたち」なら水戸から上野付近まで到達します。どんだけ遅いんだよ…

そう思われるのも無理はありません。

あと1駅頑張れない理由

しかし、これは特急誘導のための嫌がらせではなく、仕方がない事情があります。

神立駅の事情

神立駅での長時間停車は、特急「ひたち」や「ときわ」の通過待ちが主な目的です。これは間違いありません。

しかし、なぜ土浦駅まで逃げ切れないのかというと…これには土浦駅の構造が関係しています。

土浦駅は1・2・3番線があり、1番線は下り方面、3番線は上り方面の列車が使用します。2番線は上り列車が主に使用し、上り方面の特急列車は2番線に停車または通過することが決まっていますが…

2022年3月のダイヤ改正で生まれた土浦ー水戸間の折り返し列車も2番線を使うことになっています。

これは、土浦で運行を分断することになった際に、東京方面からやってきた土浦止まりの列車と「同一ホーム乗換で」水戸方面の列車に乗れるから怒らないでね…と余計な約束をしてしまったことに原因があります。

その結果、土浦駅の2番線折り返し列車を捌きつつ、30分に1本のペースでやってくる上り方面の特急列車も通さなければならない、超多忙なカオス状態となったのです。

仮に神立駅で特急の通過待ちをせずに土浦駅に向かった場合、列車は土浦駅まで逃げ切ることは可能ですが、2番線に入ってしまったらどうでしょうか。あとからやってくる特急列車は通ることができません。

特急のことを気にしなくていいほどダイヤを前倒しにすればいいのではないかとも思われますが、そうなると、今度は1本前の下り列車が2番線をふさいでいることから、土浦駅に入線できなくなります。

合間を縫って捌いているからこそ、神立駅で長時間停車せざるを得なくなっているのです。

勝田駅の事情

もう少し北に行くと、水戸行きの列車が勝田駅で長時間停車する例も出てきます。

データイムに運転されている2本/時のうちの1本は、勝田駅で待避線に入線し、勝田始発の特急を先に発車させます。夕方以降に運転される一部列車では10分以上の停車を行います。

これも…水戸駅まで逃げ切るわけにはいきません。

例えば、勝田駅18時53分発の水戸行き列車が同駅に到着するのは18時42分頃。勝田で停車せずに水戸駅まで行けば、確かに特急からは逃げ切れますが…

勝田で長時間停車せずに水戸駅に向かう場合、この列車が入線する水戸駅の3番線には、先行の「いわき行き」がいます。入線する場所がありません。仮に水戸駅の入線問題が解決すれば行ってしまうことも可能です。勝田駅で既に特急列車がお客さんを迎えている状況で、同列車が待避線に入って特急を抜いていくというのも勇気がいるダイヤですが…

終点が目前に迫った状況でも、そのまま向かうことができない事情が勝田駅にもあるのです。

長時間停車中はおとなしく待つ

泣いても叫んでも列車は決められた時刻まで動きません。

神立駅での過ごし方=おとなしく待つ

残念ながら駅構内には自動販売機を除き、何もありません。広々としたベンチときれいに整備されたトイレならあります。ということで、おとなしく待つしかない。

一方、改札外にはNewDaysがあります。改札を出て右側の階段を下りれば、少し先にファミリーマートもあります。定期券利用者や途中下車ができる乗車券を利用しているのであれば使いましょう。

新しく整備された橋上駅舎です。線路を見下ろすことができます。

これみよがしに特急が通過していく…

この日は貨物列車までもが通過。というより、もともと貨物列車のスジも考慮しているので13分の停車時間が発生しているのですね。

途中下車できるきっぷについては以下のページで解説していますよ。(ちょっと難しいですが)大都市近郊区間内のきっぷでも途中下車できるようにする方法がありますのでご参考ください。

勝田駅での過ごし方=おとなしく待つ

常磐線のターミナル駅として機能する勝田駅はひたちなか市の中心駅。駅を出ればコンビニやカフェ(あのサザコーヒーも)が複数ありますので、困ることはないのですが…

やはり改札内には何もありませんので、結局おとなしく待つしかありません。

ちなみに勝田には車両センターがあります。広大な車庫は駅から離れていますが、ホームのすぐ横にも留置線が設けられていて、ここにはE653系K70編成が留置されていることが多いです。

鉄道ファンの方はぜひ探して見てあげてください。

E653系K70編成

まとめ

常磐線普通列車の長時間停車問題に関し、以下の知見を得ました。

  • 終点の1つ手前で長時間停車する運用がある
  • 多くは特急退避関連の停車
  • 逃げ切ることも可能だが、駅の設備がパンクする
  • 停車中はおとなしく待つしかない
  • 途中下車できるきっぷなら駅の外に出てみよう

鉄道のダイヤって目で追っていくと面白いですよね。作る人は大変だと思いますが。

ではまた。

編集後記
途中駅での長時間停車中に私は何をしているのかを暴露しますと、駅に設置されている時刻表を読んだり、指定席券売機をいじったり、ろくでもないことをしています。鉄道が好きな人であればついつい夢中になってしまいますよね。で、夢中になりすぎるとどうなるかといえば…長時間停車を終えた列車が、私を置いて発車していきます。この失態、複数回やらかしています。みなさんも時間のつぶしすぎには要注意です。

タイトルとURLをコピーしました