東北新幹線を利用するみなさん、思考停止で東京駅を使っていませんか?
実は東京駅発着で東北新幹線に乗車すると例外なく210円高くなります。上野駅で乗降するとオトクです。ただし、下り列車の自由席を利用する場合や、上野通過となる新幹線を使う場合など、費用対効果を考えて東京駅を使う方がいいこともあります。計算方法は、東京発着ベースの特急料金に加算しているわけではなく、上野発着ベースの特急料金に210円をプラスして計算されています。詳しく解説します。
東北新幹線とは
東京に乗り入れるJR東日本の新幹線
東北新幹線は、東京ー新青森間を結ぶJR東日本の路線です。
緑色の新幹線(E5系といいます)を思い浮かべる人も多いでしょうけど、実際にはいろんな車両が乗り入れています。
特に東京ー大宮間では、
- 大宮から分岐する上越新幹線
- 新青森で直結している北海道新幹線
- 上越新幹線内の高崎から分岐する北陸新幹線
- 福島から分岐する山形新幹線
- 盛岡から分岐する秋田新幹線
などが一堂に集まります。
…にもかかわらず線路は複線のままで、東京駅の折り返し設備も2面4線。
すでにパンク状態と言われていて、最繁忙期には大宮始発の新幹線が登場することもありますが、基本的に定期列車はすべて東京発着となっています。
思考停止で東京駅を使っていませんか?
さて、ここでみなさんに質問です。
東北新幹線に乗るとき、どの駅を使いますか?
この質問に対して、「何となく東京駅」と答えた人に知っておいてほしいことがあります。
新幹線の特急料金はもとが高いのであまり意識されませんが、実は東京駅の利用には”加算料金”がかかっています。
本当に東京駅を利用する必要があるのか、一度考えてみましょう。
東京-上野間の新幹線乗車で必ず210円高くなる
必ず高くなる背景
東北新幹線に(1)東京から乗る場合と(2)上野から乗る場合では、必ず210円の違いが出ます。
- 乗車列車にかかわらず
- 乗車区間にかかわらず
- 座席種類にかかわらず
- 乗車日にかかわらず
絶対に210円の違いが出ます。
必ず「東京駅を利用すると210円高くなる」のです。
この”加算額”の設定理由は、ざっくりいうと「上野ー東京間の建設費用を回収するため」で大きな間違いはないと思われます。
ただ、正確に説明しようとすると厄介です。(1)同区間の建設が国鉄ではなくJR東日本発足後だったとか、(2)もともとはJR東日本の設備ではなく新幹線鉄道保有機構のものだったとか、(3)JR東日本が同機構に線路使用料を支払っていたとか…いろいろあっての+210円なのでしょう。
ちなみに、別の説で「手狭な東京駅の乗客数を減らす利用分散が目的」とも言われています。さすがに客観的な理由を挙げて国土交通省の認可を受けた料金設定をしていますので、単なる利用分散と言い切るのは難しいところ。ただ、結果論として利用が分散しているのは確かでしょう。
厳密には”加算額”ではない
新幹線の特急料金は、営業キロによって段階的に定められています。200キロまでは50キロごとに、200キロを超えるレンジでは100キロごとに区切られて段階的に上がっています。
東京発着で東北新幹線を利用する場合、上記の決まりに則って、東京発着ベースの特急料金に210円が加算されていると思われがちですが、厳密にはこれは誤りです。
実際には、上野発着ベースの特急料金に+210円されています。
このことは、東北新幹線の特急料金表をよ~く見ると分かります。
ポイントとなるのは二戸駅です。
- 東京ー二戸間は601.0キロ
- 上野-二戸間は597.4キロ
600キロを境に370円の特急料金アップとなるようですので、仮に単純な210円の加算による計算である場合は、東京ー二戸間と上野ー二戸間では580円(370+210)の開きが出るはずです。しかし、実際には差額は210円となっています。
これは、東京発着でも上野基準で特急料金に210円が加算されているためです。
また、東京ー上野間の新幹線特定特急料金1)は(他の線区の1駅料金と同じ)880円です。もし単純に210円が加算されるのであれば1,090円になるはずなのに、そうなっていませんよね。
これらが、単純な加算ではなく、上野発着での特急料金が基準となっている根拠になりますね。
よって、「加算額」という言い方よりも、「別料金」のほうがしっくりくるかもしれませんね。
1)特定特急料金とは、定められた基準の特急料金額ではなく、特別に決めた金額で設定される料金を指します。新幹線の特定特急券は主に1区間の自由席(または立席)利用に対して割安な料金が設定されています。JR東日本管内では880円が一般的です。
一般向けには「料金検索して」と案内
+210円の背景や料金計算方法を一般に向けて説明するのは困難であり、時刻表上やインターネットサイト上では「新幹線の特急料金は区間ごとに決められています」との言い回しで逃げようとしています。
…待て待て。笑
ただ、東京発着がらみの特急料金計算方法に加え、はやぶさ・こまちの加算料金、他社線にまたがる場合の加算料金など、すべてを理解して正確に計算するのは至難の業。
案内通り、乗換案内アプリで検索したり、時刻表の三角表を使って料金を調べるのが現実的です。
でも、何をどう計算しても、絶対に東京発着の方が210円高くなります。これだけは覚えて帰りましょう。
上野駅と東京駅で悩んでいる人へ
料金計算はぐちゃ~っとしていますが、とりあえず東京発着で利用すると高くなることはお分かりいただけたと思います。
上野駅利用が有利な人
とにかく料金を節約したいという人は、上野駅を利用するのが吉。
210円って…5人集まれば1000円の差が出ます。これは無視できませんから、上野駅をもっと活用しましょう。
- 下り方面の指定席を利用する人
- 上り方面で上京してきた人
- 東京メトロを利用する人
- 東海道線方面に帰る人
- 東京駅の雑踏を避けたい人
特に指定席を利用する人は、上野駅から乗車しても必ず座れるわけですから、着席できない心配をする必要はありません。
そもそも上り方面であれば、着席など関係なく、上野で降りればいいだけです。
また、東京メトロを使う場合であれば、(路線にもよりますが)東京駅よりも上野駅の方が便利であるケースもあります。
今では「上野東京ライン」が開業し、上野ー東京間を新幹線と同じくらいの所要時間で中距離列車が行き交っています。東海道線方面に帰る人であれば、むしろ上野駅で降りたほうが着席チャンスが広がります。
上野駅の構内はガランとしていますし、待合室も空いている傾向があります。人混みが苦手な人におすすめです。
活用しない手はないでしょう。
それでも東京駅を使うべき人
しかし、せっかく新幹線は東京駅に乗り入れているわけですから、必要に応じて使いましょう。
- 下り方面の自由席を利用する人
- 上野駅を通過する列車を利用する人
- 東海道新幹線と乗り継ぐ人
- 京葉線と乗り継ぐ人
- 乗り場まで歩くのが嫌な人
まず、自由席の利用を考えている方は、座席を選べる東京駅の利用が好ましいです。席を選ばなければ上野駅の場合でも座れることが多いですが、グループが離れてしまう可能性があります。
また、一部の速達列車は上野駅を通過します。上野発着だけで検索をかけると、これらの列車は引っ掛かりません。せっかく走っている速達列車を見落としてしまうこともありますので、東京発着でも検索することをオススメします。
上野駅が地下深くにあるのに対し、東京駅は地上ホームです。210円をプラスすれば、地下から地上に上がる動作を新幹線が代わりにやってくれます。
また、他路線との乗り換えが楽なのは東京駅で間違いないでしょう。特に上野駅を通らず東京駅からしか出ていない路線を利用する場合は費用対効果を考えて東京駅まで乗ってしまうのが便利でしょう。
東海道新幹線と乗り継ぐ場合、東京駅には便利な連絡改札が用意されているのに上野駅を利用するのはちょっと…
京葉線で舞浜へ向かいたい方も、路線の位置関係を考えると東京駅での乗り換えが有利です。+210円は夢がかなう場所へのプレミアアクセスとなります。
思考停止で東京駅を利用するのはもったいないですが、理由があって東京駅利用が有利であるのであれば大いに活用しましょう。
まとめ
東北新幹線の東京発着時の特急料金について、以下の知見を得ました。
- 上野発着に比べて必ず210円高くなる
- 特段の事情がなければ上野駅利用がオトク
- 他路線との乗り換えは東京駅が便利
東京か上野か。「とりあえず東京」思考から離れ、少しだけ考えて選択してみましょう。
ではまた。