初乗りの乗車券で鉄道旅行を楽しめる大回り乗車は一周して戻ってくるのが原則。では、小田原や高尾、宇都宮、水戸など、周回ルートを組み立てられる限界駅の外側からは楽しめないのか?結論から言うと「出費は増えるが往復乗車券を活用すれば楽しむことは可能」です。詳しく説明していきます。
大回り乗車とは
大回り乗車とは、ある区間をわざと遠回りして移動する鉄オタの遊びの一つです。わずかな出費で長時間の鉄道旅行を楽しめます。
そんなことしたら不正乗車にならないのか!?と思われるかもしれませんが、これは大丈夫です。
JRの乗車券には特殊なルールがあり、定められたエリア内では、A駅からB駅まで移動するときの途中のルートに決まりはなく、経路が重ならない限り乗客が自由に選ぶことができます。
これは「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」といわれています。
例えば東京から新宿まで行くときに
- 山手線内回り
- 山手線外回り
- 中央線
どれで行ってもOKなんです。
大都市近郊区間というのは東京・仙台・新潟・大阪・福岡に設定されています。最も利用者の多い東京近郊区間はエリアも広く、
とても東京近郊とは言えないような区間まで含まれています。
これらの規則を拡大解釈し、例えば東京から神田に行く際に、
東京→蘇我→安房鴨川→大網→成東→佐倉→成田→我孫子→友部→小山→高崎→八王子→神田
と遠回りしてもOKなんですね。
周回エリア外の人は大回り乗車できないのか
ここでお気づきだと思うのですが…
東京の中心に住んでいる人であれば隣駅に行くのに大回りすることが可能なのですが、例えば伊東から熱海に行くときに遠回り乗車できるのかと言われると…
…できないんですね。
伊東から熱海までの経路の重ならない行き方は1通りに絞られます。
ぐるっと回れるルートを描ける場所であれば大回り乗車ができるのですが、
- 大船
- 茅ヶ崎
- 八王子
- 拝島
- 高崎
- 新前橋
- 小山
- 友部
- 香取
- 松岸
上記付近よりも外側にスタート地点がある人(=このページでは周回エリア外の人と表記しています)は、どう頑張っても隣駅までのルートは1通りに絞られてしまいますので、隣駅までのきっぷで大回り乗車することはできません。
周回エリア外の人が大回り乗車を楽しむ方法
周回エリア外の人でも楽しめます
しかし、大回り乗車を「大都市近郊区間内の円の中」にいる人だけの特権にさせるわけにはいかない。
大回り乗車を楽しむことはできないのか?
結論ですが、エリア内の駅までの往復乗車券を購入すれば可能です。
水戸駅の例
例えば常磐線の水戸駅の場合。
水戸→宍戸(水戸線で1つ目)までの往復乗車券を購入し、水戸→友部→(水戸線方面)→(常磐線方面)→友部→水戸というルート(またはその逆回り)をたどれば、水戸駅からでも楽しむことは可能。
水戸→宍戸間の運賃は330円なので、往復660円で楽しめます。
平塚駅の例
例えば東海道線の平塚駅からの場合。
平塚→北茅ヶ崎(相模線で1つ目)までの往復乗車券を購入し、平塚→茅ヶ崎→(相模線方面)→(東海道線方面)→茅ヶ崎→平塚というルート(またはその逆回り)をたどれば、平塚駅からでも楽しむことは可能。
平塚→北茅ヶ崎間の運賃は200円なので、往復400円で楽しめます。
注意点
今回は、大都市近郊区間内にありながら、周回エリア外である人に向けて書いています。
周回エリア外どころか、大都市近郊区間外に出てしまっている人は、「大都市近郊区間内のみをご利用の場合の特例」は適用されませんので、乗車券の経路通りに乗車しなければなりません。
例えば、下曽我(近郊区間外)ー北茅ヶ崎の往復乗車券を買っても、御殿場線・国府津乗換・東海道線・茅ヶ崎乗換・相模線以外は乗車することができません。
まとめ
エリア外からの大回り乗車を諦めている方もいらっしゃるかもしれませんが、やり方はあります。
- 大都市近郊区間内の移動経路は重複しない限り自由
- 周回エリア外からの旅行の場合は、エリア内までの往復乗車券を利用
- 近郊エリアから外れたら経路外乗車は認められない
賢く鉄道旅行しましょう。
ではまた。