「はやて」は走っている。なぜ「はやぶさ」にならずに残るのか。

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鉄道

「はやて」は、一世を風靡した東北新幹線の列車名称です。全車指定席とし、大宮ー仙台間は無停車で駆け抜けた「はやて」ですが、現在では「はやぶさ」にその座を譲っています。しかし、1日2往復だけ「はやて」が残っています。その役割とは。そしてなぜ「はやて」は残っているのか。実際に乗車しながら、その謎に迫ります。

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東北・北海道新幹線「はやて」とは

登場は2002年

東北新幹線「はやて」は、2002年に運行を開始しました。

東北新幹線の八戸開業とともに登場した列車で、

  • 大宮ー仙台間を無停車とする速達型
  • 原則として全車指定席
  • 275km/h運転

を特徴とする、運行開始当初はE2系列車で運転された列車です。

映っている車両がE2系です

全車指定席の先駆け

東北新幹線「はやて」は、JR東日本管内における速達型列車の全車指定席化の先駆けとなりました。

このころから、秋田新幹線「こまち」も全車指定席化していますし、「はやて」の後継となる「はやぶさ」も全車指定席。

最近では山形新幹線「つばさ」まで追従しましたね。

一部では値上げと揶揄されましたが、混雑しがちな速達型列車に対する着席サービス向上として、一定の評価も得られました。

新青森時代を支えた

2010年に八戸から新青森に延伸した際にも、当時はE5系はデビュー前であり、東北新幹線全線開業の一番列車を務めたのは「はやて」でした。

2011年の東日本大震災で大きな傷を負った東北地方。その復興を陰で支えたのも「はやて」であり、再び走り出した東北新幹線の象徴として多くの人が勇気づけられました。

長らくの間、みちのくの移動を支えた「はやて」にたくさんの思い出が詰まっている人もいることでしょう。

「はやぶさ」の登場

緑色の新幹線E5系

新青森開業のわずか3か月後、東北新幹線にE5系新幹線がやってきました。

いわゆる「はやぶさ」の登場です。

この車両は従来型車両と比べてスピードアップを行うことができ、「はやぶさ」は宇都宮ー仙台ー盛岡間で320km/h運転を実施しています。

実際にはE5系だからといって列車名が「はやぶさ」になるわけではなく、あくまで宇都宮ー盛岡間で高速運転する列車を「はやぶさ」、従来通りの速度で運転する列車を「はやて」として区別されてきました。

つまり、E5系が能力を持て余し気味に走る「はやて」も存在したということです。

逆に、275km/hが限界とされるE2系は「はやぶさ」の運用に就くことはできませんでした。

※高速運転区間の最高速度は徐々に引き上げられて320km/hとなりました

「はやぶさ」と併結して走る秋田新幹線「こまち」E6系も高速運転しています。また、乗客の少ない時期・時間帯の「はやぶさ」に「こまち」のE6系車両が使われることもあります。

「はやぶさ」には”ハイスピード料金”設定へ

はやぶさは従来よりも高速運転を実施していますので、その見返りとして加算料金を取っています。

いわゆる「ハイスピード料金」と呼ばれるもの。

どうやら宇都宮ー盛岡間に設定されているようですが、宇都宮は対象列車が通過するので、事実上は大宮ー盛岡間に設定と考えて問題ないでしょう。

金額は利用区間により異なりますが、大宮ー盛岡間の全区間で利用した場合は520円です。

高いと見るか安いとみるかはあなた次第ですが、事実として加算料金がかかっています。

なお、高速運転を実施しない宇都宮以南や盛岡以北では、たとえ列車名が「はやぶさ」であったとしても、ハイスピード料金はかかっておりません。

逆に、仙台ー盛岡間の各駅に停車するタイプの「遅いはやぶさ」もありますが、これにはハイスピード料金がかかっており、一概に「速度に対する課金」とは言い切れない一面もあります。ちなみに仙台ー盛岡間各駅停車タイプのはやぶさは、立席(空席利用可)であれば自由席相当額で乗車できます。

「はやて」を見かけない

時が経つにつれて、東北新幹線の車両の多くがE5系に置き換えられていき、高速運転が標準になってきました。

「はやぶさ」に押される形で次々と姿を消していった「はやて」…

「そういえば、最近見ないなぁ」

なんて思われることも多くなってきました。

2019年頃までは、臨時列車として東京発の「はやて」が運転されることもありましたが、今ではそれも見られません。

「消えた!?」

…大丈夫。「はやて」はひっそりと走っていますよ。

はやてが走る区間

現在でも走っている「はやて」ですが、残念ながら東京までは運転されておりません。

盛岡ー新函館北斗間のみでの区間運転です。

しかも運転時間帯が早朝と深夜のみという、旅行者にとっては使いづらいダイヤになっています。

列車番号盛岡新青森新函館北斗
はやて91号0632発0734着
はやて93号0654発0756発0858着
列車番号新函館北斗新青森盛岡
はやて98号2043発2147発2248着
はやて100号2157発2259着

しかし「はやて」は確実に、しかも定期列車として走り続けています。

現状は「はやて」が「はやぶさ」として走っても同じ

現時点では「意味はない」

盛岡以北で走っている「はやて」ですが…

「なぜ『はやて』のまま残っているのか?」
「『はやぶさ』ではダメなのか?」

という疑問が上がってきます。これに対する私の答えですが…

分かりません。

少なくとも、はやてとして走るor走らなければならない事情はないはずです。

なかでも「紛らわしいから『はやぶさ』でもいいのでは」なんて声もあります。

はやぶさよりも遅い印象のある「はやて」なのに、実は通過駅が存在しています。

つまり、余計に紛らわしい。

「はやぶさでいいのでは」との意見には、私も賛成です。

もちろん一つの列車名が消えるのは、あくまで鉄道ファンの立場としては寂しい気持ちがありますが、実際はその通りだと思います。

「はやぶさ」でも何も変わらない理由

速度は変わりません

「はやて」と「はやぶさ」の違いは、その速度です。しかし、速度の違いが出るのは盛岡以南のみであり、盛岡以北では速さの違いはもともとないのです。

つまり、これらの「はやて」が「はやぶさ」を名乗ったとしても、何らダイヤに影響はないのです。

料金は変わりません

「はやて」と「はやぶさ」の利用者目線による違いは、ハイスピード料金にかかわる特急料金です。しかし、ハイスピード料金が設定されているのは盛岡以南のみであり、盛岡以北では料金面での違いもないのです。

つまり、これらの「はやて」が「はやぶさ」を名乗ったとしても、料金面に対しても影響はないのです。

「はやて」として走る推定理由

この項目の内容はあくまで私の推定理由ですのでお手柔らかにお願いします。

成り行きで残っている

一つの推定理由は成り行きで残っている、という点。

あくまで今でも東北・北海道新幹線の速達・遠達タイプの列車は「はやて」が基準で、高速運行する場合に限り「はやぶさ」を名乗るものと決められているのであれば、

  • (東京から見て)遠達タイプなので「はやて」にはなる
  • 盛岡以南での高速運転をしないので「はやぶさ」にはならない

という流れで「はやて」として走っているという説。

列車名を消したくなくて残っている

もう一つの理由は列車名を残すため、という点。

何もこれは「鉄道マニアのため」ではありません。免許維持とは少し違いますが、一度消した列車名を再度復活させるのは、周知を含めて面倒なものです。

仮にですが、臨時列車の運行や車種の変更など何らかのダイヤ上の都合で高速運転ができない無停車型の列車が誕生した場合、その列車はハイスピード料金を徴収することはできませんので、「はやぶさ」を名乗れません。一方「やまびこ」は盛岡以南での運転となっていますので、盛岡以北に行くのであれば「はやて」の出番となりますね。

可能性は低いですけどね。

「はやて」の重要な役割

本当の理由は分からないものの、紆余曲折あって残り続けている「はやて」。

とある日曜日の夜に、新青森→八戸間で乗車してみました。

ガランとする新青森駅の新幹線改札口。上下線ともに残すは1本のみという状況。はやて号は上りの盛岡行き最終新幹線としてやってきます。ちなみに下りの最終は東京から来ますのではやぶさ号として運転されています。

東京行きが軒並み満席になっている中で、利用者がかなり少ないようす。

しかし、これらの「はやて」の列車を廃止すると「仙台発着のはやぶさ」に始発・終電時刻があってしまいます。

  • 盛岡ー新青森ー新函館北斗間の始発繰り下げ
  • 新函館北斗ー新青森ー盛岡間の終電繰り上げ

ということになり、地域利用の利便性が大きく低下します。

もちろん、この時間帯のこの区間に10両編成が供給過多であることは間違いありませんが、これらの列車は「はやぶさ」として発着する列車の折り返しとして運転しているのでやむを得ないこと。

例え利用者が少なかったとしても、これからも走り続けてほしいというのが利用者の願いでしょう。

まとめ

東北・北海道新幹線「はやて」に乗車し、以下の知見を得ました。

  • 「はやて」は盛岡以北で走っている
  • 早朝・深夜帯の運行で、旅行者は使いにくい
  • 始発・最終列車としての役割がある
  • 実態は「はやぶさ」と変わらない

ではまた。

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