「タッチ決済」で鉄道に乗ってみたが、注意点が多い。特に東急線。

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鉄道
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クレジットカードのタッチ決済で鉄道に乗れる時代となりました。乗降駅の自動改札機にタッチするだけで、運賃相当額が決済される画期的なシステムは、南海電鉄で本格的に導入されて以降、西日本を中心とした鉄道各社に広まりつつあります。便利な点は想像の通りですが、(1)タッチ決済対応のクレジットカードが必要、(2)導入路線は限定的、(3)全駅が対応しているわけではない、(4)事前決済が必要なケースがある、などの注意点があります。SuicaやPASMOのような幅広い運用ができるまでには時間がかかりそうですので、利用者が注意しながら使っていきましょう。

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クレジットカードのタッチ決済とは

大前提となる項目です
タッチ決済と聞いて「Suicaのタッチで電車に乗れるのは当然」と思った人は、認識を誤っておりますので、この項目を必ず理解したうえで先にお進みください。
分かりきっている方は飛ばしても大丈夫です。

現金を持ち歩くことなく買い物ができるクレジットカードは、いまだ現金主義が幅を利かせる日本においても広まりつつあります。

遠い昔は凹凸を転写して記録するアナログなやり方だったそうですが、少なくとも私はやったことがありません。

今ではクレジットカードをスワイプして磁気を読み取ったり、差し込んでICチップを読み取ることで決済が完了するスタイルが馴染んでいるでしょう。

ここに第三勢力として浸透しつつあるのが「タッチ決済」という非接触な決済方法です。

出典:日本クレジットカード協会

タッチ決済ができるカードには限りがあります。

具体的には、Wi-Fiのような4本の曲線マークが入っているカードがその対象です。

例えばSuicaが内蔵されているだけのクレジットカードの場合、4本の曲線マークが入っていなければ、クレジットカードのタッチ決済はできません。左記のカードでタッチで決済できるのは、あくまでクレジットカードに内蔵されたSuica機能による決済であって、クレジットカードのクレジット機能によるタッチ決済ではありません。

この記事では、タッチ決済による鉄道利用に関して記載しますが、これは「クレジットカードのクレジット機能によるタッチ決済」となります。この点をお間違いのないように再認識いただいたうえで、先に進みましょう。

タッチ決済で乗ってみた

さて、鉄道ブログを立ち上げている身として「タッチ決済で乗ったことがない」とは言えなくなってきましたので、鉄道でのタッチ決済の先駆けとなった「南海電車」に乗るべく、一路大阪へ。

新今宮→和歌山大学前→和歌山市→和歌山港にて、それぞれタッチ決済を利用してみました。

タッチ決済対応の改札機は一部だけ

タッチ決済による鉄道利用はまだまだ普及しておりませんので、全ての改札機が対応しているわけではありません

むしろ、タッチ決済に不慣れな乗客(=私のような人)が利用するケースも多く、その場合は動線を止めることにもなりますので、端の方に追いやられていることもあります。

必ず、タッチ決済対応の改札機であることを確認して通過します。

通常通り電車に乗る

電車への乗車は通常通りこなしていきます。

通常のSuicaなどと同じように乗車ができます。

当たり前のことだと思われるかもしれませんが、有料の特急列車に乗車する際に迷われるかもしれません。

結論として、このような列車に乗車する場合でも、別途特急券や料金券を購入すればそのまま乗車できます。

通常のIC乗車券とルールは同じと考えてもらって大丈夫でしょう。

下車時に決済額が決定する

そのまま電車に乗り、降りるときもタッチ決済対応の改札機を通過します。

カードには乗車駅が記録されていますから、下車時に運賃額が決定し、その金額がクレジットカード決済されるという流れです。

実際に運賃額が改札機設置の端末に表示されます。

後日明細に反映される

クレジットカードの決済が反映されるまでには時間がかかります。

タッチ決済の場合も同様で、速報ベースであっても2~3日はかかります。そして、お支払いはさらに遅い日付になります。

私の例では、6月中旬に利用した決済のお支払いは7月下旬となりました。

このようにタイムラグがあるのもクレジットカード決済ならではですね。

ちなみにエポスカードは普段全く使っていませんが、タッチ決済1件だけだったとしても、ご丁寧に明細を作ってくれます。

私の場合は「ナンカイグループ/テツドウリヨウ」と書かれ、乗車区間は示されませんでした。

利用区間の記録が必要な場合は注意が必要でしょう。

タッチ決済で電車に乗るメリット

タッチ決済で電車に乗るメリットを書き出してみます。

先に言っておきますが、少々苦し紛れです。ただし、現金で切符を買うことなどと比べれば、これらもメリットというに足りるでしょう。

ICカード乗車券が不要

訪日観光客もすぐに使える

もし、SuicaなどのICカード乗車券をお持ちでない場合でも、クレジットカードを持っていればそのまま電車に乗ることができます。

日頃から電車を使っている人であれば「ICカードくらい持っているよ」と思われるかもしれませんが、海外から来られた訪日観光客にとっては有効です。

わざわざ、使い勝手のよく分からない日本のICカードを買うことなく、電車を利用できます。

鉄道会社にとっても、特に南海線のような「国際空港に乗り入れている会社」であれば、たったそれだけのことでライバル(JR西日本)との差を広げることができるのです。

ICカードが手に入らなくても使える

世界的な半導体不足を理由に、SuicaやPASMOなどにおいて、新規発売が制限されています。

このような制限下であっても、手元のクレジットカードで改札機を通過できるのであれば便利ですよね。

図らずともタッチ決済にとっては「追い風」になっていることでしょう。

クレジットカードのポイントが貯まる

多くのクレジットカードでは、利用に応じてポイントが貯まる特典が用意されています。

鉄道利用であってもクレジットカードの利用にあたりますから、ポイントをためることができます。

超ピンポイントですが、例えばショッピングマイルプレミアムに加入したJALカードで150円区間を乗れば、(繰り上がり等があり)それだけで2マイル貯まります。

この還元率はなかなか見ないでしょう。

キャンペーンが開催されることがある

鉄道のタッチ決済利用は「まだまだこれから」という状況(2023年現在)。

ということは。

利用者を増やしたいわけです。

クレジットカード会社では、利用増に向けた施策を打ってくることがあります。

例えばVISAカードで過去に行われた「50%還元キャンペーン」などが挙げられます。

私が840円区間を利用した際には、さらに1か月後に半額の420円が返ってきました。

タッチ決済による鉄道利用が定着するまでの間、このようなキャンペーンが今後も行われると思いますので、日頃からネットニュースをチェックしておきましょう。

タッチ決済で電車に乗るときの注意点

タッチ決済で電車に乗る際には、メリットよりも注意点が目立ちます。すべて備えられますから、ポイントを押さえておきましょう。

タッチ決済対応のクレジットカードが必要

そもそもクレジットカードのタッチ決済は最近になって普及し始めたシステムであり、全てのクレジットカードが対応しているわけではありません。

お手持ちのクレジットカードに4本の曲線マークが書かれているか、しっかりチェックしておきましょう。

SuicaマークやICマークではダメです。

4本の曲線マークが必要です。逆に言えば、4本の曲線マークがあれば、Suicaが入っていなくても大丈夫です。

導入路線は限定的

タッチ決済で乗れる鉄道路線は、まだまだ限定的です。

ほとんどすべての大手鉄道会社で使えるICカード乗車券とは異なり、タッチ決済が使える鉄道路線はむしろ少数派である、というイメージを持っておきましょう。

全駅で使えるわけではない

タッチ決済を導入している鉄道会社であっても、それが全駅対応であると思っていると失敗します。

タッチ決済に対応している駅は大型駅に限られることもありますから、あらかじめチェックする必要があります。

例えば南海電鉄の場合は、下記の駅に限られます。

出典:南海電鉄(こちら)

旅行者が通常使いそうな駅はだいたい対象になっています。

一方、地元の利用者にとっては要注意かもしれません。

タッチする場所が見つけにくい

改札機にもよりますが、クレジットカードをタッチする場所が分かりにくいという難点もあります。

まず、少なくとも「Suicaなどをタッチする場所」とは異なる場所にあります。

そのうえで、QRコードをかざすところや、運賃等を表示するところもあります。

例えば以下の写真に映った自動改札機。タッチ決済対応なのですが…

分からないですよね。

実はここなんです。

これらを一瞬で見極めたうえで、タッチすべき場所に一発でタッチできる人はなかなかいないでしょう。

しかも、駅によって構造が異なります。

この記事を読んでいる方は「これくらい分かる」とおっしゃるかもしれませんが、たぶん、初めてその場に行った状況で、後ろから他のお客さんに圧をかけられている状態であれば焦って迷うでしょう。

少なくとも「歩く速度でわかる」状況ではないケースがありますから、初見者は要注意です。

特に注意が必要な「東急線」の現状

タッチ決済での乗車はできない

さらに注意すべきなのは東急線でタッチ決済を考えている方です。

東急線については、タッチ決済でSuicaのように乗ることはできません。

東急線では「田園都市線」と「世田谷線」限定で始まったタッチ決済対応自動改札機の導入が全線に拡大され、実際に運用も始まっています。

しかし、クレジットカードをかざしても乗車することはできません。

事前にインターネットから決済し、対象のフリー乗車券を購入した場合に限り、タッチ決済で通過することができます。

しかし、これは事前に決済したクレジットカードの番号と照合し、合否を判定しているにすぎず、厳密にはタッチ決済とは言えないでしょう。

中途半端な導入の背景に「直通運転」

こうなってしまった理由として、直通先の事情があると言われています。

東急線でタッチ決済で入場した場合、下車する駅もタッチ決済対応でなければなりませんが、そうなると東京メトロや都営地下鉄のほか、相鉄線やJR線、東武線や西武線にも対応してもらわなければなりません。

なかなか厳しい戦いになりますよね。

タッチ決済が各社に浸透するのを待ちましょう。

少しオトクなフリーパスも登場

その一方で、少しオトクなフリーパスが登場しています。

東急線ワンデーパス:740円
東急線・東急バス一日乗り放題パス:1,020円
東急線トライアングルパス:450円
いけたまパス:440円
世田谷線散策きっぷ:360円

これらはQ-SKIPというサイト限定で事前に購入することができます。というより、事前に購入しなければ使えないので気を付けましょう。

まとめ

鉄道でタッチ決済を利用し、以下の知見を得ました。

  • タッチ決済に対応したクレジットカードが必要
  • タッチ決済に対応した鉄道会社は少数派
  • タッチ決済に対応した鉄道会社でも、タッチ決済できる駅は全駅とは限らない
  • タッチ決済に利用するタッチ場所に迷うことが多い
  • 東急線では事前決済が必要

Q-SKIP
>> こちら

南海グループでタッチ決済ができるのは電車だけではありません。フェリーにも乗ることができます。南海電車でタッチ決済の上、和歌山港に向かい、同じカードで南海フェリーに乗船すると、電車の運賃が無料になる取り組みもあります。これは「好きっぷ」と同等の効果ですが、クレジットカード決済できることでポイント分だけお得になります。タッチするカードを間違えないように。南海フェリーに関しては下記記事にて詳しく書いております。

ではまた。

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