【大井町線】各駅に停車しない「各停」の解説。むしろなぜ青各停は各駅に停まってくれるのか。

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鉄道
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東急大井町線には「急行」と「各停」が走っていますが、「各停」を名乗りながら高津と二子新地を通過する電車があります。停まらない理由は、停まれないから。停まれない理由は、ホームがないから。しかし、田園都市線に強引に割り込み、両駅に停車する「各停」もあります。これらは「青各停」と「緑各停」として区別されています。当記事では、一般の方向けに2種類の見分け方を、鉄オタ向けには「むしろなぜ青各停は田園都市線に割り込んでまでして高津と二子新地に停まってくれるのか」を解説します。

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大井町線とは

大井町線は、神奈川県の溝の口駅と東京都の大井町駅を結ぶ、全長12.4kmの東急線の路線です。

その歴史は古く、開業は1927年にさかのぼります。

もともとは田園都市線の一部のような存在でしたが、新玉川線の開業によりメインルートは渋谷へシフト。

以降、長らくの間は二子玉川ー大井町間での各駅停車のみでの運行で、下町のローカル線といった様相を呈していましたが、東急田園都市線の混雑緩和を目的とした本格的な通勤路線とすべく、改良に改良を重ねて今の形になりました。

とくに力を入れたのが(1)急行の運転(2)二子玉川ー溝の口間の複々線化による延伸。

これらにより、”思考停止”で渋谷に向かっていた田園都市線の利用客のうち、一部を大井町線にシフトすることに成功。

今では、田園都市線の急行の一部を大井町線が担うなど、ほんの少しずつですが地位を奪還しています。

大井町線には「急行」と「各停」があります

さて、前述のように、かつては全列車が各駅に停車するローカル線でしたが、今では大井町線にも「急行」が走っています。これに伴い「各停」という概念も生まれました。

急行の停車駅

急行は、溝の口・二子玉川・自由が丘・大岡山・旗の台・大井町に停車します。

すべて他路線と接続する駅となっており、大井町線内での利用というより、大井町線を介して移動するという需要に応えています。

大井町線の急行停車駅は7両編成分のホーム長を備えています。そのため、急行電車用の車両はすべて7両編成となっています。

溝の口と二子玉川では田園都市線と同一ホームで乗り換えることが可能。さらに、大岡山では目黒線と同一ホームで乗り換えることができ、田園都市線から目黒線まで平面移動のみでストレスなく乗り換えできるのが強みとなりました。

片っ端から停まって「いつになったら着くのか分からない」というイメージを払拭した功績も大きいと言えるでしょう。

各停の停車駅

各停は、溝の口と二子玉川~大井町の各駅に停車します。

もともと駅間距離の短い大井町線ですが、これらの駅に停車して大井町線内の需要を拾います。

ホーム長は5両編成分しかありませんから、各停は5両編成で運転されています。それでも踏切に挟まれた九品仏駅では1両分はみ出して停車してしまいますが、これはご愛敬。

とりあえず各駅に停車するからこそ、安心して使うことができますよね。

…ね。

…ん?

ちょ、まてまてまてまて!

停まらない…だと?

各停とは!?

果たしてここは駅なのか??

大井町線の各停には2種類あります

大井町線には2種類の各駅停車があり、その色で見分けることができます。

具体的には「青各停」「緑各停」があります。

結論から言うと、緑各停要注意。高津と二子新地に停まりません。駅でしっかり確認してから乗車しましょう。

青各停(B各停)

まずは青色の各停から説明しましょう。こちらは「青各停」とか「B各停」などとも言われていて、青背景に白抜きで各停と書かれています。

青各停は正真正銘の各駅停車。経由するすべての駅に停車します。

高津・二子新地にも停まりますから、これで安心。

ところが…「もうこれでいいんじゃね?」って思った方には残念なお知らせになりますが、青各停はほとんど走っていません。

主流は次に示す「緑各停」です。

緑各停(G各停)

続いて緑色の各停の解説。こちらは「緑各停」とか「G各停」などとも言われていて、白背景に緑で各停と書かれています。

緑各停は、一部では「嘘各停」などとも言われたことがある各駅停車で、”通過駅”があります。

具体的には、高津と二子新地を通過します。

危なっかしい各停ですが、そうなって10年以上。既に地元ではなじんでいます。

あくまで初見さんは要注意、というところでしょう。

なお、公式見解として高津と二子新地は大井町線の駅ではありませんから「嘘各停」は言い過ぎです。この点は編集後記のところで軽く触れております。最後にご覧ください。

全ての各停が各駅に停車できない理由

なぜこんなにややこしいことになっているかというと、答えは溝の口ー二子玉川間の線形にあります。

大井町線が走る線路にはホームがないのです。

同区間はあくまで「田園都市線の複々線区間」なのですが、もともと複線で線路を通していて、両サイドには建物が迫っていました。東横線(田園調布ー日吉)などとは異なり、車庫などの自社の土地もありません。

少しずつ左右に拡張し、(高津駅では)ホーム位置を若干ずらすなどして何とか4線分の通り道を確保。しかし、さすがに2面4線分の土地を確保するのは容易ではなく、または費用対効果を鑑みて、外側の2線にのみホームを設置。内側の2線は通過用としたのでしょう。

二子玉川駅構内では、かつては大井町線が外側、田園都市線が内側を利用していましたが、多摩川橋梁上の引き込み線(=のちの複々線)を活用するために位置を入れ替えています。それ以来は大井町線が内側を走るようになっていますから、同線の各停はホームのない線路を走るように。結果として高津と二子新地には停まりたくても停まれなくなったのです。

それでも「青各停」が停まってくれる理由

もはや大井町線は高津と二子新地に停まれない…と思いきや、「青各停」は頑張って停まってくれています。わざわざポイントを渡って田園都市線の線路に乗り込んで停車しています。

なぜそこまでして停まってくれるのか。

当初は高津・二子新地の利用者への”忖度”の一面もあるように見受けられましたが、今のダイヤでは単なる忖度ではない、「停車による大幅な利便性向上の側面」が見え隠れしています。

下り線のケース

二子玉川駅の田園都市線の下り方面の時刻表を見てみましょう。

本数が多いようには見えますが、よく見るとアンバランスなことに気づきます。準急と急行が連続し、各停が2本続くと思いきや、その間隔は大幅に開いています。

ここに大井町線からの列車が威力を発揮します。

準急と急行が連続する真ん中に「青各停」が入り込みますから、二子新地と高津へのスムーズなアクセスが実現。

青各停が頑張って田園都市線に入り込んでくれることで、速達型列車と各停型列車のバランスがうまく取れるようになっています。

田園都市線のホームでひたすら待っている人もいますが、さすがにそれはもったいない。「しばらく各停来ないな」と思ったら、大井町線もチェックしてみましょう。

待っている間に見える景色はいいですけどね。

上り線のケース

次に、高津駅で上り列車を待っているケースを見てみましょう。

田園都市線が概ね10分に1本やってきますが、急行も準急も止まらず、タイミングがずれるとまぁまぁ待たされている感じになります。

しかし、1時間に3本の青各停が入ってきます。

この青各停に乗れば、後から追ってくる準急から二子玉川まで逃げ切ることができ、同駅で乗り換えることができます。

「大井町線だから乗っても意味がない」とホームで待っている人もいるようですが、さすがにそれはもったいない。大井町線であろうとも、とりあえず二子玉川まで乗れば、最速で渋谷方面に行くことができるのです。

まとめ

大井町線には各駅に停まらない各停が走っています。

  • 大井町線には2種類の各停が走っている
  • 青各停は各駅停車、緑各停も各駅停車(※高津と二子新地には停まらない)
  • (下り)青各停のおかげで、準急と急行が連続する各停の隙間が埋まる
  • (上り)青各停のおかげで、後続の準急に飛び乗ることができる

田園都市線のダイヤに関しては下記記事。青各停の話は下記記事でも触れています。

編集後記
この記事中の「緑各停」の説明をどこまで突っ込んでいくのか悩みました。(1)二子玉川ー溝の口間には高津と二子新地という駅が確かに存在していて、それらに停まらないのは嘘各停だと言いたくなる気持ちはよくわかります。一方、(2)あくまで二子玉川ー溝の口間は大井町線としての途中駅がないんだから停まらないのは当たり前。むしろ「青各停」が特殊なのだ、という向きもあります。おそらく、この答えは「(2)後者が正解」です。公式見解を求めて東急大井町線の沿線情報を東急のHPから拝見すると、以下のような路線図が出てきます。ここには、高津と二子新地はありません。また、駅ナンバリングを見ても、高津と二子新地には大井町線を示す「OM」は割り当てられておりません。つまり、高津と二子新地は大井町線の駅ではないのです。

出典:東急電鉄(こちら)

ではまた。

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