常磐線遅延時の特急券の取扱いと車両繰りに要注意。下りチケレス特急券の欠陥は改善。

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鉄道
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常磐線方面に向かう際に運行障害が発生している場合、特急「ひたち」や「ときわ」の動きにはパターンがあるほか、特急券の取り扱いで注意すべきことがあります。
乗車予定の特急が全区間運休となった場合や、乗車後に区間運休や2時間以上の遅延が生じた場合は全額払い戻しとなります。常磐線の遅延時は特急が上野発着になることが多いです。品川ー上野間のみが区間運休となった際には、えきねっとサポートセンターへの連絡により差額のみ返金となります。
かつて下りのチケットレス特急券を持っている場合に品川ー上野間で区間運休となると、問答無用で全区間自動取消となる欠陥がありました。上野から乗る場合、既に予約済みの列車であっても新たに特急券の買い直しが必要という、そんなの知るかよって話でしたが、今では改善されています。

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特急列車遅延時のきっぷの取り扱いについて

レベル:★☆☆
基本となる内容です。必ず全員が知っておきましょう。基本を知っている人は斜め読みでも大丈夫です。

特急列車乗車には「乗車券」と「特急券」が必要

運行障害が発生し、鉄道のダイヤが乱れたとき、払い戻されるきっぷと払い戻されないきっぷがあります。具体的な話に入る前に、まずは基本的なこととしてしっかり押さえておきましょう。

新幹線や特急列車に乗車する場合は、乗車券特急券が必要になります。

乗車券は、列車に乗車する際に必ず必要となるきっぷであり、運賃を支払うために使用されます。乗車券には、発駅と着駅の情報が記載されており、いかなる列車に乗車する場合においても必要になります。乗車券は、あらかじめ自動券売機や駅の窓口で購入するのが原則ですが、(新幹線を除き)SuicaなどのIC乗車券を自動改札機にタッチすることで代用することもできます。

特急券は、新幹線や特急列車に乗車する際に乗車券とは別に必要となるきっぷであり、特急料金を支払うために使用されます。特急券には、乗車券と同様に発駅・着駅が書かれているほか、指定席においては列車番号や座席番号などの情報が記載されています。特急列車に乗車する際には車掌に提示する必要がありますが、最近では車内改札が省略されているケースもあります。特急券は、指定席券売機やみどりの窓口などで購入できるほか、チケットレス特急券としてオンライン発券できることも増えてきました。

近年では、特急列車の全車指定席化が進んでいます。表向きは「着席サービスの向上」ですが、鉄道会社の本音として「車掌業務の簡略化」が大きな目的の一つとして挙げられます。そのため、特急券は事前に購入することが前提となっていて、もし事前に購入せずに乗り込んだ場合は割増料金が発生します。特急券の割増料金は、例えば首都圏の在来線特急列車であれば260円が加算されます。

特急列車に乗車する際は、事前に乗車券と特急券を準備するのが鉄則となっています。

運賃は「移動」の対価です

運賃には、目的地までの「移動」に対する対価が含まれています。

利用者は目的地までの運賃を支払うことで、その鉄道会社の「線路上を移動する権利」が得られます。

運賃のみの支払いで普通列車に乗車して移動することが可能ですが、特別な料金を必要とする列車には乗車できません。運賃に特急料金をプラスして、初めて特急列車に乗車することができるようになります。

特急料金は「速達」と「設備」の対価です

特急料金には、「速達」と「設備」に対する対価が含まれています。

まず、「速達」についてです。特急列車は、一般の普通列車に比べて停車駅が少なくなっているほか、そもそもの走行速度が速く、目的地まで迅速に移動できることをウリにしています。そのため、長距離の移動や、限られた時間で移動を完了する場合には、特急列車の利用が有効とされているのです。

次に、「設備」についてです。特急列車は、快適な車両内環境が提供されています。例えば、座席の配置や素材を工夫したり、座席周りにテーブルやコンセントなどを設置し、移動時間を少しでも快適に過ごせるようになっています。

これらの「速達」と「設備」は、特急列車の運行にかかる費用の一部であり、特急料金に反映されています。

逆に言えば、「速達」や「設備」が提供できない状況であれば、特急券は払戻しの対象となります。

特急券は運休や2時間以上の遅延で払戻しの対象

特急列車が運休したり、2時間以上の遅延が生じた際には特急料金の払い戻し対象となります。

運休による払戻し

乗車中の特急列車が、一部(※)または全区間で運休となって目的地まで乗車できない場合は、特急料金が全額払戻しとなります。これは、目的地まで迅速かつ設備を利用した移動ができず、特急列車の機能を果たさなかったとみなされるためです。

この場合、特急券はしっかり保管しておきましょう。

乗車予定日から1年以内に窓口に持参すれば、無手数料で全額払い戻しを受けることができます。

列車が運休した記録はサーバー上に残っているため、申し出たタイミングで確認が可能ではありますが、当日に係員から「運休になったことの証明」を特急券に残してもらうと話がスムーズでしょう。

(※)次項で説明しますが、一部区間が運休となるケースのうち、概ね山手線内の区間(品川ー上野間など)のみが区間運休となる場合には、全額払戻しの対象外です。差額のみが返金されますが、差額が発生するケースは一部です。

2時間以上の遅延による払戻し

特急列車に乗車し、特急下車駅への到着が2時間以上遅延した場合は、全区間の特急券が払戻しとなります。これは、お約束した駅まで迅速に移動できず、特急列車の機能を果たさなかったとみなされるためです。

この場合も特急券の保管が必要ですが、特急下車駅か車掌から「2時間以上遅延したことの証明」を特急券に残してもらうのが原則です。(※特に列車を定めていない自由席特急券の場合は必須となります)

上記の手続きをしておけば、乗車予定日から1年以内に窓口に持参すれば、無手数料で全額払い戻しを受けることができます。

なお、チケットレス特急券の場合は後日自動で返金されます。

設備故障も払戻しの対象

極めて稀な例ですが、特急列車の設備に故障が生じた際は、「設備」を提供できなかったとして、特急料金の払戻しの対象になります。

例えば冷暖房設備が故障した場合、可能な限り故障していない車両への移動を促しますが、案内しきれなかった乗客に対しては払い戻されます。

なお、チケットレス特急券の場合は「えきねっとサポートセンター」へのお申し出が必要です。

運賃は目的地に到着すれば払い戻されない

列車のダイヤが乱れると、

「乗車券も払い戻せ!」

と騒ぎ出す人がいます。

気持ちは分かりますが、残念ながら払戻しには応じることができません。

先ほども書いたように、乗車券(運賃)は、線路上を移動するのに必要となるきっぷであり、時間は定めておりません。

完全に鉄路が寸断され、旅行を中止したり、出発駅に戻る場合は払い戻しを受けられますが、目的地に到着できた時点で乗車券の役目は正常に完結しています。

目的地に到着できたのであれば、何時間遅れになろうとも払戻しを受けることはできません

ここまでが基本です。大丈夫でしょうか?

大遅延時は「品川ー上野間の区間運休」が発生する

レベル:★★☆
少しレベルが上がりますが、常磐線を頻繁に利用する人にとっていつか役に立つ知識を含みます。必ず頭に入れておきましょう。

大遅延時は「回復運転」では取り返せない

列車の運行は、あらかじめ決められたダイヤに従って行われています。

しかし、何らかの原因で運行障害が発生した場合、各列車に遅延が生じます。

運行が再開された後は、遅れた時間をできるだけ取り戻すために「ダイヤを元に戻す運用」が取られます。

「ダイヤを元に戻す」と聞くと、列車のスピードを上げることで遅延時分を取り戻すイメージがありますが、これで戻せるのはせいぜい数分です。

実際には限界がありますから、鉄道会社ではもっと大胆な方法を採用しています。

区間運休で途中駅折り返し

具体的には「途中駅で折り返す」という運用がとられます。

たとえば、いわき駅から品川駅まで走る特急列車が、上野駅到着時点で遅延していたとしましょう。数分の遅れならば、その列車は品川駅まで遅れを引きずって進みます。しかし、その遅れが大幅である場合は上野駅での折り返しを決定し、上野ー品川間の往復を運休とするのです。

これにより、遅れを一気に取り戻すことができるのです。

上記の他、車両が統一されていることを活かし、一部の特急列車を全区間運休扱いとして、折り返し便を別列車に化けさせる運用も取られます。

このような運用は、鉄道会社が運行する列車の数や路線の特性に応じて柔軟に行われています。

特に多く発生するのが常磐線。ダイヤが乱れたら品川ー上野間は区間運休になる可能性があります。

これは、上記のダイヤ回復の他に、上野東京ラインへの影響を最小限にする目的もあります。

そのため、東京駅や品川駅の利用者で、上りの特急列車に乗車しているのであれば「上野駅で乗り換える覚悟」が必要ですし、下りの特急列車に乗車しようとしているのであれば「いち早く上野駅に向かう判断」が必要です。

上り列車の「上野ー品川間の運休」は差額戻し

乗車中の特急列車が一部区間でも運休した場合、特急料金が全額払い戻されることはお伝えした通りです。

しかし、これには例外があります。

第290条
1. 東海道本線(東海道本線(新幹線)を含む。)を経由する急行列車の急行券、特別車両券、寝台券又は座席指定券を所持する旅客で、下車駅を東京駅又は新橋駅とするものにあっては、第282条の2の規定により、品川駅と東京駅との区間が乗車できなくなった場合(当該区間のうち一部が乗車できなくなった場合を含む。)の急行券、特別車両券、寝台券又は座席指定券の払いもどしについては、運行不能となった駅を当該急行券、特別車両券、寝台券又は座席指定券の下車駅として取り扱うものとする。この場合、すでに収受した急行料金又は特別車両料金とすでに乗車した区間に対する急行料金又は特別車両料金とを比較して過剰額の払いもどしをする。
(中略)
4. 第1項の規定は、東北本線を経由する急行列車の急行券又は特別車両券を所持する旅客で、下車駅を上野・品川間各駅とするものであって、当該区間の一部又は全部が乗車できなくなった場合に準用する。

JR東日本(こちら)

かなり難しく書かれていますが、常磐線のケースに当てはめて優しく言い換えますと、

上りの特急列車に乗車し、東京または品川で下車予定だったのに、上野で運転が打ち切られた場合、乗車駅ー下車駅と乗車駅ー上野の差額のみの返金で勘弁してください。全額は戻せません。

ということです。

発駅ー上野・東京・品川で同額となるケースが多いため、返金を受けられるような差額が発生するのは、一部に限定されます。

下り列車の「品川ー上野間の運休」は取消が原則

前項は上り列車が運転打ち切りになったケースを書いています。

下り列車も差額返金??と思いますよね。

結果的には「差額返金」になりますが、お金の流れは全く異なります。

実はこれ、下り列車の場合は下車駅ではなく乗車駅が変更となるため、前述の規則には規定されておりません。

下りの場合は運転打ち切りではなく、始発駅が変わっただけです。乗車前ですから、運転打ち切りという扱いは受けられません。

しかし、運休区間を含む未使用の特急券ですから、手数料なしでの全額払戻しの対象です。お金が返ってきて、特急券は使用できないことになります。

…というのは厳密に運用しようとした場合の建前です。

厳密に対処しようとすれば、お手持ちの特急券を無手数料で払い戻したうえ、新たに上野発の特急券を買い直すのが正しい流れになりますが、ただでさえ大混乱の駅で「さすがにやってられない」ですから、差額が発生しない限りはそのまま乗車しても問題ないように運用されます。

実際に駅で問い合わせても「特急券はそのままお持ちになって上野へ行ってください」と返されることがほとんどです。

もちろん、差額が発生する場合は手続きしたほうがいいでしょう。

区間運休時の「チケットレス特急券」の取り扱い

レベル:★★★
少なくとも私は「自分が巻き込まれてはじめて知ったこと」でした。特に品川・東京からチケットレス特急券で利用しようと考えていた方が上野に向かう場合はご注意ください。

上りの運転打ち切り時は問題ない

運転が途中で打ち切られて上野で下車する場合、チケットレス特急券を利用していても、紙の特急券と同じ扱いを受けられます。

差額が発生しない場合は、そのまま下車してください。手続きは必要ありません。

差額が発生する場合は、えきねっとサポートセンターに電話連絡することで、差額が返金されます。

下りの始発駅変更でもそのまま乗車可能

下り列車が区間運休し、上野から乗車する場合も、そのまま乗車することができます。手続きは必要ありません。

差額が発生する場合は、えきねっとサポートセンターに電話連絡することで、差額が返金されます。

かつて存在した「下り方面限定の欠陥」

(2024.01.01改訂)
かつて、下りの始発駅変更の際には、全区間のチケレス特急券が問答無用で自動的に取消される欠陥がありました。厳密には「規則に基づきすぎる実態を見ない取り扱い」であったため、今では改善されています。

かつて、下りの始発駅が変更となって上野から乗車する場合、品川・東京発のチケットレス特急券をそのまま利用することはできませんでした。

受取済みの紙の特急券とは異なり、チケットレス特急券は問答無用で払戻しの対象となっていたためです。

品川ー上野間の区間運休が発生すると、お手持ちの「チケットレス特急券」は無効となり、意思の有無にかかわらず取消され、後日自動で返金されます。

もし、区間運休となった特急列車に上野から乗車する場合は、差額が発生しない場合でも、品川・東京発のチケットレス特急券から、上野発のチケットレス特急券に変更しなければなりませんでした。

乗車駅の所定発車時刻を過ぎている状況ですと、変更をかけることはできず、既に予約済みのチケットレス特急券は放置して、別の特急券を新規予約する必要がありました。

本来の”上野駅発車時刻”を過ぎていたり、運行障害による新規予約の停止がかかっている場合には、座席未指定券を用意する必要があり、もし、品川・東京→目的地のチケットレス特急券で上野から乗車してしまうと、有効な特急券を持っていない状態で特急列車に乗っていることになります。

しかも、取消にはタイムラグがあり、自分が指定した座席は緑色ランプのまま運行されることが多いので、余計に厄介です。

これは落とし穴ですよね。

知らず知らずのうちに不正乗車をしてしまっていたケースもあったのでしょう。

これは規則には基づいているものの、実態を見ていない鉄道会社側の「欠陥」とも言える状態でした。

以下は当時のえきねっとにおける案内文です。今は取り扱いが異なります。

  • 予約列車の始発駅が変更となった場合
    [ケース①]品川駅始発「ひたち」号で品川~水戸間の指定席を予約しているが、品川~上野間の区間運休で、上野始発に変更となった場合
    (中略)
    運休区間を含む予約は弊社で手数料なしで取消させていただきます。
    上野始発[ケース①]・東京始発[ケース②]・新宿始発[ケース③]となった列車に乗車される場合、新規に指定席の予約が必要です。
えきねっと(こちら)

まとめ

常磐線の運行障害に巻き込まれ、特急券に関して以下の知見を得ました。

  • 特急列車が運休となった場合は全額払い戻しとなる
  • 特急列車が2時間以上遅延した場合は全額払い戻しとなる
  • 特急列車が下車駅到着前に区間運休となった場合は全額払い戻しとなる
  • 上記のうち上野ー品川間の区間運休の場合は差額の返金となる

えきねっと「列車運休時の取り扱い」については下記も参照ください
>> こちら

ではまた。

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