JR線「東京付近の特定区間を通過する場合の特例」を活用して東京観光しよう(“70条区間”の解説)

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鉄道
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JR東日本の乗車券には「東京付近の特定区間を通過する場合の特例」という規則があります。鉄道によほど詳しい人でない限り聞いたことがない規則だと思います。ざっくりいうと、移動の途中で主に山手線の円周上を中心とした特定区間(=70条区間ともいいます)を経由する場合は、そのエリアの入口から出口までの経路は重ならない限り問われないというもの。使い倒すうえで重要なのが「途中下車も可」という点です。

この記事では、
・東京付近の特定区間に関する特例ってなに?
・運賃計算はどうなるの?
・途中下車はできるの?
などの疑問に答えます。
まずは最初に簡単な言葉でざっくり説明します。そこを読んでいただいて、興味がない・必要がないと思った方は、その先は読み飛ばしてください。活用例を知りたい方は、最後までお付き合いください。

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簡単に説明します

通常、JR線のきっぷは、出発地から目的地までの経路が決められていて、経路通りに乗車する決まりになっています。

しかし、東京付近の特定区間(下図)を通過する場合は、経路が重ならなければ、きっぷに指定された経路以外を通ってもいい、というルールがあります。

さらに、距離の長いきっぷであれば途中下車することもできるので、このルールを活用すれば、追加コストなしで東京観光が出来てしまう!というおトクな制度になっています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

ここから先はちょっと難しい説明も入りますが、ご興味があればぜひお進みください。

ルールの背景

乗車券は”経路通り”に乗る必要がある

繰り返しになりますが、乗車券には経路が定められており、一部の例外1)を除いて、経路通りに乗車する必要があります。

しかし、東京付近は路線が非常に複雑になっており、

  • 時間帯によって列車の経路が異なる
  • 最短経路が最速経路とは限らない

という事情から、東京付近で経路を指定することにデメリットのほうが多いと考えられています。

1)一部の例外とは、例えば大都市近郊区間内で完結する乗車券などが挙げられます。この場合、距離にかかわらず途中下車はできませんが、裏技を使って途中下車できるようにする方法もあります。後ほどご案内します。

大宮→横浜の例

例えば大宮方面から横浜方面まで移動することを考えましょう。

乗車券の経路は【東北本線・東海道線】となります。この経路通りに乗ろうとすると、山手線の東側を通る上野東京ラインしか乗れなくなってしまいます。

しかし、次にやってくる列車が山手線の西側を通る湘南新宿ラインだったらどうでしょうか。

おそらく乗車券の経路を無視して湘南新宿ラインに乗ったほうが早く着きます。

でもいいのかな?

中途半端にルールに詳しくなっていると心配になりますよね。

東京付近の特例区間を通過する場合の特例によりOK

結論から言うと「どっちに乗ってもいい」のですが、規則の観点で説明しようとしたときに登場するのが「東京付近の特定区間を通過する場合の特例」です。

旅客営業規則第70条で規定されているルールであることから、東京付近の特定区間のことを「70条区間」と呼ぶこともあります。

赤羽から品川にかけての区間は、上記特例の範囲内になります。

よって、東京付近の乗車券の経路指定にかかわらず、上野東京ラインでも湘南新宿ラインでも利用可能で不正乗車にはなりません

2)単純に大宮→横浜で完結する乗車券であれば、大都市近郊区間の特例が適用されるため、そもそも経路は問われませんが、大都市近郊区間を外れる乗車券を利用中であっても経路は問われません。

活用方法

続いて、このきっぷの活用方法をお伝えいたします。

はじめにお断りしておくと、この活用方法で使う乗車券は途中下車できることが最低条件となります。途中下車できる最低条件とは、

  • 営業キロが100キロを超えること
  • 東京近郊区間で完結しないこと

東京からちょっと遠いところに住んでる人が活用できる、と考えたほうがいいです。

なお、東京近郊区間はかなり広いですが、意図的に外すことも可能です。詳しく知りたい方は下記からご参考ください。

ルールを活用して東京巡り

例として仙台(市内)から横浜までの乗車券を持っているとします。この乗車券であれば途中下車ができます。

この人が東京で新幹線を降りて、そのまま単純に東京→横浜と向かってもいいのですが、

新幹線を大宮で降りて、

大宮→【赤羽→田端→池袋→高田馬場→新宿→代々木→飯田橋→水道橋→神田→秋葉原→両国→錦糸町→新日本橋→東京→有楽町→新橋→高輪ゲートウェイ→品川】→横浜
※【 】内が東京付近として定められているエリア

などと巡っても合法であり、かつ途中下車ができます。

経路が重ならないように工夫をすれば、追加料金なしで東京巡りができるということです。

注意点

注意点がいくつかあります。

経路が重なるとNG

経路が重なると不正となります。

例えば、大宮→赤羽→秋葉原→新宿→品川と進んでしまった場合、代々木ー新宿間が重複となるため、このような経路は取れないということになります。

途中下車できないと意味がない

途中下車できる乗車券を持っていない場合、降りた時点で回収となります。

繰り返しとなりますが、途中下車できる乗車券の必須条件は下記。

  • 東京近郊区間で完結しないこと
  • 100キロを超えること

上の例でも、単純に大宮→横浜の乗車券では、距離が足りません。

大宮→熱海とすれば100キロは超えますが、東京近郊区間で完結する乗車券となってしまい、途中下車できませんのでご注意ください(経路選択は自由です)。なお、大宮→熱海の例では、大宮ー東京間を新幹線経由にするだけで近郊区間外しができ、途中下車できるようになります。

しつこいですが、下記に詳しい解説を貼っておきます。

自動改札機を利用できないことがある

本来のきっぷの経路から外れる駅で途中下車をする際、自動改札機にきっぷを通すと扉が閉まります

それでも途中下車は可能ですので、駅員さんのいる通路を利用しましょう。

なお、きっぷ明記の経路上の駅であれば、自動改札機を通ることが出来ます。

駅員さんが知らないことがある

有人改札を通る際、説明なしに通ろうとすると間違いなく駅員さんに止められます。

「東京付近を通過する特例」というキーワードとともに、実際に乗車した経路を言えば、8割くらいの方は理解してくれます。

しかし、それでは済まないことも。きっぷの経路は明らかに外れていますし、きっぷを自動改札に通すと「経路外乗車」として扉が閉まるため、ルールに詳しくない駅員さんであれば「だめだ」の一点張りになることがあります。大抵は知っている人が中にいて、助けてくれますが…

それでもダメという人に会ったことも一度だけあります。その際は時間もなかったのでお金を払って出ましたが、それは完全に駅員さんが間違えているケース。

運が悪いとしか言いようがありませんが、領収書をもらってHPから本社に連絡すれば、事実確認の上、返金等の検討をしてもらえるようですので、気が向いたらどうぞ。

まとめ

SuicaをはじめとしたIC乗車券が普及し、紙の乗車券を利用する機会も少なくなりました。しかし、紙のきっぷだからこそ、使い倒せるルールもあります。「東京付近を通過する乗車券の特例」もその一つで、このルールに関して深掘りし、以下の知見を得ました。

  • 東京付近を通過する特例により、乗車経路が自由に選べる
  • 途中下車できる乗車券の場合、経路上で途中下車が出来る
  • 経路が重なってはいけない

規則の存在価値はよく分かりませんが、存在する以上はオトクに使って活用しましょう。

上記ポイントを理解したうえで楽しくお出かけください。

参考

東京付近の特定区間を通過する場合の特例について、JR東日本が解説しているページへのリンクを掲載いたします。

>> 運賃計算の特例:JR東日本 (jreast.co.jp)

今回はJRを駆使した”東京観光”でしたが、東京メトロを駆使してもオトクな”東京観光”をする方法があります。ご興味がある方は以下の記事をご覧ください。

編集後記
水戸→東京の乗車券は2,310円ですが、水戸→東京経由→舞浜でも2,310円。当時は東京ディズニーリゾートの年間パスポートを持っていたので、東京(新宿)に用事がある時に乗車券の行先と経路を水戸→上野→(新幹線)→東京→舞浜とすることが多かったです。新幹線経由にすることで東京近郊区間外し(=途中下車対応)したうえ、経路は問われないという本規則を巧みに利用して新宿へ向かい、経路が重ならないように東京に戻ってそのまま京葉線に乗るというもの。用事でかかる運賃に一切の追加コストをかけることなく舞浜へ遊びに行くという小技です。このように工夫次第で合法的にオトクな移動ができますので、頭の体操ついでに考えてみましょう。

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