【線路に物を落としたら】ぬいぐるみを落としてから再び出会うまでの物語。

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鉄道
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線路に物を落としても、絶対に自分で取るな。
落し物は利用者の落ち度です。この記事のように柔軟にご対応いただくのは難しい状況が多いと考えられますが、無理なお願いは禁物です。落とし物を拾うために故意に列車を止めると法律により罰せられます。なお、列車運行に危険を及ぼす落とし物など、人命にかかわる場合は躊躇せずに列車緊急停止スイッチを押すこと。

線路に物を落としたら、まずは”覚悟”しましょう。(1)ダイヤの関係ですぐに取ることができないことが多い、(2)物理的に取れないことがある、などの事情から、非常に長い時間がかかることがあるためです。もし絶対に必要なものであれば(3)予定を変更する判断も必要です。この記事では、子どもが大切にしていた「ニモ」のぬいぐるみを連れて特急「ひたち」で仙台に向かうとき、乗車駅で線路に落としてしまった経験を共有しています。落としてから手元に戻るまでの一部始終をお伝えしますので、反面教師としてご覧ください。また、この件でご協力いただいた関係者のみなさまには、この場を借りてお礼申し上げます。

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線路に物を落としたら

パニックになるな

ごく普通の日常生活の中で、私たちは時折、予期せぬトラブルに直面することがあります。

その中でも、線路に物を誤って落としてしまうという状況は、もちろん本人に非があることは全く否定する余地はありませんが、日常的に交通機関を利用する人に突然降り注ぐ悲劇であるとともに、非常に混乱を招くものでしょう。

私たちは、自分がそのような状況に陥ったときに冷静に対処するための心得を持つことが重要です。

どんなに大切なものであったとしても、パニックになって自ら線路に降りて拾いに行くことは絶対にやってはいけません

まずは落ち着いて。

落ち着きましょう。

そして、「財布を落として列車を止めた渋谷駅の事件」のことが頭によぎるかもしれませんが、まず、通常の落とし物であれば大きな問題に発展してしまうことはありません。

その点は心配せずに、しかし落としたものが列車の進路を支障して危険な状況であれば、列車緊急停止ボタンを押して列車を止める必要が出てきますから、その点だけはいち早く判断しましょう。

助けを求めろ

線路に物を落としてしまったら、駅員さんに状況を説明し、指示を仰ぎましょう。

駅員さんがUFOキャッチャーのような治具を使って引き上げてくれることもあれば、保線区の人が対応してくれることもあります。

心得ておかなければならないのは「自分の力でできることは何もない」ということ。

指示に従え

大切なものを落としてしまった場合、さっさと取ってくれと騒ぎ立ててしまう人もいるようです。

しかし、あくまで落し物は本人の落ち度であり、その立場をわきまえなければなりません。

危険の及ばない落とし物であれば、列車はダイヤ通りの運行を続けます。

様々な事情が行き交いますから、指示に従うのは最低限のルールです。

すぐには手元に戻らない

列車は通常通り運行を続ける

駅員さんは、列車の運行スケジュールや安全確保のため、物を回収するまでに優先順位をつけなければなりません。

最優先は安全ですが、次の優先は列車ダイヤの定時確保です。

もし、停車中の列車とホームの間に落としてしまった場合は、その列車が発車するまで取ることはできません。

また、列車が接近している場合は、回収作業を始めることができません。

あくまでダイヤの隙間に対応していただくことになりますから、すぐに手元に戻ると思わない方が良いでしょう。

細かいものは取れない

JR東日本の「落とし物に気を付けようキャンペーン」のキャッチコピーで

  • 服についたケチャップのシミは取りにくい
  • テストで満点は取りにくい
  • 線路に落ちたワイヤレスイヤホンはもっと取りにくい

というものがあります。

物を回収するためには特別な手順や装置が必要な場合もあります。

作業員の安全性を確保するために、特定の条件や手続きに従わなければならないこともありますから、回収作業が迅速に行われない場合があることを理解しておくべきです。

必需品の場合は「予定変更を」

もし、落としたものが絶対に必要なものであれば、予定変更も視野に入れて組み直しましょう。

多くのケースでは「次の列車に乗るために」ホームに行っているでしょうが、その「次の列車」に乗れるケースは稀だと思っておきましょう。

…と、ここまで偉そうにいろいろと書いてきましたが。

…はい。

私、やってしまいました。

その時の状況を次項で説明しますので、反面教師としてご参考ください。

とほほ。

ニモを線路に落とした

事の発端

2020年8月某日、我々家族は仙台の親戚宅に行くため、水戸駅からの特急「ひたち13号」特急券を確保していました。

改札を抜けて3・4番線ホームに降りると、3番線には14:10発の高萩行きが停車しており、水戸にて14:07発の仙台行き特急「ひたち13号」を先に通すダイヤとなっていました。

エスカレーターを降りて3号車付近に向かっているときのこと。

何を思ったのか、娘(4)は、手に持っていたニモを前方に投げ出したのです。

おそらくは投げたのではなく、何かの拍子に手が滑ってしまったんだと思います。

※写真は同一場所の別日時に撮影したものです

ニモはワンバウンドしたのち、停車中のE501系の車体に体を強打したうえ、ホームと車両の隙間に吸い込まれていきました。

ニモーーーー!!!

事態をすぐに理解した娘は大泣き。

時刻は14:05。我々が乗る特急は14:07に出発。しかも、特急が出た後でないと、高萩行きがホームを離れることはないので、救出もできません。

しかも、仙台行きの特急は1日3本しかない。

私、前項で書いていましたよね。

もし、落としたものが絶対に必要なものであれば、予定変更も視野に入れて組み直しましょう。

これは、仙台行きを諦めるか、ニモを諦めてもらうしかない。

どちらを選ぶも地獄の絶体絶命。究極の選択を2分ですることになったのです。

車掌さんの助け舟

事態を理解してくれた高萩行きの車掌さんが、ある提案をしてくれました。

水戸には戻られますか?(ー戻ります)
それであれば、お客様はそのまま特急にご乗車ください。
特急列車と普通列車が発車した後に拾ってもらえるよう、関係部署に連絡します。

どん底の我々の前に、とても優しい天使が現れました。

多くの救助協力者にありがとう

特急列車は5分程度遅れていて、その間ホームで待っていました。

本来の普通列車の発車時刻を過ぎる頃、制服を着た駅員さん2人とヘルメットを着けた保線区の方が1人、ホームに来られました。

手には長いUFOキャッチャーのような器具を持ち、一緒に列車の到着を待ってくださいました。

作業をできるのは、我々が乗り込む特急列車が発車し、さらに後続の普通列車が発車した後のことです。

貴重な時間を奪ってしまっている上に、自分たちは予定通り出発する…

こんなことが許されるのか。

葛藤の中で、連絡先などを伝えて何度もお礼を申し上げたうえで、特急列車で仙台に向かいました。

ニモとの再会

次の日、仙台から帰ってきた我々は、水戸駅改札窓口で事情をお話ししました。

ニモは、事務所の引き出しの中に大切にしまってくださっていました。

あくまで拾得物扱いですので、本人確認書類などを見せて、所定の書類にサインをしての受け渡しとなりました。

仙台には行けなかったニモ。

しかし、多くの人のお世話になって、再び再会することが出来ました。

線路に物を落とさないために

線路に物を落としたら…

  • パニックになるな
  • 助けを求めろ
  • すぐに手元に戻らないと心得よ

そして、線路に物を落とした当事者になってしまった私。

線路に物を落とさないために、ホーム上では、次の約束をすることにしました。

  • 手におもちゃ類を持たず、背中のカバンにしまいましょう
  • 物の落下が発生しないように荷物を整理しましょう
  • 余裕を持ち、慌ただしい行動や駆け込み乗車はやめましょう

線路に物を落とすと、鉄道会社の方に大変なご迷惑が掛かってしまいます。

今後は気を付けます。

現実世界で繰り広げられたファインディング・ニモ。

JR東日本
「線路内への落とし物気を付けようキャンペーン」について
>> こちら

今回の落し物の件で助けてくれた関係者の皆様、誠にありがとうございました。

ではまた。

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