北陸の空の玄関「小松空港」。かつては大型機材が多数運航されていましたが、北陸新幹線の金沢開業により需要が減少し、今では中型機での運航がメインになっています。それでも空路を選ぶメリットとして(1)航空券が安い、(2)空港ラウンジを使える、(3)オトクなキャンペーンがある、(4)金沢よりも西に行けるなどが挙げられます。それでも、今後北陸新幹線が敦賀開業を迎えると、さらに厳しい状況になるかもしれません。しかし、北陸新幹線のバイパス路線として、今後も重要な役割を果たすでしょう。
小松空港とは
空港の場所
小松空港は金沢から西に20キロほど離れた小松市にある北陸の空の玄関口です。
JAL/ANAともに就航しています。
金沢と福井の中間に位置し、小松空港から金沢駅、小松駅、福井駅方面へリムジンバスが運行されています。
世界三大恐竜博物館の一つ「福井県立恐竜博物館」へのアクセスにも利用されますので、到着ロビーで恐竜が出迎えてくれます。
鉄道との関係
かつて首都圏から金沢に行こうとすると、上越新幹線で越後湯沢まで行き、ほくほく線経由の特急「はくたか」に乗り換える必要がありました。
鉄道でめざすにはちょっと遠い…そんな印象を持たれている人も多かったと思います。
そのため、東京ー金沢間の移動で飛行機が選ばれることも多く、羽田ー小松線でB777などの大型機が運航されるなど、各社にとってドル箱路線のような存在でした。
しかし、北陸新幹線が金沢まで開業すると状況は一転。
首都圏から金沢に向かう乗客の多くは北陸新幹線にシフトし、羽田ー小松線にも暗雲が立ち込めます。
北陸新幹線開業後の今でも、ある程度の便数は確保されているものの、機材は小型化されていきました。
下記は2021年3月のJAL時刻表から一例として抜粋したものですが、6往復のうち5往復はB737-800という中型機での運航です。
便名 | 羽田空港発 | 小松空港着 | 機種 |
---|---|---|---|
JL183 | 07:40 | 08:40 | B737-800 |
JL185 | 09:30 | 10:35 | B737-800 |
JL187 | 13:00 | 14:05 | B737-800 |
JL189 | 16:00 | 17:00 | B737-800 |
JL191 | 18:15 | 19:15 | B767-300 |
JL193 | 20:40 | 21:45 | B737-800 |
金沢駅までは新幹線が正解
小松空港を利用するメリットは後述しますが、先に結論を申し上げますと、旅の目的地が”金沢駅”なのであれば、北陸新幹線の利用が正解です。
首都圏から金沢駅に向かう場合を考えれば、やはり新幹線にはかなわない、というのが正直なところです。
東京から金沢まで乗り換えなしで行けるようになった今、よほど羽田空港に近い場所に出発地がない限り、飛行機を使う理由はないかもしれません。
新幹線の場合:東京07:20→金沢09:50(かがやき503号)
飛行機の場合:羽田07:40→小松08:40→ここから40分(JL0183)
所要時間ではいい勝負ですが、乗りっぱなしで定時性に優れ、変更もしやすく、車内で身動きも自由な新幹線に比べて、空港に向かい、搭乗手続きを済ませ、保安検査をされ、シートベルトで固定され…挙句の果てに定時性が低い。なかなか不便な航空機は敬遠されるかもしれません。
小松空港を推そうと思って書き始めた記事ですが、目的地が金沢駅なら新幹線一択でしょう。
小松空港を選ぶメリット
航空券が安い
新幹線を使わずに小松空港を利用する最大のメリットは、航空券の価格です。
まず、東京ー金沢間を北陸新幹線「かがやき」で移動すると14,380円かかります。
北陸新幹線と比べて、航空券を安く手に入れることができます。
JALのキャンペーンで7000円以下
JALで開催されたスマイルキャンペーンでは、羽田ー小松線が6,970円で予約可能でした。航空運賃が6,600円であったうえ、小松空港には空港使用料がかからないことも功を奏しました。
新幹線の半額以下ですから、えきねっとトクだ値50%引きなどでない限りは太刀打ちできない価格でしょう。
ANAのトクたびマイルで3,000マイル
ANAでは、概ね出発1週間前に「トクたびマイル」の対象路線が発表されますが、羽田ー小松線はよく選ばれる傾向にあります。
最安で3,000マイル+空港使用料のみで移動可能。
1マイルをいくらと考えるかは人によって異なりますが、オトクなコストで移動できることは間違いないと言っていいでしょう。
このように、早期予約や直前(に安くなる)予約、セールなどを活用すると、予算を抑えることが可能です。
空港ラウンジを使える
空港にはラウンジがあり、ゴールドカードを持っている人や、航空会社のステイタスを持っている人は追加料金なく使うことができます。
小松空港を利用する場合でも同じ。
空港ラウンジでは、無料のWi-Fiはもちろん、電源コンセント、デスク、飲み物や軽食のサービスなど、搭乗前のくつろぎのひとときを過ごすことができます。
疲れを癒したり、旅行や仕事の準備を整えるには最適な環境です。
あまり知られていませんが、空港ラウンジは到着時にも利用可能。
旅行であれば到着後のラウンジ利用は無いかもしれませんが、出張の場合はちょっとした時間調整にラウンジ利用が出来ると便利だったりします。
ラウンジという概念は新幹線には浸透していませんので、航空機利用者の特典として活用しましょう。
オトクなキャンペーンがある
小松空港が開発したスマートフォン用アプリがあります。
このアプリをインストールすると「小松空港サポーターズクラブ」というのに加勢できるのですが、実はこれ、初回ダウンロードするだけで500円分のチケットがもらえます(先着2,000名)。
チケットは空港内で使えますので、アプリアレルギーではない方は、ぜひダウンロードしてみてください。
小松発着の航空機を利用した際にQRコードを所定の端末にかざすとポイントが貯まる仕組みもあります(※こちらがメインです)。
小松空港も利用者獲得に躍起となっていますが、利用者の立場であれば、そのようなキャンペーンに思いっきり乗っかるのが賢い選択ともいえるでしょう。
金沢よりも西に行ける
小松空港は金沢と福井の中間に位置しています。厳密には金沢寄りですが、空港からどちらにも向かうことは可能。
もし、金沢よりも西に目的地があるのであれば、北陸新幹線で金沢まで行ったとしても乗り換えが必要であり、小松空港の方が便利になってくる可能性が生まれてきます。
小松空港から | 運賃 | 所要時間 |
金沢 | 1,300 | 約40分 |
小松 | 280 | 約15分 |
福井 | 1,400 | 約55分 |
福井県なら飛行機が便利
もし福井県内に最終目的地があるのであれば、金沢を越えて小松市の小松空港に降り立てば、その後の話がスムーズかもしれません。
小松空港から福井駅前までリムジンバスが出ています。
小松市に行くなら飛行機が正解
旅の目的地が小松であるなら、飛行機が圧倒的に有利になってきます。
まず、小松空港から小松駅までは280円という安さで路線バスが運行されています。
今のところ新幹線は金沢まで。小松に行くには、金沢駅で北陸本線に乗り換える必要があります。特急が頻発しているものの、北陸新幹線を金沢まで延々と乗り通した上に、さらに乗り換えが生じるという行程は、時間的にも体力的にも大きなデメリットになってきます。
小松には製造業を中心とした企業が多数操業しており、ビジネス需要も大きいです。小松空港に降り立った後、出張先へタクシーで直行するのも効率的です。
ただし、例えば大宮近辺から小松に向かう場合など、北陸新幹線の途中駅から向かう場合は鉄道に軍配が上がります。
香林坊は飛行機もアリ
金沢の中心地は香林坊エリア。兼六園などもこのあたりになります。
新幹線の金沢駅からは南に離れていて、駅から路線バスを使うことになりますが、空港から金沢行きのバスに乗れば、金沢駅に到着した後に香林坊エリアまで直行してくれます。
時間だけを見れば新幹線が有利かもしれませんが、荷物が多い旅行などであれば利用価値が高くなります。
日本三大庭園の一つ、兼六園も駅から離れています。バスで香林坊まで来れれば、多少は便利です。
こんな街並み▼も、駅からは離れています。
また、松任市に向かう場合も飛行機が便利かもしれません。金沢駅に行く途中でバスが経由してくれます。
北陸新幹線の敦賀延伸
小松空港にとって「完全なる逆風」
さて、北陸新幹線は金沢の先を目指していて、2024年ごろには敦賀駅まで延伸する予定です。
小松駅にも新幹線が停車する予定になっていて、いよいよ「小松までも乗り換えなしで行ける時代」がやってきてしまいます。
小松駅に停車するのは各駅停車タイプの新幹線のみの予定とのことですが、それでも羽田ー小松線に対する逆風がさらに強くなることは間違いないでしょう。
今後の小松空港の役割
このままでは小松空港が危ない。閉港の危機か??
いや、北陸新幹線が敦賀延伸した後も、さらには大阪延伸した後も、重要な役割が残ります。
それは、バイパス路線としての機能です。
2019年10月台風で大活躍
多摩川や阿武隈川を氾濫させ、水郡線の橋を流したあの台風19号、覚えているでしょうか。
あの台風は千曲川を氾濫らせ、北陸新幹線の車両基地を水没させました。
北陸新幹線用の車両「E7系」が多数水没。
私は週明けに小松市に行かなければならなかったのですが、北陸新幹線の運転が難しくなっているため、当初予定していた新幹線では到達不可能となりました。
そんな中、いち早く動いてくれたのがJALとANA。
B737が主流であった羽田ー小松線に、B767などの大型機に機材変更するなど、輸送力の向上に力を入れてくれました。
そのおかげで小松に行って帰ってくることが出来ました。
羽田ー小松線が存在していなかったら、迅速な切り替えはできなかったと思います。
北陸新幹線の延伸で肩身が狭くなる一方ですが、これからも首都圏と北陸を結ぶ路線として活躍してほしいと思います。
まとめ
小松空港を利用し、以下の知見を得ました。
- 東京~金沢間は、鉄道と飛行機でいい勝負
- 新幹線のメリットは定時制と柔軟性
- 航空機のメリットはコストとラウンジ利用権
- 陸路災害時のバイパス路線としても期待大
北陸新幹線の躍進におびえる小松空港ですが、今後も活躍してほしいですね。
小松空港サポーターズクラブ
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ではまた。