田園都市線溝の口駅から東京メトロまでICカードを利用すると想定以上に安くなる理由

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鉄道
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東急田園都市線と東京メトロ半蔵門線は直通運転していますが、直通利用には「渋谷までの東急線の運賃」と「渋谷からの東京メトロ線の運賃」を合算した金額を支払う必要があります。しかし、溝の口駅またはつきみ野駅を利用する場合に限り、ICカードを利用すると単純に合算とはならず安価になるケースがあります。なぜそうなるのか?具体的な例をもとに優しく解説します。

この記事では
・直通利用した時の運賃計算方法は?
・田園都市線と半蔵門線を乗り継いで降りるときにタッチしたら、思っていた金額より安くなったのはなぜ?
・どんな場合に安くなるの?
こんな疑問に答えています。
※東京都市圏では、ICカードを利用するときっぷの場合に比べて数円安くなることが一般的です。しかし、本記事で紹介するケースでは20円以上の差が出ています。

2023.03.18新運賃対応済み
運賃改訂までの間は、本記事内容と実際の運賃に誤差が生じますことをご了承ください。

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東急と東京メトロの直通運転

最初に直通運転の基本的な情報を共有します。先の項目で運賃が安くなるメカニズムを説明していますので、時間がない方は、この項目を読み飛ばしても話が通じるようになっています。

直通運転している路線

東急は、東横線(渋谷ー横浜)や田園都市線(渋谷ー中央林間)、目黒線(目黒ー日吉)などを抱える、山手線西側の鉄道会社です。他の私鉄と同じく、地域住民の足として活躍しています。

東京メトロは、主に山手線の内側で地下鉄を運行。都心の細かな輸送を担っています。

東急と東京メトロは直通運転をしており、郊外から乗り換えなしで都心にアクセスできるようになっていて、互いの強みを活かした運行となっています。

直通運転している組み合わせは下記の通り。

  • 東急東横線ー東京メトロ副都心線
  • 東急田園都市線ー東京メトロ半蔵門線
  • 東急目黒線ー東京メトロ南北線
  • 東急東横線ー東京メトロ日比谷線(廃止)

これらの全ての路線で、東京メトロを介して反対側の鉄道会社とも直通運転しています。東急の路線なのに東武や西武、埼玉高速鉄道の車両が走っているのはこのためです。

直通運転時の運賃計算

きっぷの場合

直通運転しているとはいえ、運賃計算は全くの別物。それぞれの会社線に対して各運賃を支払わなければなりません。

例えば溝の口ー大手町を乗車する場合、

  • 溝の口ー渋谷(東急線):250円
  • 渋谷ー大手町(東京メトロ):210円

それぞれ支払い、運賃は460円となります。

きっぷの買い方もちょっと複雑。

【きっぷを買う】
【他社線へのきっぷ】
【乗換駅と乗換先の選択】
直通運転で乗換が必要ない場合でも運賃計算上は乗換となります
【金額をタッチ】

初乗り運賃が2回かかるので、乗っている距離の割には高いなぁ…と思うこともあります。

各会社線の乗車距離が短い区間を利用する場合には乗り継ぎ割引が適用されています。例えば、池尻大橋ー表参道(1区間+1区間)を利用する場合には、合算運賃から20円の割引を受けることができます。

一方、それ以上の乗車となる場合には単純に合算となります。

ICカードの場合

運賃を自動で計算してくれるICカードを利用する場合でも、運賃の計算方法は同じ。

各会社線のICカード運賃(1円単位、一部を除き[きっぷ]より安い)を合算した金額が差し引かれます。

例えば溝の口ー大手町を乗車する場合、

  • 溝の口ー渋谷(東急線):250円
  • 渋谷ー大手町(東京メトロ):209円

それぞれ支払い、運賃は459円1)となります。

とりあえずここまでの知識で生きていけます。ご理解いただけたでしょうか。

1) この記事、現時点では嘘をついています。実はIC運賃は459円にはなりません。もっと安くなります。この先の項目で解説していますので、気になる方は先にお進みください。

東急ー東京メトロで’勝手にIC運賃割引’が発生

もう一度同じ記載をします。先ほどの記載を訂正します。

溝の口ー大手町を乗車する場合、

  • 溝の口ー渋谷(東急線):250円
  • 渋谷ー大手町(東京メトロ):209円

それぞれ支払い、運賃は459円1)と…なるはずなのですが…なりません。

IC運賃は459円ではなく、436円になります。23円引きです。これはオトクですね。

でもこれ、なぜ割引が発生したか、わかりますか?

多くのケースで中目黒接続に

この割引のカギを握るのは、田園都市線からは遠く離れた中目黒駅の構造にあります。

かつて、東急東横線と東京メトロ日比谷線は直通運転をしていました。今では直通運転は廃止されたものの、隣同士のホームで乗り換えできるようになっています。

つまり、中目黒駅で改札を通ることなく、東急から東京メトロに’侵入’することが可能。

一方、IC運賃は、実際に乗客が乗車した経路を把握することができないため、実際の乗車経路にかかわらず最安ルートで計算することになっています。

ここで2つめのトリックが発生。

  • 二子玉川ー渋谷間は9.4km
  • 二子玉川ー自由が丘ー中目黒は8.9km

なんと、二子玉川から東京メトロに到達できる最短ルートは、乗り換えが1回発生する自由が丘経由中目黒駅になるのです。

先ほどの、溝の口ー大手町を乗車する例の場合、

  • 溝の口ー渋谷(東急線):250円
  • 渋谷ー大手町(東京メトロ):209円

ではなく、

  • 溝の口ー中目黒(東急線):227円
  • 中目黒ー大手町(東京メトロ):209円

それぞれ支払い、運賃は436円となるんですね。

‘勝手にIC運賃割引’が起こりうる駅

ごく一部の駅に限られます

0.5kmの差によって運賃差が生じ、かつ渋谷ー目的地間と中目黒ー目的地間の運賃が同じ場合に限り、あたかもIC運賃が割引されたかのような現象が起きるのですが、このようなケースはかなりレアです。

溝の口の隣、梶が谷駅のケースを見てみましょう。

梶が谷ー大手町を乗車する例の場合、

  • 梶が谷ー渋谷(東急線):250円
  • 渋谷ー大手町(東京メトロ):209円

として計算すると419円になります。一方、

  • 梶が谷ー中目黒(東急線):250円
  • 中目黒ー大手町(東京メトロ):209円

として計算しても459円。

つまり、勝手にIC割引が発生することは無く、普通に459円が引かれます。

全ての駅でオトクになるわけではなく、むしろこれが普通であることを理解しておきましょう。

そのうえで、おトクになりうる駅を紹介しますので、沿線にお住まいの方はご参考です。

オトクな運賃計算になりうる駅

東急田園都市線各駅から渋谷と中目黒で運賃が異なる駅が対象です。具体的には…

  • 溝の口
  • つきみ野

以上です。

たった2駅だけ、このような珍現象が起こり得ます

まとめ

東急線と東京メトロを直通利用する際の運賃計算について考察し、以下の知見を得ました。

  • 運賃計算は「両社合算」
  • 二子玉川~渋谷より二子玉川~中目黒の方が近い
  • 溝の口・つきみ野に限り、渋谷より中目黒の方が安い
  • 上記2駅の場合は、ICカードを利用すると20-30円の割引が発生する場合がある

ICカードを利用した運賃のトリックをお楽しみいただけたら幸いです。

編集後記
溝の口(またはつきみ野)から東武線直通列車に乗って北千住まで行くケース。実はICカードを使うことで最もおトクになります。まず、東急線内は勝手に「中目黒接続」で計算してくれるので20-30円引き。さらに東京メトロ線内は勝手に「中目黒~北千住」を利用したこととして計算してくれます。押上~北千住間の東武線の運賃が発生しません。このような現象はICカード利用の特権です。同じことを「紙のきっぷ」でやっちゃうと不正乗車になるので、その点は注意してくださいね。
つきみ野は…あまりご縁がないかもしれませんが、溝の口は南武線接続駅でもあり、利用する機会が多いでしょう。溝の口駅から田園都市線を利用する際に、この記事のことを少しでも思い出してもらえると嬉しいです。

ではまた。

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