2023年3月18日に常磐線でもダイヤ改正が実施されます。前回の”大改悪ダイヤ改正”と比較して、今回は小粒に終わり一安心。(1)すべての「ときわ」が柏に停車するなど、利用者にとって嬉しい改正もありました。しかし、まだ表には出ていない「特に常磐線水戸以北の人が覚悟しておかないといけないこと」が少しずつ顔をのぞかせています。(2)表向きのキーワードは「ワンマン運転」ですが、その陰で減らされるものとは。将来に向かってJR常磐線の車両運用で何をしようとしているのか、垣間見ることができます。その悲劇は早ければ2024年に訪れます。今のうちから心の準備をしておきましょう。
2023年にもダイヤ改正が実施されます
鉄道の大規模ダイヤ改正は3月に実施されます。
毎年言っていることですが、日本の総人口が減り続ける現代では
ダイヤ改正=ダイヤ改悪
と考えて大きな間違いはないでしょう。
少なくとも、毎年悪い方向に少しずつ進んでいると考えておくと、メンタル面で落ち着いてみることができます。
常磐線では、2022年のダイヤ改正では目を疑うほど悪いダイヤ改正が実施されましたが、さぁ2023年はどうでしょう。
結論から言うと「特急は便利になります」。そして「今からヤバいことが起きるわけではない」ですが「着実に悪い方向に進んでいることが一つある」ので、頭に入れておきましょう。
では、要点を絞って見ていきます。
特急「ときわ」が柏に全停車
まずは下記のニュースを深読みしましょう。ポジティブ情報です。ご安心を。
特急列車の停車駅を見直し、朝時間帯の「ときわ 52 号・54 号・56 号・58 号」、夜時間帯の「ときわ 81 号」を柏駅停車とします。これにより、すべての特急「ときわ号」が柏駅停車となり、通勤・通学が便利になります。
JR東日本(引用元)
これまでは朝ラッシュ時間帯に「停まれなかった」
これまで、常磐線の特急のうちの遅いほうである「ときわ号」は、朝(通勤時間帯)の上り全列車が柏駅を通過していました。
どうせノロノロ走るんだから停車してあげたら?
なんて声も聞こえてきていたのですが、そういうわけにはいかない判断だったのです。
なぜなら、特急「ときわ」の役目は、常磐線の(概ね)土浦以北からの通勤需要を拾うことにあったからです。
もし「ときわ」を柏駅に停車させてしまうと、通勤ラッシュを避けようとする乗客の「柏→東京方面への需要」を”拾ってしまい”、同区間で座席が埋まってしまうのです。
しかもJRE POINTを利用してチケットレス特急券を発券すると、柏→品川で460ポイント。普通列車グリーン車よりも安価で利用できてしまいます。
これにより土浦方面からの長距離利用者の需要を拾えなくなってしまう懸念があったのです。
所要時間は変わらないにもかかわらず、あえて柏駅を通過していた理由はここにあったのです。
全ての「ときわ」が柏に停車する英断
今回のダイヤ改正では、柏駅にすべてのときわを停車させる英断をしました。
前項の事情がある中で、JR東日本にとっては思い切った判断だったでしょうが、利用者にとってはとても便利になります。
事実として、土浦以北に住んでいる私にとって利用機会の多い朝に、柏まで特急を利用しようとしても「停まらない」ケースが多く、やむなく普通列車を利用することが多いのです。
これが、これからは柏駅に停車することで特急を利用する機会が増えます。
これはありがたいです。
余談ですが、水戸→柏間はJRE POINTを720ポイント使うことで乗車可能。
やむを得ず上野まで特急を利用していた我が家にとっては、コスト削減にもつながりそうです。
水戸ーいわき間でワンマン運転開始
次に下記のニュースを深読みしましょう。捉え方によってはネガティブ情報を含みます。
常磐線水戸~いわき間の E531 系 5 両編成で運転する列車でワンマン運転を開始します。これにより、日中時間帯を中心に約 7 割の普通列車がワンマン運転となります。なお、すべてのドアから乗り降りいただけます。
JR東日本(引用元)
水戸以北でワンマン運転開始
水戸以北では、一部列車がE531系5両編成で運転されています。
E531系5両編成は、ロングシートとボックス型のシートを兼ね備えた車両で、鉄道ファンには人気ですが…
通勤客にとっては「座れる座席が少ない」「赤の他人と向かい合わせで座らなければならない」と、非常に不評な車両です(当社周辺調べ)。
E531系5両編成が来るとがっかり。そういう通勤客が多いのです。
一方、E531系5両編成はワンマン運転対応の車両として重宝されていて、ついに水戸ーいわき間でもワンマン化が実施されます。
しかも、その割合が「7割」とのこと。
悪名高き「E531系5両編成」が増えます
…え!?
E531系5両編成が7割を占めるだと?
同区間は特に水戸ー日立間での混雑が首都圏並みということもあり、E501系10両編成も活躍している線区ですが、それでもE531系5両編成の運用を増やす、という意思表示になります。
これまではE501系10両、E501系5両、E531系10両(グリーン車付き)、E531系10両(5両編成×2)、E531系5両…と多彩な車両繰りがされていたのに。
E531系5両編成が7割を占めるだと??(2回目)
昼間はいいんです。
せめて朝夕だけは勘弁してほしい…
これ以上E531系5両編成を増やさないでほしい。
赤の他人と顔を合わせながら座りたくない。
そう願うばかりです。
短編成化する列車を見間違えると、遅延が常態化しますよ…
普通列車グリーン車が減ります
水戸ー高萩間は風前の灯火
さらに深刻なのはこちらだと思います。
運転区間の見直しを行う列車として、
- 高萩0452発上野行き
- 高萩0533発上野行き
- 品川2126発高萩行き
これらの列車が、水戸または勝田で運用が分断されます。
この分断は、おそらく「E531系5両編成を活用したワンマン運転化」を目的としたものだと思われますが、一方で「水戸以北の普通列車グリーン車が縮小される」ことに繋がっています。
実際に水戸ー高萩間でグリーン車を連結した普通列車が走るのは、以下の4往復のみという結果に。
水戸→高萩方面(水戸発車時刻)
- 06:46
- 07:47(我孫子発高萩行き:関連記事)
- 18:56
- 20:15
高萩→上野方面(高萩発車時刻)
- 06:03
- 07:06
- 07:42
- 09:02(水戸止まりに変更)
常磐線の車両基地がある勝田までの区間であれば普通列車グリーン車の運用はこの先もほぼ確実に続くと思われますが、一方、無理に高萩まで普通列車グリーン車を運用する必要性は全くないのです。
そのため、もともと勝田以北の普通列車グリーン車がなくなる可能性は高い状況ではありましたが、その動きが「ワンマン運転化の名のもとに」着実に進んでいます。
土浦ー水戸間も1往復減便
2022年の常磐線ダイヤ改正では、土浦で運用分断することで土浦以北の昼間の普通列車グリーン車を取りやめとしました。
この流れが着実に続いています。
上の時刻表で気づいた人はいると思いますが、高萩09:02発の列車の運行区間のうち、水戸ー品川間が分断されました。
グリーン車がついているのに水戸止まりになっています。
しかも、この列車が水戸に到着した先の接続列車にはグリーン車が連結されていないという…いじめ。
つまり、例えば日立→品川のグリーン券を買っても、水戸ー土浦間は普通車で我慢していかないといけないということで、事実上機能していません。
また、上りが1本減らされたということは、当然下りも1本減っています(よく見ると上野07:24発のグリーン車付き普通列車が土浦止まりになりました)。
さぁ、2023年は最小限で済まされましたが、2024年にはグリーン車消滅区間が発生する覚悟をしておきましょう。
まとめ
2023年の常磐線ダイヤ改正について、以下の知見を得ました。
- 列車の削減は想定の範囲内
- 特急「ときわ」が全列車柏に停車!
- 水戸ーいわき間でワンマン運転を開始
- 水戸以北の将来は明るくないかもしれない
JR東日本ニュースリリース
>> こちら
E501系の”空気輸送”に関する関連記事
>> こちら
ではまた。