2022年に東急線で開催されたスタンプラリーでは、チェックポイントを巡って電車カードを集めます。東急線のスタンプをすべて押せば記念台紙がもらえます。この先、完遂をめざすガチ勢はボーナススタンプを押しに行きますが、伊豆急下田と別所温泉を含む過酷な道のり。親子でまわろう!と題したスタンプラリーの感動ゴールで待つキラキラ電車カードを手にしたとき、子どもは喜びをかみしめ、親世代は涙します。
東急線スタンプラリー2022
概要
東急線では、2022年の夏休みにスタンプラリーが開催されました。駅でもらえるスタンプ帳に東急各線の駅に設置されているスタンプを押してまわる、おなじみのイベントです。
東急線スタンプラリーでは、東急各線を6つのブロックに分け、各ブロックをクリアするごとに「電車カード」がもらえます。
- Aブロック:渋谷・三軒茶屋・下高井戸
- Bブロック:中目黒・多摩川・目黒
- Cブロック:武蔵小杉・日吉・菊名・横浜
- Dブロック:大井町・荏原中延・蒲田
- Eブロック:自由が丘・二子玉川・溝の口
- Fブロック:鷺沼・あざみ野・南町田グランベリーパーク
東急線内のスタンプをすべて押し切ると、6枚の電車カードを収納できる「記念台紙」がもらえてハッピーエンドと思いきや…
ここで終わらないのが東急線スタンプラリー2022です。
東急線内のスタンプをすべて押し切った後は、ボーナススタンプを集めませんか?という流れになりますが、このボーナススタンプが…もうね…過酷なんです。
- ボーナス1:伊豆急行「伊豆急下田」
- ボーナス2:上田電鉄「別所温泉」
- ボーナス3:東急バス「目黒営業所」
- ボーナス4:しぶそば
- ボーナス5:電車とバスの博物館
特にボーナス1と2は過酷を越えて鬼畜。笑
誰だこんな企画考えたの!という声も聞こえてきます。
ただ、(ボーナス4を除き)各1ヵ所のスタンプを押すだけでボーナス電車カードがもらえるほか、すべてのスタンプを押し切った人にはゴールの渋谷駅で「キラキラ電車カード」が贈呈されますので、諦めずに完遂を目指すのもアリですね。
レベルに合わせて楽しめる
東急線スタンプラリーでは3段階のゴールを設定してくれている点が素晴らしいです。
ちょっとだけ電車の旅を楽しみたい小さいお友達には1ブロックだけ(3-4駅)を巡ることを目標にし、電車カードをゲットすれば達成感が得られます。小さな一歩のゴールですよね。
電車が好きなお友達は東急線を制覇(19駅)すれば、記念台紙をもらうことができます。これがある種のクリアといったところ。マリオでいうと、クッパを倒したところです。例えが親世代ですが。
東急ファンのガチ勢はボーナススタンプもクリアすれば、コンプリートカードとしてキラキラ電車カードをもらえます。これこそ正真正銘の全面クリア。憧れの頂点です。
それぞれのレベル感に合わせて楽しめる仕組みがうまいですね。
スタンプラリーに参加したきっかけ
ある日の溝の口駅。南武線から田園都市線に乗り換えようとしたとき、何を思ったのか、我が子(6)は改札前に設置されたスタンプ台の前に立ち尽くします。
「スタンプ帳もらってくる?」
と聞くと、もらう!と。
特別な手続きはいりません。スタンプ帳を2人分ください。といえば、もらえます。
この、誰でも気楽に参加できる間口の広さ。
しかし。
このときはまだ、このスタンプ帳とともに新幹線に乗車する未来を誰も想像していませんでした。
東急線のスタンプ
東急線のスタンプは全19駅に散らばっています。
東は渋谷、南は横浜、西は南町田グランベリーパーク、北は下高井戸まで。
この中で最も難易度が高いのは下高井戸です。三軒茶屋から世田谷線に乗って単純往復しなければなりません。そのほか、荏原中延や大井町、目黒などの細かい行先は、そのために行こうとすると大変です。
逆に、南町田グランベリーパークや横浜は速達型の列車に乗ればあっという間につくので、他の駅のスタンプを集めながら行けば意外と簡単です。
東急線を巡るにはオトクなきっぷがあります。
東急線の電車のみで移動するのであればワンデーパス1枚で大丈夫です。バスを使う場合は1000円のきっぷを買っておくと便利でしょう。
ちなみに、世田谷線も東急線ワンデーパスでそのまま乗車できますよ。
東急線の全スタンプは1日頑張ればすべて押し切ることが可能です。
最後の駅で押し切ったことをお伝えすれば、記念台紙をゲットできます。
ここまでであれば、誰でも頑張ることができると思います。
しかし、この先の一歩を踏み出すかどうかは慎重になったほうがよかったです。
ボーナススタンプ(初級)
東急バス
東急バスのボーナススタンプは、目黒営業所に置かれています。
目黒営業所は、清水というバス停の近くにあり、周辺に鉄道駅がありません。必ずバスでのアプローチが必要になりますので、このスタンプをゲットするのであれば「1000円のフリーきっぷ」が便利でした。
目黒営業所は広大な車庫があるエリアから信号渡った先のビル内にあります。スタンプを探して車庫の周りを周回してしまうミスを見かけますので、間違えないようにしましょう。
しぶそば
しぶそばとは、東急線沿線で営業する蕎麦屋さんのこと。大人向けの「立ち食い」なイメージを勝手に抱いていましたが、少なくともスタンプが置いてある店舗であれば「子ども歓迎」と考えていいでしょう。
- 市が尾店
- 長津田店
- 綱島店(←私が使いました)
- 池上店
店舗の中にスタンプ台があります。しぶそばではボーナスカードの配布はありませんが、キラキラ電車カードのゲットを考えているのであれば立ち寄らなければならない場所です。
立ち寄らなければならない…のは事実ですが、普通においしくて気に入りましたよ、しぶそば。初めて食べましたが、また近いうちに行くと思います。
電車とバスの博物館
電車とバスの博物館は田園都市線宮崎台駅に隣接する東急の博物館です。
入館料(大人200円、子ども100円)がかかります。
ここで、電車とバスの博物館スタンプを押すことができ、電車とバスの博物館の電車カードと東急バスのカードがもらえます。
ここの難易度が高い点は、博物館が魅力的なスポットで、立ち去りたくなくなること。笑
1日がかりで訪れる計画でいるとゆとりが生まれます。
ボーナススタンプ(ガチ勢)
伊豆急下田と別所温泉への遠征を計画している場合は、JR東日本の「週末パス」が便利でした。大人8880円、こども2600円で、JR東日本の南半分が2日間乗り放題のきっぷです。このきっぷの強みは、JR東日本沿線の一部他社線も利用できるという点です。伊豆急行と上田電鉄もエリアに含まれているので、追加料金なしで乗車することができます。
上田電鉄
上田電鉄向けのカードは、なんと長野県の別所温泉まで行かないとゲットできません。
東急線のスタンプラリーなのに北陸新幹線に乗る。まじか。ちょっと頭がバグってきた。笑
東京から上田まで1時間以上かかります。そして、上田駅からは上田電鉄線に揺られて終点の別所温泉まで。
指定席はグランクラスを含めて満席という、金沢行きのはくたか555号に乗り込み、
まじで来ちゃったよ。新幹線で上田まで。。
繰り返しますが、これは東急線のスタンプラリーでございます。
この写真でお分かりだと思いますが、上田電鉄では元東急1000系電車が走っているんですね。東急車両に会いに行こうという名目でボーナススタンプが置かれているようですが…
難易度高すぎですよね。
ただ、ふたを開けてみれば「スタンプラリーガチ勢」の方々がたくさん乗られていて、自然と芽生える仲間意識。笑
その後、しなの鉄道や篠ノ井線、特急あずさに乗車して上京。
スタンプ帳とともに特急あずさに乗車。
伊豆急行
伊豆急行のスタンプは、特急踊り子号の終点「伊豆急下田」に設置されています。
長野の山の翌日は伊豆の海です。
特急踊り子で行くのが便利ですが、私たちは敢えて普通列車で行く選択をしました。伊豆急行には特徴的な普通列車がたくさん走っているからです。
昔の東横線の車両から、
昔の京浜東北線の車両を改造した車両まで走っています。
他にもリゾート21という特急より豪華な普通列車も走っています。
これらの列車をうまく乗り継ぎながら
ほんとに来ちゃったよ、伊豆急下田。
ここで最後のスタンプを押印。あまりに遠すぎて、スタンプを押すのを忘れていたほどです。
感動のゴールへ
最難関の2スタンプを押せば、あとはゴールの渋谷駅「ワンダーコンパス」に向かうだけです。
熱海駅で東海道線の普通列車に乗り継ぎ東京方面へ。もはや忘れかけていますが、あくまでこれは東急線スタンプラリーです。
頑張ってくれた娘(6)は伊東線走行中に夢の中へ。お疲れなので、ご褒美に普通列車グリーン車へ。少し前までは子連れでの利用を躊躇していたグリーン車でも、今では静かに過ごせるようになったんだなぁと感慨深くなりながら渋谷へ向かいます。
ワンダーコンパスは田園都市線の京王井の頭線側にある観光案内所(A3出口付近)。ここが過酷な旅のゴールです。
JRのスタンプラリーではゴールに人が殺到しますが、今回の東急線スタンプラリーは非常に難易度が高いためか、ゴールはがらんとしています。
受付の方に手厚くお祝いをしていただいた後は、特設の撮影スペースで写真を撮ってくれました。
のるるんも加わって、子どもは大喜びの瞬間です!
ここまで頑張って本当に良かった。お疲れさまでした!!
…。
えっ?
ちょっとまって。
キラキラ電車カードって??
まさか…
おぉまじか…
「親子でめぐろう!」ってこのことか?
我々のような、田園都市線沿線で育ち、いま子どもを連れてスタンプラリーに出かける世代(30代~40代くらい)にとっては、人生の伴走者ともいえる東急8500系です。残り1編成となり、来年1月までの運行です(がいつ引退してもおかしくないとも言われています)。
他の電車カードを集めていた時に8500系の姿がどこにも見当たらず、一抹の寂しさを感じていたのですが、ここにきて登場してくれるなんて思いもしませんでした。
コンプリートカードに8500系を採用するとは…東急の中の人にとっても特別な車両なんだというのが伝わってきました。
…あぁ締め付けられる。
別所温泉や伊豆急下田にまで足を運んでしまう東急線ガチ勢が、このカードを手にするとき。
涙腺崩壊するでしょ。
こんなスタンプラリー、反則だよ。
上記の記事にも書きましたが、本当にいろんな思い出が詰まっている車両なんです。
若かりし頃の思い出とともに、余韻に浸りながら帰路に着くのでした。
スタンプラリーに挑戦する方へ
2022年のスタンプラリーは8月31日で終了しましたが、こんなユニークな企画を実施した東急さん、今後も何を仕込んでくるのかわかりません。笑
もし東京から遠く離れた他社線を巻き込んだ企画が実施されるようであれば、週末パスの利用も考えてみましょう。
週末パスは土日だけで、かつ前日までの購入が必須です。利用開始日の前日までに駅の指定席券売機で買うか、えきねっとで購入してください。えきねっとの場合、前日までにネット上で購入の操作をすれば、券売機での受け取りは当日で大丈夫です。
まとめ
東急線スタンプラリーに参加し、以下の知見を得ました。
- 東急線全駅スタンプは1日でまわれる
- 下高井戸駅は難易度が高い
- ボーナススタンプを狙うなら覚悟が必要
- 感動のラスト
ではまた。