山形新幹線の特急料金はどうやって計算されるのか解説

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鉄道
この記事は約7分で読めます。

検索エンジンによっては「郡山から山形新幹線に乗るなら福島まで自由席がオトク」というタイトルからお越しいただいているケースがあります。これは2022年3月までの内容で、今では事情が異なります。なお、山形新幹線にとって郡山は今でも特殊な駅であり、その点はこの記事でも触れておりますので、ぜひご覧ください。

山形新幹線は、全車指定席化に踏み切るにあたり、従来よりも安価な特急料金が設定されるようになりました。いったい何をどう計算しているのかを解説します。結論として、(1)東北新幹線区間の自由席特急料金+(2)山形新幹線区間の立席特急料金+(3)指定席相当額、の単純計算でOKです。かつて問題となった「郡山割高問題」にも触れますが、郡山ー福島間の指定席特急料金を”強引に割り引く”ことで解決しました。

(鉄道マニアではない)一般のみなさまへ
この記事には少し難しい話を含みます。すべてを理解できなくても山形新幹線には「2022年3月までの旧料金」よりもオトクな計算方法で乗れているという結論だけはお持ち帰りください。
いってらっしゃいませ。

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山形新幹線の超基本

山形新幹線は、東京と山形・新庄を結ぶJR東日本の新幹線です。

福島までは東北新幹線の線路を高速で走行しますが、福島ー山形・新庄間は奥羽本線に直通運転する運行となり、速度は落ちます。

しかし、東京と直結したことは強みであり、コロナのない時代には牛牛詰めと揶揄されるほど混雑することもしばしばありました。

東京ー福島間は仙台方面の「やまびこ」と連結して走行します。一般的には「やまびこ」はガラガラで「つばさ」が混雑するため、特に上り列車において、福島駅の連結の際に牛牛詰めの「つばさ」自由席から空気輸送の「やまびこ」へ大移動が起こるのも、繁忙期の名物でした。(これを一部では福島ダッシュと言います)

そんな山形新幹線ですが、今では全車指定席化されています。

その際に問題となったのが「指定席が割高」になるという問題(後半に記載)でした。

郡山ー福島・福島ー新庄は別路線

山形新幹線の特急料金を理解するためには、まずは”基本”を知ってもらわなければなりません。

お客さん向けの案内は「山形新幹線」であっても、東京ー福島間と福島ー新庄間ではまるで異なる路線なのですが…

ここまでの理解は大丈夫でしょうか。大丈夫の方は、この項目を読み飛ばしてもOKです。

ダメな方は目を通してください。

東京ー福島間の東北新幹線

東京から福島の間は東北新幹線です。

お客さん向けの案内で山形新幹線と言われていたとしても、そこは間違いなく東北新幹線です。

特急料金の計算も東北新幹線の料金表が適用されます

東北新幹線の料金表は割高な「新幹線特急料金」として計算されます。

東北新幹線
福島まで
東京上野大宮宇都宮郡山
指定席4,2704,0604,0603,1701,410*
自由席3,7403,5303,5302,640880**
*後ほど説明しますが、郡山ー福島間の指定席特急料金は特別安くなっています
**自由席に適用される特定特急料金です

福島ー新庄間の山形新幹線

一方、福島から新庄までの間は奥羽本線という在来線になります。

お客さん向けの案内で山形新幹線と言っていても、実態は在来線の特急です。

そのため、同区間の特急料金は新幹線とは別の計算方法である「在来線特急料金」(かつてはA特急料金、今ではA特急料金を少し安くした新特急料金)で計算されます。

山形新幹線
福島から
米沢高畠赤湯かみのやま
温泉
山形天童さくらんぼ
東根
村山大石田新庄
指定席1,2901,2901,6601,6601,6602,1102,1102,1102,1102,110
立席*7607601,1301,1301,1301,5801,5801,5801,5801,580
*指定席ですが、座席を指定せずに空いている席を利用する場合は安価なコストで「立席」利用ができます。正確には「特定特急券」です。

福島を跨ぐ場合の特急料金計算方法

東北新幹線料金と山形新幹線料金を合算するだけ

福島を跨いで山形新幹線を利用する場合、東北新幹線の新幹線特急料金と奥羽本線の在来線特急料金を合算するのですが…

合算する特急料金は自由席(立席)基準となっています。

※山形新幹線の空席を利用する場合は立席特急料金(特定特急料金)が適用されます

自由席の特急料金を足し合わせた後に指定席料金を加えます。

山形新幹線の特急料金=(1)東北新幹線の自由席特急料金相当額+(2)山形新幹線の立席特急料金相当額+(3)指定席相当額

これにより、新幹線区間と在来線区間を跨いで利用しても、指定席料金は1回しかかからないようになっています。

かつては合算方法が違った

実はこれ、改善されたんです。

2022年3月までは、単純に指定席料金を合算してしまっていたために、指定席料金二重取り問題が発生していました。

厳密には在来線区間の特急料金が3割引きになっていたのですが、それでも1.7重取りです。

おいおいぼったくりだろ…(って思いながら乗っていましたが)

これを解決したのが2022年3月からの計算方法。

これはオトクですよね。

結果として、指定席料金は従来よりも値下げとなったのです。

郡山乗車の場合の”新たな問題”

この項目は難しい話を含みます。鉄道運賃の計算方法に詳しい人だけお読みください。

新幹線(自由席)の1区間乗車は特例的に安い

さて、ここでもう一つの問題が発生します。

実は新幹線には「新幹線特定特急券」というものがあります。これは「自由席に限り1区間乗車が超オトクになる」というシステムです。

通常、新幹線の自由席料金は、指定席料金から530円を引いて計算されるのですが…

1区間乗車の場合、それが自由席であれば特例的に880円で済みます。

山形新幹線が双方に停車する「郡山ー福島間」の新幹線特急料金も同じでした。自由席を利用する場合は特定特急券の対象となり、880円で済む。

一方、指定席を利用する場合は「1区間乗車の特例」の対象外となり、通常通り2,400円がかかります。

郡山ー福島間もそうです。

指定席と自由席の間に天と地の差がありました。

…ということは。

自由席の合算で特急料金を計算しようとなると、郡山ー山形新幹線内の利用においてつじつまが合わないことになります。

つまり、郡山ー福島間を指定席利用しているのに、880円相当の特急料金が適用されてしまう…という”新たな問題”に直面してしまったのです。

郡山-福島間の指定席特急券を特例的に値下げ

この問題を解決するために、郡山ー福島間の指定席特急料金を特例的に1,410円(880+530)に設定しました。

これまで2,400円かかっていた区間を1,410円に値下げしたのです。

全区間を見ても、これは最も大きな値下げ幅です。

こうすることで、自由席特急料金相当額の単純足し算の原則を守り抜いたのです。

かつての「郡山乗車」が割高すぎた

これまでJR東日本の味方に付いた書き方をしてきましたが。

逆に言えば「今までの山形新幹線郡山乗車割高すぎた」ともいえるのです。

郡山から山形方面に指定席に乗車する場合、郡山ー福島間のたった1駅に対して2,400円もの特急料金が課されていたのです。

これはひどいですよね。

これを逆手にとって、郡山-福島間のみ自由席で我慢すると、郡山ー福島間は特定料金(880円)になる上、山形新幹線の特急料金が3割引きになるからオトク!という手法もありました。

山形までの特急料金早見表

これまでは福島を跨いで急激に料金が上がっていた山形新幹線。

今では変動幅が緩やかになっていますので、直通利用がしやすくなったともいえるでしょう。

山形までの特急料金は、こんな感じになっています。

※通常期の特急料金です。乗車には特急券の他に乗車券が必要です

まとめ

山形新幹線の特急料金について以下の知見を得ました。

  • 山形新幹線の特急料金は福島を境に区別されている
  • 直通利用の場合は、自由席相当額を合算し、指定席料金(1回分)を加算している
  • かつては指定席特急料金を合算していた(自由席料金に指定席1.7回分加算)
  • 全車指定席になった代わりに安価になった

ではまた。

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