【値上げ!?】臨時列車の特急化が進んでいますが、乗車のメリットもあります。安く乗るコツも紹介。

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鉄道
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JR東日本を中心に、期間限定で運転される臨時快速列車の特急化が進んでいます。運賃・料金体系を変えるものではないので大きなニュースにはなりにくいのですが、往年の鉄道ファンにはバレバレ(笑)。臨時列車の特急化によって最も影響を受けるのは青春18きっぷなどを使って旅行をする客層。実際にどれくらい上がるのかの試算とともに、うまく乗り切る方法を考えていきましょう。なお、最初は単なる特急化として露骨な値上げと揶揄されていましたが、最近では臨時特急のスピードアップも実施されていますので、乗りごたえがあるようです。

(鉄オタ向け業務連絡)
この記事中の「臨時列車」には「季節列車」も含みます。

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臨時列車とは

観光シーズンになると、各方面に多くの臨時列車が運行されるようになりますが、いろんな種類がありますよね。言われれば当然ですが、単なる増発変わり種ルートでの運行の2パターンがあります。

定期列車の増便

最も多いパターンは、新幹線や定期特急列車の増発ですね。帰省ラッシュなどで一時的に利用が多く見込まれるシーズンでは、列車の本数を増やして対応します。

この場合、列車名は「はやぶさ」や「あずさ」など、既存の列車名がつけられ、料金体系も変わりません

定期列車の増便による臨時列車は、乗車率が低くなる傾向があるのでねらい目ですが、定期列車の合間に設定されることから、他の列車よりも時間がかかる傾向(少なくとも最速ではない)が見られます。

こちらは特に物珍しさはなく、単に輸送量が増強されるので利用客としても便利、という程度なのですが…

問題は次のやつ。

変わり種ルート

今回取り扱うのは、こちらのタイプの臨時列車です。

単なる増便とは異なり、季節を限定して突発的に表れるのが「変わり種ルート」を採用する臨時列車です。

単発で登場しますので、具体例を挙げてご紹介するのが難しいのですが…例えば、

  • 初詣客を輸送する「成田臨」
  • 初日の出を観に行く「初日の出臨」
  • 夢がかなう場所へ向かう「舞浜臨」(D臨)
  • 国営ひたち海浜公園をめざす「コキア臨」

など、もう挙げ始めればきりがありません。全国の観光地に向けて臨時列車が運行されています。

本来であれば利便性向上や観光喚起を目的に設定されている一般利用者向けの臨時列車なのですが…

  • 単発で登場する
  • (貨物線など)普段見られない線路を通る
  • 使用される車両も波動用(珍しい)

等の理由から、特に鉄道ファンを中心に人気を博しています(笑)。

臨時列車が「快速」だった過去の話

かつて、多くの地域で期間限定の臨時列車が走っていました。当時の臨時列車は近郊型の普通列車の車両を利用したり、少し贅沢な例であっても国鉄型の特急車両を用いたり…いわゆるお古(失礼?)を利用した車両運用で運行されていました。

そのうえ、多くの臨時列車は定期列車の合間に走らせるため、高速化が難しいという問題があるというのは前述のとおりです。

  • 車内設備は現行の特急列車には劣ることが多い
  • スピード面でも勝ることがほとんどない

このような理由があったのかどうかは分かりませんが、かつての臨時列車は快速として運転されることが多かったのです。

臨時列車の座席は指定席が主でしたが、中には自由席を連結するものもあり、乗車券のみで利用できる乗り得な列車として人気がありました。

近年では、少なくとも全車指定席がトレンドになっていますので、乗車券に加えて指定席券が必要なケースが多いです。

それでも、乗車券+530円で乗れるということですので、極めておトクな列車であることには変わりはありませんでした。

しかし、その空気は変わってきています。

臨時列車の特急化が進んでいます

近年(特に2021年以降)は臨時列車の特急化が顕著に進んでいます。

特急「あたみ」の登場

先陣を切ったとされるのが「ホリデー快速あたみ」の特急化です。

この列車は2017年から11月に運転されていた青梅~熱海間の臨時快速列車ですが、使用車両が185系(特急型車両です)からE257系(これも特急型車両です)に切り替えたことを謳い文句に特急化されたのです。

特急とは名ばかりで、特に往路においてはホリデー快速時代とほとんど同じ速度で歩を進めるダイヤだったようで、何も知らない利用者にとっては謎に使用車両が変わっただけで払うお金が跳ね上がる状況。

過去を知らない人なら気になりませんが、これまで+530円で乗れる快速だったのに、所要時間据え置きで特急料金がかかるというのは解せないと、一部では「露骨な値上げ」と批判される事態にも発展。

ただ、それでも乗る人(※鉄道ファン?)は乗る…ということで、計画通り特急としての運転が実施されました。

東海道線区間では特急「踊り子」よりも遅いくせに特急料金が高いという逆転現象も起き、当ブログでも記事にさせていただきました。

特急化が続く

一例として常磐線の例を見ていくと、2022年3月の時刻表には面白そうな臨時列車がたくさん掲載されているのですが…

  • 八王子~いわき間の特急「いわき」
  • 日光~高萩間の特急「常磐日光号」

など。今までだったら快速として運転してもおかしくないような区間。

それでも軒並み特急化されています。

極めつけにこれ。

やっぱりね。2022年10月には、伝統的なホリデー快速「鎌倉」も、特急「鎌倉」に様変わり。

これはもう、あっちも本気ですわ。

どれくらいの負担増になるのか

ここからは具体例を挙げてみていきましょう。

青梅~熱海

ホリデー快速であった時代であれば、乗車券に加えて指定席券【530円】を買えば乗れました。

特急あたみに乗車する場合、青梅~熱海間の指定席特急券が必要になります。

しかも、同区間で利用する場合は、割高となるA特急料金(下記)が適用されます。

営業キロ50キロまで100キロまで150キロまで200キロまで300キロまで400キロまで500キロまで600キロ以上
通常期指定席1,2901,7302,3902,7302,9503,1703,4903,830

青梅~熱海間は「150キロまで」が適用されるので、特急料金は2,390円となります。

その差額は【1,860円】にもなります。さすがに高いなぁこれは…笑

茅野~長野

こんなのも見つけました。茅野~長野間で2022年春に設定される特急「信州」なるもの。

同区間には快速「リゾートビュー諏訪湖」という観光列車があり、これを利用するなら530円なのですが…

特急「信州」を同区間で利用すると、150キロまでのA特急料金が適用され、2,390円になる見込みです。

所要時間こそ特急「信州」の方が早いものの、差額は【1,860円】となり、無視できない水準です。

特急「信州」に使われる車両はE353系(中央線の現役特急)なのですが、さすがにこの差額は露骨な値上げと言わざるを得ないのかもしれません。

特急「信州」には付属編成(3両)が使われます

負担増は「特急料金」だけではない

この臨時列車の特急化ですが、「車両もよくなっているんだから特急料金くらい払いなよ…」と思った方もいらっしゃると思います。

ですが…

実はこれ、「特急料金」以外にも見えない負担が新たに発生しているケースがあります。

その多くは「青春18きっぷとの併用」ができなくなった、などの乗車券部分での負担増でしょう。

臨時列車が快速であったこれまでであれば、普通列車専用の乗車券「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」を乗車券として利用できましたが、臨時列車が特急化されれば、これができなくなるのです。

週末パスなどの汎用性の高いフリーパスや、普通乗車券を用意しなければなりません。

差額はさらに広がります。旅の自由度も下がります。

こういう背景もあり、格安旅行を好む層には大打撃なのですね。

オトクに乗車するコツ

ぶつくさ言っても特急化は進みますので、こちらも準備を始めましょう。

特急料金の枠ギリギリを狙う

臨時快速時代であれば、追加料金は一律で530円でしたが、特急となればその料金は段階的に上がります。

営業キロ50キロまで100キロまで150キロまで200キロまで300キロまで400キロまで500キロまで600キロ以上
通常期指定席1,2901,7302,3902,7302,9503,1703,4903,830

逆に言えば、この階段状に上がる料金表の上限ギリギリを狙うとオトクということ。

例えば特急「信州」の場合、

  • 茅野~長野間の全区間を乗ると、ギリギリ100キロを超えてしまうため、特急料金は2,390円となってしまいます
  • 上諏訪~長野間に(わずか1駅のみ)短縮すると、100キロを下回るため、特急料金は1,730円となります

このように、少しの工夫で料金が大幅に変わることがありますので、乗車する距離にも着目してみましょう。

自分で距離を計算しなくても、えきねっとなどで試算することが可能ですよ。

大回り乗車で運賃節約

ただ列車に乗りたい人向けに書いています。また、旅行中に論理も含めて説明できる自信がある人だけ試してください。一般の方はスルーしてください

ただ乗り回したい鉄道ファンにとって、臨時列車が特急化は「青春18きっぷ」が使えなくなってしまった点で大きなマイナスです。

しかし、運行区間に大都市近郊区間を含む列車であれば、大回り乗車中に利用することが可能(注)ですので、運賃面でも引き続きお安く乗車することは可能。

経路などの詳細は、ちょっとレベルの高い議論になりますので省略します。鉄道のルールに詳しい人は路線図や時刻表とにらめっこして計画を立ててみましょう。

(注)一部を除き、新幹線には乗車できません。また、福島~新庄間の特急列車には乗車できません。

やむを得ない値上げ事情

長引くコロナ禍の影響が鉄道各社の決算に表れています。

通勤需要が激減し、出張控えも続く中、減収に歯止めがかかりません。鉄道会社の経費はほぼ固定でかかってきますから、減収分は利益と相殺されてしまいます。足りない分は赤字となります。

「通勤しましょう」「出張しましょう」とは言えないご時世です。

ならば取れるところから取るしかない。

鉄道ファンから取ろう!

鉄道会社が企画した有料のファンイベントが増えています。その一環で、臨時列車の特急化による値上げをしているのかもしれません。

世間では評判の悪い鉄道ファンですが、こういう時には貢献できるはずです。

感染対策を行ったうえで、臨時の特急列車に乗って出かけてみましょう。

一般の方からも取ろう!

過去は快速扱いで安かったことをよく知っている鉄道ファンに向けた目線で書いてしまいましたが、本来の臨時列車の目的は観光目的などの顧客輸送にあります。

観光地へ乗り換えなしで行けるメリットを対価としていただく、という点では、特急化もうまい戦略だと思います。

また、旅行商品として組み込んでしまえば、特急というのがネームバリューにもなり得ますよね。

特急化への努力(選ぶメリット)

普段は走らない変わったルートでお客さんを運ぶ臨時列車。それは、利便性や希少性の観点から、ただでさえ選ぶメリットがあるものですが、臨時快速の特急化の流れは続いていて、その心に水を差していました。

当初は快速をただ単に特急として走らせるだけの露骨な値上げでしたので、その感情を抱くのも無理はありませんでした。

しかし、最近では「速達性」という面で変わってきていて、特急らしい走りを見せてくれることも多くなっているようです。

実は私、臨時特急はあまり乗ったことがないのでYouTuberのみなさまの報告を完全にパクらせていただきますが(笑)、ちゃんと引用元へのリンクを貼りますのでお許しくださいませ。

まず、スーツさんが乗車された特急「谷川岳山開き号」では、特に上り列車において、制限速度ぎりぎりまで全力的な加速をし、主要駅も立て続けに通過する”攻撃的な走り”(スーツさん)をしていたようです。これは、臨時”快速”列車では考えられないことです。
>> こちら

また、ダイさんが乗車された特急「海浜公園コキア大船号」では、直前を走る特急「ひたち20号」にピッタリとついていく全力な走りを見せました。つまり時速130kmで走っていたということです。しかもこの列車は東京駅を通過(運転停車もなし)という、マニア的にも面白いダイヤを組んでくれていたようです。これも臨時”快速”列車では考えられないこと。
>> こちら

着実に特急らしさを出し始めています。

気を取り直してご乗車、いかがでしょうか!?

まとめ

臨時列車の特急化が進む点に着目し、以下の知見を得ました。

  • 臨時快速(+530円)が減少傾向
  • 臨時特急(+特急料金)が増加傾向
  • 車両は比較的新しい特急型車両に
  • 特急なので、青春18きっぷが使えない
  • 乗車距離に着目して特急料金を節約
  • スピードは徐々に上がっています

値上げが続きますが、最近では特急化に伴う新たなベネフィットも生まれています。

賢く楽しく旅行しましょうね。

ではまた。

編集後記
私自身も、夢がかなう場所へ向かうときに「わくわく舞浜号」(グリーン車)が取れたので乗車したのですが、ふたを開ければ「YouTuberだらけ」という…笑。あの号車から舞浜駅で下車し、さらにそのまま東京ディズニーランドに入園したのは自分だけだったんじゃないかとすら思っています。この列車も特急化されるのかな。う~ん、あの列車のターゲットは若者中心なので、特急化に踏み切れるのだろうか…とりあえずいまから2023年11月がわくわくですね。

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