ベビーカーを押して鉄道を利用する際に、周りの人に大変お世話になった過去のある私にとって、「ベビーカー・エレベーター論争」は見ていられません。ベビーカー利用者が優先される権利はありますが、それは周囲の協力があってのことで、それが望めないなら自衛すること。特に難関となるのが駅での縦移動であり、平行移動をいかに増やすかが腕の見せ所です。多少遠回りでも、そして乗換“回数”が多くなったとしても、平行移動の多いルートを採用し、苦労を最小限にした方が結果的にラクすることができました。
ベビーカーがあると駅の利用が大変です
はじめて壁にぶち当たった日
ある日の北千住駅。
「ここ、エレベーターないんですよ」
と言われて愕然とした私。
何度も乗り換えたことのある北千住駅。
まさか千代田線コンコースから別路線へ上がるためのバリアフリールートがないとは知りませんでした。
申し遅れました。一応私、鉄道系のブログをやらせていただいておりまして、一般的な人よりは知っているはずなのですが、この有り様です。
普通のご家庭の親御さんがベビーカーを押して鉄道を利用した際に困り果てるのは仕方のないことですよね。
エレベーターの優先利用は議論しません
世の中ではよく、
「健常者はエレベーターを使うな」
とか、
「ベビーカーや車イスの人に譲ってほしい」
とか、
エレベーターの優先利用に関して意見が飛び交うことがあります。
譲るべきなのはその通り。
もしこの記事を読んでいる人が何ら不自由なく動ける人であれば、必要な人に譲ってあげてください。
ただ、こういう議論を見るたびに、「もちろん譲ってほしい気持ちはあるけれど、あまり騒ぎにしても欲しくない」とも思っていました。
「ベビーカー来たよ…」みたいに思われるのではないかと。
ですから、もしベビーカーを使っている立場の人であれば話は別。
他人に対して当然のように、
「こっちに使わせろよ」
とか、
「ベビーカー利用者に譲れ」
とか言うのは、子連れ様もいいところ。
ただでさえ至るところでご協力いただいているのに、挙げ句の果てにそんなことは口が裂けても言えないというのが、多くの子連れの意見だと思います。
ですから、一部の子連れ様のような言動はお控えいただき、代わりにできる限りの自衛をしようよと、常々思っていたわけです。
「縦移動」は鬼門
繰り返しになりますが、ベビーカー利用者にとって鬼門となるのはエレベーターです。
なぜエレベーターが必要なのかというと、動線上に縦移動があるから。
不自由なく動ける人であれば、階段なりエスカレーターなりで昇降することができますが、ベビーカーがあるとそういうわけには行きません。
絶対にエレベーターが必要になるわけで、
「譲ってくれ」
という感情が芽生えてしまうのはよく分かりますが、世の中はそう甘くはないと。
しかも、議論に上がるものの、根本的な解決には至らないと。
であれば、遠回りになったとしてでも、
「縦移動を避ける」
ルートを最優先に考えて、自衛をするしかないんですよね。
「直通運転」は神
逆に、別々の会社であっても相互に乗り入れている「直通運転」は、ベビーカー利用者にとっては神のような存在。
乗りっぱなしで直行できるわけですから、縦移動はおろか、横移動すら発生しません。
これは活用したいところですよね。
「同一ホーム」も神
横移動で乗り換えができる「同一ホーム」も神のような存在。
乗り換えが必要であったとしても、その乗り換えに段差が一切なければ全く苦になりません。
線路切替工事の様子を見るたびに、
「わざわざ多額を使って工事なんてしなくても…」
と若い頃は思っていましたが、ベビーカーを押すときになって初めて、そのありがたみを知ることになりました。
例題!「たまプラーザ→東京」
例えば、東急田園都市線たまプラーザ駅から東京駅に向かう場合、どのようなルート取りが考えられるでしょうか?
避けるべきルート
通常であれば、東急田園都市線に乗車して渋谷駅で乗り換えてJR山手線で行くことになると思います。
このルートであれば、乗り換えはたったの1回です。
たまプラーザー(東急田園都市線)→渋谷ー(JR山手線)→東京
しかし、もし、ベビーカーを押す立場でたまプラーザ駅から東急田園都市線に乗り、渋谷駅からJR山手線を使おうとした場合…
渋谷駅で悲鳴を上げることになります。
経験上、多くの路線が乗り入れる「大ターミナル駅」での乗り換えは避けるべき。
何度もエレベーターを乗り継がなければならない上、利用者も多くごちゃごちゃとしているので、上手いこと動くことができません。
非常にストレスフルな移動になりますから、大ターミナル駅が最終目的地でない限り、極力避けて動いた方がよさそうです。
楽なルート(1)
逆に、私が実践していた楽なルートをご紹介します。
もっとも楽だと感じたのは、
たまプラーザー(東急田園都市線)→溝の口ー(東急大井町線)→大井町ー(JR京浜東北線)→東京
というルートです。
この場合、乗り換えが2回に増えますが、それぞれの乗り換えが比較的楽なのです。
例えば、溝の口駅では田園都市線と大井町線は同一ホームであり、ホームが隣同士に並んでいますから、横移動するだけです。
大井町駅では、大井町線の改札を平行移動で出ることができ、京浜東北線の改札が真正面にある状態。
JR構内での縦移動も、比較的すいているエレベーターに1回乗るだけで到着します。
楽なルート(2)
他にも、直通運転を利用するルートを取ることもできます。
例えば、
たまプラーザー(東急田園都市線半蔵門線直通)→表参道ー(銀座線)→赤坂見附ー(丸ノ内線)→東京
というルートです。
この場合も、乗り換えが2回に増えますが、それぞれの乗り換えでは横移動するだけ。
表参道では、半蔵門線と銀座線が横に並んでいます。
赤坂見附でも、銀座線と丸ノ内線が横に並んでいます。
そして、東京駅では、ごちゃごちゃしたJR構内を避け、いきなり丸ビルの近くに出ることができますから、最終目的地次第では大変便利です。
何よりも、田園都市線と半蔵門線が直通運転をしてくれているため、鬼門の渋谷を素通りできるのが大きいですよね。
少しの工夫でこのようなルート取りをすれば、全くエレベーターを使うことなく東京駅までたどり着くことが可能なのです。
楽な乗り換えを探そう
ということで、最後に私が大変お世話になった首都圏に存在する乗り換えが楽な駅を列挙していきます。
ここでは、直通運転をしている路線を除くことにします。
みなさまの周りにもたくさんありますように。
【溝の口駅】
田園都市線と大井町線が隣同士
※一部直通電車あり
【大岡山駅】
大井町線と目黒線が隣同士
【武蔵小杉駅】
東横線と目黒線が隣同士
【表参道駅】
半蔵門線と銀座線が隣同士
【赤坂見附駅】
銀座線と丸ノ内線が隣同士
【中目黒駅】
東横線と日比谷線が隣同士
逆に、大苦戦した乗換駅を列挙します。
【渋谷駅】
エレベーターを果てしなく乗り継いだうえに工事中で行く手を塞がれました。
【東京駅(京葉線)】
果てしなく歩かされた上に、最後の地下への潜りが大混雑のエレベーター。遠回りをしてでも武蔵野線にまわることもありました。
【(旧)永田町駅】
かつて、永田町駅では、半蔵門線ホームからコンコースに上がるルートがありませんでした。
【北千住駅】
千代田線コンコースから改札内で上に上がるエレベーターがありません。
ではまた。
鉄オタ向けアナウンス
この記事では当然のことしか書いていませんから、収穫ゼロと思います。