東海道新幹線に最も安く乗る方法として「EXこだまグリーン早特3」があります。もし、(1)スマートEX(年会費無料)に登録してもいい、(2)快適な座席であれば長時間かかってもいい、(3)3日前に予約できる、という3条件がそろっているのであれば「EXこだまグリーン早特3」をオススメします。東京ー名古屋・京都・新大阪において「のぞみ普通席」と比較し、注意点とともにご紹介します。「きっぷ」としては最も安いタイプになります。「旅行商品」の”ぷらっとこだま”との違いも頭に入れておきましょう。
東海道新幹線のエースは「こだま」です
遅すぎる「こだま」
東海道新幹線には
- のぞみ:最速達型の大人気列車
- ひかり:停車駅を絞った速達列車
- こだま:各駅停車タイプの鈍足列車
が走っています。
のぞみは最速達。新横浜を出ると名古屋までノンストップ。特に需要の大きい巨大都市のみに停車し、東名阪の移動を支えています。東京ー名古屋間を約1時間30分で結びます。
ひかりは準速達。停車駅パターンは列車により異なります。中には小田原を出ると名古屋まで停まらないものもありますが、料金はのぞみよりも安くなるため、「スーパーひかり」「ほぼのぞみ」とも言われていて、これもまた人気です。
こだまは各駅に停車。都市間の移動というより、細かな地域輸送の役割が強いです。東京ー名古屋間を乗り通すと2時間40分もかかります。

こだまは各駅に停車するだけでなく、停車時に速達型ののぞみやひかりの通過待ちを行います。
移動時間は必然的に長くなってしまい、東京ー名古屋間では1時間以上も差が開いてしまいます。
輝かしいのぞみやひかりの陰で、こだまはいつも見下され、ときには忘れ去られています。
「こだま」がなければ「のぞみ」はない
しかし、東海道新幹線の各駅に停車するこだまは沿線にとって重要な役割を担っています。
実際に乗車すると、各駅での乗降が多いことに改めて気づきます。
新横浜から名古屋まで全列車が停まらないダイヤであれば、静岡県内の東海道新幹線建設は許されなかったでしょう。沿線自治体の理解が得られるからこそ線路を敷くことができ、沿線の理解は新幹線の停車によって得られます。
つまり、こだまが走らなければ東海道新幹線は都市間移動の機能を維持できないのです。

必死に逃げる「こだま」
各駅に停車しなければならないこだまは、駅間で鬼のような加速を見せ、次の停車駅まで必死に駆け抜けます。
高速運転を続けるのぞみから逃げ切らなければなりませんので、一刻の猶予もありません。

だいたい275km/hであることを維持しておけばいい速達列車とは事情が異なります。
0km/hからスタートして次の駅まで逃げ切るためには、全力で加速しなければなりません。それができなければ、のぞみの進路が妨害され、東京ー名古屋間を約1時間30分で結ぶことはできなくなります。
とくに有名なのが「熱海駅」です。ここは2面2線の本線上にホームが設置されている待避線のない駅です。
のぞみが弾丸のように飛び交う本線上に停車する様子はまさに「決死の停車」とも言われています。

みなさん、もう少し「こだま」に対して敬意を払ってあげてくださいね。
「こだま」のグリーン席が安くなる理由
グリーン車は余ってしまう
東海道新幹線の車両はすべての種別がほぼ共通で運用されています。
のぞみもこだまも同じ16両編成。そのうち3両がグリーン車という構成まで同じです。
こだまでは短距離の利用が多く、自由席が重宝されています。これに対して指定席は余りがちです。でもこれは大丈夫。自由席と指定席では設備が同じであるため、単に自由席として開放すればいいのです。
しかし、グリーン車はそのようにはいきません。設備が異なるため、グリーン車は「グリーン車指定席」として運用しなければなりません。
「短距離利用前提のこだまなのにグリーン車が3両もついてしまう」
いないとまではいいませんが、短い乗車時間のためにわざわざグリーン車を利用する人は少ないでしょう。

それでも、通常のきっぷで捌く場合は、定められた料金で発売することになります。
その状況をほったらかしにしてそのまま走らせると…まさに「グリーン車3両分の空気を高速で輸送」することになってしまいます。
これは避けたいですよね。

「こだま」の空席は割引きっぷで埋めます
空席が余りがちなこだまに対してコスト面でのアドバンテージを与えるため、複数の割引きっぷが用意されています。
代表的なのが以下の2つ。
- EX早特(EXこだまグリーン早特3/EXこだまファミリー早特3)
- ぷらっとこだま(※きっぷではありません)
オトクにこだまに乗れる点は共通していますが、実はこの2つは全く異なる2枚です。
この記事では「EXこだまグリーン早特3」の利用を前提に書いていき、後ほど「ぷらっとこだま」との比較も載せていきます。
「のぞみ指定席」と「こだまグリーン席」の料金比較
まずは「EXグリーン早特」がどれくらい安くなるのか見てもらいましょう。
区間 | のぞみ 普通席 | こだま グリーン席 (早特) | 差額 |
東京ー名古屋 | 11,100 | 9,170 | ▲1,930 |
東京ー京都 | 13,970 | 11,200 | ▲2,770 |
東京ー新大阪 | 14,520 | 11,410 | ▲3,110 |
グリーン車を利用しているにもかかわらず、のぞみ普通席よりも安いことをお分かりいただけると思います。

「EXこだまグリーン早特」を選ぶメリット
もし、単なる移動であれば「のぞみ」がいいかもしれませんが、移動も含めた旅行全体を楽しみたいシーンであれば「EXこだまグリーン早特」の選択が賢いかもしれません。
メリットを整理しておきましょう。
長時間乗れる
遅いと言われているこだまですが、逆手にとれば「長く乗っていられる」とも言えます。
もし、鉄道での旅行が好きな人であれば、これはメリットでしかありませんよね。

グリーン車でくつろげる
新幹線の移動では普通車を利用するのが一般的。
しかし、「EXこだまグリーン早特」では、グリーン車を利用することができます。
長時間の移動であっても、グリーン車で過ごせるのであれば快適ですよね。
できることの幅も広がりそうです。

途中駅を楽しめる
各駅停車のこだま。
各駅に停車するだけでなく、各駅で通過待ちの時間も生じます。
その時間にホームに出たり、(短時間であれば)買い物をすることも可能。
缶詰めにされるわけではありませんから、リフレッシュすることもできそうです。

安い
前述の通り、「EXこだまグリーン早特3」は、グリーン車利用でありながら、のぞみの普通車指定席よりも安い値段で利用することができます。
長時間グリーン車を利用したうえ、コスト面でもメリットがあるのです。
変更や払い戻しも可能
「EXこだまグリーン早特3」は、JR東海が発売する正規の割引きっぷですので、変更や払い戻しが柔軟にできるようになっています。
変更する場合は、その時点で発売している他のきっぷに変えることができます。もちろん、3日前までであれば他の列車の「EXこだまグリーン早特3」に変更することもできます。
全く使わなくなった場合は安価(320円)に払い戻しをすることもできます。
席の指定ができる
「EXこだまグリーン早特3」はJR東海のEX-ICのシステムを利用して発売されていますので、発券時に好きな席をピンポイントで指定して予約することができます。
周囲の空席状況を鑑みながら指定できるのは嬉しいですよね。
タバコを吸われる方は喫煙ルーム周辺の指定をすることも可能です。
「EXこだまグリーン早特3」の注意点
注意点も示しておきます。
当然分かりきっていることから、実際に乗ってみないとわからないことまで様々ですので、見出しだけでもチェックしておきましょう。
時間がかかる
当然ですが、こだまは各駅停車ですので時間がかかります。
お時間に余裕があるときに選択しましょう。
車内販売はありません
こだまには車内販売員は乗務しておりません。
出発駅で必要なものを買っておくようにしましょう。
途中駅での停車時間に調達することも可能ですが、後述の通り、乗り遅れのリスクもありますので、なるべく避けた方が良いです。
乗り遅れたら無効
「EXこだまグリーン早特3」は指定列車のみ有効です。
原則として指定された列車以外は(自由席を含め)利用できません。
のぞみよりも安価であることを利用して「EXこだまグリーン早特」を予約しておき、のぞみで先回りして目的地に先着する、などの使い方は許されておりませんのでご注意ください。
置いて行かれたら無効
こだまで駅停車時に買い出しなどのため列車を一時的に離れることもあるでしょう。
その際、もし置いて行かれてしまったら、そのきっぷは無効となるのが原則です。
列車の発車時刻はしっかりと確認し、乗り遅れのないように注意しましょう。
3日前までの予約
「EXこだまグリーン早特3」は早得商品であり、当日の予約はできません。
乗車3日前までの予約が必須となりますので、早めに計画を立てるようにしましょう。
子連れの場合は注意
もし子どもを連れて利用する場合は注意が必要です。
「EXこだまグリーン早特3」には「こども用」の設定がありません。
もし子どもを連れて利用する場合は、おとなと同額が必要となります。
子どもを含むグループで利用する場合は「EXこだまファミリー早特3」がいいでしょう。

ぷらっとこだまとEX早特の違い
こだまでの旅行と言えば「ぷらっとこだま」が有名です。
とてもオトクな商品ですが、EXこだまグリーン早特とは異なる注意点がありますので、しっかり把握しておきましょう。
ぷらっとこだま
ぷらっとこだまは、JR東海ツアーズが発売するこだま専用の旅行商品です。
繰り返しですが、ぷらっとこだまは旅行商品です。
JR東海が発売する正規割引きっぷではなく、JR東海ツアーズがまとめて買い上げて小売りしている旅行商品であり、「きっぷ」ではありません。
よって、JR線が発売するきっぷのルールは適用されません。
取消の場合もJR線の計算方法は適用されず、日帰り旅行商品の計算方法によって算出されます。通常、割高となります。
EXこだまグリーン早特
EX早特は、JR東海が発売するEX会員専用の割引きっぷです。
繰り返しですが、EX早特は割引きっぷです。
JR東海ツアーズが発売する旅行商品ではなく、JR東海が直接発売する割引商品であり、「おトクなきっぷ」に該当します。
よって、JR線が発売するきっぷのルールが一部適用されます。
取消手数料も320円のみ。受け取り前であれば他のきっぷに無手数料で変更することもできます。
ぷらっとこだまとEXこだまグリーン早特3の比較
一覧表で比較しましょう
下記の通り、東京ー名古屋間のケースで比較してみましたのでご覧ください。
東京ー名古屋 | ぷらっとこだま | EXこだまグリーン早特3 |
金額 | 9,600円 | 9,170円 |
乗車変更 | 一切できません | 発売中の他のきっぷに変更できます (差額は必要です) |
申込人数 | 1人から可 | 1人から可 |
席の指定 | 窓側・通路側の希望が可能 申し込み完了前に確認可能 | ピンポイントで席の指定が可能 |
申込期限 | 前日の22時まで | 3日前まで |
払戻手数料 | 旅行商品として定められています | 320円 |
改札口 | 指定された改札口のみ利用可能 | 在来線を含むすべての改札口が利用可能 |
途中下車 | 不可(全区間の通常料金が必要) | 可能(残りの区間は無効になります) |
特典 | ワンドリンク付き | 特になし |
グリーン車利用の場合であっても、どちらのプランとも10,000円を下回る料金設定となっています。のぞみが10,000円を超えていることを考えると割安ですよね。
料金ではEXこだまグリーン早特の方が430円も安いほか、急な予定変更にも手数料なしで対応できるのはうれしいですよね。
一方、ぷらっとこだまは前日22:00まで申し込みできるのが強み。おまけにコンビニで引き換えられるワンドリンク券が付くのもうれしいですよね。

結局どっちが得なのか?
ぷらっとこだまがオトクな人
ぷらっとこだまの最大の魅力は「前日まで申し込みができる」という点に尽きます。
急な用事で利用する場合にも、空席があれば滑り込みで申し込みができるのは心強いですよね。
おまけ的にワンドリンクが付いてくるのもうれしいですね。
EX早特がオトクな人
EXこだまグリーン早特3の最大の魅力は「安い」という点で、次いで「変更の融通が利く」、さらに「ピンポイントで座席指定が可能」という点でしょう。
普通車用のEXこだまファミリー早特3は複数人での利用であれば利用価値があります。
EX早特はJR東海の商品なので、タッチ&ゴーで新幹線に乗車できる利便性もウリですね。
まとめ
こだまの割引きっぷについて考察し、以下の知見を得ました。
- ぷらっとこだまは旅行商品で融通が利きませんが、前日まで申し込みができます
- EXこだまグリーン早特3は、のぞみ普通車よりも安くこだまグリーン車に乗車できます
- EXこだまファミリー早特3は、2人以上で申し込めるこだま普通車向けの割引きっぷです
ぷらっとこだま
>> こちら
EX早特商品
>> こちら
こだま旅の真逆!?
東京ー名古屋間を結ぶ飛行機はいかがですか?
>> こちら
ではまた。
この項目では「スマートEX」の利用を前提に話を進めます。スマートEXは、お手持ちの交通系ICカードで誰でも即日入会できる年会費無料のサービスです。EX-ICと比較して通常のきっぷに対する割引率が低くなるほかポイントもつきませんが、早特商品の価格は平等に扱われています(発売対象日は異なります)。