列車に乗るのが好きなあなたへ。今度の旅行は東海道新幹線の各駅停車「こだま」での旅はいかがでしょうか?「こだま」利用限定のきっぷは「のぞみ」と比較して安価に設定されていることが多く、のぞみ普通車よりもこだまグリーン車の方が安い逆転現象まで起きています。鉄道旅行が好きな人には一石二鳥です。中でもツアー商品として発売される「ぷらっとこだま」と、EX会員が利用できる「EX早特」が代表的ですが、結局どっちがオトクなのか?出発日まで余裕があればEX早得をおすすめします。東京ー名古屋間で比較します。
東海道新幹線のエースは「こだま」です
遅すぎる「こだま」
東海道新幹線には
- のぞみ:最速達型の大人気列車
- ひかり:停車駅を絞った速達列車
- こだま:各駅停車タイプの鈍足列車
が走っています。
のぞみは最速達。新横浜を出ると名古屋までノンストップ。特に需要の大きい巨大都市のみに停車し、東名阪の移動を支えています。東京ー名古屋間を約1時間30分で結びます。
一方、こだまは各駅に停車。都市間の移動というより、細かな地域輸送の役割が強いです。東京ー名古屋間を乗り通すと2時間40分もかかります。

こだまは各駅に停車するだけでなく、停車時に速達型ののぞみやひかりの通過待ちを行います。移動時間は必然的に長くなってしまい、東京ー名古屋間では1時間以上も差が開いてしまいます。
輝かしいのぞみやひかりの陰で、こだまはいつも見下され、ときには忘れ去られています。
「こだま」がなければ「のぞみ」はない
しかし、東海道新幹線の各駅に停車するこだまは沿線にとって重要な役割を担っています。
新横浜から名古屋まで全列車が停まらないダイヤであれば、静岡県内の東海道新幹線建設は許されなかったでしょう。
沿線自治体の理解が得られるからこそ線路を敷くことができ、沿線の理解は新幹線の停車によって得られます。
つまり、こだまが走らなければ東海道新幹線は都市間移動の機能を維持できないのです。

必死に逃げる「こだま」
各駅に停車しなければならないこだまは、駅間で鬼のような加速を見せ、次の停車駅まで必死に駆け抜けます。高速運転を続けるのぞみから逃げ切らなければなりませんので、一刻の猶予もありません。

275km/hであることを維持しておけばいい速達列車とは事情が異なります。0km/hからスタートして次の駅まで逃げ切るためには、全力で加速しなければなりません。それができなければ、のぞみは減速。東京ー名古屋間を約1時間30分で結ぶことはできなくなります。
とくに有名なのが「熱海駅」です。ここは2面2線の本線上にホームが設置されている待避線のない駅です。のぞみが弾丸のように飛び交う本線上に停車する様子はまさに「決死の停車」とも言われています。

みなさん、もう少し「こだま」に対して敬意を払ってあげてください。
「こだま」も同じ編成で走ります
グリーン車は余ります
東海道新幹線の車両はすべての種別がほぼ共通で運用されています。
のぞみもこだまも同じ16両編成。そのうち3両がグリーン車という構成まで同じです。
こだまでは多くの人は自由席を利用しますので、指定席は余りがちです。もちろん指定席の車両を減らして運転していますが、それでも余ります。
グリーン車はなおさらです。短い乗車時間のためにグリーン車を利用する人は少ないでしょう。それでも、通常のきっぷで捌く場合は、定められた料金で発売することになります。
その状況をほったらかしにして「グリーン車3両連結のこだま」をそのまま走らせると…まさに高速空気輸送を担うことになります。
これは避けたいですよね。

「こだま」の空席は割引きっぷで埋めます
空席が余りがちなこだまに対してコスト面でのアドバンテージを与えるため、複数の格安きっぷが用意されています。
代表的なのが以下の2つ。
- ぷらっとこだま
- EX早特(EXこだまグリーン早特/EXこだまファミリー早特)
オトクにこだまに乗れる点は共通していますが、実はこの2つは全く異なる2枚です。
以下の項目で詳しく解説します。
ぷらっとこだまとEX早特の違い
ぷらっとこだま
ぷらっとこだまは、JR東海ツアーズが発売するこだま専用の旅行商品です。
繰り返しですが、ぷらっとこだまは旅行商品です。
JR東海が発売する正規割引きっぷではなく、JR東海ツアーズがまとめて買い上げて小売りしている旅行商品であり、「きっぷ」ではありません。
よって、JR線が発売するきっぷのルールは適用されません。
取消の場合もJR線の計算方法は適用されず、日帰り旅行商品の計算方法によって算出されます。
EXこだまグリーン早特/EXこだまファミリー早特
EX早特は、JR東海が発売するEX会員専用の割引きっぷです。
繰り返しですが、EX早特は割引きっぷです。
JR東海ツアーズが発売する旅行商品ではなく、JR東海が直接発売する割引商品であり、「おトクなきっぷ」に該当します。
よって、JR線が発売するきっぷのルールが一部適用されます。
取消手数料も320円のみ。受け取り前であれば他のきっぷに無手数料で変更することもできます。
グリーン車で比較
東京ー名古屋 | ぷらっとこだま | EXこだまグリーン早特 |
金額 | 9,600円 | 9,170円 |
乗車変更 | 一切できません | 発売中の他のきっぷに変更できます (差額は必要です) |
申込人数 | 1人から可 | 1人から可 |
席の指定 | 窓側・通路側の希望が可能 申し込み完了前に確認可能 | ピンポイントで席の指定が可能 |
申込期限 | 前日の22時まで | 3日前まで |
払戻手数料 | 旅行商品として定められています | 320円 |
改札口 | 指定された改札口のみ利用可能 | 在来線を含むすべての改札口が利用可能 |
途中下車 | 不可(全区間の通常料金が必要) | 可能(残りの区間は無効になります) |
特典 | ワンドリンク付き | 特になし |
グリーン車利用の場合であっても、どちらのプランとも10,000円を下回る料金設定となっています。のぞみが10,000円を超えていることを考えると格安ですよね。
料金ではEXこだまグリーン早特の方が430円も安いほか、急な予定変更にも手数料なしで対応できるのはうれしいですよね。
一方、ぷらっとこだまは前日22:00まで申し込みできるのが強み。おまけにコンビニで引き換えられるワンドリンク券が付くのもうれしいですよね。

普通車で比較
東京ー名古屋 | ぷらっとこだま | EXこだまファミリー早特 |
金額 | 8,600円 | 8,050円 |
乗車変更 | 一切できません | 発売中の他のきっぷに変更できます (差額は必要です) |
申込人数 | 1人から可 | 2人から可 |
席の指定 | 窓側・通路側の希望が可能 申し込み完了前に確認可能 | ピンポイントで席の指定が可能 |
申込期限 | 前日の22時まで | 3日前まで |
払戻手数料 | 旅行商品として定められています | 320円 |
改札口 | 指定された改札口のみ利用可能 | 在来線を含むすべての改札口が利用可能 |
途中下車 | 不可(全区間の通常料金が必要) | 可能(残りの区間は無効になります) |
特典 | ワンドリンク付き | 特になし |
続いて普通車の例を見ていきましょう。
普通車の場合、グリーン車利用のプランと比較して1,000円程度安くなっています。少しでも出費を抑えたい旅行者にとっては、こだま普通車の利用が最もパフォーマンスに優れていると言えるでしょう。
ルールの比較はグリーン車の場合とほぼ同じですが、EX早特でこだま普通車を利用する場合は、2人以上からという条件が付いているので注意です。商品名も「EXこだまファミリー早特」となっていて、家族や仲のいいグループでの利用を想定しているようですね。
結局どっちが得なのか?
ぷらっとこだまがオトクな人
ぷらっとこだまの最大の魅力は「前日まで申し込みができる」という点に尽きます。急な用事で利用する場合にも、空席があれば滑り込みで申し込みができるのは心強いですよね。
EX早特がオトクな人
EXこだまグリーン早特の最大の魅力は「安い」という点で、次いで「変更の融通が利く」、さらに「ピンポイントで座席指定が可能」という点でしょう。
普通車用のEXこだまファミリー早特は複数人での利用であれば利用価値があります。
EX早特はJR東海の商品なので、タッチ&ゴーで新幹線に乗車できる利便性もウリですね。
まとめ
こだまの割引きっぷについて考察し、以下の知見を得ました。
- ぷらっとこだまは旅行商品で融通が利きませんが、前日まで申し込みができます
- EXこだまグリーン早特は、のぞみ普通車よりも安くこだまグリーン車に乗車できます
- EXこだまファミリー早特は、2人以上で申し込めるこだま普通車向けの割引きっぷです
ぷらっとこだま
>> こちら
EX早特商品
>> こちら
こだま旅の真逆!?
東京ー名古屋間を結ぶ飛行機はいかがですか?
>> こちら
ではまた。
EX会員には年会費がかかる「EXIC会員」と、年会費無料の「スマートEX会員」があります。これらは通常のきっぷに対する割引率が異なりますが、早特商品は平等に扱われています。スマートEX会員になるには交通系ICカード(Suicaなど)が必要ですが、登録自体は無料。誰でも気軽に利用できます。