履歴書の趣味・特技欄に悩まされる人が多い中で「旅行は趣味として成り立たない」論争が起きることがあります。結論を述べると、旅行は趣味として成り立ちます。旅行が好きな人は堂々と「趣味は旅行」と書きましょう。旅行は趣味として成り立たないと主張する人に向けて、本気で「旅行が趣味だ」と豪語する筆者及び周りの人間の日常を一例として描きますので、ご参考ください。他に書くことがないからと無難に「趣味は旅行」と書くのもOKですが、実際に履歴書に「旅行」と書いた場合に何が起きるのか。単に旅行ではなく、上手い書き方はないのかを考えます。
旅行は趣味として成り立たない理論
突然ですが、あなたの趣味は何ですか?
私の趣味は「旅行」なのですが、趣味は旅行と答えると「旅行なんて趣味として成り立つわけがない」と言われることがたま~にあります。
そもそも趣味とは何かというと…
人間が自由時間に、好んで習慣的に繰り返しおこなう行為、事柄やその対象のこと。
と、Wikipediaには書かれています。
全く異論はありませんが、「旅行は趣味として成り立たない」という人の主張を聞くと、起源はここのようです。
人間が自由時間に、好んで習慣的に繰り返しおこなう行為、事柄やその対象のこと。
旅行というのは少なくとも1泊2日は時間がとられるもの。新幹線や飛行機に乗って出かければ、1回で10万円は下らない。そんなものを習慣的に繰り返し行えるわけがない。
という主張のようです。
確かに。
旅行というのは、年に数回だけ出かけるイベントであって、それが日常的に行われる趣味としては成り立たないというのは、どうやら正しいように思えてきます。
さて、果たして正解でしょうか。
自称、旅行が趣味の筆者が考えてみますね。
趣味が旅行という人の日常
常に旅行プランを立てている
「普通の人」でも旅行が好きと考える人は多いのですが、話を聞いてみると「ハワイに行きたいな~」とか「ヨーロッパがいい」とか、「北海道・沖縄もいいよね」とか、「温泉いいですね」とか…行き先候補がいろいろと出てきますが…
実は行き先ややりたいことが出っぱなしで終わっていることが多い。
「旅行が趣味という人」は、行きたい場所なんて山ほどあって、その山と山が重なり合いすぎて高原地帯になっています。その結果、特別行きたい場所なんてない。
じゃあ何をしているのかというと、「都合のいい行き先」を常に狙っています。
例えば、普通の人が「〇〇に行きたい」と言っている隙に、ありとあらゆる行先の航空券の料金を調べています。そのエリア及び周辺地域のホテル情報を調べています。新幹線の空席状況を調べながらバスの情報も仕入れています。具体的にプランに落とし込んでいて、無理だと思ったらひっくり返す。これを何十回も繰り返しています。
普通の人=抽象的に考えている
趣味の人=具体的に考えている
ひどい状況になると、実際に旅行に行っている時間よりも、プランを考えている時間のほうが長くなることもあります。
それでも、それがイヤではなく、楽しんでいます。
日常的にプランを立てることを楽しんでいるんですね。
隙があれば旅行に出かける
旅行が趣味な人は週末にずっと家で過ごすことは稀です。
学校や会社の都合と照らし合わせて、常に旅行に行ける隙を狙っています。
狭い日本、すべての地域とは言えませんが、それでも1泊2日あればほとんどの場所に到達することができます。
金曜の夜には出発して、新幹線や飛行機に乗ってしまうケースが多いです。そして、日曜日の夕方には帰ってくる。
どうしても時間がないときは日帰りで沖縄に行ってくるなんて弾丸旅行も…
そんなので楽しめるの?と思うかもしれませんが、趣味が旅行の人であればどこかに行ければそれでOK。別の意味では旅行に対する期待値も低いので、その程度でも十分に楽しめる価値観を持ち合わせているんですね。
普通の人=「旅行」は特別な時間
趣味の人=「旅行」は日常の延長
旅の途中も全部楽しめる
普通であれば、旅行の目的地にお目当てがあるものですが、旅行が趣味な人は家を出てから家に帰るまでが楽しい遠足で、特にこれといった目的がなかったりします。
途中に起きた出来事はすべて思い出として残ります。
移動を快適にする小技の引き出しを何個も持っていて、さらに上積みを図ろうと、日々勝手に調べています。しかも、その”研究”を各々のレベルで楽しんでいます。
普通の人=明確な目的がある
趣味の人=何となく旅に出る
出費を抑えて継続する
とはいえ、毎週末出かけているとお金が尽きてしまうのも事実。
旅行が趣味な人は出費を最小限に抑える小技の引き出しも持っています。
遠くに行くのであれば、JALのどこかにマイルやANAのトクたびマイルを活用すれば、クレジットカードの利用でいつの間にか貯まっていたマイルを少しだけ使ってほぼ無料で飛行機に乗れます。これらの航空券は行き先が選べなかったり、行き先の選択肢が狭かったりしますが、別に「どこに行っても楽しい」ことを知っているので関係なし。
鉄道で回るのであれば、青春18きっぷや北海道東日本パスを駆使するのは序の口。グリーン券を格安で発券したり、やけに安い区間だけ新幹線を利用したり、途中下車ができる一筆書ききっぷを活用して経路上の観光地をいっぺんに見たり、いろいろと工夫します。
最近では自社ポイントを使うことで格安になる企画乗車券の導入も進んでいます。これらを最大限に活用し、支出を抑え、その分、旅行回数を増やして楽しんでいます。
普通に考えたら面倒くさい行程ですが、旅行が趣味な人はそれも含めて楽しんでいます。
普通の人=旅行では豪遊する
趣味の人=旅行でも節制する
コロナ禍では超近距離旅行も
コロナ禍で遠くに行けなくなってしまった旅行が趣味な人は何をしていたかというと…
自宅から徒歩圏内のホテルに泊まり歩いていたりしました。
GoToトラベルキャンペーンのほか、地域限定の旅行割を活用して、実質負担がほぼゼロ円どころか黒字になる格安旅行を楽しんでいました。
普通の人=コロナ禍では旅に出ずおとなしく自粛する
趣味の人=リスクを抑えて今しかできないことをする
どうですか?こんな感じの人であれば「趣味は旅行」といっても反論される筋合いはないはずです。
ここに書いたのは私の一例ですが、旅行が好きな人は同じようなレベルだと思うので、堂々と「趣味:旅行」と言い張りましょう。
旅行の国家資格を取り始める
挙句の果てに、旅行関係の資格を取り始めてしまう強者までいます。
代表例が
「国内旅行業務取扱管理者」
「総合旅行業務取扱管理者」
でしょう。
あまり知られていませんが、旅行会社等で旅行商品を販売するためには国家資格が必要です。このことは旅行業法により定められています。
国内旅行のみ扱う場合は「国内旅行業務取扱者」を、海外旅行まで扱う場合は「総合旅行業務取扱者」の有資格者を各営業所に置かなければなりません。
よって、旅行業界にいるのであれば、これらの資格は役に立ちます。
しかし、既に全く別の分野で手に職がある人であっても、これらの資格を取得しようとします。
何を隠そう、私も一つ持っています。
結局、取ったところで何の役にも立ちません。
しかし「旅行が趣味」なわけですから「旅行関係の資格も趣味の範疇」として、取得してしまうんですね。
無駄ですよね。
でも、無駄こそが正義。それが趣味なわけであります。
よくある勘違い
行き先マウント
旅行が好きという話をすると、いわゆる「行き先マウント」を取ってくる人がいます。
これは、なぜか旅行好きが旅行好きを敵対視する、全く生産性のない現象です。
「へぇ~、アマゾンとか?ブラジルとか?」
「行ったことないの?それで旅行が好きって言ってるの?」
って類です。
これは完全に間違いです。
行き先がどこであれ、趣味は本人が楽しいと思うことが唯一の必須条件であることを忘れているケースが多いです。
旅行の会話で「ここに行ったら楽しかったよ」という話は生産性がありますが、「行き先マウント」を取られそうになったら消耗戦。精神をえぐられるだけなので、早めに逆を突いてください。
東京の新小岩に住んでいる人なら
「こないだ市川に旅行に行ったわ」
「その前は葛西まで旅行しました」
みたいな感じで返せば会話は自然と終わります。
毛嫌いされる
反対に、「うわぁ出た」「旅行好きアピール」というように、嫌悪感を抱かれることもあります。
「金持ち自慢」だとか「意識高い系」をアピールしたいんじゃないかと…
逆に、旅行好きがなぜこのように思われるのか、お金もないし意識も低い私から聞きたいですが、確かに…そんなアピール系の人もいますよね。これは否定しませんが…
ただ、多くの人は自分たちが楽しむために旅行に行っているのであり、決して人に自慢するために旅行に行っているわけではないことをご理解いただきたいです。
旅行嫌いの人もいます
ここまで旅行が趣味という視点でいろいろと書いてきましたが、それとは反対に「旅行は絶対に嫌だ」という人もいます。
理由もそれぞれですが、
- 行きたいところがない
- 休みはゆっくりするのが好き
- 準備が面倒くさくて疲れる
- 移動が面倒くさくて疲れる
- ホテルで寝れなくて疲れる
- 飛行機が狭くて疲れる
- 心配事が多くて疲れる
- 疲れる、疲れる、疲れる。
そんな感じが多いと思います。
わざわざ「旅行が嫌い」ということを前面に出すのは少数派と思いますが、「旅行は好きで当然だよね」という考え方はよろしくありません。
「お前、納豆好きだろ?」って決めつけているのと同じ。
日常生活において「旅行が嫌い」という人と会話するときは気にする必要はありませんが、一緒に暮らすとか、そのレベルの話まで発展するのであれば気にした方が良いかもしれません。
旅行好きが旅行嫌いと結婚したら大変です。そういう境遇の人は乗り越えてください。
履歴書に「旅行」はあり?
好きな人が多い中で、嫌いな人や、嫌悪感を抱く人までいる「趣味:旅行」。
就職活動での自己アピールとして「趣味:旅行」は書かないほうがいいのか?
就活で旅行が趣味であることを最前面に押し出してきた筆者が個人の感想として解説します。
基本的にスルー
趣味の欄に旅行と書いても、基本的にはスルーされることが多いので、そんなに心配する必要はないように思います。無趣味な人がとりあえず旅行と書いても大丈夫。
これはですね…特に新卒の大学生等を相手にした就活での面接で会社側が重要視しているのは
- これまで何を学んできたか
- 自社で採用したらどんな仕事をしてもらえば成果が上がりそうか
- そもそもちゃんとコミュニケーションを取れるのか
このあたりであると言われています。
で、趣味について聞くのは、面接における緊張を和らげたり、コミュニケーション能力に関して判断をするための一手段にすぎません。
ぶっちゃけてしまえば、話の中身なんてなんでもいい。お話ができればそれでいいのです。
突っ込まれたいなら○○旅行と書く
スルーされることに一抹の寂しさを覚えるのであれば、具体的に書くようにしましょう。
このブログの読者に多いパターンであれば「鉄道旅行」とか。
全国各地のマラソン大会に参加しているのであれば「旅ラン」とか。
なんでもいいです。温泉巡りとかでも、ダムカードコレクションとかでも。マンホールが好きとかでもいいです。スタバ巡りとか、道の駅巡りとか、サービスエリア巡りとか、イオンモール巡りとか、他人から見て意味不明なものでも、面白さを20秒で説明できるならいいです。
とにかく自分が旅行好きの中でも何に属すのかを具体的に書いてあげると拾われやすく、話も弾みます。
私も旅ランや鉄道旅行と書くようになってから、突っ込んでくれることが多くなりました。
で、その時にちゃんと受け答えをすること。言葉のキャッチボールをすること。これが一番大切で、旅行の中身はさほど重要ではありませんよ。
海外経験とリンクされることがある
とはいえ、まれに旅行を切り口とした実務的な質問を受けることがあります。
例えば「海外は?」と聞かれることがあります。
おそらく「英語ができるか?」またはそのレベルでなくとも「海外に行くことに抵抗がないか?」を試しているのかもしれません。
海外に抵抗がなく、多様性を認める考え方の下で生きている人間であると思ってもらえれば、それはプラス評価になります。
海外に関して聞かれたら、どの国に行ったことがあるのか、などをもとにアピールしてみましょう。これはチャンスですよ。
旅行が趣味であることを面接で伝える唯一のデメリット
長期休みを警戒される
先ほど「とりあえず旅行と書いても大丈夫」と書きましたが、唯一のデメリットをお伝えしておきます。
趣味が旅行と聞いて「こいつ長期で休みを取るつもりだな」と思われてしまうことがあります。
例えばヨーロッパまで海外旅行に行くとなれば、最低でも3泊5日は必要です。出社日の夜に発つとしても、週末+2日程度の休みが必要になることくらい、面接官も知っているでしょう。
その結果、面接で不利になることがあり得ます。
そういう意味では、旅行がそんなに好きではないのに「趣味:旅行」はちょっぴり危険。
裏を返せば「会社を試せる」
ただですね、あまり大きな声では言えませんが…
本当に旅行が好きなら、前述のデメリットを巧みに活用して自らふるい落とされにいくことも可能。ちょっと上から目線ですが…
旅行が大好きなあなたは、時には会社を休んで旅行に出かけることもあるでしょう。
長いケースでは、人生の半分をその会社とともに歩むことになるのに、旅行を理由とした休みを認めない会社に入社する意義はありません。そんなのこちらからお断りじゃないですか。
問答無用で最初から許されない態度を示すのであれば、そんな会社とはご縁がなかったとして割り切るのも必要です。
…って、そんなこと面接で言っちゃだめですよ。笑
旅行の休暇が許される社風の会社に入社したとしても、休みを取るときは仕事の調整が必要で、休まずに会社に来る方が楽なこともザラにあります。休みのフォローをするときに社会人としての手腕が問われます。休みを取ることを当然の権利だとは考えないように…
と、自衛のために書いておきます。
まとめ
趣味に旅行は成立するのかを考えて、以下の知見を得ました。
- 趣味として旅行は成立する
- 旅行趣味の人間は常にプランを考えている
- 履歴書に「旅行」と書いても就職できる
- 「旅行」と書いても面接で突っ込まれることは少ない
旅行が趣味の人が楽しんだコスパ・タイパ重視の旅行例を示して終わりにします。
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ではまた。