【黒磯ー新白河】黒と白の峠越えをE531系(常磐線電車)が走ります

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鉄道
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黒磯ー新白河間の山越えは常磐線でおなじみのE531系が走ります。黒磯駅構内の特殊な配線の事情で、常磐線の車両が東北本線を走っています。黒磯ー新白河間の色駅名に着目しながら県境を眺めてみましょう。

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東北本線 黒磯~新白河間について

東北本線は、IGRいわて銀河鉄道線及び青い森鉄道線とともに、東京~青森を結ぶ長大な幹線です。本記事では、そのうちの「黒磯~新白河間」について焦点を当てています。関東と東北を跨ぐ区間です。

早速ですが、ざっと駅名を見て気づくことはないでしょうか?

宇都宮側には「黒」の字が多く、郡山側には「白」の字が多いことに気付きます。この区間は関東と東北を跨ぐ白河の関所越えに相当する区間で、関所よりも関東側は「黒」、東北側は「白」がつく地名が多くなっています。

ちなみに県境に流れる川は「黒川」と名付けられていて、豊原~白坂間で渡ります。

E531系電車について

少しだけ東北本線の話題から離れますが、後の説明で必要な情報なのでお付き合いください。

E531系電車の基本

E531系電車とは、ステンレスの車体に青帯が引かれた、常磐線でおなじみの車両です。

この車両はグリーン車付きの10両編成と、グリーン車なしの5両編成が存在します。前者を基本編成、後者を付属編成ということもあり、常磐線の土浦以南では両者を連結して最長15両編成で運転されています。

E531系の特徴

電車は架線から電気を取って走行していますが、架線に流れている電気は大きく分けて「直流」と「交流」の2種類があります。

首都圏は全て直流電源ですが、東北地方は一部を除き交流電源を使っています。直流と交流との境目は「デッドセクション」と呼ばれる無電区間となっていて、ここを境目に直流側は直流用の電車が、交流側は交流用の電車が走っています。

で、境目はどこかというと、常磐線は「取手ー藤代間」、水戸線は「小山ー小田林間」となっていて、ここをまたぐ場合は直流にも交流にも対応した車両(または電気を使わない気動車)が必要です。

E531系は、直流にも交流にも対応した車両で、電化されている限り、その電源が直流だろうと交流だろうと走行することができます。

E531系の運用範囲

E531系は直流ー交流両用の車両なので、常磐線を中心に、その特性を活かせる線区で活躍しています。

基本編成はグリーン車付きであることから運用範囲は品川ー高萩間のみに限られていますが、付属編成は小回りの効く5両編成ということもあり、運用範囲は非常に広くなっています。基本編成の輸送力向上を目的に品川ー土浦間で連結されているほか、土浦ー水戸ーいわきー原ノ町間でも活躍。さらに、友部ー小山間の水戸線にも乗り入れています。

そして、2017年末からは、東北本線の黒磯ー新白河間でも運用に就いています。

…で、地理がわかっていて鉄道に詳しくない人は、なんで?って思うはずです。なぜ、飛び地のような黒磯ー新白河間の運用についているのでしょうか?

E531系が走る理由

ここからが本題です。

先程の項で説明した「デッドセクション」ですが、東北本線にも存在しています。

その場所が黒磯駅

さらに言えば、かつては「黒磯駅構内」にありました。そのため、黒磯以南は直流用電車(E231系など)が、黒磯以北は交流用電車(E721系など)が運用についていて、利用者が跨線橋を渡っている間に、知らず知らずのうちに直流エリアから交流エリアに移っていたんですね。

しかし、構内に切り替え区間を有することで地上側の設備が煩雑に。交流区間しか走れないE721系がホームに停車中、係員が手作業で交流電源から直流電源に切り替えてしまって車両から発煙するトラブルも発生。一連の事故などを受けて、改良工事の一環でデッドセクションを黒磯駅の北側に移設することとなりました。これにより、黒磯駅構内は全直流化となりましたが、引き換えに交流電車が黒磯駅に乗り入れることができなくなりました。

そこで登場するのがどこでも走れるE531系電車。

勝田駅を7時20分に発車する水戸線の普通列車として小山駅に到着後、回送列車として黒磯駅まで移動。その後、黒磯ー新白河間をひたすら往復し、回送列車として小山へ戻り、再び水戸線の普通列車として勝田駅に帰還します。

宇都宮駅で休憩中のE531系を見ることもできます。

大変に見えますが、限りある設備を有効活用した結果でしょう。

黒磯ー新白河間のE531系に乗車

2021年某日、当該区間のE531系に初めて乗車しました。

黒磯駅の様子

黒磯駅に停車中のE531系を見ます。このホームに青帯がいるのはどう見ても場違いですが、これがニュースタンダードです。

E131系の交直両用バージョンが開発されない限りは続くでしょう。

5両編成のうち、後ろ3両はボックスシートがある車両で人気です。一方、一番前の車両も「かぶりつき」の人たちと新白河駅で我先に乗り換えたい人で混雑します。よって、おすすめは2号車です。

直流区間しか走ることのできない205系電車とソーシャルディスタンスを取って並びます。

栃木県と福島県の県境

県境は豊原駅と白坂駅との間にあります。

ご立派な高い橋の下に小さい川が流れていて、これが県境になっています。トンネルとは異なり、分かりやすいですね。景色がいい区間になっているので、両駅間を走行する時だけはスマホから目を離して外を見てみましょう。

新白河駅の様子

新白河駅では交流区間しか走れない701系電車と前後に並びます。繰り返しになりますが、黒磯から下る場合は先頭車両が乗り換えに便利です。

前後に並ぶ間には壁が立ちふさがります。701系やE721系がこの先に進むと発煙しますからね。

今では黒磯~新白河~郡山を直通する普通列車は一本もありません。

当日も、新白河駅で下車した後に「分断ばかりで不便になったな!」とお小言を吐かれているおじさんがいらっしゃり、運転士さんは「そうですねぇすみません」と一言ぽつり。

むしろ今までの運用に無理があったので仕方がないのですがね…乗り換えを楽しめるような大人になりたいものです。

…新白河駅で暇になっちゃって途方に暮れているという人がいたら、以下の記事も覗いていってください。

まとめ

東北本線黒磯~新白河間を走るE531系電車に乗車し、下記の知見を得ました。

  • 黒磯~新白河間はE531系が走る
  • E531系は勝田から水戸線経由で送り込まれる
  • 2号車が空いている(?)
  • 豊原~白坂間で県境を越える
  • 県境区間は景色がいい

東京から普通列車で東北をめざすと、宇都宮~黒磯あたりで飽きてくる頃でしょう。でも、その先の黒磯~新白河間はちょっとスパイスの効いた区間になっていますのでお楽しみに。

ではまた。

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