えきねっとトクだ値の「乗車券つき」と「特急券のみ」の違いを解説。どっちがオトクなの!?

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鉄道
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えきねっとの割引きっぷ「トクだ値」には「乗車券つき」「特急券のみ」が存在します。新幹線では「乗車券つき」が主流ですが、在来線特急列車では「特急券のみ」が増えてきています。一般の方には「何がなんだかよく分からない」と思われるかもしれませんが、両者では割引額が全く異なります。さらに細分化すると「新幹線eチケット」「在来線チケットレス特急券」というキーワードも出てきて、初めての人は混乱に陥ります。この記事では具体例を示し、順を追って解説していきます。なお、「乗車券つき」は単に両都市間を移動する際には超オトクですが、フリーきっぷを使う場合は「特急券のみ」の方が使い勝手がよくなります。

鉄オタ向けアナウンス
この記事は鉄道に乗り慣れていない人にわかるよう基本的な内容を記載しております。

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トクだ値とは

JR東日本の”ネット限定”割引きっぷ

トクだ値とは、JR東日本が展開する「えきねっと」で購入できる割引きっぷの総称です。

JR東日本が中心ですが、JR北海道も同様のシステムを利用しています。また、北陸新幹線の直通先であるJR西日本の一部区間でも利用できます。

列車限定・席数限定ではありますが、予約できれば通常よりも安い値段で新幹線や特急列車を利用することができます。

列車によって割引率が異なったり、複数の割引率のトクだ値が用意されているケースもありますが、最大で50%引きが設定されることもあり、大変オトクとなります。

飛行機とは異なり、大胆な割引を出しにくい新幹線で、貴重な存在となっております。

割引率が異なります

先ほど「最大で50%引きが設定されることもあり…」という書き方をしました。

割引率の高いきっぷは設定されないこともあり、その場合は低割引率のきっぷから選ぶことになります。

もちろん区間や日程により異なりますから、えきねっとで検索しながら最良なものを選びましょう。

なお、公式には

トクだ値1
トクだ値14
トクだ値スペシャル

などと案内されていますが、末尾の数字は○日前までに購入できる!ということを表しているものです。

実際の現場では「トク」と「割引率」を組み合わせて「トク50」「トク35」などと呼ぶケースが多いです。

※東京ー新函館北斗のケースです

席数が限定されています

これであれば、誰もがトクだ値スペシャル「トク50」を予約したいと思うはずです。しかしそうは問屋が卸しません。

トク50はいわば「客寄せ」のような存在。設定されたとしても、その席数は厳しく制限されており、案の定の争奪戦となります。

コロナ禍においては「50%引きがほぼ全列車に設定されていて、かつ選びたい放題」という状況でしたが、需要の戻った昨今では、トク50の設定があることがそもそも少なく、ましてや空席が残っていることを見ることはほとんどありません。事前予約で全てが出払ってしまいます。

代わりに、トク05やトク25などが設定されていることが多いので、それらから選ぶことになるでしょう。

新幹線や特急列車のきっぷについて

特急列車には「乗車券」と「特急券」が必要

ここから先の話をご理解いただくために、もう一度意識してほしいことがあります。

それが、特急列車に乗車するためには「乗車券」「特急券」が必要であるということです。

乗車券はA駅からB駅までの線路上を移動することができるきっぷです。普通列車等、乗車券のみで乗れる列車を利用するのであればこれだけでOKなのですが、特急列車等に乗る場合は乗車券とは別に特急券が必要となります。

特急券はA駅からB駅まで当該の特急列車に乗車することができるきっぷです。一方、特急券単体ではA駅からB駅までの線路上を移動する権利を持ちませんから、必ず別に乗車券が必要となります。

乗車券のみで乗れる列車は多数存在しますが、特急券のみで乗れる列車は1本もないと覚えておきましょう。また、一部の特例区間を除き、乗車券のみで乗れる特急列車もないと認識しておきましょう。

乗車券にはSuica等を利用できる(在来線のみ)

前項のことを気にせずに、「そういえば特急券だけ買ってSuicaで乗っちゃったことがある」と思った人もいると思います。

大丈夫。これは正しい乗り方となります。

Suica等で改札を通過する際、運賃相当額をICカードから引いております。つまり、Suica等が乗車券代わりになったということです。※Suica等のことを「ICカード乗車券」と案内することもあります

在来線の特急列車を利用する場合で、乗車区間がICカードの利用対象エリアであれば、Suica等+特急券で特急列車に乗ることができます。

ただし、新幹線はICカードの利用対象エリアから外れています。すなわち、Suicaを乗車券代わりとして新幹線に乗ることは原則としてできません。←これを理解できない人は、下記に示す「新幹線eチケット(=Suicaで新幹線の改札を通過するシステム)」との違いに気を付けながら読み進めてくださいね。

えきねっとで買える特急券は主に3種類

ここでは「えきねっとトクだ値」の話題には触れませんが、それを理解するには絶対に必要な情報となります。分かっている点の確認&わかっていない点の知識補充をお願いします。

通常の特急券

ここから先はえきねっとの話に戻ります。

えきねっとでは、特急券をネットで予約することができます。当然「通常の特急券」も予約することができます。

在来線の場合は下記のような画面になります。

出典:JR東日本「えきねっと」(こちら)に筆者追記

新幹線の場合は、後述の「新幹線eチケット」と区別する必要があるため、「紙のきっぷ」を選んでから進みましょう。

出典:JR東日本「えきねっと」(こちら)に筆者追記

「割引なし」などと書かれているボタンから進めば、通常の特急券を予約することができます。

「あれ?ずいぶん安いね?」と思った方。新幹線に乗るには上記の特急券のほかに乗車券が必要であることを思い出しましょう。

ここで予約できる特急券は「駅の券売機やみどりの窓口での発券と同額」で旨味は少ないかもしれませんが、予約後も受け取り前であれば変更できるし、万が一の乗り遅れの際にも後続の特急を立席利用できるなど、オトクが少ない分、利便性と安心感があります。

ただし、乗車前に指定席券売機に並び、きっぷを受け取る必要があります。時間にはくれぐれも余裕をもって行動しましょう。

えきねっとで通常の特急券を予約
→必ず駅の券売機で受け取りが必要です

新幹線eチケット(乗車券+特急券のセット販売)

これは新幹線に関するきっぷです。

JR東日本では、Suica等のIC乗車券を新幹線改札口にタッチするだけで新幹線に乗車できるシステムを導入しています。これは「新幹線eチケット」と言われています。

新幹線eチケットは、あらかじめえきねっとで予約をし、お手持ちのSuica等と紐づけておけば、指定席券売機できっぷを受け取ることなく、Suica等で改札を通過できる優れものです。

新幹線eチケットの中身は「乗車券」+「特急券」です。新幹線に乗るために必要なアイテムが全て組み込まれています。いわば、乗車券+特急券のセット販売です。

出典:JR東日本「えきねっと」(こちら)に筆者追記

「新幹線eチケ」などと書かれているボタンから進めば予約することができます。

「あれ?紙のきっぷよりだいぶ高いね?」と思った方。この金額は乗車券と特急券がセットになった価格であることを思い出しましょう。(別に乗車券を買う必要はありません)

予約後にICカードとの紐づけ(裏面のカード番号を入力)が必要ですが、きっぷの受け取りが必要ないため、スムーズな移動ができます。また、割引なしとはいえ、通常の金額よりも数百円程度安くなったり、JRE POINTがオトクに貯まるなどの利点もあります。

在来線の特急にICカードで乗るのとはお金の流れがまるで違うことは分かりますよね。在来線の特急利用時は、あくまで運賃を支払うためにICカードを利用しているのに対し、新幹線eチケットでは改札通過時に紐づけられたICカードをタッチすることで「サーバー上に保管されている予約を照会している」に過ぎないのです。

また、ポイントなどはいらないという方であれば、新幹線eチケットを紙のきっぷとして受け取ることも可能です。ほぼデメリットしかない選択ですが、小さなお子さまでICカードを持っていないケースなどであれば活用できそうです。

新幹線eチケットを予約
=原則ICカードとの紐づけが必要です

在来線チケットレス特急券

これは在来線に関するきっぷです。

JR東日本の一部特急列車では、発売済みの指定席を利用している乗客に対するきっぷのチェックを省略しています。

主に東海道線・中央線・高崎線・常磐線・成田空港方面の特急列車に採用されていますが、その範囲は拡大しています。

このシステムを活かし、えきねっとで「チケットレス特急券」を”発券”すれば、特急券を受け取ることなく特急列車に乗車することができます。発券とはいえ、オンラインで発券しているようなイメージです。めったに検札はなく、車掌から提示を求められることはまずありません。少なくとも、何百回と特急ひたちに乗っている私でさえ1度しかありません(1度あります)。

しかし、自分が予約したはずの席に誰かが間違えて座っていることは何回もあります。昨日もそうでした。

そのようなトラブルが起きた際にはスマートフォンから特急券を表示させて正当性を主張する必要が出てきます。

出典:JR東日本「えきねっと」(こちら)に筆者追記

えきねっとの予約画面で「チケットレス割引」から進めば、チケットレス特急券を予約できます。

チケットレス特急券を予約
=トラブル時にスマホで表示できる準備が必要です

えきねっとトクだ値には2種類あります

ここから先は「えきねっとトクだ値」の話に入ります。

えきねっとトクだ値には大きく分けて2種類の割引きっぷが存在します。

一つは「乗車券つき」と言われるもので、もう一つは「特急券のみ」と言われるものです。

「乗車券つき」タイプについて

乗車券つきタイプは、乗車券と特急券がセットになって割り引かれているものです。

主に新幹線で「新幹線eチケット」に対して適用されており、一部の在来線でもこのタイプになっています。

出典:JR東日本「えきねっと」(こちら)に筆者追記

このタイプの場合は、特急券だけでなく、乗車券も割引の対象となるため、割引額が非常に大きくなります。

「特急券のみ」タイプについて

特急券のみタイプは、特急券のみが割引の対象になっているものです。

出典:JR東日本「えきねっと」(こちら)に筆者追記

この場合、チケットレス35%OFFなどと表示されていることが多いです。

乗車券が割引対象外となっているため、乗車券つきタイプと比較すると割引額が小さくなっています。

また、このタイプで予約した場合は、乗車券が他に必要となります。

単純に比較すると、乗車券が割引の対象外になっている点から「特急券のみタイプ」は不利なように見えますよね。

ただし、そうとは言い切れません。以下で解説します。

乗車券つきタイプがオトクなケース

どうせなら乗車券も割引された方が良いですよね。

その感覚は正しく、「単に両都市間を移動するだけ」なら乗車券つきタイプがオトクであるということで間違いありません。

常磐線運転再開初便(2020.03.14)のトク50です

かつて発売されていた水戸⇔仙台間のトク50(乗車券つき)では、両都市間を3,520円で移動することができました。これは、乗車券単体の金額を下回る水準で、大変オトクなきっぷでした。

特急券のみタイプがオトクなケース

上記に対して、「特急券のみが割り引かれても仕方がない…」と思う人もいるかもしれませんが、実は「それはちょっと違う」と声を上げる人もいます。

例えば、下記のケースが考えられます。

「特急券のみ」タイプのトクだ値がオトクなケース

  • 特急利用区間とは異なる乗車券を利用している
  • 特急利用区間を含む定期券を利用している
  • フリーパスタイプのオトクなきっぷを利用している
  • 既に割り引かれている乗車券を利用している

このような場合であれば、勝手に乗車券が付いてきてしまう「乗車券つき」タイプでは、一部または全区間において既に持っている乗車券の権利放棄をすることになり、むしろ損になってしまいますから、「特急券のみ」タイプがありがたい存在になります。

出典:JR東日本「えきねっと」(こちら)に筆者追記

最近の傾向と背景事情

どちらのタイプのトクだ値を売り出していくかはJR東日本の経営判断次第ですが、それにも根拠がありそうです。あくまで私の推測ですが、今後は「新幹線は乗車券つき」「在来線は特急券のみ」が主流になっていくだろうと予想します。

キーワードはチケットレスです。

JR東日本は、とにかくチケットレス化を進めたくて仕方がありません。そこに着目すれば簡単です。

新幹線は「乗車券つき」が主流

新幹線乗車に際してチケットレスといえば「新幹線eチケット」です。JR東日本としては新幹線eチケットをガンガン売っていきたいはずです。

言い換えれば、えきねっとトクだ値も新幹線eチケットとして発売していきたいはずです。実際にそうなっています。

新幹線eチケットは乗車券と特急券がセット販売となっていますから、自然と乗車券つきとなります。

今後、新幹線に「特急券のみ」タイプが出てくることはほぼないと予想できます。

在来線は「特急券のみ」が主流

新幹線ではなく在来線の特急だったらどうでしょう。

在来線特急でチケットレスと言えば「チケットレス特急券」です。JR東日本としては、チケットレス特急券をガンガン売っていきたいはずです。

言い換えれば、トクだ値もチケットレス特急券として発売していきたいはずです。実際にそうなっている…とまでは言い切れませんが、かつて「乗車券つき」として発売されていた区間でも、徐々にチケットレス特急券による「特急券のみ」タイプ化が進んでいます。少なくとも私が知る限りでは、その逆パターンはありません。

かつては「乗車券つき」だった常磐線・東海道線でもトクだ値のチケットレス特急券化が完了しています。

なお、現在でも中央線特急「あずさ」などでは乗車券付きとして発売されています。これは、高速バスとの競合区間であることなどが理由として考えられますが、今後はチケットレス化が図られていくものと推定します。
→2024年3月16日以降はチケットレス化となりました。

今後はQRコードを利用した新たな施策を盛り込んでいく予定とのこと。QRコードの使い方によっては別の流れになる可能性もありますことをご了承ください。

まとめ

えきねっとの割引きっぷ「トクだ値」について、以下の点を書いてみました。

  • えきねっとトクだ値は「えきねっと」で買えるネット限定割引きっぷ
  • トク50(半額!!)が設定されることもある
  • 「乗車券つき」と「特急券のみ」がある
  • 「乗車券つき」は、単に両都市間の移動の場合に超オトク
  • 「特急券のみ」は、手持ちの乗車券類と併用する場合に使いやすい

JR東日本「えきねっとトクだ値」
>> こちら

新幹線eチケットを家族で使おうと、お子さまにICカードを発行しようとしている場合は、SuicaかPASMOか、ちょっと立ち止まって考えましょう。必ずしもSuicaを選ぶ必要はありません。PASMOとの紐づけも可能ですし、PASMOでしか買えない限定きっぷもあります。

えきねっとトクだ値を使用しなくなった場合は、発車時刻(概ね6分以上)前であれば、別の列車に無手数料で変更できます。自由席にも変更できます。時間に余裕を持てとはいえ、受け取り後は変更できませんので、受け取るなら直前が吉。

ではまた。

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