全国のJR線の特急券を払い戻す際、いったいいくら取られてしまうのか?
この記事では、新幹線や在来線の特急券を払い戻す際に適用される払戻し手数料の計算方法を解説します。座席の指定を伴う場合(=指定席)と伴わない場合(=自由席)で結論が異なります。まず、座席の指定を伴わない場合は220円で払戻しができます。一方、座席の指定を伴う場合は(1)基本的には340円がかかります。しかし、(2)前日以降の払い戻しの場合は額面金額の30%がかかります。なお、(3)グリーン券や寝台券の場合は、特急料金部分は無手数料で、グリーン料金や寝台料金などの部分のみに30%がかかります。どうしても手数料を払いたくない方へ。まだ未変更の特急券であれば(4)1回に限り無手数料で別の特急券に変更できますので活用しましょう。ただし、(5)前日以降に変更した場合に変更後の特急券を払い戻す場合は、時期によらず30%がかかる仕組みなので気を付けましょう。なお、これらでいう30%相当額が340円を下回る場合は、340円となります。
特急券とは
JR線に乗るときに重要な役目を担うきっぷが「乗車券」と「特急券」です。
乗車券はA駅からB駅までの線路上を移動することができるきっぷ。普通列車等、乗車券のみで乗れる列車を利用するのであればこれだけでOK。
特急券はA駅からB駅まで当該の特急列車に乗車することができるきっぷ。特急券単体ではA駅からB駅までの線路上を移動する権利を持たないため、必ず別に乗車券が必要。
これらは対象となる列車を利用する際に必要なきっぷですが、もし予定が変わって乗らないことになってしまったら、有効期限内であれば払い戻しをすることができます。
乗車券の払い戻しは220円です。これは単純な話なので一言で済みます。
一方、特急券の払い戻しは非常に複雑です。席の種類や払い戻す時期によっても変わってきます。
この記事では「特急券」の払い戻しに関して順を追って解説していきます。
それではどうぞ。
自由席特急券の払戻し
もっとも簡単な例を先に片づけておきます。
もし、払い戻したい特急券が、座席の指定を伴わないタイプ(=自由席特急券など)である場合、そのきっぷが未使用で、かつ有効期間内であれば「220円で払戻し」ができます。
特急券の券面に「自由席特急券」と書いてあれば、これに該当します。
また、「自由席特急券」と書かれていない場合であっても、「立席特急券」であるきっぷや「特定特急券」と書かれていて、座席の指定を受けていないものであれば220円で払戻しとなります。
座席の指定を受けていない分、払い戻し手数料も安価になっているのですね。
ただし、注意点が一つ。
常磐線や中央線などで展開されている「座席未指定券」の場合、たとえ座席を指定していない状態であったとしても、払い戻し手数料は340円となります。唯一の例外ともいえるでしょう。
指定席特急券の払戻し(普通席)
さて、ここからがちょっと複雑。
まずは日常で使用することが多いであろう「普通席の特急券」について解説していきます。
この項目では「指定席特急券」といいます。
乗車2日前までに払戻し
簡単なのは乗車日の2日前までに払戻しした場合です。
この場合は、原券の額面金額にかかわらず、払戻し手数料は340円。
【2日前までに払戻し】
払戻し金額=額面金額ー340円
340円をどう思うかは人それぞれですが、指定席特急券を払い戻す場合は最も安価な金額となります。
つまり、大きな痛手を伴うことなく旅行中止の決断をするなら「乗車2日前が事実上の期限」ともいえるでしょう。
前日以降の払戻し
ここから徐々に複雑になりますが、払戻しが前日以降となった場合。
この場合は、原券の額面金額の30%相当額が払戻し手数料としてかかります。
【前日以降の払戻し】
払戻し金額=額面金額ー(額面金額×30%)
※払戻し金額は10円未満切り捨て(=乗客に有利な計算)
※額面金額×30%が340円を下回る場合は340円。
例えば東京ー新大阪の新幹線「のぞみ」のきっぷであれば、5810円×30%≒1740円が手数料としてかかることになります。
額面金額の30%を持っていかれるのはさすがに痛いと考える人が多いでしょう。
列車出発後の払戻し
さらに痛いのは列車の発車時刻を過ぎてしまった場合。
こうなってしまうと、払戻しはできません。
【列車発車後の払戻し】
払戻し金額=0円
しかし、当日に運行される後続列車の自由席を追加料金なく利用することができます。一部の路線では指定席車両の立席利用(空席利用可)ができます。
紙くずになるわけではありませんので、捨てないようにしましょう。
大手航空会社に乗り慣れている人は「出発時刻を過ぎても約80%戻ってくる」と思ってしまうようですが、鉄道の場合は事情が異なるので注意です。
指定席特急券の払戻し(グリーン・寝台など)
さぁ、この先はさらに複雑になります。
「グリーン特急券」や「寝台券」などについて解説していきます。
乗車2日前までに払戻し
乗車日の2日前までに払戻す場合であれば、特殊な料金券でもビビる必要はありません。
この場合は、原券の額面金額にかかわらず、払戻し手数料は340円。
【2日前までに払戻し】
払戻し金額=額面金額ー340円
普通車指定席と同じ扱いとなります。
前日以降の払戻し
問題はこの先です。
払戻しが前日以降となった場合。
この場合、原券のうち、特別車両料金部分に対してのみ、30%相当額が払戻し手数料としてかかり、特急料金部分は手数料無料となります。
【前日以降の払戻し】
払戻し金額=額面金額ー(グリーン料金など×30%)
※払戻し金額は10円未満切り捨て(=乗客に有利な計算)
※グリーン料金など×30%が340円を下回る場合は340円。
よく言われるのが「額面金額全体に対して30%がかかる」という勘違いで、これは誤りです。
あくまで、グリーン料金や寝台料金などに対してのみ30%がかかり、特急料金部分は不問となります。
特急料金部分よりもグリーン料金の方が安い場合であっても同様です。
料金部分の見分け方について
お手持ちの特急券をよく見ると、特●●、グ●●と書かれていると思います。これらは料金券の内訳を示しています。前日以降の払戻額を計算する際には、グ●●の部分を読み解くことになります。
列車出発後の払戻し
列車の発車時刻を過ぎてしまった場合は、払戻しはできません。
【列車発車後の払戻し】
払戻し金額=0円
しかし、当日に運行される後続列車の自由席であれば、追加料金なく利用することができます。気を付けなければならないのは、グリーン料金部分は無効になってしまう点。乗り遅れるとグリーン車の利用はできなくなります。
変更は1回限り無料です
無手数料で変更可能
ここまでお読みいただいた中で、「払戻し手数料を払うことなく取り消すことはできない」ことをお分かりいただけたと思います。
取り消すのであればその通りなのですが、実は払戻し手数料を払わなくてもいいかもしれない方法として変更が挙げられます。
特急券は、1回に限り無手数料で変更の取り扱いをしてもらえます。
これを「乗車変更」といいます。「乗変」と略すこともあります。
時期に関係なく、原券の発車時刻前であれば変更が可能です。
払い戻すくらいなら、使うかもしれない別の特急券に変更をかけておくのがベターです。
乗車変更すると、新しい特急券に「乗変」と印字されます。
もう、これ以上は変更できません。
前日以降に変更すると「30%の対象」となる
ここで気を付けないといけないことが一つあります。
乗車変更は発車時刻前であればいつでも可能なのですが、変更をかけるタイミングが前日以降の場合、変更後の特急券が何日後であろうとも、同特急券を払い戻すときには30%の手数料がかかります。
前日以降に、明後日以降の特急券へ変更をかけると、「2日以内に変更」と赤文字で記されます。
これにより、例え1か月後の特急券を払い戻す場合であっても、変更をかけたタイミングが遅かった”ペナルティ”として30%がかかってしまいます。
この点は注意しましょう。
もし前日以降に変更をかけるのであれば、変更先の特急券は「絶対に使うもの」がいいでしょう。また、万が一払戻しとなることも考えて「なるべく安価なもの」を選ぶのがベターです。
まとめ
特急券の払戻しについて、以下の知見を得ました。
- 自由席特急券を払い戻す場合は220円
- 指定席特急券を前々日までに払い戻す場合は340円
- 指定席特急券を前日以降に払い戻す場合は30%(ただし最低340円)
ただし、指定席特急券のうち、グリーン車や寝台を利用する場合は話が変わります。
- 指定席特急券・グリーン券を前々日までに払い戻す場合は340円
- 指定席特急券・グリーン券を前日以降に払い戻す場合はグリーン料金の30%(ただし最低340円)
ではまた。