JR北海道が小樽~札幌~新千歳空港間で運行する「快速エアポート」には、指定席「uシート」が設けられており、運賃に指定席料金を追加することで快適なシートへの着席が約束されます。しかし、この「uシート」の値上げが止まりません。ちょっと悲しい今後の展望と、チケットレスサービスを活用した推定されるキャンペーンについて記載しています。
快速エアポートとは
北海道を代表する空の玄関口、新千歳空港。日本各地への国内線にとどまらず、国際線も飛んでいます。
その規模が仇となり(という言い方はふさわしくありませんが)、札幌市内からは遠く離れた千歳市内に位置しています。
そんな札幌ー新千歳空港間の需要に応えるのが、JR北海道が運行する「快速エアポート」です。
両駅間を千歳線経由で最速37分で結ぶ俊足ぶりですが、種別は「快速」なので、乗車券のみで利用可能。空港をめざす利用者には第一選択肢となっている便利な交通手段です。
運行区間は小樽~札幌~新千歳空港。
使用されるのは通勤型車両がメインで、ロングシート(横向き座席)の利用となりますが、一部の列車は転換クロスシートと呼ばれる、進行方向に向いて着席できるシートも搭載されています。
新千歳空港ー札幌間の運賃は1,150円ですが、北広島駅で分割するとちょっとだけ安くなります。
こんな感じの新千歳空港から札幌市内へのオトクな利用方法を探している方は、このページよりも下記がオススメかもしれませんので、あわせてご参照ください。
uシートとは
uシートの基本
空港アクセスを担う快速エアポートには多くの利用者が集まります。わずか37分とはいえ、立ちっぱなしはつらい…という方には、指定席があります。
それが「uシート」です。
このシートは、普通車で使用している車両がどのタイプであるのかにかかわらず、進行方向を向いた座席が用意されています。
リクライニングできる座席にテーブルもついていて、わずかな時間でも快適に過ごせること間違いなし。
そりゃあ、人気も出ますわね。
首都圏の「普通列車グリーン車」と似てるけど違う
その役割や料金の位置付け的にはJR東日本の首都圏で走っている「普通列車グリーン車」に近いのですが、
- 普通車であって、グリーン車ではない
- 指定席であって、自由席ではない
という点が違いとして挙げられます。
自由席ではなく指定席なので、どんなに混雑していたとしても「指定席券」が買えているのであれば着席が確約されます。
また、グリーン車ではなく普通車指定席なので、子どもは大人の半額です。(グリーン車は同額です)
これらの点が、首都圏の普通列車グリーン車との大きな違いです。
ちなみにグリーン車指定席ではなく普通車指定席なので、青春18きっぷや北海道&東日本パスなどの普通列車用乗車券を乗車券として利用できます。この点は首都圏の普通列車グリーン車と共通です。
uシートの料金
uシートは普通列車に連結されている指定席という位置づけなので、指定席料金がかかります。
指定席料金は通年で840円。距離にかかわらず、1回の指定につき840円となります。
快速列車なので、特急料金などは必要なく、あくまで指定席料金の840円のみで使えます。
…なのですが、840円ですよ??どうでしょう。
次の項目では、840円になった経緯をおさらいしています。
uシートの料金変革
300円くらい→520円→530円→840円!
(2022年4月から840円)
昔は300円だった
uシートの歴史は、1992年の新千歳空港開業時にさかのぼります。
このころには愛称は設定されていませんでしたが、2000年以降に「uシート」という呼称が広がります。
私が知る限りでは、2010年頃のJR北海道の指定席料金は通年で300円。全国的にみても破格な水準でした。
不要となった510円の指定席券を払い戻すときの手数料よりも安い水準だったので、そのまま払い戻すよりも「快速エアポート」の指定席券に変更してから席を戻した方が安いという逆転現象も…(破いて捨てても金銭的には変わりませんが倫理的にやっちゃだめ)。
私も破いて捨てたことこそありませんが、不要となった指定席券の’処分先’は決まって「快速エアポート」でした。(もちろん乗車しました)。
2022年3月まで530円
10円、20円の値上げは消費税の増税によるものなので誤差と考えていいのですが…2016年3月に1発目の大きな値上げがありました。
この時には、快速エアポートの指定席料金が310円から520円に一気に値上げ。
この時の世間の反応は「えぇ!」というより「やっぱりね」という感じでした。着席のために520円という水準は全国的にみれば普通であり、むしろ310円が安すぎたのです。
その後に消費税増税があり、2022年3月現在では530円となっています。
2022年4月から840円
一方、衝撃が走ったのが「2022年4月」の改訂です。
このタイミングで、なんと一気に840円まで上げたのです。
これにはさすがに、
- はぁ?
- もう乗らねぇ。
- 普通車で十分。
- 高速バスで十分。
歩きで十分。
と、辛口コメントがずらり。
何を隠そう、私もそう思いました。
かつてヘビーユーザーだった私も、もうさすがにuシートに乗ることは無くなりそうです。
チケットレスサービスが始まります
とはいえ、いいニュースも一つ。
快速エアポートを対象に、チケットレスサービスが始まります。
指定席券売機できっぷを受け取ることなく乗車ができるシステム。聞けば簡単ですが、この一歩は大きいです。
特に新千歳空港→札幌の列車では、航空機の到着時刻の前後によって列車の変更も柔軟にしたいものですが、この希望がスマホ一つでかなえることができるのです。これは便利ですよね。
なお、今の航空機には機内WiFiが設置されている機材が多くなってきているほか、新千歳空港着陸後に滑走路から誘導路に入ったタイミング以降で機内モードをオフにすることができますので、uシートを使うのであれば、飛行機を降りる前に予約しちゃいましょう。
uシートにまつわる今後の展望
今回のuシート値上げの背景には、経営難にあえぐJR北海道の苦悩が伝わってきます。
取れるところから取って生き延びよう。という考え方。これには賛同しますが、時期が悪かった。
しばらくは厳しい戦いが待っているように思えます。
withコロナ時代
いつまで続くか分かりませんが、withコロナと呼ばれる今のような状況が続く以上、旺盛な利用は見込めないと推定します。
この場合、「チケットレスサービス」と連動したキャンペーンを打ち出すのではないかと予想しています。
あくまで正規の料金は840円であり、これは簡単に引き下がることはできません。
しかし、今後利用を促進したい「チケットレスサービス」に対して大胆な値下げ策を打ち出し、これまでと同等の利用を確保しつつ、新しいシステムを定着させるのではないか、という予想です。
例えば、紙のきっぷでは840円ですが、チケットレスなら540円(300円引き)とすれば、みんなチケットレスを使うでしょう。
ちなみに300円引きというのは、JR東日本管内の特急列車で全車指定席を採用した際にえきねっとで実績のある値です。
Afterコロナ時代
いつになるか分かりませんが、コロナが収まったとき、今回の値上げが功を奏すと予想します。
悲しいかな、安いニッポン。
我々にとっては「あの設備で840円なんて払えたものではない」という感覚ですが、海外からの外国人観光客からすれば楽勝な金額です。
日本とは異なり、海外ではインフレが進んでいて、さらに円安も進んで、たったの5.7ドル(2022年9月のレートで計算)で乗れるんです。もはやただみたいなもんです。
だったら乗りますよね…
外国から観光客が押し寄せるころには、チケットレスサービスを対象にしたキャンペーンなんか一切なかったことにして、あくまで外国からのお客さんをターゲットに840円のきっぷをガンガン売っていくことでしょう。
ちなみに、海外から見ればグランクラス料金も簡単に払えてしまう水準なので、全通しているであろう北海道新幹線にも追い風になると思います。いや、さすがに簡単には払えませんね。言いすぎました。でも、グランクラスは観光の対象として十分機能する設備です。
せめてそのころまで、JR北海道には踏ん張ってほしい…
まとめ
快速エアポートに連結されているuシート料金を振り返り、以下の知見を得ました。
- かつては300円だったuシートも、2022年4月から840円に
- チケットレスサービスが導入される
- 各種キャンペーンを期待したい
- Afterコロナに本領発揮できそう
値上げの波がここにも来ていますが、もはや避けられませんので、前を向いていきましょう。
JR北海道
uシートにまつわる公式発表
>> こちら
ではまた。