近年、新幹線車両の一部をオフィス化する取り組みが次々に導入されています。私もブログ記事を書く際にお世話になりましたので、JR東日本が展開する「新幹線オフィス車両」の感想を書いておきます。結論、(1)仕事をしながら高速移動可能、(2)周囲の視線をブロックできるアイテム、(3)心地の良い新幹線走行音、(4)ダイヤというタイムキーパー、という点から、オフィスよりも快適な空間であることが判明。そのうえで(5)多少の騒音はお互いさま。仕事をしたいビジネスパーソンであれば選ばない理由がないほど快適です。なお、走行区間によってはWi-Fiが途切れるので注意です。本来の使い方ではありませんが、自由席が満席の際も新幹線オフィス車両であれば着席できることがあります。
※JR東海では「S-Work車両」として同様の取り組みが実施されています
新幹線オフィス車両とは
テレワーク優先席
新幹線オフィス車両は、新幹線の一部車両をテレワーク優先席とする、JR東日本が展開する取り組みです。

ビジネスパーソンが抱いていた
- 移動中の時間も有効活用したい
- 気兼ねなく(PCを見ながら)電話をしたい
- 移動中にWeb会議に出たい
- 座席でPCを操作したい
という希望に応えようとしていて検討していたところに「新型コロナウイルスの影響による乗客減」が重なり、導入が一気に加速したように思われます。
導入車両は列車により異なる
新幹線オフィス車両は東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線に導入されています。
すべて8号車が対象ですが、その運用方法が、列車によって異なります。
はやぶさ・はやて
はやぶさとはやては、新幹線オフィス車両を指定席として発売しています。利用を希望する場合は、8号車を指定して特急券を購入する必要があります。
8号車以外の特急券をお持ちの場合、新幹線オフィス車両は利用できません。
かがやき
かがやきは、新幹線オフィス車両の指定席を発売しておりません。利用を希望する場合は、当該列車の8号車以外の特急券を購入していれば、新幹線オフィス車両を利用できます。
なお、公式では「新幹線オフィス車両を利用するときに特急券を拝見することがある」と書かれています。これは、かがやきが全車指定席であるためです。自由席券でかがやきに乗ることはできませんので、当該列車の特急券を持たずに新幹線オフィス車両に居座ることがないようにしましょう。
こまち・つばさ・つるぎ
こまち・つばさ・つるぎでは、新幹線オフィス車両を実施しておりません。
なお、つばさを利用の場合、福島以南で連結するやまびこの新幹線オフィス車両を利用することができます。この場合に車内からの通り抜けはできませんので、福島駅で編成間の移動をしましょう。
その他の列車
上記以外の新幹線では、新幹線オフィス車両を”自由席”として運用しています。
厳密には自由席ではないとも言われていますが、その列車に有効な特急券を所持していればだれでも利用できる車両とされていますので、自由席券でも利用できます。
利用料金
利用料金は無料で、新幹線オフィス車両を使うための特別な料金は不要です。
あくまで、その列車(はやぶさ・はやての場合は号車)に有効な乗車券+特急券があれば誰でも利用できます。
「新幹線オフィス車両」は自由席代わりにもなる
新幹線オフィス車両はまだ浸透していませんので、対象列車の自由席が混雑して座れないときに8号車を利用するという裏技もあります。
基本的に8号車では「指定席」と表示されていますので、知らない人は8号車には来ません。

それを逆手にとって、8号車を自由席代わりに使うことができます。
もちろん8号車は「新幹線オフィス車両」として設計されていますので独特な空気が流れますが、そこは許容することが大前提です。
また、新幹線オフィス車両は歓談する場ではありませんので、趣旨をわきまえて利用しましょう。
「新幹線オフィス車両」が快適だった理由5選
仕事をしながら高速移動可能
時は金なりとは言いますが、移動時間を有効に使いたいというのは誰もが思うことでしょう。
移動中に片づけたい仕事があるときに、新幹線オフィス車両は大いに役立ちます。
公共の場での仕事に対してセキュリティの厳しい企業であれば禁止されていることも多いでしょうが、許可されているケースで、かつ必要な対策を講じて挑むのであれば効率的。
そう言い出すと…出張中の移動時間にも仕事をさせる社畜を生む手段だとも思われてしまいますが..
一方で、リモートワーク・ワーケーションが徐々に進んでいる現代において「移動中に仕事ができるからこそ家族と一緒に旅行に行ける」なんてことも出てくるわけですね。
物は言いよう、使いよう。

周囲の視線をブロックできるアイテム
新幹線オフィス車両では、A席・C席・E席の利用を推奨しています。こうすることで隣からの視線が気にならず、後ろからののぞき込みも(故意がある場合を除き)防止できます。
それでも周りの視線が気になることもありますよね。
そんな時に役立つのがこのアイテム。

新幹線オフィス用折り畳みなんちゃらです。

ぱっと広げて挟み込み、最後にPCで踏んづければ…

秘密基地の完成です。PCの横に穴が開いていて、ケーブルを通すことができます。
もちろん車内にはコンセントがありますので、電池切れの心配もありません。

完全防御態勢で仕事できます。
こんなアイテム、実際のオフィスにだってほしいですよね。
心地の良い新幹線走行音
突然ですが、
作業中に列車の走行音を流している同士はいませんか?
意外と集中できるアイテムです。
今ではYouTubeでもたくさん上がっていますので、家でも流し放題なのですが、ここではわざわざ流すことなく、天然の走行音が流れています。
集中している状態であれば外の音など必要ないのですが、気が散り出したら多少は流れていてほしいものですよね。
殺伐としたオフィスにはない、流れる車窓もGoodです。
ダイヤというタイムキーパー
新幹線は目的地に向かって走っていますので、時間が経つにつれて歩を着実に進めています。

すると自然に「ここまでにこれを片付けよう」という目標が生まれます。
ブログの執筆であれば、福島までに目次を書いて、郡山までに導入部分を書いて…
駅が近づくと、チャイムで”タイムリミットの接近”を知らせてくれます。ラストスパートです。
単調に時間が流れるオフィスよりも、集中せざるを得ない空気が流れます。
ちなみに、列車にタイムキーパーを頼みたい場合は、速達型の「はやぶさ」ではなく、各駅停車型の「やまびこ」や「なすの」がオススメですよ。

目標は細かく区切るといいって、誰か偉い人が言っていましたね。
もちろん、人それぞれですが。
多少の騒音は「お互いさま」
通話はまだしも、PCくらい普通の席で使ったら!?
…なんて思われるかもしれませんが、実はこれ、けっこう気を使います。もちろん使わない人もいますけど…
日本民営鉄道協会さんが行った2020年のアンケート結果によると、乗客の迷惑行為として「座り方」や「騒々しい会話」が上位にランクインしている中で、見逃せないのが「スマートフォン等の使い方」「ヘッドフォンの音漏れ」「電子機器類の操作音」が入っていること。しかもこれは通勤列車をターゲットにした調査でしょうから、新幹線・特急列車に絞って考えると「電子機器類の操作音」はかなり上位に来るのではないかと思います。

私も車内でPCを操作することはよくありますが、キーボードの音を立てないように神経を尖らせています。なぜなら、私自身も他人の操作音が気になってしまうから…
たぶん、同士は多いと思います。
そのような中で、
パソコンの打鍵音や携帯電話での会話等は、お客様同士で相互に許容してください。
そのような環境が苦手な方はその他の車両をご利用ください。
という声掛けをしてくれています。
実際に「新幹線オフィス車両」では、多少の騒音はお互いさまだよね、という空気感が流れています。
周りのキーボードの音や通話の音などが普通の席よりもうるさいはずなのに、むしろ全く気にならなかった自分に驚いたんだよね。
ということで、こちらも神経を尖らせるような思いをすることもなく、やらせていただきました。
たぶん、周りの人も気になっていないと思います。
「新幹線オフィス車両」の注意点
そんな選ばない理由のない新幹線オフィス車両ですが、注意点もあります。
それが、Wi-Fiや携帯電波の環境。
東北・上越・北陸の各新幹線は、関東平野を抜けるとトンネルが多くなります。

徐々にトンネル内の電波環境も改善されてきていますが、それでも通信が途切れることが多いです。
リアルタイムでの通信が必要なWeb会議の実施を考えているのであれば、その区間には気を付けたほうがいいでしょう。
JR東海が展開する「S-Work車両」では専用Wi-Fiを用意し、通信容量が2倍に設定されているようです。
まとめ
新幹線オフィス車両を利用し、以下の知見を得ました。
- JR東日本の各新幹線8号車に設置
- 列車によって運用が異なる
- 仕事をしながら高速移動できる(旅の選択肢が拡大)
- 視線をブロックできるアイテムがある
- 流れる車窓の中で、新幹線がタイムキーパーとなる(集中力アップ)
- 多少の騒音はお互いさまの空気が流れている
- 電波環境は徐々に改善
新幹線オフィス車両
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ではまた。