茨城県内を走る関鉄バスには、土休日限定でIC1日乗車券が設定されています。800円で一般路線バスがすべて乗り放題。グループ会社もOKです。整理券制で長距離の運賃が高くなるので、利用価値アリです。一方、Suica/PASMO限定であることやコミュニティバスは利用不可であるなど、注意点もあります。月に1回は利用している筆者が、初めての人にもわかりやすく説明します。
関鉄バスとは
茨城県内を走る路線バスです
関鉄バスは、茨城県中南部で路線バスを運行する会社です。
関鉄とは、関東鉄道のこと。
関東鉄道といえば取手〜下館を結ぶ常総線を思い浮かべる方が多いと思いますが、茨城県民にとって馴染み深いのはむしろバスの方だったりします。
常磐線でいうと「取手」から「水戸」に至る区間を網羅している関鉄バスは、特につくばや土浦、水戸周辺の地域輸送に強みを持ちます。
グループ会社を含めれば鉾田や石岡、下妻周辺にも路線を持ちます。
各地域でコミュニティバスを担当し、水戸線の川島〜岩瀬周辺でも、鉄道とは垂直方向に向かう路線を運行しています。

関鉄バスはSuica・PASMO対応
唐突ですが、この後の話を進める上で重要なことをお伝えしておきます。
関鉄バスはSuica・PASMO対応(全国交通系ICカードを含む)です。
地方の路線バスでやりがちな「独自カード」は導入せず、王道を行きました。
かつてオトクな回数乗車券(紙をちぎって投入するタイプ)を採用していましたが、これを廃止する代わりにSuica・PASMOを導入したのです。
水戸界隈では関鉄バスの他に茨城交通バスも走っていますが、こちらはSuica・PASMO非対応。茨城交通バスの車内で「Suicaが使えない」ことによる弊害が起きている中、関鉄バスのSuica/PASMO対応は英断だったとも言えます。
関鉄バス1日乗車券の概要
Suica/PASMOには、単なる運賃支払いや定期券機能のほかに、フリーパスを搭載するシステムが備わっています。
Suica・PASMOにはICカードのメモリに隙間があって、そこにバスの1日乗車券を搭載することができる仕組みをイメージしてもらえればいいでしょう。
関鉄バスはこのシステムを使って土休日限定の1日乗車券を発売しています。概要は下記。
名称:関鉄バスIC1日乗車券
金額:800円(こども400円)
発売:土休日及びお盆期間
対象:関鉄グループ一般路線バス全線(コミュニティバス等を除く)

グループ会社を含む関鉄バスの一般路線バスが全て乗り放題。
土休日のおでかけにぴったり。
金額も良心的なのですぐに元が取れます。
土休日に使うなら強くお勧めできますので、買い方や使い方を、初歩的なところから書いておきます。
この乗車券を使って「都市間の移動に使う」というダイナミックな発想をする人もいます。筆者もその一人で、1日で5,000円相当分を乗車したことがありますが、この使い方には注意点もあるので書いておきますね。
関鉄バス1日乗車券の買い方と使い方
関鉄バス1日乗車券はSuica・PASMOを使ったICタイプのみの発売です。
事前にチャージされたカードをご用意ください。
買い方(初回乗車時)
関鉄バスは運賃後払い方式を採用していて、乗車時に整理券を取るかICカードをタッチ、降車時に運転席横の運賃箱で支払いをする流れです。
関鉄バス1日乗車券は、降車時に車内で買うことができます。
1日乗車券を利用する場合であっても、初回乗車時は読み取り機にICカードをタッチしてください。
降車時に運転士へ「IC1日乗車券をお願いします」と言ってください。
必ず合図をもらってからタッチすること。
何も言わずにタッチすると普通運賃が差し引かれます(払い戻しできません)。
使い方(2回目以降)
一度1日乗車券が記録されれば、あとは特別な対応は不要です。
2回目以降の乗車時も読み取り機にICカードをタッチしてください。
整理券番号を記録する必要はないのですが、タッチせずに乗ると注意されます。
乗務員の方にとって紛らわしくて厄介なので、タッチは忘れずにしておいてください。
降りる時は何も告げることなくタッチしてOKです。
運賃箱には「1日乗車券○月○日」と表示され、新たに運賃が差し引かれることはございません。
絶対覚えておくべき「重要な注意点」
対象外の路線があります
関鉄グループの一般路線バスが全線乗り放題ですが、自治体が運営するコミュニティバスや、商業施設と特別な契約がある路線、観光地まで速達で結ぶ路線など、一部は利用できません。
代表的なのは下記です。
- 高速バス(一般道エリアを含む)
- 茨城県庁シャトル
- 筑波山シャトル
- あみプレミアム・アウトレット線
- つくバス(つくば市)
- 筑西市バス
- 桜川市バス(やまざくらGO)
- その他一部路線
特に、筑波山シャトル、茨城県庁シャトルなどは、使えると思って乗り込んでしまう人がいるようなので、気を付けましょう。
土休日しか使えません
関鉄IC1日乗車券は、利用日限定の乗車券です。
土休日およびお盆期間(概ね8/13-16)のみの利用となりますのでご注意ください。
お盆期間は、カレンダーで平日であっても、路線バスが土休日ダイヤであれば使えるようです。
知っておくと安心「レアな注意点」
ICカードの上書き
Suica/PASMOに搭載されている「フリーパス用のメモリの隙間」は、一度に1種類の乗車券しか搭載できません。
既に別会社の1日乗車券が発売済みのSuicaやPASMOに対して関鉄バスIC1日乗車券を発売してしまうと、もともと入っていた1日乗車券は消滅します。
例えば「東急バス1日乗車券」を搭載したSuicaに、同一日に「関鉄バスIC1日乗車券」を搭載すると、「東急バス1日乗車券」は消えます。
もしそのような複数の1日乗車券を使い倒すような日であれば、別々のSuicaやPASMOを用意するようにしましょう。タッチするカードを間違えないように注意ですよ。
整理券番号がずれたときの手動精算
稀に「バスの走行位置と車内放送がずれること」ってありますよね?
運転士さんも人間なので間違ってしまうことがあるのは仕方がないのですが、運賃がずれるので大問題です。誤差は数十円かもしれませんが、誤った金額を収受するのはバス会社にとっても大問題になりかねませんので、運転士さんが気づいた場合、降車時に正しい運賃に手入力修正してくれます。
しかし、これは1日乗車券利用時は要注意の可能性があります。
設定によっては手入力修正してくれた金額が差し引かれる可能性があるため、「既に1日乗車券がセットされている」旨をお伝えして、手入力をキャンセルしてもらうようにしましょう。
読み取りエラー
降車時に運賃箱が「精算済みカードです」と表示してエラーを返すことがあります。
これは、あるバスから降車(1)した後、同じ車両に再乗車して降車(2)するときに、降車(2)で起こりうる現象で、極めてレアケースです。
上記(1)と(2)の間で運行情報がリセットされないため、運賃箱は「同じカードが連続してタッチされている」と判断し、エラーを返すと考えられています。
別のケースでは、何らかの事情で運行が終了した場合でも、Suica/PASMO精算情報がリセットされずに再運行され、エラーとなることもあります。
このエラーが出た場合は「1日乗車券が搭載されていること」を申し出て、信じてもらうしかありません…
ただ、かなりレアなケース。私も全人生で1度しか遭遇したことはありません。
その際は、直前に1日乗車券で精算していることを運転士さんも覚えていたので事無きを得ましたが、そうではなかった場合はどう対処すればよかったのか。みなさまにお伝えできる最適解は分かりません。
モバイルSuica/PASMOの場合は、スマホの画面上で「関鉄バス 710円」の精算履歴を表示することができますので、必要に応じてご活用ください。
補足説明
10年以上前の話ですが、バスの運賃箱で運賃を差し引いているにも関わらずICカードエラーで突き返し、再度タッチさせて運賃を二重に収受する誤精算があり、大問題となったことがあります。この問題以来、同一のICカードを連続タッチできない仕組みになっています。
おすすめの路線
<初心者向け>大都市周辺で使う
つくばセンター周辺
つくば・土浦・水戸などを中心に、関鉄バスが頻繁に走っているエリアにお住まい・お出かけの方は、その日は自動車を休ませてバスを利用してみましょう。
つくば発着なら、ひたち野うしく駅行き(関鉄運行便)に乗車すればイオンモールつくばへ行くことができます。
子連れの方、学園南循環線に乗車すれば洞峰公園に行けますよ。

水戸駅周辺
水戸発着なら偕楽園・千波湖方面に頻発しています。

その他、新しく運行を開始した「笠原循環線」でヨークタウン水戸へ。
水戸駅南口からイオンタウン水戸南へのアクセスも可能です。乗車時間長めになりますが、茨城空港や空の駅「そらら」へも行けます。

石岡発着の「かしてつバス」もエリアに含まれます。専用道路を走るバスに乗ってみましょう。
守谷駅周辺
最も最西端となるのが守谷駅。
ここからは茨城県立自然博物館まで行くことができます。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
<上級者向け>都市間移動に使う
水戸〜石岡〜土浦〜つくば方面は時間帯を選べば比較的スムーズに乗り継ぐことが出来ます。
水戸駅(0640)→石岡駅(0755):一日2本の難所です。
石岡駅(0800)→土浦駅(0900):本数が少ない難所です。
土浦駅(0920)→つくばセンター(0945):頻発しています。
このように、わずか800円で茨城県内の都市間をダイナミックに移動することも可能です!
ただし、かなり時間がかかるうえ、時間帯の制約もあるので注意です。
特に水戸駅と石岡駅を結ぶ路線は1日2本のみ。
それぞれ関鉄ネットワークが充実している水戸エリアと土浦エリアですが、両エリア間を路線バスのみで行き来するのは容易ではありません。
水戸ー石岡間は茨城空港経由でもアクセス可能ですが、石岡ー土浦間は完全なる一本道。
しかも本数が少ないので難所続きです。
状況によっては「JR常磐線でワープする」など、臨機応変に対応する力が試されます。

単なる都市間移動にはお勧めできませんが、そういうチャレンジに闘志を燃やすバスオタさんにはお勧めです。
迷路のように張り巡らされた路線図を熟読してみましょう。
当時2歳の子どもと一緒に石岡駅~水戸駅線に乗車した際、たまたまご一緒した女性の方(1日乗車券利用)に「あら~よくやるわね笑」と話しかけてもらったことがあります。たしかに、乗車中に「トイレ」と言われたらゲームオーバー。2本目が最終バスですので、その日はその場から動けなくなります。それくらいハードルの高い移動になりますので、覚悟が必要です。
まとめ
つらつらと書いてきましたが、一日乗車券について復習です。
名称:関鉄バス1日乗車券
金額:800円(こども400円)
発売:土休日及びお盆期間
対象:関鉄グループ一般路線バス全線
(コミュニティバス等を除く)
関鉄ネットワークが充実するエリア内では気楽なおでかけに、エリア間のダイナミックな移動は冒険心を持って。
いろいろな楽しみ方が出来る関鉄バス一日乗車券を使ってみましょう。
ではまた。