横浜市営地下鉄ブルーラインの北限はあざみ野駅ですが、さらに北上して新百合ヶ丘まで延伸する計画があります。実はこの話、地元では過去に何度も上がっていますが、いまだに実現していません。なぜ延伸を必要とし、更なる北上を目指すのか。延伸計画地周辺をバスで巡りました。結論として、あざみ野側はバス天国(需要が大きい)。地下鉄の延伸により、開業直後から一定の利用が見込まれるのではないかと思います。
横浜市営地下鉄ブルーラインとは
北限はあざみ野駅
横浜市営地下鉄ブルーラインは、あざみ野駅と湘南台駅を結ぶ全長40.4kmの地下鉄路線です。
かつての北限は新横浜駅でしたが、1993年に「あざみ野」まで延伸。
東急側は「たまプラーザ駅に乗り入れてほしい」と主張してきたにもかかわらず、あざみ野に乗り入れてしまいました。頑なに「あざみ野を譲らなかった横浜市」と、頑なに「あざみ野に急行を停車させない東急」との間に、何となく溝が生まれる形となりましたが…
2002年にあざみ野駅に急行が停車することで、一件落着となりました。
新横浜アクセスに強み
新横浜駅を経由することで東海道新幹線と接続。
あざみ野を含む東急田園都市線の横浜市内エリアから新横浜に向かう場合、これまでは横浜線の長津田駅経由で向かう必要がありましたが、あざみ野経由での新たなルートが加わり、利便性が向上しました。
あざみ野~湘南台の運行区間になった後は、しばらく硬直状態が続いていましたが、ついにあざみ野から北側へ延伸させる話が本格化したのです。
あざみ野以北の延伸必要性
鉄道空白地帯
この辺りは東急田園都市線と小田急線、南武線、横浜線に囲まれた、いわば「鉄道空白地帯」です。
そのため、あざみ野から北の区間を延伸させることは地元の悲願であり、かなり前から何度も出ては消えを繰り返していました。
ここに何らかの線路を通したいと思うのは自然なことかもしれません。
あざみ野以北には「壁」がある
最後の最後までもつれ込んだあざみ野以北の延伸計画。
なぜここまで遅くなったかというと…
その大きな理由の一つとして、あざみ野から先は横浜市からはみ出てしまうことが挙げられるでしょう。
あざみ野駅は横浜の中でも最北に近いエリア。さらに北に進むと、次のターミナル駅は小田急線のどこかの駅…ということになりますが、
実は小田急線、横浜市は通っておらず、登戸~柿生間はいずれの駅も川崎市に属します。
あざみ野と新百合ヶ丘の中間にあり、横浜市北部の地域輸送を支える「虹ヶ丘営業所(東急バス)」も、住所は川崎市。
つまり、あざみ野から北に延伸して、中途半端なところで終点を迎えずに小田急線まで走り切るとなると、川崎市にお邪魔しなければならず、横浜市の一方的な意見で建設を進めることはできないのです。
しかし、平成31年に横浜市と川崎市の共同会見が実現し、大きく前進します。
川崎市長が「横浜市と連携し、早期事業着手に向けて取組を進めてまいります」と表明するなど、実現に向けて大きな一歩を踏み出すことになったのです。
あざみ野~新百合ヶ丘間のバスに乗車
沿線概要
横浜市営地下鉄が延伸を考えている「あざみ野~新百合ヶ丘間」には、路線バスが走っています。
ざっくり言うと、あざみ野から新百合ヶ丘まで向かう路線バスは本数が限られますが(と言っても多い)、あざみ野からすすき野団地までは頻発しています。
- あざみ野~新百合ヶ丘:15分に1本くらい
- あざみ野~すすき野団地:頻発
どれくらい頻発かというと…
上記写真は虹ヶ丘団地停留所の時刻表ですが、もう少しあざみ野駅寄りに行けば、新百合ヶ丘系統、虹ヶ丘営業所系統などの路線が加わります。さらにあざみ野駅寄りに行けば、たまプラーザとあざみ野を結ぶ路線も加わります。
ラッシュ時の本数はもちろん、(コロナがなければ)早朝5時前から走り始めていて、特に通勤需要が大きいことがうかがえますよね。
あざみ野駅のバスターミナルには、さらに向ヶ丘遊園行きのバスや、あざみ野ガーデンズまで向かうみすずが丘経由便、黒須田経由便も加わり、もはやカオス状態。決して広いとは言えないあざみ野駅のバスターミナルはパンク状態でやりくりしています。
各駅の周辺散策
さぁ、乗ってみますか。
「剣山」付近
まず最初に向かったのは、剣山付近と呼ばれているところ。
ここは、かつて「剣山スポーツガーデン」と呼ばれた施設の近くと思われます。
現在では「あざみ野ガーデンズ」として、スポーツ施設以外にも飲食店などが入居しています。
この付近には古くから建物が立ち並んでいて、開発の余地は少ないかもしれません。
しかし、前述のようにバスが頻発していて需要が大きいため、開業直後から多くのお客さんに利用いただけるのではないかと思われる区間ですね。
「すすき野」付近
後続のバスで向かったのは「すすき野」付近といわれているところ。
正確な場所はずれるかもしれませんが、周辺で重要な位置づけである「もみの木台」バス停で下車しました。
このバス停は「桐蔭学園」の最寄りとなっています。
桐蔭学園は、幼稚園から大学まで1つのエリアに集まった巨大なマンモス校。青葉台・市が尾・あざみ野・柿生・新百合ヶ丘からそれぞれ別ルートのバスでアクセスができるようになっているにもかかわらず、バスで捌くのに一苦労の生徒数を誇ります。
地下鉄「すすき野」が開業すれば、学生の流れも大きく変わるでしょう…
って、私が中高生の頃から言っていたのですがね…やっとですね。
「ヨネッティー王禅寺」付近
最後はヨネッティー王禅寺付近。
ヨネッティーと聞くとイメージがつきにくいですが…
これで分かりやすいですね。
加えて、田園調布学園が近隣にあります。
このエリアには、あざみ野駅の他にたまプラーザ駅からもアクセスができます。
このエリアは、あざみ野~新百合ヶ丘のバス路線が通らないエリアとなりますが、川崎市からの要望を受けて、同エリアを経由するルートが採用されたそうです。
あくまで川崎市内の区間になりますので、ここは要望を受け入れてあげるべきですよね。
川崎市にとっても初めての地下鉄となります。
楽しみですね。
まとめ
横浜市営地下鉄の延伸予定区間沿線を散策し、以下の知見を得ました。
- 横浜市営地下鉄あざみ野~新百合ヶ丘間の延伸が計画されています
- あざみ野以北の区間はバスの需要が大きいです
- 沿線に巨大な学校を抱えます
- 早朝から動く通勤客も抱えます
- 川崎市の協力も必要です
横浜市営地下鉄
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ではまた。