名古屋市営地下鉄名城線は、名古屋市内で環状運転を行う、全国的にも珍しい地下鉄線です。山手線(内回りと外回り)とは異なり、「名城線左回り」と「名城線右回り」と言われます。結論として、左右の判定は「てっぺん」で行いますので、左回りは内回り(=反時計回り)、右回りは外回り(=時計回り)となります。名城線は10分間隔で運転されますが、左半分では名港線からの列車が混じり、5分間隔となります。特に左回り乗車時には、意図せず環状運転から離れてしまう「遠心力」に負けてしまうと、名古屋港に到着となります。ご注意を。
名城線とは
名城線とは、名古屋市営地下鉄が運行する路線の一つです。
「めいじょうせん」と読みます。
ラインカラーは紫色で、環状運転をしています。
名古屋城や熱田神宮、ナゴヤドームへのアクセス路線でもありますから、観光客が利用する機会も多いでしょう。
今回は、名古屋の地下をぐるぐる回る、全長26.4kmのおもしろ路線「名城線」に焦点を当ててみます。
左回りは反時計回り!右回りは時計回り!
一周回って「馴染みがない」ので混乱する
繰り返しですが、名城線は環状運転をしています。
そして、駅の表示では「左回り」「右回り」と案内されています。
左回りや右回りという表記は「常識」と思われる人が多い一方で、あまりなじみがないという人もいるでしょう。
特に東京の山手線に乗り慣れている人であれば、「外回り」や「内回り」の方がピンと来てしまう。
唐突に左回りと言われると混乱の頂点に達してしまいます。
とっさの見分け方
これ、見分け方は簡単で、路線図の頂点を見ます。
頂点を左に流れるのが左回り、右に流れるのが右回りです。
つまり、
左回り=内回り=反時計回り
右回り=外回り=時計回り
頂点を見るのがポイントです。底辺を見ると左右が逆になってしまいます。
どうでしょう、ここまでご説明すればわかってもらえるでしょうか。
名古屋駅起点で考える左右の区別
観光客の場合、名古屋を起点に考えることが多いでしょう。
残念ながら名城線は名古屋駅を通っていませんので、東山線(栄乗り換え)か桜通線(久屋大通乗り換え)で乗換駅まで向かった上で、名城線を使うことになります。
各乗換駅では、名城線の上方向に行くなら右回り、下方向に行くなら左回りです。
名古屋から向っていったときに「向かってどっち」ではないので気を付けましょう。
具体例として、以下の通り乗り換えましょう。
【名古屋城に行きたい場合】
栄や久屋大通から名城線右回りに乗車
【熱田神宮に行きたい場合】
栄や久屋大通から名城線左回りに乗車
【矢場町や名古屋港に行きたい場合】
栄や久屋大通から名城線左回りまたは名古屋港行きに乗車
利用に合わせた柔軟なダイヤ
左半分が大混雑
名古屋に行ったことのある人が名城線の路線図を見るとわかることなのですが、
この路線の特徴として、
左半分が大混雑し、右半分は利用が落ち着く。
という利用状況が挙げられます。
通勤ラッシュを知らないので「右半分はガラガラ」と表記するのは避けましたが、少なくとも私が乗った土休日の夕方はガラガラでした。
このような利用の傾向に合わせて、名城線のダイヤが上手く組まれています。
でも、
「名城線はグルグル回っているんじゃないの?」
って思いますよね。
これは半分正解で、半分誤りです。
名港線~大曽根の区間列車を運転
名城線のうち、ぐるぐる回るのは10分に1本の運転。
これでは左半分がパンクしますから、名港線の力を借りています。
どういうことかというと、
名城線環状運転:10分に1本
名港線~大曽根:10分に1本
※日中のダイヤの場合
これで、混雑する金山~久屋大通間の運転頻度を5分に1本としているのです。
名城線と名港線が同じ紫色であるのは、上記のように一体となった運用をしているためでしょう。
夜間は名港線内運転に切り替え本数調整
全線において需要が落ち着く夜間帯においては、名港線から大曽根方面に向かう直通列車を取りやめ、金山止まりにしています。
これにより、名城線内は環状運転のみとなります。
左半分では本数不足、右半分では本数過多の状態にはなるものの、手っ取り早いダイヤの組み方と言えるでしょう。
名港線への遠心力に注意
ここまで読んでくれた方であればお気づきだと思いますが、大阪環状線で有名な「遠心力」が名城線でも発揮されています。
特に、気を付けなければならないのが
【名城線の遠心力】
・名城線に矢場町や栄付近から乗る
・名城線の左回りに乗る
という条件がそろった時、意図せずに、
名港線「名古屋港方面」
へと飛ばされてしまうことがあります。
私のような、人の話(アナウンス)をろくに聞かない方は、十分にご注意くださいませ。
英語表記は「Clockwise」「counterclockwise」
ここまでの話を理解しておけば名城線を使いこなすことは可能です。あとは興味のある人向けに、名城線の豆知識を展開しようと思います。
左回りや右回りの話に少し戻りましょう。
英語が分かる人なら、英語表記の「Clockwise」や「Counterclockwise」がしっくりきますね。
そもそも回る方向を左右で表記したのは、海外の利用者に配慮した結果ともいわれています。
日本人にとってなじみ深い「内回り」や「外回り」は、左側通行に慣れた日本人の感覚であって、海外では逆であるケースも多いです。
その場合、内も外も分かりませんから、左右で表した方が適切であろうと判断したのだとか。
左回り=反時計回り=Counterclockwise
右回り=時計回り=Clockwise
名城線は「まるくない」理論について
名城線と名港線は利用者向けの案内として使われているのであって、正式には「2号線」と「4号線」と名付けられています。
それぞれの区間は下記の通りで、環状とは無縁です。
【2号線】
大曽根ー栄ー金山ー名古屋港
【4号線】
大曽根ー名古屋大学ー堀田ー金山
大曽根駅で2号線と4号線に分かれています。
金山駅は2号線の途中駅であり、名古屋港ー大曽根系統が本線であり、環状運転している4号線からの列車が乗り入れているに過ぎません。
遠心力で名古屋港に飛ばされるのではなく、本来は名古屋港に行く路線なんですね。
名城線はまるくないという理論は、山手線はまるくないの理論に似ていますね。
頑なに2000系を使い続ける
名城線では、2000系という車両が使われています。
この車両は2003年に登場した形式ですが、いまだに新型車両が導入されることなく使われ続けています。
いまでは見かけることが少なくなった「幕式の方向幕」がここでは楽しめます。
その他、GTOと呼ばれる「ちょっと古めなモーター音」を堪能できることから、私は好きなのですが…
これもいつまで走るのかは分かりませんから、名古屋に訪れた際にお時間があればぜひ「名城線」を一周してみましょう。
あっくれぐれも「遠心力」にご注意を。
まとめ
名城線を利用し、以下の知見を得ました。
- 名城線は名古屋の中心地を走る地下鉄線
- 名城線は環状運転をしている
- 左回りは反時計回り、右回りは時計回り
- 名城線は名港線(名古屋港方面)とも直通運転している
- 左半分の利用が多く、ダイヤを工夫して需要に応えている
- 懐かしさが残る2000系で統一されている
遠心力と言えば大阪環状線。こちらもご注意ください。
ではまた。