なぜ仙台空港アクセス線の「快速」は残り1本になっても走り続けるのか。激減した理由を解説。

スポンサーリンク
鉄道
この記事は約7分で読めます。

仙台空港アクセス線は、仙台駅と仙台空港を最速17分で結ぶ鉄道路線です。途中名取のみに停車する快速列車が1往復/日だけ運行されています。かつては4往復/日ほど設定されていましたが、徐々に数を減らし、今に至ります。快速が消滅することが多い昨今ですが、2023年3月の改正も乗り切り、これからも1往復/日が確保されます。なぜ走り続けるのか?実際に乗ってレポートします。

スポンサーリンク

仙台空港アクセス線とは

仙台空港アクセス線は、仙台駅と仙台空港を結ぶ空港アクセス鉄道です。

仙台と名取の間はJR東北本線、名取と仙台空港の間は仙台空港鉄道線を走るため、運賃はそれぞれ別にかかります。

しかし、全列車が直通運転をしているほか、両社にまたがる全区間に対して「仙台空港アクセス線」の愛称で旅客案内されているなど、一体感のある運営がなされています。

JR東日本、仙台空港鉄道ともに仙台空港アクセス線用の車両を持っていますが、4両編成で運転される際には混結されることも多く、開業15周年を迎えた今でも、とても仲睦まじいご様子で。

車内にはボックス型のシートも設置されていて、グループでの移動も楽しく快適です。

仙台空港アクセス線の快速列車

仙台~仙台空港間がわずか17分

そんな仙台空港アクセス線には、快速列車が設定されています。

仙台駅を出ると、名取駅のみに停車して仙台空港に至ります。

途中、長町、太子堂、南仙台、杜せきのした、美田園は通過。必要最小限に停車駅を絞った快速は、仙台駅と仙台空港の間をわずか17分で結びます。

これは速いですよね。

快速は「1本だけ」

ただですね…これ。

1日1本しか走っていないんです。

時刻表を見るとやけに目立つ「1日1本の快速」のために、停車駅案内まで用意されています。

厄介ですよね…1日1本しか走っていないのに、そのための案内準備が必要です。

しかも、2023年3月ダイヤ改正でも(時間帯は変更になるものの)快速は残り続けるのです。

快速が走る理由

この項目には調査事実を伴わない私見を含みます

最速17分の実績を維持したいから

なぜそこまでして快速を設定し、なぜ意地でも残すのか。

あくまで私の推定理由ではございますが、

「仙台~仙台空港間最速17分」を謡いたいため、と思われます。

そうだろうと思い、仙台空港鉄道のホームページを覗いてみると…

「仙台空港アクセス線ご利用で最速17分」「車・タクシーで約40分」
出典:仙台空港鉄道(こちら)

やっぱりね。笑

自動車でのアクセスが便利な仙台空港。近くには仙台東部道路の仙台空港ICがあるほか、国道4号バイパスも通っていて、空港周辺の道路網は完璧です。

自動車の弱点である仙台中心部からの所要時間を引っ張り出してきて、自動車40分vs鉄道17分で鉄道の勝ち!と言っているわけです。

仙台駅と仙台空港を結ぶ公共交通機関として空港連絡バスも走っています。

仙台空港アクセス線と同額の660円で利用可能で、ワンコインキャンペーンを実施しているときは500円で乗車できます。バスであれば必ず座れるほか、キャンペーン時にはコスト面で優位に立たれることもあるのです。

鉄道を作ったからには、バスや自動車の利用者に対して強力なインパクトを与えて乗客増に結び付けたい。

それには「仙台駅~仙台空港を24分で結びます」では弱すぎる。

自動車利用の場合の約40分の半分以下であることを訴求するために「最速17分」の称号は維持したい…

と考えるのは自然かもしれませんね。

本音では「快速を減らしたい」

称号維持のための快速です。

よく「快速が走ることで利便性を向上…」などと言われますが、むしろ利便性向上とは真逆であることは仙台空港鉄道が白状してしまいました。

快速列車が激減した2021年3月のダイヤ改正時に、以下のようなコメントを発表しているのです。

現行3往復の快速列車のうち、2往復を普通列車に変更し、各駅の利便性向上を図ります。

出典:仙台空港鉄道

つまり、快速は邪魔だということ。

なぜ邪魔者扱いをされるかというと…仙台駅と仙台空港を結ぶだけの路線ではないからです。

実情は後述しますが、

仙台都市圏では、仙台駅ー名取駅間での利用が多くなっています。長町駅周辺にも大型商業施設があるほか、マンションも立ち並んでいます。

仙台高速鉄道区間でも事情は同じ。杜せきのした駅には、駅直結のイオンモール名取があります。国道4号線の渋滞や混雑する駐車場を避けるために、鉄道で来店するお客さんも多いのです。

それらの“重要な途中駅”をすべてかっ飛ばしてしまう快速は、邪魔者扱いされても仕方がないのかもしれません。

1本でも17分で駆け抜けてくれれば最速17分を謡えますので、1本だけ残せばいい…

その結果なのかもしれませんね。

仙台空港アクセス線の快速に乗車

どれくらい邪魔な存在なのかを確かめるために、仙台空港アクセス線の快速に乗車して仙台空港まで行ってみることにしました。

1日1回しか表示されない「快速|仙台空港」の文字。

ワンマン運転の車内では、運転士から「快速仙台空港行きです。途中の停車駅は名取のみです。その他の駅は通過となりますのでご注意ください。通過駅がございます、ご注意ください。快速仙台空港行きです。名取以外は停まりませんのでご注意ください。」

何回もご注意いただきます。

そのたびに、一旦着席した乗客が出ていく姿もみられました。

1日1本しか走らない快速。まさかこの電車が快速だとは思わずに、通過駅利用者が乗り込んでしまうのも無理はないでしょう。長町や太子堂までの利用客も多いということですね。

電車は東北本線を疾走。大都会の高架駅・長町も高速で通過。乗っているほうは気分がいいのですが…

約10分で名取に停車します。

ここでは多くの利用者がホーム上で待っていましたが、

「明らかにイオンに行くだろお前ら」っていう若者がゾロゾロと車内に入ってくる様子に運転士さんも気づいていました。

「次は仙台空港です。杜せきのしたと美田園は通過です!」

強めに何度も訴えかけますが、人の話を全く聞いていないご様子。

自分の中でも葛藤が起きます。

(教えてあげたいけどイオンに行くという確証は持てない。しかも全然人の話を聞いていない。見てると睨みつけてくる…)

(…)

(とはいえ…次の電車もなかなか来ないだろうし…)

(…もういいや!一緒に空港行こう!!)

扉が閉まります。

仙台空港アクセス線の電車は、名取駅から東北本線を離れ、仙台空港鉄道の高架に入ります。

見る見るうちにスピードを上げて、杜せきのした駅を高速通過。イオンが一瞬で通り過ぎていきます。

ここでようやく気付いたよう。やはり目的地はイオンだったようです。

(そうだよね…まずはスタバ行くとか、言ってたもんね)

「どうすんのこれ?親呼ぶ?」などとおっしゃられていましたが、親は呼ばなくて大丈夫。

仙台空港駅で1分後に折り返す普通列車があるので、それに乗るのが次にすべき重要なことです。

滑走路を潜るトンネルを抜けると、仙台空港駅に到着。

他にも間違えて乗っていた人がいたようで、運転士さんの案内で反対側の電車に乗り込んでいました。

※誤乗扱いで無賃送還されるかどうかの最終判断は係員に委ねられますが、本来折り返し乗車は往復運賃が必要になりますので、みなさまも快速にはご注意ください。

仙台空港駅のようす

仙台空港駅は1面2線の構造を有する駅です。最大2編成が入線できるのですね。

仙台空港駅と空港ターミナルは連絡橋で結ばれています。徒歩2分程度。

仙台空港には国際線も就航しているよう。札幌や大阪、福岡へもひとっとびできる、東北の空の玄関口ですね。

さて…飛行機に乗るわけではありません。特にすることもないので、帰りますか。

とりあえず杜せきのしたで降りて、名取のイオンに寄って行くことにしましょう。

…ん???

まとめ

仙台空港アクセス線の快速列車について、以下のことを執筆しました。

  • 仙台空港アクセス線は仙台駅と仙台空港を結ぶ鉄道路線です
  • 最速17分で結びます(快速利用の場合)
  • 快速は1日1本のみです
  • 実績作りが主目的と思われ、最低限の本数になっています
  • 誤乗が発生しています

仙台空港アクセス線
>> こちら

ではまた。

タイトルとURLをコピーしました