真冬の奥新川駅で降りたら陸の孤島だった。ついに一部普通列車が通過へ。

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鉄道
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仙台と山形を結ぶJR仙山線。県境の長いトンネルの両側に2つの秘境駅があります。今回は仙台側の秘境駅「奥新川」に行きました。周辺には民家が数軒あるだけで、他は何もありません。頼りの遊歩道も閉鎖。ついに一部普通列車が通過となってしまいました。寒さをしのげる待合室内には駅ノート完備で心だけはポカポカ。仙台発着の長距離乗車券を発券すると仙台市内発着となり、追加運賃なく奥新川駅まで有効なので、山形方面へのアクセスにもご活用を。

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奥新川駅とは

奥新川駅は、仙台市青葉区にあるJR仙山線の途中駅として営業する駅です。

「おくにっかわ」と読みます。

現在は無人駅となっていて、作並駅が管轄しています。

え~!大都会・仙台市内なのに無人駅なの?

…という戯言は、行けば絶対に出なくなります。

奥新川駅は、JR仙山線の秘境区間である、作並~山寺間に位置しています。

県境の仙山トンネルを挟んで、奥新川駅と面白山高原駅が設置されています。

両駅は山奥にある駅として、秘境駅ファンからも一定の人気を獲得しているようです。

繰り返しですが、奥新川駅は仙台市青葉区。あの、大都会・仙台市青葉区です。

仙山トンネルに入る直前に太白区に入るそうですが、結局仙台市なんです。

仙台でかすぎ問題が浮上しますが、これは運賃計算上オトクになります(後述)ので、使い倒しましょう。

奥新川駅は停車本数が少ない

JR仙山線の本数は、山越え区間であっても1本/時以上確保されています。

しかし、奥新川駅に停車するのは普通列車に限られます。

そのため、時間帯によっては2時間以上も間が空くことがあります。

しっかり計画を立てて行かなければなりませんが、仙台→奥新川→山形と進むのはお勧めできません。

仙台ー(普通山形行き)→奥新川ー(普通仙台行き)→作並ー(快速山形行き)→山形

などと、折り返し列車をうまく捕まえながら進むと、無駄な時間が最小限に抑えられます。

奥新川駅のようす

撮影は12月某日で、仙台の中心部から仙山線の愛子駅付近までは積雪を全く見かけず、作並駅付近から積雪が残っている状況でした。奥新川駅まで進むと世界が変わります。

仙山線でアプローチ

奥新川駅に向かうため、仙台駅からJR仙山線に乗車。

折り返し列車をうまく捕まえるダイヤとして、滞在時間を30分間確保しました。

仙台駅から約50分乗車し、ついに目的地の奥新川駅へ。

奥新川駅で下車

奥新川駅での乗客の下車は私1人でしたが、幸いにして他に除雪作業の方が5人ほど下車されましたので、特に目立つことはなく列車を後にします。

扉が閉まってしまいました。この瞬間が、秘境駅マニアにとってはたまらないんですよね。

次の山形方面行きは2時間以上来ません。

除雪作業の方とともに、山間の無人駅に置いて行かれます。

奥新川駅の構造

2面2線で行き違いもできる駅。

この先は県境の仙山トンネルを控えているので、信号場としての役割も強いのでしょう。

ちなみに仙山トンネル内にも待避線があるそうですが、今では(少なくとも旅客列車においては)ほとんど使われていないそうです。

雪が積もっていますが、青空が広がるすがすがしい日でした。

奥新川駅は自分の立ち位置をよく分かっているのか「ようこそ!!秘境奥新川へ」と掲げられています。

小さな待合室の中には、乗車駅証明書発行機、ベンチ、駅ノートなどがありました。

乗車駅証明書:乗車券の発売を行っていない駅から乗車したことを証明するきっぷです。運賃を正しく計算するためのものであり、乗車記念の類ではありません。

駅舎の写真。雪が深く、全景を撮ることはできませんでした。

奥新川駅周辺のようす

奥新川駅周辺には、かつて「新川ライン」と「奥新川ライン」という国鉄整備のハイキングコースが存在しました。

私は未経験ですが、特に奥新川ラインは険しい道のりだったそう。途中でつり橋を渡って深い渓谷を進むコースだったそうです。

しかし、そのつり橋が老朽化で危険と判断され、2020年にコースの大部分が廃止になってしまいました。

この先に続く奥新川ライン。ごく一部の区間のみ開放されていますが、冬季期間中は全く進むことができません。

冬の期間はすべての区間で閉鎖となりますので、奥新川駅から観光に行けるところはどこにもありません。

そして、観光どころか…

鉄道がなければ脱出も難しいエリアであることに気づかされます。

実際に積雪期間中は車での往来ができなくなるため、郵便配達員も鉄道を利用することがあるのだとか。

なかなかレベルの高いエリアではありますが、民家がある以上、鉄道が輸送の使命を果たさなければなりません。

とはいえ限界もあるわけで…

冬季期間中は一部普通列車が通過へ

積雪が見込まれる冬季期間中は、特に状況が厳しく利用者も極めて少ない時間帯に限り、普通列車を通過させる措置が取られました。

奥新川駅待合室内でも繰り返しアナウンスされている通り、早朝と夜間の上下普通列車において、奥新川駅と面白山高原駅を通過扱いにします。

これにより、列車が「雪を抱え込んで動けなくなる」ことを防ぐそうです。

いやぁ~、鉄道の運行も繊細なんですねぇ。

…というか、雪がヤバいんでしょうね。

廃止は「ないだろう」と思ってOK

さて、秘境駅の話題になると必ずと言っていいほど「廃止論」が沸き起こります。

奥新川駅の駅ノートにも「廃止になりませんように!」と願いを込めて記載されている旅行者もいらっしゃいました。

ここから先は私の予想にすぎませんが、奥新川駅の廃止は「この先しばらくはないだろう」と考えて大丈夫だと思います。

実際に行けば伝わってきますが、そこには確実に市民の生活が根付いています。(じゃないとすれば私が感じたのは何だったのかという他方面の話になります)

そして、冬季は鉄道以外の交通が絶たれてしまう地域である以上、駅の機能は維持されると考えるのが自然でしょう。

…と願っています。

あっという間にお迎えの時間です。

この列車で仙台に戻ります。

奥新川駅のおかげで「山形まで+510円で行ける」

さて、「ご縁はなさそうだな」と思った人も多いかもしれませんが、ちょっとオトクな活用方法があります。

奥新川駅は仙台駅から590円、山形駅から510円。仙台市内なのに、山形の方が近い

このことは、鉄道利用者にとって有利に働きます。

奥新川駅は仙台市内の駅に指定されていますので、例えば東京都区内→仙台市内の乗車券で東北新幹線で仙台入りした場合は、仙台駅で在来線改札を出なければ、追加運賃なしで奥新川まで来ることができます。

奥新川駅で降りることは無いでしょうけど、仙台経由で山形方面まで行くことはあるかもしれません。

その場合は、仙台市内までの乗車券に+510円の乗り越し精算をすれば山形駅で降りられるということ。山寺駅までなら+240円でOK。

東京から山形までの移動で、混み合うことが多い山形新幹線を避けて仙台まで東北新幹線で進み、仙山線を西進して山形方面に至るルート取りを考えている場合や、あえて山形新幹線ではなく仙山線に乗ろうとしている鉄道ファンにとっては、ちょっとした節約になるかもしれませんね。

まとめ

真冬の奥新川駅を訪問し、以下の知見を得ました。

  • 奥新川駅はJR仙山線の駅で、仙台市青葉区に立地
  • 周辺には何もなく、冬は陸の孤島となる
  • 仙台中心部の積雪がなくても、奥新川駅に積雪があるのはザラ
  • 冬季期間中の早朝と夜間の普通列車は通過扱いとなる
  • 仙台市内までの乗車券で、奥新川駅まで来れる

仙台中心部から手軽に訪れることができる秘境駅、ぜひ機会があれば訪れてみてください。

ではまた。

編集後記
奥新川駅の記事を書くときに、仙台中心部と奥新川駅周辺の比較を表現する場面が多くありました。その時、ついつい仙台中心部のことを「仙台市内」と書きかけてしまいますが、奥新川駅も仙台市内。ややこしい…と思いながら、仙台市のでかさを実感したのでした。今回の旅で使用したのは「仙台まるごとパス」というきっぷ。その名の通り、でかい仙台を走る公共交通機関をまるごと(会社の垣根を越えて)楽しめますので、ぜひご活用ください。

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