長野駅を起点に運行する長野電鉄線は、地元の利用者から旅行客まで、幅広く使われています。長野電鉄の大きな特徴の一つとして、かつて首都圏で活躍した車両が原型を残して活躍しているという点です。東急線や日比谷線などで見覚えのある車両と再会できます。かつてのロマンスカーや成田エクスプレスの車両も現役。長野電鉄線は長野駅付近ではこまめに停車する上、本数も多いので、数駅だけ乗って帰ってくる旅程が組みやすいです。新幹線まで20分あればプチ乗車可能。JR東日本の週末パスを利用中であれば、パスでそのまま乗車できます。
長野電鉄線とは
長野電鉄線は、長野駅と湯田中駅を結ぶ、全長33.2キロのローカル線です。
かつては長野ー湯田中の本線の他に、木島線や屋代線という支線もありましたが、木島線は2002年に、屋代線は2012年に廃線となっています。
のどかな風景の中を走るイメージが強いかもしれませんが、長野駅周辺では通勤路線として機能しており、朝ラッシュ時の混雑が話題に上がることもあるようです。
旅行者にとって長野電鉄に乗って湯田中方面に向かうケースが多いでしょう。湯田中からはバス路線が出ていて、志賀高原へアクセスすることができます。さらにその先の白根火山経由で草津方面に抜けるダイナミックなルート取りもできるようです(最新時刻表を確認のこと)。
車両が特徴的
そんな長野電鉄では、かつて首都圏で走った車両が活躍しています。
3000系は元東京メトロ車両
例えば、東京メトロ日比谷線で活躍したこちらの車両。
前面のラインこそ長野電鉄色になっていますが、側面は日比谷線のラインカラーのまま残されていますね。
車内の案内表示器も日比谷線の時のままなんじゃないかと思います。
走っているのが地下であることも加わり、日比谷線を彷彿とさせますが、ここは長野です。
8500系は元東急電鉄の車両
一方、こちらの車両は東急田園都市線で活躍した車両です。
もはやラインを含むほぼすべてが当時のまま残されていて、行先表示を見ない限り半蔵門線かと思ってしまう光景です。
東急8500系と言えば爆音で有名でしたが、それはここでも健在。権堂駅で待っている間、隣の善光寺下駅を発車する走行音がはっきり聞こえてきました。
車内も懐かしいお姿です。
東急線沿線の人にとっては思い出深い車両ですが、長野電鉄においても引退間近と言われています。乗っておきたい人は早めに会いに行きましょう。
2100系は元成田エクスプレスの車両
こちらの車両は特急列車として使用されている車両です。
成田エクスプレスの車両をほぼそのまま使用して運用に就いています。
私はこちらのN’EXが成田空港に乗り入れている時代をほとんど知りませんが、車内の様子も当時の面影を残しているようですね。
集団見合い型シートというんでしたっけ!?席番によっては逆走となる成田エクスプレスの残念シートだったと聞いていますが、その面影も残されているように見られました。ただ、この車両には自由席があるので、そこは乗車時に自分の意思で着席できるのでアリですね。
そのほか、1000系という元特急ロマンスカーの車両も活躍しています。
長野電鉄はプチ乗車しやすい
そんな長野電鉄ですが「乗りたいけど乗る機会がないなぁ」と思われがち。
それなら乗る機会を作ればいいわけですが、それが簡単にできるのが長野電鉄のいいところです。
長野電鉄はローカル線ながら、本数が多くて使いやすいのも特徴の一つ。また、長野駅から数駅の間は、駅が小まめに作られていて、そこまで遠くに行かなくてもいいわけです。
おすすめは、長野駅ー権堂駅間を往復利用すること。両駅ともに特急を含むすべての列車が停車しますので、特に本数が多くなっています。
運賃もお手頃で、初乗りは170円(2キロまで)。往復乗車しても340円。ちょっとした博物館並みのコストで往年の車両に乗車できるのは貴重ですね。
しかも、長野電鉄はJR東日本が発売する「週末パス」のエリアに含まれているので、同きっぷを利用中であれば追加料金なしで乗れちゃいます。
ちなみに、わずか1区間であっても特急に乗車することは可能です。「どうせお高いんでしょ?」というあなたも、長野電鉄の特急料金は自由席100円ですのでご検討ください。
とりあえず、いろんな要素があってプチ乗車しやすいのが長野電鉄ですね。
プチ乗車のモデルコース
普通列車を体験
こちらは実際に私が体験したコースです。週末パスを利用して追加料金なしで乗車しました。
権堂駅での折り返し乗車です。(素通りはせずに週末パスを係員に提示して長野に折り返し)
この旅程では、長野駅善光寺口発着基準で20分での完結。
鉄道が好きな人にはおすすめな長野駅での過ごし方です。
車両運用の話
長野電鉄の時刻表を見ると、長野発湯田中行きの普通列車は1本しかなく、ほとんどが須坂or信州中野止まりとなっています。
湯田中に普通列車が来ないわけではなく、信州中野ー湯田中間で折り返し運転をしています。
なぜ信州中野で分断されているのかというと、これには路線の線形が影響しています。
長野電鉄の長野ー湯田中間のうち、信州中野ー湯田中間は最大40‰(1000m進んで40m上がる)の急勾配があります。
前述のように、長野電鉄で活躍する普通列車には8500系と3000系がありますが、そのうち8500系は信州中野ー湯田中間を走行することができません。
その理由として、8500系には勾配抑速ブレーキ(下り勾配で列車の速度を一定以下に抑える機能)が備わっていないことが挙げられています。
そのため、信州中野で運行を分断した方が運用の管理がしやすいのではないかと思われます。
前述の背景から、特急の車両代走を含めて「8500系の湯田中行き」は存在しない、ということになります。
再会乗車を目論んでいる方はご参考くださいね。
まとめ
長野電鉄にプチ乗車し、以下の知見を得ました。
- 長野電鉄ではかつて首都圏を走っていた車両が活躍しています
- 最速20分あればプチ乗車できます
- 週末パスを利用中であれば追加料金なしで楽しめます
長野電鉄
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週末パスに関する記事
>> こちら
ではまた。